秋野不矩作品の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説

秋野不矩(あきのふく)は、インドの自然や人々を描いた風景画・人物画で有名な日本画家です。
ダイナミックな構成で主題の持つ本質的な力や情感を際立たせる表現は非常に評価が高く、美術品買取市場でも高価買取されるケースがあります。
本記事では、秋野不矩作品の特徴や代表作・有名作品に加えて、買取市場で高く売れる理由、高く売れやすい秋野不矩作品の特徴、秋野不矩の絵画を高価買取してもらうためのポイントなどについてご紹介します。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
目次
秋野不矩とは
秋野不矩(1908-2001)は、昭和初期から平成まで活躍した日本画家です。
風景画や人物画を得意とし、特にインドの風景・人々・寺院などを描いた作品に有名なものが多くあります。
静岡県浜松市で生まれた秋野不矩は幼い頃から絵に親しみ、ゴッホやゴーギャンの西洋画に触れたことから美術への関心を深めていきました。
一度は教師になったものの絵画への情熱を抑えられなかった秋野不矩は、石井林響(いしいりんきょう 1884-1930)に師事し、また、西山翠嶂(にしやますいしょう 1879-1958)の「青甲舎」に入門し、日本画を学びました。
そして官展で入選や特選を重ね、一流画家としての道を歩み始めます。
第二次世界大戦後の1948年には山本丘人(やまもときゅうじん 1900-1986年)や上村松篁(うえむらしょうこう 1902-2001)らとともに「創造美術」を結成し、新しい日本画の創造を追求しました。
この頃から伝統的な日本画の表現にとどまらず、西洋画の要素も取り入れるなど、独自の画風を確立していきます。
そして、秋野不矩の画家人生の大きな転機となったのが、1962年にインドのタゴール国際大学に客員教授として招かれ、1年間滞在したことでした。
インドの豊かで過酷な自然や力強く生きる人々の姿に魅せられ、これ以降生涯にわたってインドを主題とした作品を多数制作しました。
生命力あふれるインドの風景や人々を描き出す「インドシリーズ」は、秋野不矩の代表的な仕事として知られています。
秋野不矩は晩年まで精力的に制作活動を続け、1991年に文化功労者として顕彰され、1999年には文化勲章を受章するなど高く評価されました。
秋野不矩の作風
秋野不矩の作品には、一貫して自然と人間に対する深い洞察と愛情があります。
当初は伝統的な日本画の技法を使った写実的な描写力が特徴でしたが、「創造美術」の結成とインド滞在という経験によって秋野不矩の作風は変化していきます。
インド滞在以降の秋野不矩は伝統的な日本画の枠にとらわれることなく、本来なら見えている要素を大胆に省略するなど、ダイナミックな構成で主題の持つ本質的な力や情感を際立たせるようになります。
と同時に、日本画の画材である岩絵具や顔料の特性を深く理解し、重層的な塗り重ねによって従来の日本画にはなかった深みと奥行きのある色彩表現を確立しました。
また、墨の濃淡・かすれ・にじみなどの表現を得意とし、墨の表現の豊かさによって画面に動きや生命感を与えています。
秋野不矩の作風は、伝統的な日本画の技術を基礎としながらも、常に新しい表現を追求し続けた結果、極めて独創的で力強いものとなったと言えるでしょう。
秋野不矩作品の買取価格は高い?高く売れやすいポイントとは
文化功労者、そして文化勲章受章者である秋野不矩の作品は、美術品買取市場でも非常に高い人気があります。
美術館に収蔵されているものなど貴重な作品も多くありますが、額装作品や掛け軸作品など、買取市場での取引例も多く見られます。
秋野不矩作品の中でも美術品買取市場で高く買取されやすいのは、やはりインドの風景や人々を描いた作品です。
また、インドモチーフの作品以外では、花・猫・舞妓等を描いたものに人気の高い作品が多くなっています。
秋野不矩だけでなく、絵画の買取では有名作家の作品ほど買取相場が高くなりやすい傾向があります。
以下の各ページでは、有名作家の作品を中心とした日本画・掛け軸の買取相場や、高く売るためのポイントといった買取情報について記載してございます。
参考までにぜひご参照ください。
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秋野不矩の代表作
風景や人物をダイナミックな構成で描き、主題の持つ本質的な力や情感が際立つ秋野不矩の作品は多くの美術ファンを魅了し、美術品買取市場でも高い支持を集めています。
ここでは、買取市場で出会うことのあるものから美術館に所蔵されているものまで、秋野不矩の代表作をご紹介します。
インド女性
インドの女性は、秋野不矩の画業における最も重要で代表的なモチーフであり、「インド女性」を描いた作品は数多く残されています。
描かれているのは、水を汲む女性・祈る女性・家事をする女性など、インドの日常に溶け込んだ女性たちの姿です。
しかし単にインドの風俗を写実的に描くだけでなく、インド女性が持つ生命力・内面の強さ・精神性を表現することに重点が置かれているのが特徴です。
秋野不矩のインド女性を描いた有名作品としては、浜松市秋野不矩美術館に所蔵されている「インド女性」(1964)があります。
ガンガー
インド女性と同じく、秋野不矩が繰り返し描いた重要なモチーフに、ガンジス川(現地では「ガンガー」と呼ばれる)があります。
多くの「ガンガー」作品では、ガンジス川とそこに集う人々・動物が、大画面に壮大なスケールで描かれます。
ガンジス川の黄土色の濁流や夕焼けに染まる川など、インドならではの色彩が、岩絵具や顔料の特性を最大限に活かした秋野不矩独自の色彩で表現されています。
画面全体を覆うような雄大な川の表現は、見る人に圧倒的な迫力を伝えます。
秋野不矩のガンジス川を描いた有名作品としては、静岡県立美術館に所蔵されている「ガンガー(ガンジス河)」(1979)があります。
残雪
「残雪」(1980)は、雪解けの季節の日本の風景を描いた、秋野不矩の代表作の1つです。
京都国立近代美術館に所蔵されています。
「残雪」は具体的な場所を描いたものではなく、残雪と雪解けというモチーフによって、日本の自然が持つ繊細さや季節の移ろいの中に宿る生命の息吹を表現しています。
灰色がかった雪、露わになった土、わずかに芽吹き始める植物といった繊細な色彩からは、日本的な静謐さや叙情性が感じられます。
季節の移ろい、生命の再生、自然への畏敬の念といった普遍的なテーマを想起させる、非常に力強い作品であると言えるでしょう。
廻廊
「廻廊」(1984)は、カンボジアのアンコールワット遺跡にある寺院の廻廊を描いた、秋野不矩の代表作の1つです。
静岡県立美術館に所蔵されています。
「廻廊」は、アンコールワットの回廊に立つ太い柱と、柱の間から差し込む強い日差しが描かれています。
日差しに照らされた部分を金箔で表現し、それと対照を為すように影を濃く描くことで、東南アジアに降り注ぐ強烈な陽光と、その光が生み出す神秘的な陰影を巧みに表現しています。
日差しと柱の影を繰り返すことで表現される奥行きと、遺跡が持つ独特の空気感が印象的です。
まだまだある秋野不矩の有名作品
これまでに挙げたもののほかにも、秋野不矩にはまだまだ多くの有名作品・人気作品があります。
砂上 | 少年群像 | 渡河 | 聖なる鹿 | 青年立像 |
小児群像 | 紅裳 | 砂漠のガイド | 川 | すだち |
春信 | 紅梅 | 春栄 | 八重椿 | 供華カーリー女神 |
菊 | 熱帯魚 | 水引草 | 桃 | 朝顔 |
八重桜 | 南国の花 | 花 | 童女 | 白菖蒲 |
林檎 | 桔梗 | 初夏 | 雛 | 村落 カジュラボ |
猫 | 舞妓 | 朴の花 |
ここに名前を挙げたような秋野不矩作品をお持ちなら、保存状態などの条件によって高く買取される可能性があります。
具体的な価値については、ぜひ1度バイセルの無料査定でお確かめください。
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お申し込みフォームへ秋野不矩の絵画を高価買取してもらうためのポイント
風景や人々を描く、生命力あふれる色彩と躍動的な筆致で知られる秋野不矩の絵画は、美術品買取市場でも高い需要があります。
では、秋野不矩の絵画を少しでも高く売るためにはどのようなポイントに気をつければ良いでしょうか。
秋野不矩作品を含む絵画の買取において、より高く買取してもらうために知っておきたい3つのポイントをご紹介します。
- 綺麗な状態で保存しておく
- 鑑定書などの付属品を揃えておく
- 入手経路などの来歴を明確にしておく
綺麗な状態で保存しておく
秋野不矩を含む絵画の買取では、保存状態が良好である(制作当時の状態をなるべく保っている)ほど高く買取されやすい傾向があります。
反対に、ひび割れ、退色、シミ、シワ、カビ、傷、破れ、タバコの臭いがあるなど保存状態が悪いと、その分だけ買取価格は下がってしまいます。
秋野不矩のような有名作家の場合には多少の経年劣化があっても買取してもらえる場合も多いですが、高価買取の可能性は低くなってしまうでしょう。
作品を良い状態に保つためには、専用の袋や箱で保護する、直射日光を避けて風通しの良い場所で保管するなどの工夫をしてあげましょう。
鑑定書などの付属品を揃えておく
秋野不矩のような有名画家の作品をより高く売るためには、作者のサインや鑑定書・保証書といった、作品の価値を示す付属品の有無が重要な役割を果たします。
秋野不矩作品の場合、画面の左下や右下「不矩」というサインの入っているものが多いです。
また、サインのそばには通常、朱色の印章が押されています。
これらのサインや印章は作品の品質と信頼性を示す重要な証拠になるため、買取市場における信頼性が増すことで多くの需要を集められます。
鑑定書も同様の効果があり、付いていることで作品の価値を証明できるため買取市場における信頼性が増します。
これらがあることで、より高い価格での買取につながる可能性があります。
鑑定書・保証書などの付属品がある場合には、作品本体と併せて大切に保管しておきましょう。
なお、秋野不矩作品について信頼度の高い鑑定機関としては、京都市の「ギャラリー鉄斎堂」内にある「秋野不矩鑑定委員会」が挙げられます。
入手経路などの来歴を明確にしておく
秋野不矩をはじめとした絵画の査定では、買取市場における作品の信頼性のために「どこで手に入れたか」「いつ購入したか」「誰から譲り受けたか」など購入に至るまでの背景が確認されます。
例えば「業界で信頼されている専門店で購入した」「〇年△月に××博物館に貸し出した」などの来歴は、作品の価値を判断するうえでも重要な情報になります。
そして、その来歴を証明する書類等があればさらに信憑性が増し、買取市場における信用度が増すことでより高く売れるかもしれません。
入手した経路や時期、美術館への貸出履歴といった記録がある場合には、処分せずに大切に保管しておきましょう。
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