歌川広景の浮世絵は買取してもらえる?代表作や高価買取のポイント

歌川広景(うたがわひろかげ)は、江戸時代後期に活動した浮世絵師です。
江戸の日常におけるハプニングをコミカルに描く作風が特徴で、登場人物の脱力感ある表情などが、2025年に開催された展覧会で大きな話題を呼びました。
現状では骨董品買取市場での取引例は多くありませんが、買取市場でも今後人気が高まってくる可能性があります。
本記事では、歌川広景作品の特徴や代表作・有名作品に加えて、買取市場での動向、高く売れやすい歌川広景作品の特徴、歌川広景の絵画を高価買取してもらうためのポイントなどについてご紹介します。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
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目次
歌川広景とは
歌川広景(生没年不明)は江戸時代後期に活動した浮世絵師です。
著名な浮世絵師である歌川広重(うたがわひろしげ 1797-1858)の門人であったとされています。
しかし、生没年や詳細な経歴はほとんどわかっておらず、活動期間も安政(1855-1860)から文久(1861-1864)にかけてのわずか3年弱というごく短い期間に限られているなど、謎に包まれた人物と言えます。
明治時代に活動した浮世絵師・昇斎一景(しょうさいいっけい)と同一人物ではないかという説もありますが、はっきりしたことは分かっていません。
絵師としての知名度も決して高くありません。
しかし、2025年に東京都の太田記念美術館で「歌川広景 お笑い江戸名所」という展覧会が開催され、太田記念美術館のSNSでも作品が掲載されると、大きな反響を呼んでいます。
歌川広景の作風
現存している歌川広景の作品は大きく2つのパターンに分類することができますが、どちらも作風としては「ユーモラス」「コミカル」といった言葉がキーワードになっています。
1つ目のパターンは「道戯絵(どうけえ)」と呼ばれる、幕末の江戸っ子の日常におけるコミカルなハプニングを描いた作品ジャンルです。
野良犬に魚を盗まれたり、蕎麦を頭からかぶったり、雪道で豪快に転んだりする人々など、庶民の失敗やズッコケた姿が生き生きと描かれています。
2つ目のパターンは、葛飾北斎(かつしかほくさい 1760?-1849)や師である歌川広重など、有名絵師の作品を元ネタにしたパロディ作品です。
葛飾北斎の「北斎漫画」を自身の作品の一部にトレースしていたり、歌川広重の風景画の構図を丸パクリしていたりと、有名作品を前提としたオマージュ作品をいくつも制作しています。
そして、歌川広景作品は、描かれる人物の表情に特徴があります。
どこか脱力系で、ヘタウマと言えるような独特の顔つきをしており、ハプニングの瞬間の情けない表情をよく表現しています。
歌川広景作品は買取してもらえる?高く売れやすいポイントとは
江戸の日常をコミカルに描いた歌川広景の作品は、太田記念美術館で開催された展覧会の影響もあって、現在人気が上昇してきています。
現状では歌川広景作品の買取市場での取引例は多くありませんが、浮世絵自体は骨董品買取市場でも人気のジャンルです。
歌川広景の作品も、今後活発に取引されるようになる可能性があります。
歌川広景作品の中でも美術品買取市場で高く買取されやすいのは、代表的な連作「江戸名所道戯尽(えどめいしょどうげづくし)」の作品でしょう。
特に、初摺り(版木が彫られてから初期に摺られた作品で、絵師が直接監修したもの)の作品は買取価格が高くなりやすい傾向があります。
歌川広景だけでなく、浮世絵など絵画の買取では有名作家の作品ほど買取相場が高くなりやすい傾向があります。
以下の各ページでは、高く買取されやすい浮世絵師、浮世絵を高く買取してもらうためのポイントといった買取情報について記載してございます。
参考までにぜひご参照ください。
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以下の各ページでは、有名作家の作品を中心とした日本画の買取相場や、バイセルにおける実際の買取例について記載してございます。
参考までにぜひご覧ください。
歌川広景の代表作
江戸の日常を描いたコミカルな作品で人気となっている歌川広景ですが、有名作品にはどのようなものがあるでしょうか。
ここでは、歌川広景の絵画の中でも特に人気の高い、代表作と言うべき作品についてご紹介します。
江戸名所道戯尽
「江戸名所道戯尽」は、歌川広景が1859年頃に手がけた、全50点からなる大判錦絵(多色刷りの浮世絵版画)の連作です。
タイトルにある「道戯(どうげ)」は「滑稽」や「おどけ」を意味し、当時の江戸の名所を舞台に庶民の日常で起こるユーモラスなハプニングや失敗を描いています。
具体的には、武士・町人・女性などあらゆる身分の江戸っ子が、雪で滑って転ぶ、風に飛ばされる、犬に噛まれる、タヌキやキツネに化かされるなどのシーンがあります。
そのようなドタバタな目に遭う人物が、脱力感のあるユーモラスな表情で描かれているのが、「江戸名所道戯尽」の大きな特徴と言えます。
このヘタウマとも言える親しみやすい表情が、見る人の笑いを誘います。
パロディを得意とした歌川広景ですが、この「江戸名所道戯尽」についても、師・歌川広重の代表連作「名所江戸百景」が念頭にあったと考えられます。
江戸の名所を連作で描くというコンセプトや、名所を描く構図などを意図的にパロディし、そのうえで歌川広景らしいユーモアを加えたものと言えるでしょう。
また、人物の配置や構図には葛飾北斎の「北斎漫画」や「富嶽百景」からの引用が数多く見られます。
連作中の作品としては、以下のようなものがあります。
| タイトル | シリーズ番号 | 内容 |
|---|---|---|
| 湯島天神の台 | 九 | 蕎麦屋が出前中に犬に足を噛まれ、横を通った侍に頭から蕎麦をかけてしまう |
| 芝赤羽橋の雪中 | 十四 | 雪で足を滑らせて転んだ男の下駄が、対面から歩いてきた別の男性の顔に直撃する |
| 大橋の三ツ股 | 十九 | 橋から隅田川に飛び込んで遊んでいた男たちが、スイカを大量に積んだ船に衝突する |
| 御蔵前の雪 | 二十二 | 達磨の形をした巨大な雪だるまの前で鼻緒を直す男と、男の魚を狙っている犬 |
| 本郷御守殿前 | 四十六 | 3人の男たちが突然の夕立に遭ったものの1つの傘しか無く、肩車をして3人で傘の中に入る |
青物魚軍勢大合戦之図(あおものうおぐんぜいだいかっせんのず)
「青物魚軍勢大合戦之図」(1859)は、歌川広景らしいコミカルさもありながらも、幕末の深刻な社会情勢を風刺した政治性の高い浮世絵です。
描かれているのは、擬人化された野菜(青物)の軍勢と魚介類の軍勢が激しく戦う様子です。
戦国時代の合戦図のように描かれています。
画面右側では陸にいる青物軍(大根・冬瓜・南瓜など)が、武具を身につけ、旗印を立てて進軍しています。
画面右側では海にいる魚介軍(蛸・鯛・河豚など)が、武器を持って応戦しています。
一見すると滑稽な戯画なのですが、その裏には当時の2つの社会情勢が隠されているといいます。
1つ目は、制作された当時に流行していたコレラです。
当時の迷信で「青物はコレラにかかりにくい(感染経路になりにくい)」「魚介類はコレラにかかりやすい(感染経路になりやすい)」と信じられていました。
この絵は、コレラにかかりやすい魚介類を敗者、コレラにかかりにくい青物を勝者として描くことで、疫病による世の中の混乱を風刺したという見方があります。
2つ目は、井伊直弼(いいなおすけ 1815-1860)ら南紀派と、徳川斉昭(とくがわなりあき 1800-1860)ら一橋派との、幕府内の権力闘争です。
井伊直弼を青物軍の冬瓜、徳川斉昭を魚介軍の蛸に見立て、この対立を風刺したという見方があります。
この「青物魚軍勢大合戦之図」はしかし、当時の幕府の弾圧の対象となり得るものでした。
実際に「青物魚軍勢大合戦之図」は不敬なものと解され、歌川広景は異人のスパイであるといった風聞を立てられたり、殺人予告を受けたりするに至ったといいます。
歌川広景が約3年という短い活動期間で姿を消した背景には、このような政治風刺による危険も関わっていたのではないかと考えられています。
歌川広景作品は骨董品買取市場の買取例が現状多くありませんが、ここにご紹介したような人気作品であれば、保存状態などの条件によって高く買取される可能性があります。
お持ちの歌川広景作品の具体的な価値については、ぜひ1度バイセルの無料査定でお確かめください。
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お申し込みフォームへ歌川広景の絵画を高価買取してもらうためのポイント
江戸の日常や世相をコミカルに描く歌川広景の浮世絵は、美術ファンを中心に反響を呼んでいます。
では、歌川広景の絵画を少しでも高く売るためにはどのようなポイントに気をつければ良いでしょうか。
歌川広景作品を含む絵画の買取において、より高く買取してもらうために知っておきたい3つのポイントをご紹介します。
- 綺麗な状態で保存しておく
- 鑑定書などの付属品を揃えておく
- 入手経路などの来歴を明確にしておく
綺麗な状態で保存しておく
歌川広景を含む絵画の買取では、保存状態が良好である(制作当時の状態をなるべく保っている)ほど高く買取されやすい傾向があります。
反対に、ひび割れ、退色、シミ、シワ、カビ、傷、破れ、タバコの臭いがあるなど保存状態が悪いと、その分だけ買取価格は下がってしまいます。
有名作家の作品や人気作品なら多少の経年劣化があっても買取してもらえる場合も多いですが、高価買取の可能性は低くなってしまうでしょう。
作品を良い状態に保つためには、専用の袋や箱で保護する、直射日光を避けて風通しの良い場所で保管するなどの工夫をしてあげましょう。
鑑定書などの付属品を揃えておく
歌川広景の浮世絵を含む絵画作品をより高く売るためには、作者のサインや鑑定書・保証書といった、作品の価値を示す付属品の有無が重要な役割を果たします。
歌川広景作品の場合、作品の隅などに「廣景画」の署名と黒の印章が入っているものが多いです。
これらのサインや印章は作品の品質と信頼性を示す重要な証拠になるため、買取市場における信頼性が増すことで多くの需要を集められます。
鑑定書も同様の効果があり、付いていることで作品の価値を証明できるため買取市場における信頼性が増します。
これらがあることで、より高い価格での買取につながる可能性があります。
鑑定書・保証書などの付属品がある場合には、作品本体と併せて大切に保管しておきましょう。
入手経路などの来歴を明確にしておく
歌川広景をはじめとした絵画の査定では、買取市場における作品の信頼性のために「どこで手に入れたか」「いつ購入したか」「誰から譲り受けたか」など購入に至るまでの背景が確認されます。
例えば「業界で信頼されている専門店で購入した」「〇年△月に××博物館に貸し出した」などの来歴は、作品の価値を判断するうえでも重要な情報になります。
そして、その来歴を証明する書類等があればさらに信憑性が増し、買取市場における信用度が増すことでより高く売れるかもしれません。
入手した経路や時期、美術館への貸出履歴といった記録がある場合には、処分せずに大切に保管しておきましょう。
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