甲号・乙号兌換銀行券の特徴や種類、買い取り時のポイントを解説!
兌換銀行券は金と交換できる紙幣で、甲号と乙号の2種類の兌換銀行券が発行されています。特に、甲号兌換銀行券は発行時期によって前期と後期に分けられ、時期によって価値が異なります。
この記事では、甲号・乙号兌換銀行券の概要から種類、高価買取のコツまで詳しく解説します。
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目次
甲号・乙号兌換銀行券の概要
甲号・乙号兌換銀行券とは、どのような紙幣なのか発行された背景や特徴などを解説します。
甲号・乙号兌換銀行券が発行された背景
甲号兌換銀行券は、紙幣の価値を金の価値をもとに決定する「金本位制」を採用した1899年から、日本銀行が発行を開始した紙幣です。金と同じ価値があり、金と交換可能な紙幣として、長く利用されました。
しかし、徐々に甲号兌換銀行券の偽造が行なわれ始め、偽造紙幣の流通が増加します。そこで、透かし技術など簡単に偽造できない精巧な仕組みを取り入れた「乙号兌換銀行券」が1910年より発行され、甲号兌換銀行券と併せて利用されるようになりました。
甲号・乙号兌換銀行券の特徴
甲号兌換銀行券は約40年間発行されており、発行された時期によって「前期」と「後期」で2つのデザインに分かれています。2つのデザインの違いで特徴的な部分が、紙幣の組番号の表記です。前期のデザインでは組番号が万葉仮名で印刷されており、後期のデザインではアラビア数字に変化しています。
乙号兌換銀行券は、偽造防止の技術が使われていることが特徴です。透かし技術や緻密で複雑な図柄など、当時の最新技術が用いられています。そのため、現代の紙幣の作りに近いものほど、乙号兌換銀行券だと判断できるでしょう。
甲号・乙号兌換銀行券の種類
甲号・乙号兌換銀行券は額面の違いなどにより、4種類の紙幣が発行されています。ここでは、それぞれの兌換銀行券の特徴を解説します。
乙号兌換銀行5円
乙号兌換銀行5円の特徴は、偽造防止のための透かしと緑色のインクです。透かしから大黒天が見えることから「透かし大黒5円」や、インクの色によって肖像画の顔色が悪く見えるため「幽霊札」と呼ばれることがあります。
甲号兌換銀行5円
甲号兌換銀行5円は、「中央武内5円」とも呼ばれるように、中央に武内宿禰の肖像画が配置されたデザインが特徴です。中央に肖像画のある紙幣はとても珍しいことから、甲号兌換銀行5円は希少性の高い紙幣としても知られています。
甲号兌換銀行10円
甲号兌換銀行10円は、裏面の中央にイノシシが描かれていることから「裏猪10円」とも呼ばれています。アラビア数字が書かれた後期の紙幣のほうが、高い価値になる傾向があります。
甲号兌換銀行100円
甲号兌換銀行100円は、甲号兌換銀行のなかで最も高額な紙幣です。裏面が紫色で印刷されていることが特徴で、「裏紫100円」とも呼ばれています。また、甲号兌換銀行100円は前期のほうが価値が高く、甲号・乙号兌換銀行券のなかでも高い価値での買い取りが期待できます。
甲号・乙号兌換銀行券以外の価値の高い兌換紙幣
兌換紙幣には、甲号・乙号兌換銀行券以外にも価値の高い紙幣が存在しています。ここでは、兌換紙幣のなかでも高価買取が期待できる「改造兌換銀券」と「大正兌換銀行券」について解説します。
改造兌換銀券
当時使用されていた兌換紙幣は、虫やネズミに食べられたり、偽造防止インクが変色したりと、さまざまな問題が発生していました。こうした兌換紙幣の問題を解決するために発行された紙幣が、改造兌換紙幣です。
改造兌換紙幣は、甲号・乙号兌換銀行券と同じ1円・5円・10円・100円の4種類の紙幣が発行されています。各紙幣には異なる肖像画が描かれていることから、どの金額の改造兌換紙幣も価値が高いのが特徴です。なお、1円券は現在でも1円として使用できます。
大正兌換銀行券
大正兌換銀行券は、日本の景気上昇にともない大量に発行された紙幣です。初めから偽造防止対策が施されており、紙幣のデザインは時代に合わせたものに一新されています。ただし、第一世界大戦をきっかけに他国が金本位制を停止したことで、日本でも金本位制が停止し、兌換銀行券でありながら金と交換することはできなくなりました。
大正兌換銀行券は、1円・5円・10円・20円の4種類の紙幣があり、甲号・乙号兌換銀行券とは異なる額面の紙幣が発行されたことが特徴です。特に、大正兌換銀行券の20円紙幣は、日本銀行初の「2」がついた紙幣として高い注目を集めています。
甲号・乙号兌換銀行券を買い取りに出す際のポイント
もともと価値の高い甲号・乙号兌換銀行券は、工夫することでその価値を高めることが可能です。ここでは、甲号・乙号兌換銀行券の高価買取となるポイントを解説します。
ケースに保管して状態を保つ
甲号・乙号兌換銀行券は、紙幣の状態によって買取価格が変わり、状態が良いほど高額な買取価格が期待できます。そこで、紙幣専用ケースに一枚ずつ保管して、甲号・乙号兌換銀行券の劣化を防ぐことが大切です。
また、ケースで保管している甲号・乙号兌換銀行券は、そのまま買い取りに出すのがおすすめです。大切に保管していたことが鑑定士へ伝わることで、買取価格のアップにつながる可能性があります。
鑑定証書を付ける
甲号・乙号兌換銀行券は、現在よりも紙幣の偽造が簡単な時代に発行された紙幣のため、品物の真贋が買取価格に大きく影響します。そのため、鑑定証書がある場合は、甲号・乙号兌換銀行券と一緒に提出し、本物の甲号・乙号兌換銀行券として査定してもらいましょう。
また、鑑定証書のない甲号・乙号兌換銀行券は、査定を断られる可能性があります。可能であれば、事前に手持ちの甲号・乙号兌換銀行券の真贋を鑑定してもらってから、買い取りに出してください。
クリーニングを行なわない
コレクション品はきれいなほど価値が上がる傾向にあるため、買い取りに出す前にきれいに掃除することが一般的です。しかし、甲号・乙号兌換銀行券の場合は、品物の古さが価値を引き上げることが多く、そのままの状態のほうが高値になる傾向にあります。
また、甲号・乙号兌換銀行券はきれいな状態でも紙質が劣化しており、軽く触っただけでも破れてしまうことがあります。クリーニングしたことで状態が悪くなることを避けるためにも、そのままの状態で買い取りに出しましょう。
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おわりに
甲号・乙号兌換銀行券は、日本の紙幣の価値基準が変わる分岐点で発行されており、コレクターからも高い人気を誇る紙幣です。しかし、発行時期によって価値が変わったり、劣化しやすい紙質だったりと、査定に出す場合には不安なことが多くあります。
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