着物の生地にはどんな種類がある?素材別の特徴と見分け方をご紹介

2024.09.13

着物買取 コラム
着物の生地にはどんな種類がある?素材別の特徴と見分け方をご紹介

ひとくちに着物と言っても、着物の生地にはさまざまな素材が使われています。

生地の種類によって特徴や適した着用シーンにも違いがありますから、着用やお手入れの際にはしっかりと見分け、それぞれの特徴を知った上で扱うことが重要です。

着物の生地の種類と素材ごとの特徴、見分け方や扱い方のポイントなどをご紹介します。

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着物の素材の種類と特徴

着物の素材の種類と特徴

着物を購入する際、または知人等から受け継いだ着物をどういった使い方をするのが良いか判断する際、着物の素材について知っておくことは役に立ちます。

「着物は分かりにくい」というイメージを持たれるかもしれませんが、素材については洋服とそれほど変わるものではありません。

ここでは、着物の代表的な5つの素材と、それぞれの特徴についてご紹介していきます。


・絹
・木綿
・麻
・ウール
・ポリエステル

着物の素材としての絹

絹は着物の代表的な素材で、昔ながらの技法で仕立てられた着物の多くは絹で織られています。

素材が絹100%であるものは「正絹」と呼ばれ、非常に上質な生地として知られています。

正絹は手触りが良く、柔らかい品質で、体のラインを美しく魅せられます。

絹糸は蚕の繭から採取しますが、絹糸をひく段階で繭のより分けが行われ、同じ絹由来の糸でも「生糸」「紬糸」と呼び名が変わります。

生糸

最も上質な絹とされるのが生糸です。

生糸は、上質な繭から採取した繊維の長い絹糸です。

生糸から織られた生地は振袖・留袖・訪問着などフォーマルな場で着用される着物に多く用いられます。

しなやかで手触りが良く、ドレープ感や角度によって異なる光沢は、フォーマルな場にピッタリの品格があります。

紬糸

生糸に対して、繭の段階で生糸には適さないとされた繭を紡いだのが紬糸です。

紬糸には生糸のような光沢や滑らかさとは違って、節があるなど独特の味わいがあります。

紬糸で作られる紬の着物が「フォーマルではないオシャレ着」とされているのも、こういった風合いがあるからでしょう。

絹の着物の特徴

正絹の着物は染料の発色が良く、繊細な図案から豪華な図案まで豊かに表現できます。

高価な振袖や色留袖、訪問着などに正絹が使われることが多く、正絹の着物は特別な式典で着用するイメージがあると思いますが、実は季節に関係なく楽しめます。

正絹は滑らかな触り心地で、生地に厚みがあるのが特徴です。

さらに保湿性が高く、冬は体温を逃がさずに暖かく着られます。

夏は糸と糸の間に隙間を作った絽(ろ)や紗(しゃ)などの通気性の良い着物を選ぶと涼しさを感じられるでしょう。

ただし、湿気に弱いため、タンスに入れたままにしておくとカビが発生しやすいです。

絹の着物をお持ちなら、部屋の換気のついでに陰干しをし、通気性のいい場所に保管しておくなどの手入れは欠かせません。

日光と水分にも弱いので、着る頻度と保管環境によっては色焼け、退色、汗ジミになりやすいです。

気軽に洗濯できる素材ではないため、一度汚したまま放置すると自力で落とすのは難しく、着物専門のクリーニング店を利用をおすすめします。

下記に絹の着物の特徴を、印象・手触り・着付けのしやすさ・季節感・TPOに分けてまとめました。

印象高級感、上品、図案が繊細
手触り柔らかく滑らか
着付けのしやすさ普通
季節感やTPO1年中、フォーマル

着物の素材としての木綿

木綿は綿花から採取する繊維で、コットンとも呼ばれます。

木綿の生地は肌触りが良く、染めた際の発色の良さも絹に次ぐ高いレベルを誇ります。

木綿の着物は安価なものから久留米絣薩摩絣など伝統工芸品まで様々です。

汗を吸収しやすい性質を持ち、親しみやすい印象であることから浴衣などに使われることが多いです。

木綿の着物の特徴

木綿の着物も季節に関係なく着られます。

生地がツルツルと滑らないので、着付けがしやすい点も特徴と言えます。

正絹よりも安価で手に入るので、着物を初めて買う人は部屋着として木綿着物から慣らしていくと良いでしょう。

着用シーズンは春や秋で、絞りのある木綿の着物は通気性が良いので夏におすすめです。

ただし、普段着なので特別なイベントに着るのは避けてください。

木綿は糸が太くて丈夫で、タオルなどにも使われている素材です。

自宅での洗濯が可能なのも嬉しいところで、普段着に分類される着物の素材としては最もポピュラーなものといえるでしょう。

普段着のように洗濯機で手入れができて洗うほど肌になじみやすくなりますが、染料が落ちやすく、シワができやすくなる特性があります。

下記に木綿の着物の特徴を、印象・手触り・着付けのしやすさ・季節感・TPOに分けてまとめました。

印象丈夫な生地、シンプル、価格が安い
手触り肌ざわり良く、洗濯するほど馴染む
着付けのしやすさ比較的容易
季節感やTPO春・夏・秋、普段着

着物の素材としての麻

麻も木綿と同じく植物由来の繊維です。

特に苧麻(ちょま=別名カラムシ)と呼ばれる植物から作られた生地は「上布(じょうふ)」と呼ばれ、高級素材とされています。

麻の着物は越後上布宮古上布八重山上布 などの伝統工芸品が有名で、特に越後上布はユネスコ無形文化遺産に登録され、国の重要無形文化財にも指定されています。

麻は吸湿性・速乾性・通気性に優れた特性を持っているため、夏場に着用する着物の素材として多く用いられます。

着物を構成する素材の中で最も通気性が高く、絹や木綿に比べて軽い印象があります。

また、水洗いが可能なため、ご自宅でお手入れが出来るというのも嬉しいところです。

麻のデメリットとして挙げられるのが、シワになりやすい点です。

自宅で洗濯をした場合には、生地をしっかり縦方向横方向に伸ばしてシワをとってあげましょう。

他にも、繊維が頑丈なため、肌が敏感な方には当たりが強く感じられることがあるかもしれません。

麻の着物の特徴

麻着物は夏用のおしゃれ着です。

正絹の着物よりも紺色、茶色、灰色など落ち着いた色合いが多いです。

夏に着る際には長襦袢(ながじゅばん:肌着)を麻にすると通気性が良くなり、快適に過ごせます。

また、木綿と同じく自宅で洗濯できてすぐに乾きます。

絹やポリエステルとは異なりツルツルとした素材ではないので、着物に慣れていない人でも帯が巻きやすいというメリットがあります。

下記に麻の着物の特徴を、印象・手触り・着付けのしやすさ・季節感・TPOに分けてまとめました。

印象涼し気
手触り繊維が強い、シャリッとした感じ
着付けのしやすさ比較的容易
季節感やTPO夏・オシャレ着

着物の素材としてのウール

ウールは、羊の毛から採取される繊維です。

生地の表面に細かい繊維が出るため、独特の毛羽立ち、ふっくら感、触った時に肌で感じる凹凸感があります。

普段着の着物に用いられることが多いです。

古風でほっこりとした味わいが楽しめ、落ち着いた色合いの柄の割合が多くなっています。

サマーウールなどもありますが、本来ウールは保温性にも優れた素材で、秋から冬にかけての着用が一般的です。

また、ウール100%のものだけでなく、綿や絹との交織(組み合わせて織ること)でそれぞれの良さを活かした「コットンウール」「シルクウール」という生地もあります。

ウールは汚れがつきにくく、自宅で洗濯できる点もありがたいのですが、虫食いが発生しやすい点は注意する必要があります。

絹の着物などと一緒に保管していると、ウールについた虫が他の着物にうつってしまう可能性もありますので、保管は他の着物と別にしておきましょう。

ウールの着物の特徴

ウールの着物は真夏以外ならいつでも着られます。

洗濯をしてもシワになりづらくアイロンがけの手間が省けます。

ウールは水溶性の汚れがつきにくいです。

繊維の表面が、薄膜で覆われているエピキューティクルにより水滴を弾くので、ジュースをこぼしてしまってもすぐに拭けばシミになりづらいです。

下記にウールの着物の特徴を、印象・手触り・着付けのしやすさ・季節感・TPOに分けてまとめました。

印象温かみがある、ほっこり
手触り毛羽感
着付けのしやすさ比較的容易
季節感やTPO普段着

着物の素材としてのポリエステル

ポリエステルは安価であるのがありがたい化学繊維で、かつ現代では絹に近しいような見栄えに進歩してきています。

用途についても、新しい素材であることから決まったものがなく、見た目に絹と変わらないものはフォーマル着物として扱われるものも多くあります。

さらに、丈夫でシワになりにくく、自宅での洗濯も可能であるなど、汚れを気にせず楽しめるメリットの多い素材です。

気軽に着物を楽しみたい場合にはベストな素材と言えるでしょう。

ポリエステルの着物の特徴

ポリエステルの着物は天然繊維のような吸湿性がないため、夏場は熱を逃がすことができず、暑さを感じやすく、冬場には静電気が起きやすく感じられるかもしれません。

ポリエステルの着物は絹、綿、麻のなかで一番安価です。

大量生産されているポリエステルの着物はデザインが安っぽい印象を抱くと思いますが、正絹と引けを取らないほどの品質の着物もあります。

ただし、天然素材に比べて通気性と保温性が劣ります。

真夏には熱がこもり、真冬にはあまり暖かさを感じないかもしれません。

生地が均一で着付けの際に摩擦がなく、滑りやすいというのも注意点です。

下記にポリエステルの着物の特徴を、印象・手触り・着付けのしやすさ・季節感・TPOに分けてまとめました。

印象絹と遜色ないものもある
手触り均一でつるっとしている
着付けのしやすさ難しい
季節感やTPO1年中

着物の生地の見分け方

着物の生地の見分け方

着物の生地には絹・木綿・麻・ウール・ポリエステルなど様々な素材が使われていますが、それぞれどの素材が使われた生地であるかは、どのように見分ければ良いでしょうか。

それぞれの生地の特徴から、簡単な見分け方についてご紹介します。

絹とポリエステルの見分け方

絹は肌触りが大変よく、なめらかな感触です。

また、高級な着物に多く使われている、動物由来の自然素材です。

これらの特徴から、以下のような方法で見分けることができます。

1.生地の光沢を確認する

絹糸だけで作られた正絹の織物は、美しい光沢を持つ点が特徴です。

生地を実際に見て美しい光沢があれば、正絹の可能性が高いでしょう。

ただし、ポリエステルの生地にも一定の光沢がある点には注意が必要です。

生地の光沢のみで判断できない場合は、他の見分け方も試しましょう。

2.生地を触って確認する

正絹の特徴である手触りのよさを実際に触ってみて確かめる方法もあります。

生地に触れた際になめらかな感触があれば、正絹である可能性が高いです。

また、正絹には生地をこすり合わせた際「キュッ」という音が鳴るという特徴があります。

ポリエステルにも絹に近い手触りのものは存在しますが、「絹の方がよりしっとりした手触りである」「ポリエステルは汗をかいたときに肌に張り付く感触がある」などの違いがあります。

3.生地の仕立てを確認する

生地の仕立てを確認することも正絹かどうかの見分け方の一つです。

安価なポリエステル着物はミシン仕立ての物が多いのに対し、高級品が多い正絹製の着物は手縫いの物が多いです。

ミシン仕立てか手縫いかを見分けるポイントとしては、ミシン縫いでは表に縫い目が出ていますが、手縫いの縫い目は表に出ないという点が挙げられます。

4.生地を燃やして確認する

実際に行う際には注意が必要な方法ですが、生地を燃やすことでも素材を見分けることができます。

素材によって燃えカスや臭いが異なり、正絹は黒く燃えて灰になり、髪の毛を燃やしたような臭いがする一方で、ポリエステルは燃えた後に固まったような状態になります。

また、ウールの燃えカスに関しては正絹と似ていますが、臭いがきつい傾向にあることで見分けられるでしょう。

この方法を行う際には着物を傷めないよう、反物の場合は引っ張り出した糸、着物の場合は切れ端などを燃やすとよいでしょう。

麻と木綿の見分け方

麻と木綿はとてもよく似ています。違いとしては、木綿のほうが繊維が一律ではなくからまっており、ゴワゴワした印象が強いです。

反対に麻は繊維が長く、木綿と比べてツルツルしています。

ウールの見分け方

ウールは動物の毛を使っている性質の関係で、やや毛羽立ちを感じます。

毛羽立ちは他の素材ではまず感じることはなく、ウール独特の感触といえます。

そしてウールは肌に触れた時にチクチクした感触もあるので、もしそのような感触はこの素材と思って良いでしょう。

そして、当然ではありますが、ウールは冬物の着物に多くみられる素材です。

生地の素材別・着物の扱い方の違い

生地の素材別・着物の扱い方の違い

着物の生地には様座生な種類があり、それぞれに特徴があります。

そのため、普段のお手入れや収納の際にもそれぞれ適した扱い方があります。

扱い方を間違うとせっかくの着物を傷めてしまう可能性もありますので、以下で確認してみてください。

絹の着物の扱い方

絹(正絹)の着物は、自宅で洗うことが不可能です。

お手入れをする際は必ずプロに依頼してください。

また、前述したように湿気によってカビが発生するなどしてしまう可能性もありますので、陰干しなどのお手入れや収納方法にも注意しましょう。

綿・麻の着物の扱い方

綿や麻の着物は自宅でも洗濯できますが、縮む可能性があるので注意してください。

また、天然素材であることから虫食いの被害にあう可能性もあります。

収納する際は、防虫対策を必ず行なってください。

ポリエステルの着物の扱い方

ポリエステル着物は、基本的に自宅の洗濯機で洗うことができます。

縮む心配もないので、気軽に着用できるでしょう。

前述したようなデメリットもありますが、非常に扱いやすい素材であると言えるでしょう。

織り方による絹の着物の種類

織り方による絹の着物の種類

着物に使われる絹織物は、素材は同じ絹であっても織り方によって呼び名が変わります。

ここでは、織り方の違いによる絹織物の種類と特徴についてご紹介します。

縮緬(ちりめん)

縮緬(ちりめん)は、たて糸にはほとんど撚らない糸と、よこ糸に強く撚った糸を使って仕上げた平織りの織物です。

染色しやすいため、「友禅縮緬」など、後染め用の白生地としてよく使われます。

生地の表面に「シボ」と呼ばれる細かな凹凸が現れるのが特徴で、独特な凹凸があることで奥ゆかしい色合いを感じさせ、縮緬が持つ独特の風合いの元となっています。

縮緬で織られた着物は振袖・訪問着・小紋などの礼装にも多く用いられます。

一越縮緬

一越縮緬(ひとこしちりめん)は、縮緬の特徴でもあるシボと呼ばれる凹凸が小さく、ざらついた質感が特徴の生地です。

通常の縮緬にはよこ糸に撚り糸を2本ずつ使用しますが、一越縮緬の場合には1本ずつしか使用しないため、このような特徴が出ます。

よこ糸の数は「1本、2本」ではなく「一越、二越」と呼ばれるため、一越の縮緬ということからこの呼び名がついています。

高級感がありながらも着崩れしにくい特徴があり、季節を問わず幅広い着物に使われるほか、帯や小物にも用いられます。

御召縮緬

御召縮緬(おめしちりめん)は、先練り(織物にする前の糸の状態で不純物を取り除く)・先染めを施した縮緬の生地で、「お召し」とも呼ばれます。

縮緬よりもさらに手間を加えた高級品と言えるでしょう。

細かなシボと、しなやかで軽い着心地が特徴的です。

縞御召(しまおめし)・絣御召(かすりおめし)・無地御召(むじおめし)などさまざまな種類があります。

綸子

綸子(りんず)は、たて糸(経糸)、よこ糸(緯糸)ともに撚(よ)らない絹糸を使用して織られた生地です。

生地に強い光沢があり、さりげないながらも艶のある地紋が浮き出ているのが特徴です。

手触りは滑らかで、しなやかで薄い生地のため、着物以外にも長襦袢や帯揚げによく使われます。

紋意匠

紋意匠(もんいしょう)は、よこ糸に「地緯(じぬき:ベースとなる糸)」と「絵緯(えぬき:模様を表現する糸)」の2種類を使って織り出した生地です。

光沢のある地紋がはっきりと浮き出て見えるのが特徴です。

訪問着・色無地・小紋などの着物のほか、羽織やコートにも使われます。

紬(つむぎ)とは、紬糸(蚕の繭から紡いでよりをかけて丈夫な糸)で織られた織物で、紬糸にある節によって独特の風合いが出るのが特徴です。

全国の様々な場所でご当地の紬が織られており、有名なものでは大島紬結城紬牛首紬などがあります。

紬は古くから日常使いの普段着として用いられてきましたが、現代ではお稽古・趣味の会・友人との食事など、軽い外出着として様々な場で着られています。

銘仙

銘仙(めいせん)は、「絣(かすり)」と呼ばれる手法で仕立てられた織物です。

たて糸とよこ糸の色を意図的にずらすことで、にじんだような独特の模様を作り出すのが特徴です。

比較的安価でカジュアルな印象があり、大正時代から昭和時代にかけて広く流行しました。

現在ではアンティーク着物としての需要もあります。

羽二重

羽二重(はぶたえ)は、たて糸・よこ糸ともに撚らない絹糸を使用して織られた平織りの生地です。

たて糸を2本引き揃えて織ることから「羽二重」と呼ばれます。

撚りがないため、滑らかな光沢と柔軟な風合いが特徴の生地になります。

絹糸で織られた羽二重は「光絹(こうきぬ)」とも呼ばれる高級品で、黒紋付や留袖などに使用されることも多いです。

絽(ろ)は、たて糸2本をねじってよこ糸に織り込んでいく「もじり織り」という独特な織り方を用いている生地です。

織り目に隙間ができるのが特徴で、透け感がある生地で見た目にも着心地にも涼しさが感じられます。

このような通気性の良さから、特に夏用の着物として重宝されています。

フォーマルなシーンに適しており、留袖・訪問着・小紋などに使用されることも多いです。

紗(しゃ)は絽と同じく透け感のある生地で、1本のよこ糸に2本のたて糸を織り込む手法で織られています。

絽と同じく通気性が高いため、夏の着物や帯に用いられます。

着用の場面としてはセミフォーマルからカジュアルまでに適しており、紗は着用シーンが幅広い織物であると言えます。

着物の模様を表現する染めの種類

着物の模様を表現する染めの種類

絹の着物は織り方によって様々な種類がありましたが、模様の表現の仕方にも様々な方法があります。

ここでは、織物に模様をつける染めの技法について、代表的ないくつかをご紹介します。

手描き友禅

手描き友禅とは、白い反物に手描きで模様を描きこんでいく技法です。

まず白い反物に下絵を描き、その線に沿って糸目糊(いとめのり)で輪郭を作っていきます。

この糸目糊は防染の役割を果たし、隣り合う色が混ざるのを防ぎます。

糊が乾いたら下絵に従って染色していき、色が定着したら糊を丁寧に洗い落とします。

その後、糸目糊がしてあった部分に筆とハケで色を挿し、色の濃淡をつけてぼかしを表現するなどして、模様が完成します。

美しい色合いや繊細な柄などを表現でき、高い技術に加えて時間と手間も要する方法 のため、高価になりやすいという特徴があります。

型友禅

型友禅は、あらかじめ作った型を使って、白い反物を染めていく技法です。

型を使うことで同じ柄のパターン模様を描くことができるほか、同じ柄の着物を正確に作れることで、安定した産業としても適しています。

手描き友禅では刷毛を使って手作業でぼかしを表現していましたが、型友禅では型に合わせて染色をする時に自然にできる柔らかいぼかしを生かすのが特徴です。

手描き友禅と違って型友禅ではそれぞれの工程をそれぞれの専門職人が分担して行っており、種類は違えど手描き友禅同様に高い技術が求められる方法です。

絣(かすり)とは、友禅染めのように織り上げてから彩色するのではなく、あらかじめ染めた色糸(絣糸)を織り込むことによって絵画のように柄を表現する技法です。

織りあげる際にわずかにずれることによって、模様がかすれて見えるような独特の味わいがあります。

ただし、このずれが少しでも大きくなってしまうと模様として成立しなくなるため、緻密な設計と高い織りの技術が求められる難しい技法です。

絞り

絞りは日本に古来からある染色方法の一つで、織物を糸でくくって防染しながら、狙った箇所だけを染めていく技法です。

このようにして部分ごとに染色していき、くくりを外すと繊細で美しい色合いの模様があらわれます。

絞りを施した生地には「括り粒」という凹凸ができ、見た目も手触りも独特なものになるのが特徴です。

有名な絞りの技法としては、「疋田(ひった)絞り」「鹿の子(かのこ)絞り」「一目(ひとめ)絞り」などがあります。

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