ブランデーのランク（等級）の種類、ナポレオン・XO・VS・VSOPとは？意味や違いを解説

ブランデーの品質や希少性の指標として、一般的に「ランク（等級）」というものが用いられます。

ランク（等級）は最低熟成年数をもとに定められ、ランクが高いほど値段も高くなりやすいです。

ただし、このランクはあくまでも熟成年数をもとにした分類であって、ブランデーの優劣を直接示すものではありません。

この記事では、ブランデーに付与されるランクの種類や産地ごとの違い、ランク分けのもとになるコントという概念について詳しく解説します。

「ブランデーの購入を検討している」「家にブランデーを保管している」という人は、ぜひ参考にしてみてください。

VS/VO/VSOP/ナポレオン/XSとはブランデーのランク（等級）のこと

ブランデーのボトルやラベルを見ると、「XO」「VS」「VSOP」…などと記載されていることがあります。

これは、ブランデーのランク（等級）を示す表記です。

このランク分けは、フランスのAOC（アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ：原産地統制呼称規定）に規定がある産地のブランデー（コニャック・アルマニャック・カルヴァドスなど）に適用されます。

基本的には、熟成年数によってランク分けがされています。

また、例えばVSOPであれば「Very：非常に、Superior：優良な、Old：古い、Pale：透きとおった」といったように、ブランデーの状態も表しています。

ブランデーのランクの主な種類は、以下の通りです。

1. スリースター
2. VS（Very Special）
3. VO（Very Old）
4. VSOP（Very Superior Old Pale）
5. ナポレオン
6. XO（Extra Old）
7. オルダージュ（Hors d'âge）

このリストでは、下に行くほど熟成年数が長くなっています。

一般的には、熟成年数が長いほどランクが高くなり、価格も高くなる傾向です。

ブランデーのランクの基準となるコントとは

ブランデーの等級を表す「コント」とは、フランス政府が定めたコニャック・アルマニャックの熟成年数を表す単位です。

ブランデーは蒸留されたあと、オーク材などの樽で長期間保管し、熟成されます。

たとえばコニャックでは、最低でも2年間の熟成が必要になります。

そして「コント」というのは、「そのブランデーが何年間熟成されているか」を表す記号です。

蒸留の周期（コニャックなら4月1日～3月31日、アルマニャックなら5月1日～4月30日）を1単位としてコントを数えます。

具体的には、コニャックでは蒸留したばかりのブランデーは「コント00」となり、翌年4月1日～その次の3月末日までを「コント0」と数えます。

その後、4月1日を迎えるたびにコント数が増えていく仕組みです。

1. 蒸留日～最初の4月1日…コント00
2. 最初の4月1日～翌3月31日…コント0
3. 2度目の4月1日～翌3月31日…コント1
4. 3度目の4月1日～翌3月31日…コント2
5. 4度目の4月1日～翌3月31日…コント3　（以下同様に続く）

コニャックとして出荷されるには最低でもコント2が必要ですから、蒸留してから3度目の4月1日を迎えている必要があるということです。

なお、ブランデーは若い原酒と古い原酒をブレンドして造られることが多いですが、ブランデーのランクを決めるのは一番若い原酒のコントです。

ブランデーは産地によってランクの付け方が異なる

それでは、ブランデーのランクが具体的にどうなっているのか見ていきましょう。

ブランデーのランクは、3大ブランデーのコニャック・アルマニャック・カルヴァドスと、それぞれ産地によってランクの決まり方が異なります。

また、アルマニャックにも「コント」がありますが周期が異なっていたり、カルヴァドスでは「コント」という名称が無かったりします。

コニャックのランク

コニャックのランクは、オーク樽での熟成年数によって決まります。

このランクは、Bureau National Interprofessionnel du Cognac （通称：BNIC）という、フランスのコニャック地方にあるコニャック業界の統括団体によって定められています。

熟成年数は先述したコントで表されます。

ランクの表記はメーカーやブランドによって異なる場合もありますが、主なランクは表の通りです。

なお、コニャックについては以下の記事でも詳しく解説していますので、参考までにご覧ください。

アルマニャックのランク

アルマニャックのランクも、オーク樽での熟成年数によって決まります。

The Bureau National Interprofessionnel de l'Armagnac（通称：BNIA）という国立アルマニャック事務局によって定められています。

コニャック同様、熟成年数はコントで表されますが、コント数を数える時の周期が5月1日～4月30日になります。

もともとアルマニャックのX.O.はコント5以上を指していましたが、コント10以上のものへ期間が延長されました。

カルヴァドスのランク

カルヴァドスには、コニャックやアルマニャックのようなコントという概念が無く、単純に熟成年数によって等級が決まります。

また、ランクごとの基準となる年数も異なります。

なお、最低熟成期間が2年である点はコニャックと同じです。

特にX.O.やオルダージュの最低熟成年数がコニャックとアルマニャックと大きく異なるのが特徴です。

コント10より長い熟成期間のものはどうなる？

上のコニャックのランク分けの表では「コント10以上」というところまでしか分類はありませんでした。

では、さらに熟成年数が長いものはすべて「X.O.」になるのでしょうか？

実際に、（最も若い原酒の）熟成年数が10年であるX.O.も、35年であるX.O.も存在します。

どちらもランクの表記としては「X.O.」です。

他のランクでも同様で、「V.S.」でも7年熟成のものがあったり、「V.S.O.P.」でも12年熟成のものがあったり、「ナポレオン」でも15年熟成のものがあったりと、最低必要な熟成年数よりも長く熟成されているものも多いです。

最低必要なコント数は、あくまでも最低基準として捉えておいたほうがいいでしょう。

という事情もあり、同じランクでも実際の熟成年数の違いによって値段に大きく差があるというケースは多く見られます。

なお、2018年以降に出荷されたコニャックの中には、「X.X.O.（Extra Extra Old：熟成年数14年以上）」というランク付けがされているものもあります。

ブランデーについてよくある質問

ここからは、ブランデーの等級についてよくある質問に回答していきます。

ブランデーの最高ランクはいくつですか？

ブランデーの最高ランクは、一般的には最低10年以上熟成させたX.O. (Extra Old)です。

ただし、さらに長い期間熟成させたHors d'âge （オルダージュ）や、特定の年の収穫されたブドウのみを使用して造られたVintage （ヴィンテージ）も価値が高いとされています。

また、同じコニャックでもグランド・シャンパーニュ地区で収穫されたブドウのみを使用して作られたブランデーは、他の地区のブランデーよりも高品質とされて高値で取引される傾向があるので、ブランデーの最高ランクは一概に数字で示すことはできません。

三大ブランデーとは何ですか？

三大ブランデーとは、コニャック・アルマニャック・カルヴァドスの3つを指します。

ブランデーは何年くらいもつ？

ブランデーは、アルコール度数が40度前後と高いため、腐敗しにくく、未開封であれば賞味期限はありません。

しかし、開封後は空気に触れることで酸化が始まり、風味が劣化していきます。

開封後のブランデーの保存期間は、約半年から1年と言われています。

より詳しい情報を知りたい方はこちら

お酒買取をもっと見る