初心者が気軽に着物をはじめるコツは?リサイクル着物の楽しみ方を株式会社田中和裁にインタビュー!

2024.05.01

着物買取 コラム
初心者が気軽に着物をはじめるコツは?リサイクル着物の楽しみ方を株式会社田中和裁にインタビュー!

時代の変化とともに縮小傾向にあった着物市場ですが、最近では若い世代や海外の人々を中心に着物文化が注目を集めています。

アンティーク着物やリサイクル着物、レンタルサービスなど着物を手軽に楽しめる機会もあり、自由なコーディネートで着物を楽しむ人が増えました。

今回は着物の魅力や初心者の着物のはじめ方について、岡山県赤磐市で3代に渡り和裁業を営む株式会社田中和裁の取締役 田中嘉行さんに伺いました。

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昭和24年創業、小さな和裁教室からはじまった株式会社田中和裁

 昭和24年創業、小さな和裁教室からはじまった株式会社田中和裁

――本日はよろしくお願いします。まずは、株式会社田中和裁について教えてください。

田中さん(以下、田中):当社は一級和裁士が心を込めて丁寧に着物のお仕立てやお直しを行う会社です。私の祖母が自宅で開いた和裁教室が始まりで、当時は少人数で営んでいた和裁業でしたが、着物の需要も大きい時代でしたので徐々に人が増え、会社としても成長してまいりました。

昭和49年ころには、全国的にも比較的規模の大きな和裁の職業訓練校を設立し、数百名の生徒を抱えるほどでしたが、時代とともに着物の需要は減少し和裁の仕事が海外に流れてしまったこともあって、国内の着物市場は徐々に縮小してきました。

しかし、最近では日本の伝統文化として海外からの注目を集めたり、趣味として着物を楽しむ方が増えたりと、明るい話題を耳にする機会も多くなったように感じます。

よりたくさんの方に着物の魅力や楽しみ方を知っていただけたらと思い、和裁業のほかにも和裁教室や着付け教室、当社オリジナルグッズのオンライン販売などに取り組んでおります。

――「着物」というと複雑なマナーやお手入れが難しいイメージでしたが、最近では気軽に楽しめるものも増えた印象です。

田中:そうですね。市場全体としては縮小傾向にありますが、流通という点では以前より自由度が高くなり、今までとは違った層のお客様と出会えるきっかけが増えました。

当社は岡山県に店を構えていますが、今ではオンライン販売を通して全国にお客様がいらっしゃいます。

オリジナル商品で着付けの手間や負担を減らす工夫を

 オリジナル商品で着付けの手間や負担を減らす工夫を

――御社でもオリジナル商品を製作してオンラインで販売しているそうですね。

田中:着物の下に着る「長襦袢」というものがありますが、もっと簡単に着られるTシャツ型の襦袢「Tじゅばん」というものを当社オリジナルで販売しており、大変ご好評をいただいています。Tじゅばんのほかにもデザイン性を加え、薄くて柔らかいコットン100%の生地を使った半襦袢「ジーレコットン」などがございます。

着付けは慣れるまでが本当に大変です。少しでも手軽にできないか、簡単に着られるようになれば、という思いで企画開発しました。

初心者には手頃な価格のリサイクル着物や浴衣がおすすめ

――これから着物を始めたい初心者は、まずは何を準備すればよいでしょうか?

田中:昔でしたら呉服屋さんに行って自分用の着物を仕立ててもらって、小物類も一式揃えて…となりますがとても高額ですよね。

今では、状態のよい中古の着物も手頃な価格で手に入りやすくなっています。まずはそういったものから始めてみるのがおすすめです。着付けの方法も着付け教室に通えば、きれいに着付けられるようにはなりますが、動画サイトなどでも気軽に学ぶことができます。

堅苦しくなく楽しめる方法で。まずは着物に触れてみることから始めて親しんでいただけたらと思います。少しずつ興味を持っていただいて。ゆくゆくは当社のような和裁店で着物を誂える楽しみも知っていただけたら嬉しいですね。

――マナーやお作法を気にせず、気軽に楽しめる和装はありますか?

田中:浴衣などは用意するものも少なく手軽かなと思います。重ねる枚数も少ないですし、季節になれば既製品のもので色々な柄や素材のものが売られていますよね。帯も半帯というシンプルなものなので浴衣は和装の入門編におすすめです。

――浴衣の次のステップにおすすめの着物はどんなものでしょう?

田中:式典に出る訪問着などは少しハードルが高いかもしれません。小紋や紬とよばれる着物はカジュアルな着物に分類されるので食事やお出かけに選びやすいです。

個人的には細かなマナーを気にする必要はないと思います。まずは自己流で着てみて、お友達とカフェに行くくらいの気軽さで楽しんでほしいですね。

徐々にコツをつかめてきたら着付け教室に通ってみたり、式典や入学式、卒業式、結婚式などのシーンで着られる格式のある着物を着付け士さんに着付けてもらったり。着物の楽しみ方は人それぞれだと思います。

――なるほど。最初は自己流でもよいのですね。

田中:最近、自己流で着物を始めたという方がすごく増えていて。若い方を中心に着物のコーディネートを楽しんでいらっしゃる方が多いです。ユニークな小物を組み合わせたり、レースなど洋装のエッセンスを取り入れたり。こちらも見ていてとても楽しいですし、新たな発見もあり勉強になります。

アンティーク着物やリサイクル着物を買って、当社にお直しに持って来られる方も多くいらっしゃいます。

――やはり中古の着物もお直しをした方がよいのでしょうか?

田中:着物にも「マイサイズ」というものがあります。着物は着付け次第で、ある程度の幅や長さを調整できますが、実はご自身の体型に合ったサイズというものがあります。

中古の着物もお客様にピッタリのサイズにお直しをすると、とても着付けが楽になりますし着付けの仕上がりもきれいになりますね。アンティーク着物やリサイクル着物を購入して、着付けがうまくいかないなというときは一度和裁店に持ち込んでお直しの相談をされるとよいかと思います。

着物は定期的に陰干しで風通し。汚れてしまったらシミ抜きを

 着物は定期的に陰干しで風通し。汚れてしまったらシミ抜きを

――初心者が着物を選ぶ際のポイントを教えてください。

田中:アンティーク着物やリサイクル着物は、オンラインだと画面上で見ただけで選ぶことも多いと思います。光の当たり具合で素材感や色味が違って見えることも多いので、オンラインで購入する場合はそういった点も納得したうえで選ぶとよいかなと。

高価なものを検討する場合は、できるだけ実物を見て触れて、着物の知識がある方に相談しながら選んでもらえたら安心です。

――着物の保管やお手入れのポイントを教えてください。

田中:お手入れや保管は、着物を始める際の大切なポイントですね。後々のメンテナンスや管理、収納スペースは多くの方が悩まれると思います。

保管方法については、桐箱や桐ダンスがおすすめですが、まずはシワにならないよう畳んで保管できるスペースがあれば十分です。長い間、着る予定がない場合は乾燥している時期に一晩ほど陰干しをして、風を通していただくとよいと思います。あまり長い時間干しすぎると着物の重みや湿気で生地がだれてしまうのでよくありません。

長く着ない場合、何年かに一度はクリーニングに出しておくと安心です。よく着るものは、襟など汚れやすいのでシーズン毎にクリーニングに出すか、シミ取りサービスの利用も便利です。

当社でお直しやお仕立てをしていただいたお客様には、気軽に何度も着物を楽しんでいただけたらという気持ちで、1回500円でシミ取りサービスをしています。

子どもから大人まで、世代を問わず着物ファンを増やしたい

 子どもから大人まで、世代を問わず着物ファンを増やしたい

――今後の展望についてお聞かせください。

田中:もっとたくさんの方に着物の魅力を知っていただけるよう、さまざまな活動をしたいと思っています。気軽に着物を楽しんでいただけるようなオリジナルブランドの展開、着物のレンタル事業など、和裁業にとどまらないサービスを通して着物文化の普及に貢献したいですね。

七五三や成人式、入学式、卒業式。小さなお子様やその親御さんなど世代を問わず、着物に触れるチャンスはたくさんあります。そういった機会にもっと気軽に「着物」を選んでもらえると嬉しいです。

――最後に、読者へのメッセージをお願いします。

田中:ひと昔前は着物というとマナーが厳しかったり、高価なものだったりというイメージあったかもしれませんが、今では色々な楽しみ方が広がっています。あまり堅苦しいことにとらわれず、自由に楽しんでいただけたら嬉しいですね。

行きなれた場所でも、着物を着ていくと新鮮な気持ちになれるものです。よく行くカフェやちょっとしたお出かけなんかにもぜひ、着物を選んでみてください。

少し前まで着物離れの話題を耳にすることもありましたが、また少しずつ着物を楽しんでくださる方が増えていることを実感しています。箪笥に眠っているご家族の着物などがあれば、これを機会にぜひ着物にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

――貴重なお話をありがとうございました。

今回お話を伺った人
田中嘉行さん

田中嘉行さん

株式会社田中和裁 取締役

公式HP

https://www.tanakawasai.co.jp/