シェリー樽ウイスキーとは?特徴やおすすめ銘柄をご紹介

シェリー樽は、ウイスキーの熟成に使用される樽の一種です。
シェリー酒を熟成させた樽をウイスキーの熟成に再利用することで、豊かなフルーツの香りや深みのある複雑な味わいが加わります。
こうして生まれたシェリー樽熟成のウイスキーは、独特の風味と香りで世界中の愛好家を魅了しています。
本記事では、シェリー樽ウイスキーの特徴や魅力、シェリー樽の種類、シェリー樽ウイスキーの人気銘柄などをご紹介します。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
シェリー樽ウイスキーとは
シェリー樽ウイスキーとは、熟成させる樽として、スペインの伝統的なお酒であるシェリー酒の熟成に一度使った樽を用いるウイスキーのことです。
シェリー酒とはワインの一種で、醸造過程でアルコールを添加した「酒精強化ワイン」と呼ばれるものです。
ウイスキーをシェリー樽で熟成させることで、シェリー樽由来のフルーティな香り、甘味、コクがウイスキーに移行し、独特の風味を生み出すのが特徴です。
シェリー樽による熟成は、18世紀のスコットランドで偶然始まりました。
シェリー酒の熟成に使われた樽で貯蔵したウイスキーに独特の風味が生まれたことから、その魅力が認識され、やがてスコッチウイスキーの伝統的な製造方法として広く用いられるようになったのです 現在では、シェリー酒の熟成に使われた樽をウイスキーの蒸溜所が買い取り、熟成に活用するのが一般的となっています。
シェリー樽ウイスキーの特徴
シェリー樽ウイスキーの最大の魅力は、その豊かなアロマと味わいにあります。
樽に染み込んだシェリー酒から移る甘くフルーティーな風味が特徴で、ドライフルーツやナッツ、スパイスの香りが感じられることもしばしばです。
熟成の過程で、シェリー酒が樽の内側に浸透し、それがウイスキーに独特の甘みと複雑な味わいをもたらします。
なお、シェリー酒にはいくつかの種類があり、使用される樽も、もともと熟成されていたシェリーの種類によって以下のように分類されます。
オロロソ樽 | ● 辛口のシェリー酒であるオロロソを熟成させた樽 ● ウイスキーにドライな味わいとスパイシーな香りを与える |
---|---|
ペドロヒメネス樽 (PX樽) | ● 甘口のシェリー酒であるペドロヒメネスを熟成させた樽 ● ウイスキーに濃厚な甘味とレーズンのような香りを与える |
アモンティリャード樽 | ● 辛口のシェリー酒であるアモンティリャードを熟成させた樽 ● ウイスキーにナッツのような香ばしさと複雑な味わいを与える |
フィノ樽 | ● 辛口のシェリー酒であるフィノを熟成させた樽 ● ウイスキーにウッディな木の香りとスパイスの効いた味わいを与える |
モスカテル樽 | ● 極甘口のシェリー酒であるフィノを熟成させた樽 ● ウイスキーに完熟したカシスの甘みとマスカットのフレッシュな香りを与える |
シェリー樽とバーボン樽との違い
ウイスキーを熟成させる樽として代表的なのが、シェリー樽とバーボン樽です。
バーボン樽とはその名の通り、アメリカのバーボンウイスキーを一度熟成させた樽のことです。
シェリー樽はフルーティで複雑な風味をウイスキーに与えるのに対して、バーボン樽はウイスキーにバニラやキャラメルのような甘い風味をもたらします。
シェリー樽とバーボン樽との違いを、わかりやすく以下の表にまとめました。
シェリー樽 | バーボン樽 | |
---|---|---|
樽の種類 | スパニッシュオーク | アメリカンホワイトオーク |
樽のサイズ | 大型:バッド(500L) | 小型:バレル(200L) |
色 | 赤みがかった褐色 | 黄みがかった褐色 |
味・香り | 果実味 | ハチミツ、キャラメル、バニラ |
ウイスキーを熟成させる樽としては、他にも以下のようなものもあります。
ワイン樽 | ● ワインを熟成させた樽 ● ウイスキーに与える香りや味はワインの種類に依存する |
---|---|
ビール樽 | ● ビールを熟成させた樽 ● ウイスキー香ばしい麦の香りやビターな風味を与える |
ラム樽 | ● ラム酒を熟成させた樽 ● ウイスキーにカラメルを焦がしたような苦味と甘みとトロピカルフルーツの甘い香りを与える |
ブランデー樽 | ● ブランデーを熟成させた樽 ● ウイスキーに完熟したレーズンの味わいとスパイスの効いたウッディな香りを与える |
このように、使用する樽の種類によってウイスキーの香りや味わいは大きく変化します。
多彩な樽熟成を楽しめるのもウイスキーの奥深い魅力のひとつです。
シェリーフィニッシュとは
近年では、通常の樽熟成を終えたウイスキーを別の種類の樽に詰め替え、その風味を加える「ウッドフィニッシュ」と呼ばれる手法が広がっています。
たとえば、バーボン樽で熟成させたウイスキーをシェリー樽に移し替え、シェリーの風味を加えるといった方法です。
ウッドフィニッシュの期間は銘柄によって異なりますが、一般的には数か月から2年程度とされています。
この工程により、異なる2種類の樽の個性が融合し、より複雑で奥行きのある風味が生まれます。
なお、最終的にシェリー樽の風味を加えたウイスキーは「シェリーフィニッシュ」と呼ばれています。
シェリー樽ウイスキーの人気の種類
バーボン樽と並んで主流となっているシェリー樽熟成のウイスキーには、人気銘柄も多くあります。
ここからは、シェリー樽ウイスキーの人気の種類を紹介していきます。
ザ・マッカラン シェリーオーク
ザ・マッカランは、高品質なシェリー樽熟成ウイスキーを手がけるブランドとして知られています。
「シェリーオーク」「ダブルカスク」「トリプルカスク」などが特に人気です。
その中の「ザ・マッカラン シェリーオーク」は、マッカラン社が原木の選定から製樽まで徹底的に管理したシェリー樽で熟成された原酒のみを使用したウイスキーです。
バニラにほのかなジンジャーの香りと、濃厚なドライフルーツの味わいが感じられます。
「ザ・マッカラン シェリーオーク12年」「ザ・マッカラン シェリーオーク18年」「ザ・マッカラン シェリーオーク25年」「ザ・マッカラン シェリーオーク30年」というラインナップがあります。
ザ・マッカラン ダブルカスク
「ザ・マッカラン ダブルカスク」は、厳選したアメリカ産およびヨーロッパ産のシェリー樽で熟成した原酒をヴァッティングしたウイスキーです。
クリーミーなバタースコッチ・アップルキャンディー・バニラカスタードの香りに、蜂蜜のような甘さと、ややスパイシーな味わいが感じられます。
「ザ・マッカラン ダブルカスク12年」「ザ・マッカラン ダブルカスク15年」「ザ・マッカラン ダブルカスク18年」というラインナップがあります。
ザ・マッカラン トリプルカスク12年
「ザ・マッカラン トリプルカスク」は、ヨーロピアンオークのシェリー樽、アメリカンオークのシェリー樽、バーボン樽の3種の異なる樽で熟成させた原酒を絶妙なバランスでヴァッティングしたウイスキーです。
バニラ・メロン・レモンピールの香りに、レモン・シトラス・軽くトーストしたオーク・ナツメグのバランスの良い味わいが感じられます。
タムデュー
タムデューは、シェリー樽熟成に特化したスコットランドのウイスキー蒸留所です。
オレンジとレーズンを思わせるようなフルーティーな味わいが特徴で、かすかなミントの風味も魅力です。
「タムデュー8年」「タムデュー12年」「タムデュー15年」「タムデュー18年」などのラインナップがあります。
グレンドロナック
「グレンドロナック」は、シェリー樽熟成のスコッチウイスキーの人気ブランドです。
スペイン産オークのシェリー樽での熟成がもたらす、甘い果実感とドライフルーツやナッツのような芳醇なフレーバーが特徴です。
「グレンドロナック 12年」「グレンドロナック 15年」「グレンドロナック 18年」などのラインナップがあります。
グレンファークラス
グレンファークラスは、シェリーカスク熟成を伝統として守り続けてきた、スコットランドの老舗ウイスキー蒸留所です。
フルーティーで奥行きのある味わいが際立ち、シェリー樽熟成による芳醇な香りと風味がひと口で明確に感じ取れます。
「グレンファークラス12年」「グレンファークラス15年」などのラインナップがあります。
ボウモア15年 シェリーカスクフィニッシュ
「ボウモア」は、スコットランド・アイラ島にある最古の蒸留所です。
アイラウイスキーのファンからは「アイラの女王」とも称されるほどの人気があります。
シェリー樽熟成のウイスキーとしては、「ボウモア15年 シェリーカスクフィニッシュ」が有名です。
ダークチョコレート・レーズン・スモーキー中織りと、はちみつのしなやかな甘みが特徴です。
グレンマレイ シェリーカスクフィニッシュ
「グレンマレイ」は、ワイン樽を中心に様々なカスクフィニッシュのシングルモルトを販売しているブランドです。
シェリー樽熟成のウイスキーとしては、「グレンマレイ シェリーカスクフィニッシュ」があります。
バーボン樽で熟成した原酒ですが、シェリーカスクフィニッシュにすることによってシェリー樽の個性を感じることができます。
グレンアラヒー
「グレンアラヒー」は、ウイスキー王国として知られるスコットランド・スペイサイドエリアの中心部に位置する蒸留所です。
シェリー樽をはじめとする多様な樽で熟成させた原酒を絶妙にヴァッティングし、複雑で調和のとれた味わいを生み出すウイスキーとして高く評価されています。
シェリー樽熟成のウイスキーとしては、「グレンアラヒー 15年」「グレンアラヒー 12年」「グレンアラヒー 8年」などがあります。
アラン シェリーカスク
「アラン シェリーカスク」は、シェリー樽熟成のファーストフィルのみを使用したウイスキーです。
カスクストレングス(樽のままのアルコール度数)でボトル詰めされており、樽出しそのままの力強く濃密な味わいが特長です。
チョコレートのような香りと、イチジクやチェリーを思わせる甘みが感じられます。
カバラン トリプルシェリーカスク
台湾ウイスキー「カバラン トリプルシェリーカスク」は、オロロソ樽・ペドロヒメネス樽・モスカテル樽の3つのシェリー樽の原酒を使用したウイスキーです。
カバラン特有の甘い口当たりと、ベルベットのような質感が魅力です。
ドライフルーツ・芳醇なキャラメル・トロピカルフルーツといった香りが感じられます。
アベラワー アブーナ
「アベラワー アブーナ」は、厳選したスパニッシュオークのオロロソ樽で熟成したシェリー樽ウイスキーです。
カスクストレングス、ノンチルフィルタリング(冷却ろ過を行わずにびん詰めすること)という、極めてナチュラルなスタイルのウイスキーとして知られています。
オレンジやプラリネを思わせる甘い風味が魅力と言えます。
山崎 シェリーカスク2016
「山崎 シェリーカスク2016」は、2016年に日本国内でわずか1,500本限定で発売されたウイスキーです。
パニッシュオーク製のシェリー樽で熟成させたモルト原酒のみを使用しています。
レーズン・ドライトマト・グローブ・ココアの香りに、ヘーゼルナッツチョコレートを思わせるような甘酸っぱくて深く濃厚な味わいが感じられます。
シェリー樽に関してよくある質問
ここからは、シェリー樽に関してよくある質問に回答していきます。
Q.シェリー酒の主原料は何ですか?
A.シェリー酒の主な原料は白ブドウです。
使用が認められているのは、パロミノ、モスカテル、ペドロ・ヒメネスという3品種で、いずれもスペイン・アンダルシア地方の特定地域で栽培されています。
この地域特有の気候と石灰質の土壌が、シェリー酒ならではの個性的な風味を生み出しています。
Q.シェリー樽は何の木ですか?
A.シェリー樽に使われる木は、主にヨーロッパオークです。
シェリー酒の熟成に適した、硬く、風味を良くする特性を持ちます。
新樽の状態では風味が強すぎてウイスキーには向かないため、一度シェリー酒を熟成してからウイスキーに用いられます。

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