毎田仁郎の加賀友禅の特徴と買取に出す際のコツとは?
石川県は金沢市を中心に活動した毎田仁郎(まいだ・じんろう)は戦争を経験しながらも加賀友禅の技術を磨き、60歳を超えてからその才能を評価された染織職人です。
京友禅・江戸友禅とともに、三大友禅の一つとされている加賀友禅の中でも代表格とされている毎田仁郎の作品を、引き出しの奥にしまっておくのは非常にもったいないです。
毎田仁郎が歩んだ道と加賀友禅や彼の作品の特徴を理解していただき、着物や帯の買取相場や買取をする時のコツについてもご紹介します。
お持ちの毎田仁郎の着物を売り出す際に、今回の記事が参考になればと思います。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
毎田仁郎とは
毎田仁郎は1906年に石川県金沢市に生まれます。
子供の頃から身体が弱かった毎田仁郎は13歳の時に手に職を持つ必要があると考えて、京都で友禅の仕事をしていた遠縁の下村光鳳(しもむら・こうおう)に弟子入りすることを決めます。
毎田は下村光鳳の下で友禅の技術を学んでいましたが、第二次世界大戦のために金沢に疎開しました。
終戦後も金沢で仕事を続けた毎田は、後に人間国宝となる木村雨山(きむら・うざん)に弟子入りして、友禅の技術に磨きをかけます。
毎田は60歳になるまで自身の作品を展覧会に出品したことがありませんでしたが、師匠・木村雨山の勧めで日本伝統工芸展に初めて自作の着物を出品し、見事に入選を果たしました。
入選をきっかけに名が知れるようになり、その後も様々な工芸展で入賞し、1980年には日本工芸会奨励賞を受賞しました。
毎田仁郎は時代が平成になった後も活動を続けましたが、1993年この世を去りました。
毎田仁郎の代表作品とは
彼の製作する加賀友禅は、長年積み上げてきた技術の結晶と呼ぶにふさわしい作品です。
毎田次郎の作品も、加賀友禅の基本的な特徴を用いて美しい着物を作り出してきました。
特に訪問着の作品は高い評価を受けています。
代表作としては「おとづれ」や「はいまつ」「つどい」などが挙げられます。
どの作品も毎田仁郎の緻密な糸目糊置き(模様の輪郭を糊でなぞり、模様の外側を染色しないようにする友禅の技法)によって、美しい模様が表現された逸品となっています。
毎田仁郎の作品の土台となっている加賀友禅とは
彼の作品の土台となっている加賀友禅は、室町時代に加賀国(今の石川県)で行われていた無地の梅染め(梅の樹皮を煮出して作った汁を染料に用いる染色方法)が発祥とされています。
その後、無地染めが主流だった梅染めのほかに『色絵紋(加賀紋)』という、加賀ではじめての模様染めが行われるようになり、徐々に主流の方法となっていきました。
加賀友禅が誕生したのは、多くの色絵紋が作られるようになった江戸時代中期に、京友禅の創始者とされている絵師の宮崎友禅斎が、色絵紋に自身の技術を加えることで誕生したと言われています。
ただ、加賀友禅と呼ばれるようになったのは20世紀以降で、それまでは『御国染(おくにそめ)』『加賀染』と言われていました。
全国的に普及したことによって、はじめて加賀友禅と呼ばれ浸透していきました。
加賀友禅の特徴は、加賀五彩と呼ばれる「藍・えんじ色・草・おうど色・古代紫」の5つの色彩を使って染め上げられることです。
毎田仁郎の着物も加賀五彩を基調としていて、柔らかい色調を好み、多彩な色を用いる京友禅と比べて落ち着きのある色合いになっています。
加賀友禅のデザインの特徴は、金沢にある自然の美しさや四季の移ろいや、花や鳥、扇などの昔から用いられてきた伝統的な古典柄をモチーフにしていることです。
また他の特徴として、「虫食い」と呼ばれる虫に食べられて朽ちてしまった葉を柄として採用している点です。
金沢と聞くと金箔などを思い浮かべると思いますが、加賀友禅では金加工や刺繍を基本的に施さないのも特徴の一つと言えるでしょう。
加賀友禅に金加工や刺繍が施されないのには、金沢は前田家・加賀百万石と呼ばれるほど武家の文化が強かったことが影響しています。
質素で上品な物を好む武家社会に支えられた加賀友禅は、金加工などの豪華な装飾を好まない武家の趣向が反映された染織物とも言えるでしょう。
毎田仁郎作品の買取相場はどれくらい?
毎田仁郎作品の買取価格は、過去の着物買取市場での事例を見ると2万5,000円前後となっていますが、新品未使用や美品であればそれ以上で買い取ってもらえる可能性があります。
中でも柄が大きく色彩豊かなものは、人気があるので高値がつきやすいと言えます。
しかし、着用に伴うシワがついている、シミ(特に汗ジミ)などがある状態だと品質が悪いと判断され、買い取ってもらえても高値になるとは断言できません。
買取価格は参考程度に留めておきましょう。
※上記は参考価格であり、実際の買取価格を保証するものではありません
※ご査定時の市場状況、在庫状況により買取価格が変動する場合ございます。
※お買取相場の価格は未開封の未使用品を想定しています。お品物の状態によって価格が大きく変わる場合がございますのでご了承ください。
加賀友禅である毎田仁郎の着物や帯を査定に出す際のコツとは
三大友禅の一つとされている加賀友禅は、保存状態や査定に出す業者によって買取価格に差が出る可能性があります。
毎田仁郎の加賀友禅は、長きに渡って磨き上げられた技術によって作られたため、なるべく高い価格で買い取ってもらいたいと誰もが思うことでしょう。
ここからは、毎田仁郎の着物と帯を査定に出すときのコツについてご紹介いたします。
着物をきれいな状態に保つ
毎田仁郎の着物や帯はきれいな状態であるほど高い価格で売れる可能性があるので、保管の方法にも気をつけて状態を保つようにしましょう。
毎田仁郎の作品は絹(正絹)でできています。
絹はコットンやポリエステルの衣類と同じように扱ってしまうと、普段は袖を通していない着物であっても引き出しの中で徐々にダメージを受けてしまい、シミやカビができてしまう可能性があります。
カビは湿気や温度、エサとなる汚れがつくことで発生しやすくなります。
使っていない毎田仁郎の着物と帯を売る場合は、いったん出して半日から一日は風通しのよい場所で陰干しをして湿気を飛ばしておきましょう。
長期間、換気をしていない場所に保管しておくとタンスから出す頃にはカビやシミがついているかもしれませんが、陰干しをすることで次に出てくるカビを防いで臭いも消せます。
繊維までカビやシミが染み込んだ着物と帯は自力で落とせない場合が多いため、無理に落とさずそのまま査定に出しましょう。
証紙を確認する
証紙とは伝統工芸の組合などが発行する着物や帯の価値を保証する証明書です。
加賀友禅である毎田仁郎の作品の証紙は、「共同協会 加賀友禅振興協会」という加賀友禅の品質表示事業などを行う協会が発行しています。
他産地の類似品防止と加賀友禅の高い品質を維持するため、着物や帯の検査をして承認された作品にだけに発行されます。
証紙の有無は着物買取の査定士が必ず確認するポイントですから、査定前にあるかどうかを確認をしておきましょう。
毎田仁郎の着物や帯と一緒に出せば、本物だという証明にもなって評価されやすくなります。
着物買取のバイセルに査定に出す
中古の着物はリサイクルショップでも売れますが、着物や帯に関しては着物買取実績が豊富なバイセルにご依頼ください。
リサイクルショップなどの買取店は、着物の価値に知見のあるスタッフが在籍していない場合が多いためしっかりと査定が行われず、枚数による重量で買取金額を決めることがあります。
加賀友禅で有名な毎田仁郎の着物や帯は、着物の専門的な知識を持った査定士以外では価値に見合う金額をつけるのは難しいです。
様々な賞を受賞している毎田仁郎が生み出した価値のある着物であるにもかかわらず、重量で査定金額を決められるのは悲しいですよね。
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