COACH(コーチ)の歴史を9つのブランドストーリーから徹底解説
米ニューヨーク発の「COACH(コーチ)」は年代、性別問わず幅広い層に愛されている人気ブランドです。
「アクセシブル・ラグジュアリー(手の届くぜいたく品)」をブランドコンセプトに、バッグや財布、小物など多種のアイテムをそろえています。
一度は手にしたりその名を耳にしたりした方も多いのではないでしょうか。
本記事では9つのブランドストーリーからわかるコーチの特徴や魅力を通して、創立80年超の歴史に迫ります。
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COACH(コーチ)の歴史と9つのブランドストーリー
コーチはどのように多くの人に愛されるブランドとなったのでしょうか。
その歴史を時系列に沿って9つのブランドストーリーから紹介します。
創業者夫妻と職人6人でスタート
コーチは1941年、米ニューヨークのマンハッタンで倉庫スペースを利用した小さな工房からスタートしたブランドです。
当初は「ゲイル」という社名で、創立者のマイルズ・カーンとリリアン・カーン夫妻が腕利きの職人6人とともに、男性用の革小物生産の下請けをしていました。
熟練の職人たちは「最高級のレザーで、美しく機能的でモダンな製品を作る」というシンプルな目標を掲げ、良質な革と縫い目の細部までこだわり抜いた革製品を作りました。
コーチの革製品は次第に評判を呼び、徐々にその名が広まっていきます。
高品質とハンドメイドへのこだわりは、創立から80年経った今も変わりません。
コーチの革製品はすべて手作業で仕上げられています。
シンプルなデザインのバッグでも完成までに100以上もの工程を要し、複雑な形になると1日半かかる場合もあります。
創業から変わらぬ物作りへの姿勢が、多くの人に愛される理由の一つかもしれません。
グラブタンレザーの開発に成功
コーチを代表するオリジナル革素材「グラブタンレザー」が完成したのもブランドの創成期です。
野球を観戦していたカーン氏が、使い込まれてやわらかさと艶、味わいの増したグローブに目を留め、しっとりと手になじむ新しいレザーを作ろうと考えたのがきっかけでした。
こうして、1958年に時速140キロのボールを受けるミットと同程度の強度で、使い込むほどやわらかく艶やかになる革「グラブタンレザー」は完成しました。
1960年代には、グラブタンレザーを採用したバッグを「COACH」のブランド名で発表します。
その数わずか12個でシリアル番号入りの限定生産でしたが、一つひとつ職人の丁寧な手仕事で仕上げたバッグは、品質の良さが大きな評判を呼びました。
このコレクションは「アメリカンクラシック」と呼ばれ、現在のコーチの「クラシックコレクション」の原点となっています。
このバッグの大成功がブランドの礎となったといっても過言ではないでしょう。
また時を同じくして、社名をゲイルからコーチに変更しました。
コーチの名はハンガリーにある町「コーチ」が由来になっており、世界で初めてサスペンション付きの高品質な四輪馬車を製造したことで知られている町です。
この馬車はヨーロッパなどで評判となり、次第にコーチという言葉自体が、「馬車で大切な人や物を目的地へ運ぶ」という意味合いを持つほどになりました。
「大事なものを運ぶときに使ってほしい」という思いを込めて、この言葉をブランド名に選んだといわれており、コーチのロゴには由来となった馬車も描かれています。
COACHの新スタイルを確立
1962年、ブランドはさらなる改革を進めていきます。
創業者のカーン夫妻は、ミュージカル映画「王様と私」などの衣装に携わった当時の人気デザイナー、ボニー・カシン氏をコーチ初のリードデザイナーとして迎えました。
カシン氏は「女性のためのバッグ」という構想のもと、買い物袋に着想を得た丈夫な持ち手と外側の小銭入れが特徴のハンドバッグ「カシン・キャリー」をデザインします。
また、コーチのアイコンとなるオープンカーの留め具から発案した「ターンロック」をバッグに取り入れるなど、ユニークなセンスを発揮しました。
その後も、カシン・キャリーを発展させた「ショッピングバッグ・コレクション」や、グラブタンレザーを使ったカジュアルな「ダッフルサック」など数々のヒット作を発表しています。
「デザイン性と機能性を兼ね備えた女性のためのバッグ」というコーチの新しいスタイルを確立したことで、ブランドはより前進していきます。
アメリカ全土への販路拡大
デザイナー、ボニー・カシン氏の活躍によって順調に売上を伸ばしたコーチは、アメリカ全土への販路拡大を計画します。
1979年には、ニューヨーク市庁から転職してきたビジネスマン、ルー・フランクフォート氏を、新規事業開発担当副社長として迎えます。
フランクフォート氏は販路の多角化を目指し、従来の販売ルートであるデパートや専門店に加え、カタログや直営店の展開で知名度を上げる戦略を立てました。
1980年、カタログ作りに着手し、ブランド認知度を高めることに成功すると、翌1981年にはニューヨーク・マディソン64番街に初の直営店をオープンします。
行列ができるほどの人気で、コーチの名は全米に広く知れ渡るようになりました。
世界最大アパレルメーカーの傘下に
1985年、創立者のカーン夫妻の引退により、コーチはヘインズなどを擁する世界的なアパレルメーカー、サラ・リーコーポレーションの傘下となりました。
コーチはこれを機に、バッグや財布などの皮革製品メーカーから、世界をターゲットとした総合ファッション企業へと急速に舵を切ることになりました。
製品の製造を他国へ外注することで、高品質で丈夫でありながら、ほかの高級ブランドよりもリーズナブルな価格のブランドへとシフトしていきます。
コーチの社長にはフランクフォート氏が就任し、さらなる直営店展開をはじめとしたマルチチャンネル戦略を推進していきます。そして1988年、日本初出店を果たしました。
ライフスタイルの多様化による停滞
順調に歩を進めていたコーチですが、1990年代半ばに停滞期に入ります。
1995年に会長兼CEOに就任したルー・フランクフォート氏がその原因を分析した結果、女性のライフスタイルの多様化によるものという結論にたどり着きました。
当時は女性の生き方の選択肢が増えたことから、ファッションもカジュアルラインが軸になってきていました。
ハンドバッグがビジネス用から外出のコーディネートアイテムに変化しつつあり、プラダのナイロンバッグなどカジュアルなバッグがヒットしていたことも大きな流れの一つです。
フランクフォート氏は、コーチがこれまで送り出してきたクラシックなバッグが、現代女性のファッションスタイルに合わなくなってきたことが停滞の原因と考えました。
リード・クラッコフによるデザインの刷新
コーチは停滞期を打ち破るため、改革に打って出ます。
1996年、デザインのトップにあたるエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターに、リード・クラッコフ氏を迎えました。
現代的な感覚を求め、32歳の若きデザイナーをトップに抜擢したのです。
これまでの革を使ったクラシカルなデザインを刷新し、人気のナイロン素材を用いた軽量で現代的なデザインへと転換しました。
その後、時計やシューズのコレクションも展開していきます。
そして2001年、クラッコフ氏は今やコーチのアイコン的な存在ともいえるコレクションを誕生させました。
コーチのイニシャル「C」のロゴが連続するモノグラムデザインの「シグネチャー・コレクション」です。
キャンバス生地にデザインを織り込んだシグネチャー・コレクションは、アメリカだけでなく日本でもブームを起こしました。
このコレクションはコーチが完全復活し、世界的なブランドの仲間入りを果たした立役者となったといえるかもしれません。
また、同年発表された小物専用の画期的なバッグ「リストレット」も多くの女性を魅了しました。
モードでモダンなブランドへ
2013年、コーチは長年エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターを務めた、リード・クラッコフ氏の退任という大きな転換期を迎えました。
後任のスチュアート・ヴィヴァース氏は、ルイ・ヴィトンでアクセサリーを担当し、ロエベではクリエイティブ・ディレクターを務めたほどの人物です。
モードでモダンなアメリカン・スタイルを表現し、新たなブランドの魅力を発信しています。
社名を「Tapestry(タペストリー)」に変更
コーチは2017年10月、ブランド名はそのままに社名を「Tapestry」に変更しました。
常にさらなる進化を遂げようとする姿勢に注目が集まっています。
不要なCOACH(コーチ)製品は買取査定に出そう
コーチは中古市場でも根強い人気のあるブランドです。
その歴史からもわかるように、デザイン性と機能性を兼ねたうえに品質と縫製技術が高く、丈夫で長持ちするとされているからです。
早いサイクルで新作が発表されており、人気商品でも長期間販売されないため、好きなデザインや型を中古市場で探す方もいるでしょう。
なお、コーチは積極的にアウトレット店を展開しており、人気モデルの素材や色が違うアウトレット専用商品を製作することで正規店との差別化を図っています。
商品タグに「F」や「FS」がある場合は、アウトレット品である可能性が高いでしょう。
ただし、近年では「F」や「FS」があっても一部海外正規品の場合もあるため、査定前に確認しておくとよいかもしれません。
コーチのアウトレット商品は新品も手頃な価格で購入できるため、買取査定額は低めの傾向にありますが、商品の年代や状態によって異なります。
使う機会のないコーチ製品がある方は、経年変化などが生じぬうちに査定に出すとよいでしょう。
なお、バイセルでは店頭・出張・宅配の3種類の方法で買い取りしています。各種査定は無料です。
クローゼットに眠ったままのコーチ製品がある方はチェックしてみましょう。
おわりに
日本でおなじみのコーチは品質、デザイン性の高さとともに、比較的手頃な価格で購入できることが魅力です。
また、80年超の歴史のなかで何度も大きな転換期を迎え、そのたびにさらなる飛躍を遂げる革新的なブランドであることも愛される理由の一つでしょう。
時代ごとにバリエーションに富んだ個性的な商品がそろっているのも人気の理由です。
なかでも、コーチのアイコン的な存在であるシグネチャー・コレクションや、ヴィンテージのオールドコーチは一定の需要があるといわれています。
まずは査定から始めてみてはいかがでしょうか。
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