貿易銀の種類と高く買い取ってもらう方法
世界で流通することを目標として発行が始まった日本の貿易銀は、当時の時代背景もあって現代では希少な古銭として扱われています。
貿易銀が発行された時代の日本は、幕府が倒れて間もない激動の時代でした。
貿易銀が発行されていた当時も短い年月の間に様々な銀貨が発行されていました。
本コラムでは、貿易銀を中心に明治初期に発行された貿易用の銀貨をご紹介します。
また、貿易銀の価格を決める大切な要素と、高く売るための方法についても解説します。
今回のコラムの内容を参考に、日本で発行された貿易銀の売却を検討してみましょう。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
貿易銀とは
貿易銀とは海外との貿易取引での使用を目的として発行された大型銀貨のことです。
貿易銀は、19世紀後半からイギリス・アメリカ合衆国・日本などが自国で使う銀貨とは別に、海外貿易での通貨として用いることを目的として発行されました。
今回ご紹介する貿易銀は、日本で発行されていた貿易銀を中心とします。
日本の貿易銀は3年間しか発行されなかった
江戸時代には貿易取引用の銭貨として長崎貿易銭が用いられていました。 しかし、長崎貿易銭は古い宋銭を模したものであり、日本独自のものとは言えませんでした。
そこで明治時代になると、「新1円銀貨」が貿易取引として発行・使用されるようになりました。
当時の日本政府は新1円銀貨が世界通貨として普及するように努めましたが、昔から発行されていたメキシコの貿易銀に対して苦戦していました。
新1円銀貨の流通量が伸びない原因について日本政府は、メキシコの貿易銀よりも重量が軽いためと考えます。
日本の新1円銀貨と同じ時期に発行が始まったアメリカの貿易銀が、メキシコ銀貨よりも重い上に、中国などの東洋市場で流通量を伸ばしてる状況をみたためです。
日本政府もこの貿易銀の流通量の流れを組んで、アメリカの貿易銀と同じ重量(27.22g)の貿易専用の銀貨「貿易銀」を1875年(明治8年)に発行しました。
しかし、重量を改めて発行された日本の貿易銀も、国際通貨として流通されることはありませんでした。 アメリカの貿易銀に押される形で1877年(明治10年)に製造を停止し、日本の貿易銀は従来使用していた新1円銀貨に戻りました。
結局、日本で貿易銀が発行されていたのは、1875年から1877年の3年間だけとなりました。
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貿易銀の特徴
貿易銀は世界通貨になることを目標として鋳造が始まりましたが、残念なことに3年という短い期間しかつくられませんでした。
3年間で発行された枚数は約300万枚で、新1円銀貨などと比べて枚数が非常に少ないため、銀貨の状態によっては高い価値が付くことがあります。
加えて、貿易銀は貿易専用の銀貨であったため、日本国内に現存している枚数もきわめて少ないとされています。
貿易銀の直径は約38.58mmで、重さは約27.22gあります。
現在国内で流通している500円玉でも直径26.5mm、重さ7gですから、貿易銀がとても大きなサイズの銀貨であることが想像できるかと思います。
材料には銀以外も銅が使われていて、品位は銀900/銅100となっています。
貿易銀の表面には中央に「貿易銀」と漢字で刻印がされていて、文字の上には日本の国章である菊花紋章がレリーフされています。
また、貿易銀の両隣には桐が彫刻されています。
ちなみに桐は今の500円玉の表面にもデザインされている植物です。
裏面には龍が中央に描かれていて、龍を囲むように「大日本」「発行年」、そして英語で「TRADE DOLLAR」「420 GRAINS」「900 FINE」と刻印されています。
「TRADE DOLLAR」は貿易銀を示していて、「420 GRAINS」は重量、「900 FINE」は品位の保証を示しています。
また、日本の貿易銀はじめ、日本で発行された貿易向けの銀貨(新1円銀貨など)には共通点があります。それらの共通の特徴についてご紹介します。
シークレットマーク
シークレットマークとは、コインやお札などの偽造を防止策の一つです。
その名のとおり、一目では見分けが付かない程小さな秘密のマークのことです。
貿易銀にもシークレットマークが施されていると言われ、裏面の縁にレリーフされている小さな粒(馬の歯と言われています)の一つだけが僅かに小さく彫られていて、これが貿易銀のシークレットマークとされています。
丸銀
丸銀とは、貿易銀などの通貨の刻印です。
丸銀は円形の中に「銀」と書かれた小さなマークです。
丸銀が刻印されるようになったきっかけは、1897年(明治30年)の日本の法律が改正されて国内外で流通している銀の通貨(新1円銀貨など)がお金として使用できなくなったことにあります。
新1円銀貨・貿易銀ともに貿易用として、隣国の朝鮮・香港・台湾で多く流通していました。
貨幣の憲法改正の影響での貿易の混乱を避けるために、日本政府は発行年数が明治30年以前の銀貨には「丸銀」を刻印しました。
そして、海外のみが丸銀が刻印された銀貨を通貨として使用することが許されました。
丸銀は「貿易銀」の表面の文字「貿易銀」の左右どちらかに刻印されることが一般的です。
ですが、稀に誤って裏面に刻印されることもあり、裏面の丸銀は珍しいために高い価値が付く場合もあります。
荘印(そういん)
荘印とは、貿易で使われてた貨幣に対して打たれる模様で、極印(ごくいん)とも呼ばれています。
主に中国の貿易商が受け取った貨幣に対して打っていたとされていて、現存する貿易銀にも荘印は残っているものがあります。
荘印が付いている銀貨は価値が下がるとされていて、意図的に修復されることもあります。
しかし、荘印を無理に埋めて修復した銀貨は、図案が歪んでしまったり、修復部分だけが変色をしまったりして、見栄えが悪くなる傾向にあります。
コレクションとしての価値が高い貿易銀は保存状態の良し悪しが大切なため、修復された貿易銀などは価値は下がることが多いです。
貿易銀の種類
1875年(明治8年)から発行が始まった貿易銀の前にも、日本では様々な銀貨が貿易銀として使用されていました。
ここからは、日本で発行された他の貿易取引として発行された銀貨についてご紹介します。
旧1円銀貨
旧1円銀貨は、新1円銀貨が発行される以前の1980年(明治3年)の1年間のみ発行された、主に貿易取引を目的とした大型銀貨です。
直径は38.58mm、重量は26.96g、品位は銀900/銅100となっています。
表面の中央には日の丸を示す「旭日」がレリーフされていて、周囲には「菊花紋章」「桐紋」などが施されています。
裏面の中心には龍が刻印されていて、その周りには「大日本」「明治三年(発行年数)」「一圓(一円)」と記されています。
発行年数が短かったため、発行枚数も約360万枚程度と希少性がある銀貨です。
主に流通していた国が台湾・中国ということもあり、貿易商・両替商によって多くの旧1円銀貨に荘印が押されました。
古銭市場では荘印が押されている旧1円銀貨は数が多い上に保存状態が悪いのが多いため、高い買取額はあまり期待出来ないでしょう。
一方で荘印が押されていない旧1円銀貨の数が少ないため、希少性が高いとされています。
新1円銀貨
新1円銀貨は1871年(明治4)年から1914年(大正3年)まで発行された銀貨です。
発行当初は貿易目的として発行が始まりましたが、1878年(明治11年)からは日本国内での使用も認められました。
ただ、旧1円銀貨と同様に新1円銀貨が流通したのは主に台湾・中国でした。
新1円銀貨の表面は「一圓」の刻印を中心にして、「菊花紋章」「桐」が周囲にデザインされています。
裏面のデザインは旧1円銀貨とほぼ同じですが、「一圓」が「ONE YEN」と変更されている違いがあります。
台湾銀行券引換元圓銀
台湾銀行券引換元圓銀(たいわんぎんこうひきかえもとえんぎん)は、台湾向けに発行された1円銀貨です。
日本国内では通貨として使うことが出来なかったため、日本で現存する数は少ないと考えられます。
直径は37.575mm、重さは26.956g、品位は銀900/銅100となっています。
発行年数は1901年(明治34年)~1914年(大正3年)で、その間に約3900万枚発行されました。
デザインは新1円銀貨と同様に龍や菊花紋章が刻印されています。
貿易銀の買取価格・価値
貿易銀をはじめ、日本の古銭の価値は「古銭の種類」「発行枚数」「古銭の状態」によって大きく価値に違いが生じます。
貿易銀は、発行年数が短い上に発行枚数が少ないとされているため、日本の古銭の中でも非常に希少性が高い銀貨とされています。
また、貿易銀は通貨自体の使用がなされなかったれために、日本国内で現存する枚数も少なく、貿易銀特有の事情も価値を高める要因となっています。
一般的に古銭の状態には大きく5つにランク分けがされていて、以下の順番で評価が高くなります。
1.完全未使用
2.未使用
3.極美品
4.美品
5.並品
一番高い評価を持つ「完全未使用」は一度も使われた形跡のない、表面の輝きが製造当時のままに保たれていて、傷や汚れが無い古銭のことを指します。
そして、使用された跡があり、傷や汚れの目立つほどに古銭の状態が悪いと評価をされてランクも落としていきます。
美品のランクは古銭の買取で扱われる古銭の中で最も多く見られるランクとなっていて、古銭の傷や変色が目視できる状態の古銭などに付けられるランクです。
貿易銀自体、現存している数が少ないため、傷や汚れが多少ついていたとしても古銭の中では高い評価を受ける可能性があります。
「少し傷が付いているけど、どの位の価値があるのだろうか」と不安を持っているとのことでしたら、まずは古銭に詳しいバイセルに査定依頼をしてみてはいかがでしょうか?
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お申し込みフォームへ貿易銀を高価買取してもらう方法
希少性の高い貿易銀ですから、せっかくなら可能な限り高い価格で買い取ってもらいたいと思うことでしょう。
ここからは、希少な貿易銀の価値を落とさずに買い取ってもらうための方法を2つご紹介します。
古銭買取のバイセルに依頼する
銀貨の買取では、日々変動する銀の取引レートをベースに買取価格が決まります。
貿易銀は銀の純度が90%と高い品位を誇っているため、十分銀としての価値をもっています。
しかし、貿易銀は銀の取引レートの価格を超える非常に希少性の高い古銭です。
そのため、買取に出す際は貴金属店などの銀を扱うお店でなく、古銭買取を行っている買取業者に買取依頼をしましょう。
先ほどもお伝えした通り、貿易銀は銀以上の価値を持っているため、貿易銀を古銭として査定をしてくれるバイセルがおすすめです。
ただし、中には不適切な価格で古銭を買い取る業者が存在します。
そのため、古銭の買取では信頼できる買取業者を選ぶことが重要となります。
信頼できる古銭の買取業者を選ぶ基準としては以下の3つが挙げられます。
・創業年数が長い
・買取実績が豊富
・利用者の口コミの内容がポジティブ
創業年数が長く、買取実績が多い買取業者はその分、経験豊富な査定士を意味しています。
創業年数と買取実績は買取業者の公式サイトで基本的には確認ができるので、まずは気になっている買取業者の情報をチェックしてみましょう。
しかし、公式サイトには基本的には自社のサービスが良いことをアピールする内容しか記載されません。
そこで更に確認してほしいのが、実際に買取業者を利用した人の口コミ情報です。
口コミ情報には買取業者を利用して良かった点や悪かった点が、利用者目線で素直に書かれています。
「査定士が丁寧に対応してくれた」「思っていたよりも高く買い取ってくれた」などのポジティブな口コミが多い買取業者は信用できる業者と判断できるでしょう。
保存状態に気をつける
上でお伝えした通り、古銭の価値を決める要素して「古銭の状態」があります。
限りなく新品の状態に近い古銭(銀貨)であるほど、買取価格もアップすることでしょう。
しかし、もしもお持ちの貿易銀が汚れていても不用意な補修は禁物です。
古銭を無理に手入れをしてしまうと、反対に価値を下げてしまう可能性があるからです。
古銭の手入れの方法には、磨いたり、洗浄したりする方法があります。
ですが、それらの手入れをすることで、銀貨の表面が摩耗してしまったり、傷がついてしまう場合があるからです。
そのため、たとえお持ちの貿易銀に気になる汚れが付いていたとしても不用意な手入れはせずに現状のまま、査定に出すようにしましょう。
貿易銀の種類と高く買い取ってもらう方法:まとめ
貿易銀は当時の日本や世界の時代背景もあって、今では希少な古銭の一つとされています。
もちろん旧1円銀貨・新1円銀貨も保存状態によっては高い評価が付くことでしょう。
売却する際は、銀だからといって貴金属店などには出さずに、古銭として扱うバイセルに査定をご依頼ください。
大切にしてきた古銭を手放すわけですから、選ぶ買取業者は「創業年数」「買取実績」「口コミ」などを基準にすると、迷いなく信用できる買取業者を選ぶことができます。
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