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琉球紅型とは沖縄県で作成されている染物の総称です。起源は14世紀付近で琉球王朝時代、近隣諸国と敵対しないよう交易する品として用いられていて、王族などの婦人たちが礼装として着用していたのが次第に発展していきました。長い歴史の中で当時王族のみしか着用することができなかった尊い色がありましたが、その色が黄色です。現在でも多彩な色遣いや模様の配色へのこだわりが沢山の人々から愛されています。明治時代に入ると王府廃止に伴い紅型は次第に衰退していきます。戦後被害が大きかった沖縄は焼失した道具や型紙が多かったですが、懸命な復興が行われ現在に至ります。 琉球紅型は大きく分けて2つの技法が使用されていて、模様に色を入れる際型紙を使用する型付け、型紙を使用しない筒抜きがあります。図形は素朴でありながらも色使い・配色がとても魅力的で、京友禅や江戸小紋と並び高く評価されています。染める際には顔料を使用しており、色の諧調をはっきりと表現でき耐光性・耐水性にとても優れています。今でも手作業で行っているので大量生産されず希少価値の高いものになっています。

八重山上布とは沖縄県八重山郡周辺で織られている麻織物で歴史の長い八重山上布は1989年に国の伝統的工芸品に指定されました。その歴史は古く、1609年には貢布としても使われていました。現在では織り柄も精緻なものになっていき現代の人々が知る八重山上布となっていきました。時代の変化とともに、織機が導入され織りムラが減り品質の良い織物へと進化していきました。

芭蕉布とは沖縄県本渡の北部を中心に作られている織物で沖縄県無形文化財と国の重要無形文化財に指定されています。使用されている植物は、バナナの仲間で糸芭蕉と呼ばれているものです。芭蕉布の特徴は、とても軽くさらりとしているのに張りがあり高温多湿な土地であった沖縄には大変重宝されました。

久米島紬とは、沖縄県久米島町で作られている絹織物で日本最古の紬といわれています。始まりは14世紀後半頃からで、久米島に住んでいた一人の人物が現在の中国に渡って養蚕を学んで技術を持ち帰ってきたことが始まりとされ、大島紬・久留米絣・結城紬の元になっています。自生している草木や泥を使用し染色を行い、すべての作業を一人の職人が一貫して行っています。使用され基本色とされているのが、こげ茶・レンガ色・鶯色・灰色・黄色です。素朴ですが独特な深い色合いや、代表的な柄である絣柄をはじめ小鳥や動物や自然物など80種類以上の種類があり、着物愛好家にも人気があります。 久米島紬は1974年に伝統的工芸品に認定されました。

玉那覇有公とは、沖縄県石垣島出身の紅型師です。学校卒業後、那覇市で工場で働きますが大怪我を負います。その後途絶えかけた紅型を復活させた人物である、城間栄喜妻の娘城間道子と出会い紅型の道を継いでいきます。城間栄喜に師事し、非常に難しいといわれる「両面染め」や「二枚異型」という技法を確立させ習得しました。日本伝統工芸展文部大臣賞を受賞し以降も様々な賞を受賞し1998年には紫綬褒章受章も獲得、1996年には琉球紅型で初めて人間国宝といわれる重要無形文化財保持者に認定されました。 玉那覇有公の作品は、沖縄の風景や花・自然のものが多く色彩も華やかで美しい作品が魅力的になっています。

宮平初子とは沖縄県出身の織物作家です。学校卒業後、泉川澄・森田孟照にデザインや首里織の技法を学び、柳悦孝の下で染色を学んでいき才能を開花させていきました。第二次世界大戦後に衰退をたどっていった首里織の復興に尽力を注ぎ、琉球王朝時代から続く伝統的な7つの技法も復活させました。1970年に日本民藝館展の日本民藝館賞受賞に初入選、以降も様々な賞を受賞していきます。1998年に重要無形文化財保持者に認定され、2000年には勲四等宝冠章受章にも受賞し凄まじい活躍しました。 宮平初子の作品は、藍地綾の中着物やベージュ首里花織着物など色味や線の幅が広く綺麗なグラデーションが特徴的です。個性あふれるデザインの着物が人気を集めています。

与那嶺貞とは沖縄県出身の染織家です。学校にて染色を学び、女子補修学校の教師をしながらも織物の制作を続けていきます。村の生活改良普及員を勤めていた時に、途絶えかかっていた読谷山花織の復興を村長からの依頼よって取り組んでいきます。戦後で作品も少ない中わずかに残っていた衣装を手掛かりに、そしてその土地で聞き取り調査を行い読谷山花織を折ったことがあるという一人の老女から聞き込みをし試行錯誤の末、1965年に読谷山花織の復元に成功しました。復元だけに留まらず、個人でも様々な賞を受賞していき、1999年に重要無形文化財保持者「読谷山花織」に認定されました。

平良敏子とは沖縄県出身の染色家です。父は芭蕉布の販売を、母は芭蕉布を織る職人であり敏子は10歳の頃から母から織物を学んでいきます。小学校卒業後、就職しますが戦争時代に差し掛かることを機に、第4次沖縄県勤労女子挺身隊に参加することになりました。終戦後織物工場の社長に織物をしてみないかという話が持ち掛けられ、染織家の外村吉之介によって手織りや組織織を学び衰退をたどっていた芭蕉布の復興に貢献していきます。2000年に重要無形文化財「芭蕉布」の保持者に認定されました。90歳過ぎても織り続け、後継者育成にも尽力を注ぎました。