着物の「格」とその見分け方とは?着物の種類ごとの特徴を解説

2024.02.02

着物買取 コラム
着物の「格」とその見分け方とは?わかりくい種類ごとの特徴を解説
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ひとくちに「着物」と言っても、着物には非常にたくさんの種類があります。

着物は種類によって用途も異なり、式典などで着物を着用する時にはその各場面に合った種類の着物を選ぶ必要があります。

着物に馴染みがない方にとっては難しいですよね。

着物を着用する機会が減ってきた近年では、もっと着物を着用してほしいとの思いから、着物販売店等による「着物を楽しむことを重視し、面倒な決まりごとは緩和しよう」という動きもあります。

それでも、着物の種類や用途の違い、見分け方を知っていれば安心して着物を着用することができるでしょう。

そこで今回は、着物の種類や「格」と用途、そしてその見分け方についてご紹介します。

着物の選び方に迷われた際にはぜひ参考にしてみてください。

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※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。

礼装の着物の種類と見分け方

礼装の種類や着物の見分け方

着物の中でも最も格が高いとされるのが、第一礼装の着物です。

着物における「格が高い」とは、「公的な場にふさわしい」という意味です。

着物の「格」はあくまで用途を元にした分類であって、「仕立てが良い」「販売価格が高い」「買取価格が高い」といったことを表すものではありません。

第一礼装にあたる着物の種類としては、打掛・黒留袖・本振袖・喪服などがあります。

儀式や式典といった、公共性の高い場面で着用される着物です。

それぞれの特徴をご紹介します。

打掛

打掛とは、女性が結婚式で着用する着物の1つで、女性用の和装では最高格とされています。

結婚式で花嫁が着る白無垢や色打掛などがこれに当たります。

一世一代の晴れ舞台に用いられる着物です。

「小袖の上から打ち掛ける」というのが名前の由来となっています。

黒留袖

黒留袖

既婚女性の第一礼装とされている着物が、黒留袖です。

結婚式の際、新郎新婦の母親や親族の衣装として着用されることが多いです。

縫い目で途切れてしまわず、柄が一枚の絵のようにつながっている絵羽模様(えばもよう)が裾のみに描かれているのが特徴です。

振袖

振袖は、未婚女性の第一礼装とされている着物です。

裾だけでなく着物全体に絵羽模様が描かれている点が、黒留袖とは大きく異なっています。

また、振袖の最大の特徴といえば袖の長さです。

袖の長さがより長いもの(大振袖)の方が格式が高いとされます。

成人式や卒業式といった若い女性が参加する式典で着用されるほか、未婚女性の衣装であるため、結婚式で花嫁が「最後の振袖」として着用することもあります。

五つ紋の入った色留袖

五つ紋の入った色留袖

色留袖とは黒以外の色に染められた留袖のことで、黒留袖に準じた格式の着物です。

振袖に比べて、袖の部分が短くなっています。

色留袖は黒留袖と違い、未婚女性も着用することができます。

色留袖は通常は黒留袖より格が落ちるのですが、五つ紋の入ったものであれば第一礼装として着用することができます。

五つ紋とは、背中に1箇所(背紋)・袖に2箇所(袖紋)・胸に2箇所(抱紋)の計5箇所に紋が入っている着物のことです。

喪服

喪服は喪主などが着用する、弔事の際の第一礼装です。

黒一色で、五つ紋の入ったものが正式な喪服となります。

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準礼装の着物の種類や見分け方

準礼装の着物の種類や見分け方

第一礼装より格が一段落ちるのが、準礼装の着物です。

着物の種類としては色留袖・訪問着・色無地・江戸小紋の中でも紋の入ったものなど、華美な着物が多いです。

準礼装の着物は第一礼装の着物に次いで格の高い着物ですから、式典などの比較的公共性の高い場で着用されます。

色留袖

五つ紋であれば第一礼装となる色留袖ですが、紋の数が少ない三つ紋・一つ紋の色留袖は準礼装として用いられます。

三つ紋とは背紋が一つ・袖紋が二つ入った着物、一つ紋とは背紋一つのみが入った着物のことです。

訪問着

訪問着

外出着の着物の訪問着は裾全体、袖から身頃、衿から肩に掛けての柄が縫い目で途切れることなくつながっている絵羽模様が特徴の着物です。

活用の場が広く、結婚披露宴などの公的な場から、ディナーや観劇といった私的なお出かけにも使うことができます。

それぞれの用途によって、色や柄の華やかさがふさわしいものを選ぶのが良いでしょう。

一つ紋の入った色無地

色無地とは黒以外の糸で織った地紋( 織り方の組織や糸使いの変化によって織物の地に織り出した文様)の入った着物で、柄のない無地の着物です。

一つ紋の入った色無地は格が高いとされ、フォーマルな場での着用も可能です。

一方、紋の付いていない色無地は格が下がり、外出着として使われるものになりますので注意が必要です。

灰色や薄紫などの地味な色であれば、お通夜などで色喪服としても着用できます。

一つ紋の入った江戸小紋

江戸小紋とは、白糸で織り上げた白生地に、型を使って細かい柄を染める着物です。

柄が非常に細かく、遠くから見ると色無地に見えるほどです。

江戸小紋は柄によって格が異なります。

細かい点の連続が鮫肌のように見える「鮫(さめ)」・霰のような点が規則正しく斜めに並んでいる「行儀(ぎょうぎ)」・細かい正方形が縦横に整然と並んだ「角通し(かくどおし)といった柄は江戸小紋の柄の中でも「三役」と呼ばれ、格が高いとされます。

三役の江戸小紋に一つ紋を付けると、準礼装として着用することができます。

外出着の着物の種類や見分け方

外出着の着物の種類や見分け方

外出着の着物は、準礼装よりももう一段階格が低くなります。

習い事の際の衣装や観劇用の衣装、友人との食事やパーティーといった私的な外出の際の衣装としてふさわしい着物になります。

付け下げ・小紋・紬の訪問着といった種類の着物が外出着にあたります。

付け下げ

付け下げの柄は、訪問着と同様に裾全体・袖から身頃・衿から肩に掛けて描かれています。

ただし縫い目で柄が途切れずに一枚の絵のようになっている絵羽模様ではなく、簡略化されています。

一つにつながっておらず、縫い目部分に干渉しないような柄になっています。

付け下げは、訪問着より格の落ちる外出着として着用されることが多いです。

小紋

小紋

小紋とは、着物全体に同じ模様がくり返し描かれている型染めの着物です。

小紋という名前ですが柄の大きさには決まりがありません。

型染めによる同じ模様のくり返しであれば小紋と呼ばれます。

花や銀杏の葉など自然物を描いたものが多いですが、鈴などの身近な道具や、猿蟹合戦といった物語を描いたものもあります。

小紋は全般としてあまり公的でない外出の時に用いられることが多いです。

茶道などの和の習い事や、食事・観劇といった私的なお出かけの際のおしゃれ着として着用されることも多いです。

古典柄の小紋は少し格が上がるとされ、ちょっとしたパーティーやお茶会の衣装としても使うことができます。

紬の訪問着

紬は通常、普段着として用いられることが多いです。

ただし紬の中にも、花や風景といった柄が縫い目で途切れずに1枚の絵のようになっている絵羽模様の入っている訪問着があります。

絵羽模様の入ったものは、紬であっても通常の訪問着に準ずるものとして外出着の扱いになります。

御召

御召とは、先染めの絹糸を用いた縮緬(経糸にはほとんど撚りのない糸を、緯糸に強い撚りをかけた糸を使った織物)の一種です。

江戸幕府の第11代将軍・徳川家斉が好んだと言われていることが、御召という名前の由来です。

御召は格の上では外出着に分類されますが、織りの着物としては最高級とされる着物の一つです。

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普段着の着物の種類や見分け方

普段着の着物の種類や見分け方

最も格が下がるのが普段着に分類される着物です。

特別なお出かけやパーティーに用いるものではなく、日常の場面で使いたい着物です。

日常的な外出の際の衣装や部屋着として使いやすい紬や浴衣などの種類の着物が、普段着にあたります。

紬とは、蚕のくず繭を煮た真綿から取り出した糸(紬糸)で織られた着物のことです。

節のある糸で織られたことによる独特の風合いが特徴です。

先染めした糸を織り上げることで柄を表現する「絣(かすり)」という表現技法がよく用いられます。

習い事や趣味の集まり、食事に出かける時など、日常的な外出の場面で使うのに適した着物です。

浴衣

最も格が低い、つまり私的な場面で用いられるのが浴衣です。

浴衣はお風呂上りに羽織る部屋着として用いられてきました。

現代では、花火大会や夏祭りといった夏のイベントの際の衣装としても使われます。

男性の着物の種類

男性の着物の種類

着物は特に女性用のものに多様な種類がありますが、男性の着物にももちろん種類や格のことなる着物の種類があります。

では、男性用の着物の種類はどのようになっているでしょうか。

それぞれの特徴や格式についても詳しく見ていきましょう。

黒羽二重五つ紋付・色紋付

礼服として着用できる着物は、黒羽二重五つ紋付と色紋付の二つです。男性の着物の中で最も格式が高い黒羽二重五つ紋付は、慶事や弔事、式典など、さまざまなシーンで着用できます。

とくに、結婚式で新郎や仲人が着用する衣装としても広く知られています。近年では和装での結婚式の人気が高まっており、黒羽二重五つ紋付の需要が高まっています。

一方、色紋付は、黒羽二重五つ紋付と比べると少し格の低い着物にあたりますが、フォーマルなシーンでも着用可能です。

しかし、色紋付は女性の「色留袖」と同格にあたるため、披露宴のお色直しや二次会などで着るのが一般的でしょう。また、それほど格式を重んじない場であるなら三つ紋でも良いとされ、羽織紐や半衿、帯なども着物の色に合った好きな色を選ぶこともできます。

そのため、個性的な装いをしたい男性にも適した着物だと言えるでしょう。

お召一つ紋付

お召一つ紋付は、縮緬から作られた絹織物からできた着物で、準礼装として使用されます。ハリのある素材が特徴で、着崩れしにくいこと、しわになりにくいことも魅力だと言えるでしょう。

また、三つ紋や一つ紋がある場合は格が上がり、女性の紋付の「色無地」や「訪問着」と同格になります。改まった場へ訪問する際や、結婚式に招待された際に適切な装いになるため、多くのシーンで活躍してくれます。

紬は、最も格式の低い着物のため礼装には含まれません。袴や羽織を着用せず、普段着やちょっとした外出着としての装いをすることもできます。外出着として着用する際には羽織を合わせ、招待された際には袴を着用すると良いでしょう。

また、無地や縞、絣の織りを楽しめる結城紬や大島紬などを着用し、趣味として楽しめる点もポイントです。

着物の種類と用途をおさらい

着物の種類と用途をおさらい

代表的な着物の種類と用途について、一覧表でおさらいしておきましょう。

ただし、パーティー等の性質によっても変わってきますので、あくまで参考程度にしておいてください。

黒留袖 色留袖 振袖 訪問着 付け下げ 色無地 小紋 御召
ホテルでの結婚披露宴 × × ×
レストランでの結婚披露宴 × ×
華やかなパーティー × ×
カジュアルなパーティー × × ×
お茶会 × ×
入学式・卒業式・七五三 × × × × ×
ディナー × × × ×
ランチ × × ×
お稽古 × × × × ×
観劇・コンサート × × ×
展覧会・鑑賞会 × × × ×
旅行 × × × × ×

上の図から、それぞれの着物の種類には向いている場面もあれば向いていない場面もあることが分かります。

例えば、結婚式には留袖がふさわしいですが、紬はふさわしくありません。

一方、ランチや旅行の場面ではカジュアルな紬はふさわしいですが、留袖はフォーマルすぎでふさわしい着物ではありません。

お持ちの着物の向き不向きを大まかに把握しておけば、着物を選ぶ際の不安はかなり軽減されるのではないでしょうか。

着物の種類以外に格を左右する要素は

着物の種類以外に格を左右する要素は

着物の種類による格や用途の違いを見てきましたが、着物の種類以外にも着物の格を左右する要素があります。

着物の格に影響する4つのポイントを順に見ていきましょう。


・染めの着物は織りの着物より格が高い
・紋の数が多い方が格が高い
・裾部分のみに柄が入っているものは格が高い
・古典文様は現代的な模様より格が高い

染めの着物は織りの着物より格が高い

着物は染め方によって染めの着物と織りの着物に分かれます。

染めの着物とは、白糸で織り上げて白布にしてから染めることで、色や柄をつけた着物のことです。

織りの着物とは、あらかじめ染めた糸を使って織り上げることで、色や柄を作る着物のことです。

一般に、他の条件が同じであれば、染めの着物は織りの着物より格が高いとされています。

例えば、絵羽模様が描かれた礼装用の織りの着物もあるのですが、同様に絵羽模様の入った染めの着物に比べると格は下がります。

紋の数が多い方が格が高い

着物に入れる紋の数には、五つ紋・三つ紋・一つ紋の3種類があります。

最も格が高いのが紋の数が多い五つ紋で、三つ紋、一つ紋と紋の数が減るにしたがって格は下がります。

新郎新婦の母親などが着る黒留袖や弔事に着る黒喪服には、白く染め抜きにした日向紋が五つ入ります。

着物の種類によっては、あえて紋の数を増やさずに格を下げることで着やすくする場合もあります。

例えば、色無地には一般的に三つ以上の紋を入れません。

裾部分のみに柄が入っているものは格が高い

裾部分のみに柄が入っているものは格が高い

着物は柄の入り方でも格が異なってきます。

黒留袖や色留袖のように、裾部分だけに柄が入っているものは格が高いとされています。

また、縫い目をまたいで絵画のように柄付けされた絵羽模様の着物は、縫い目をまたがないように柄付けされている着物より格が高くなります。

古典文様は現代的な模様より格が高い

着物は模様によっても格が異なってきます。

伝統ある吉祥文様・正倉院文様・有職文様といった文様は格が高い文様とされています。

吉祥文様は、鶴や亀・松竹梅・七宝といった縁起がいいとされる動植物や物品が描かれます。

正倉院文様は奈良・東大寺正倉院に伝わる工芸染織品に多く見られ、鳳凰や竜といった想像上の生き物も描かれることがあります。

公家の装束や調度などに使われてきた有職文様には、中に花火師の入った亀甲形を上下左右につないだ亀甲花菱・流れる雲の中を飛翔する鶴を描いた雲鶴・菱形の花の周囲を葉が襷状に囲んだ小葵などがあります。

どれも長い伝統があり、格が高いとされる文様です。

反対に、現代的な模様や遊び心のある柄の着物は礼装には向かないでしょう。