東山魁夷作品の買取相場は?高く売れる作品の特徴も解説
2022.05.18
骨董品買取
東山魁夷(ひがしやまかいい 1908-1999)は、昭和を代表する日本画家です。
穏やかで清らかな詩情を感じさせる独自の画風で描いた風景画は多くの人の心を捉え、美術品買取市場においても高値で取引されるケースは多いです。
東山魁夷の魅力や代表作に加え、作品の買取相場、高く売れる作品の特徴、おすすめの買取業者の選び方、少しでも高く売るためのポイントなどをご紹介します。
目次
東山魁夷ってどんな人?

東山魁夷は昭和を代表する日本画家のひとりです。
1908年に横浜の船具商を営んでいた両親のもとに生まれ、13歳の頃に画家を志します。
東山魁夷は、芸術の名門でもある東京美術学校を卒業した後、美術史を学びにドイツのベルリン大学へ留学しました。
1935年に帰国し、政府が主催する美術展覧会である官展に出品を続けるも、なかなか入賞することができませんでした。
しかし、1947年についに入選したのが、日展に出展していた「残照」でした。
「残照」は、制作当時の彼の沈んだ気持ちと、千葉県鹿野山で見た残照の景色が重なっていたことから出来上がった作品です。
これを機に東山魁夷は風景画家となり、日展での活躍を主に、日本芸術院賞・毎日芸術大賞など数々の賞を受賞しました。
東山魁夷の魅力
東山魁夷の魅力は「自分自身の心情を自然の中に表現することが非常に優れた画家である」という点でしょう。
東山魁夷の作品は主に風景画ですが、その何気ない風景や自然を題材に、自分の心を重ねて表現しています。
そのため、幻想的で現実世界とは少しかけ離れたような、神々しさが感じられる画になります。
これは、東山魁夷が風景画という作品のなかに人生のすべてをぶつけていたからこそ、生み出される特徴と言えるでしょう。
なお、戦後から東山魁夷が暮らしていた千葉県市川市には、東山魁夷記念館が建てられ、多くの作品が展示されています。
東山魁夷の代表作

東山魁夷は文化勲章も受章した人気作家で、有名な作品も多いです。
美術品買取市場において高い価値の付く作品も少なくありません。
ここでは、東山魁夷の代表的な作品をご紹介します。
残照
「残照」(1947年)は、東山魁夷の名を世に知らしめるきっかけとなった代表作品です。
この作品のモチーフとなった鹿野山の山頂からの眺めは、戦争や身近な人の死、更には空襲で家までも失った彼の当時の心境と重なったと言います。
よく見るような風景だからこそ、生きていることを実感できるような東山魁夷の素直な気持ちが伝わるような作品です。
東京国立近代美術館に所蔵されている作品のため買取市場で出会うことはありませんが、東山魁夷を語るうえで外せない作品と言えるでしょう。
白馬の森
「白馬の森」(1972年)は、富士山五合目を題材とした幻想的な作品で、「白い馬シリーズ」のひとつです。
「白い馬シリーズ」では、風景画に溶け込むようにさりげなく馬が配置されていることが多いのですが、「白馬の森」では馬が主題として大々的に描かれている点が特徴と言えるでしょう。
こちらも長野県信濃美術館に所蔵されている作品のため買取市場で出会うことはありませんが、「東山ブルー」と称される深い青色が、東山魁夷の特徴をよく表した作品と言えます。
緑響く
「緑響く」(1982年)は、信州・八ヶ岳にある御射鹿池(みしゃかいけ)が舞台となった作品で、CMなどでも使用されたことがあります。
「白馬の森」と同じ「白い馬シリーズ」のひとつで、緑の大自然の中に白馬を描き、自然の雄大さとその生命の尊さを感じさせる素晴らしい作品となっています。
非常にシンプルな作品でありながら、風景画の中に自らの心情を映し出す技量はまさに昭和を代表する画家の名にふさわしいと言えるでしょう。
こちらも長野県信濃美術館に所蔵されている作品のため、買取市場で出会うことはないでしょう。
東山魁夷作品の買取相場

東山魁夷作品には美術館レベルのものも数多く、作品によっては買取市場では出会うことが出来ないものも多いです。
しかしながら、リトグラフ・シルクスクリーンなどの版画作品を中心に、買取市場で取引されている作家でもあります。
東山魁夷作品の買取相場は、作品の種類によって非常に幅が広くなっています。
例えば肉筆の作品と版画の作品では、買取相場も異なってくることがあります。
最も買取相場が高くなるケースとして、東山魁夷作品の中でも人気や希少性が高く、保存状態が良いものでは1,000万円ほどの買取価格がつく場合もあるでしょう。
ただし、これはあくまでも特に高く買取してもらえる作品で、保存状態が良いなどの場合です。
実際の買取価格とは異なる可能性がありますので、参考程度と考えてください。
また、東山魁夷の作品にはレプリカ(複製品)が多く存在しますが、人気の高い東山魁夷作品にはレプリカであっても需要が発生する場合があります。
有名作家が手掛けたレプリカであるなど、美術的価値が認められれば買取に出せることもあるでしょう。
東山魁夷の作品をお持ちで具体的な買取価格が知りたい方、あるいはレプリカかどうか知りたい方は、骨董品買取のバイセルに査定を依頼してみることをおすすめします。
東山魁夷の査定ポイントと高く売れる作品の特徴

東山魁夷作品の買取価格を左右する大きなポイントに、「作品の種類(技法)」と「モチーフ」があります。
それぞれの観点から、どのような作品が高く買取されやすいのか見ていきましょう。
作品の種類(技法)
東山魁夷作品には大きく分けて、日本画・水彩画・版画の3つの種類の作品があります。
美術館クラスのものも多い日本画、買取市場で出会うことの多い版画などについて、それぞれ特徴や価値を見ていきましょう。
日本画
日本画は、岩絵の具を使い、日本の伝統的な様式に則って描かれた作品です。
東山魁夷の作品の中でも、特に価値が高いとされるものには日本画が多いです。
ただし、一級品は美術館に所蔵されている事も多く、買取市場で出会える機会は少ないかもしれません。
もし買取に出された場合には、状態が良ければ高値がつく可能性も高いと言えるでしょう。
水彩画
水彩画は、紙にデッサンと水彩で描かれた作品です。
東山魁夷の場合には日本画に比べると描き込みが弱いものが多く、下絵のような扱いになるケースもあります。
ただし、中には日本画のようにしっかり描いてある水彩作品もありますので買取価格は図柄次第です。
版画
東山魁夷の版画作品は木版・リトグラフ・シルクスクリーンといった様々な技法を使って制作されていますが、買取価格を大きく左右するのは作品が「オリジナル」か「新復刻」かです。
「オリジナル」とは東山魁夷の生前に、本人の許可を得て刷られた作品のことです。
東山魁夷の版画作品の中では、高く買取されやすいのがこの「オリジナル」です。
オリジナルの版画作品には東山魁夷自身のサインやエディションナンバーが入っていることが多く、見分ける際の目安になります。
「新復刻」とは東山魁夷の没後、妻である東山すみの監修のもとで制作された作品です。
同じ図柄のものであっても、「オリジナル」と比べて買取価格は低くなりやすいです。
モチーフ
東山魁夷に限らず、その作家の代名詞とも言えるようなモチーフが描かれた作品は高く買取されやすい傾向があります。
東山魁夷の場合に高く買取されやすいモチーフと言えば、「東山ブルー」と呼ばれる深い青で描かれた森林や、そこに白馬や湖などをあしらった風景でしょう。
このような作品をお持ちなら、ぜひ試しに骨董品買取のバイセルに査定を依頼し、価値を確かめてみてください。
東山魁夷作品を高く売るコツ

価値がある東山魁夷作品を買取に出すのであれば、どうせなら少しでも高く売りたいですよね。
東山魁夷作品をより高く売るために知っておきたいポイントを、大きく3つに分けてご紹介します。
・骨董品専門の買取業者に売る
・付属品を揃える
・保管に気を付けておく
骨董品買取のバイセルに売る
東山魁夷作品の正しい価値は上述した通り、作品や制作年代、本体の状態などの細かいポイントを評価して割り出します。
そのため、東山魁夷作品や絵画に関して熟知している人でないと、正しい価値は割り出せないとも言えます。
そのため、東山魁夷作品を本来の価値に見合った価格で売りたいなら、骨董品専門の買取業者がおすすめです。
骨董品専門の買取業者であれば、東山魁夷作品や絵画に関する専門知識や買取経験が豊富な査定員が在籍しているでしょう。
東山魁夷作品の買取価格については最も信頼性が高いと言えます。
付属品を揃える
東山魁夷作品を買取に出す際には、作品本体のほかに付属品を揃えておくことをおすすめします。
絵画の付属品には、証明書や鑑定書、箱などがあります。
これらの付属品は、お持ちの絵画が本物の東山魁夷作品であることを証明するためにも非常に重要です。
東山魁夷作品の鑑定では、東京美術倶楽部による鑑定書が信頼性が高いとされます。
さらに、これらの付属品が揃っているほど、骨董コレクターからの需要は高まるため、買取額も上がる傾向にあります。
家で飾るからと言って箱などを捨てたりせずに、買取時のことも考えてとっておきましょう。
また、絵画につきものの付属品として額縁もありますが、額縁ごと買取に出すことで「そのまますぐ飾りたい」という買い手の需要に応えられるため、査定評価が上がるケースもあります。
保管に気を付けておく
東山魁夷作品をはじめとする絵画は、本体の状態が綺麗なほど買取額が高くなる傾向にあります。
そのため、所有時にどのように保管していたかが買取価格に関わってきます。
絵画のおすすめの保管場所は、カビ・シミ予防の観点から湿気を避けられる、風通しの良い場所です。
また、保管時は作品を箱や袋に入れ、縦に立てて置きましょう。
水平に重ねると、下の方の箱や箱の中の作品が変形してしまう恐れがあります。
作品を飾っている場合も、定期的にホコリを振り払うなどのお手入れを怠らないようにしましょう。
東山魁夷作品を安心して売れる買取業者の選び方

東山魁夷作品を売るなら、骨董品専門の買取業者がおすすめでした。
しかし「骨董品専門の買取業者」とひと口に言っても、大手企業が運営するところから個人経営の小型店舗まで数多く存在します。
ではその中でも、具体的にどのような業者なら東山魁夷作品を安心して売ることができるでしょうか。
おすすめの買取業者を見極めるための3つのポイントをご紹介します。
・買取実績を公開している
・出張買取を選ぶことができる
・各種手数料を無料としている
買取実績を公開している
買取実績をホームページなどで公開している買取業者であれば、公開していないところに比べて安心して買取に出せるでしょう。
東山魁夷をはじめとした絵画作品の買取実績を多く持つ買取業者であれば、それだけ多くの人から選ばれているということでもあります。
また、買取例や利用者の声などが多く公開されていたら、おおよそではありますが実際に買取に出す際の参考になるかもしれません。
また、あくまで例とはいえ買取実績を公開しているわけですから、「状態が良ければそれぐらいの価格をつけます」という自信の表れでもあるでしょう。
出張買取を選ぶことができる
買取業者が提供している買取方法には大きく分けて「持ち込み買取」「宅配買取」「出張買取」の3つがあります。
どの買取方法を提供しているかは業者ごとに異なるのですが、東山魁夷を含む絵画の買取については出張買取が最も適しています。
そのため、出張買取を選ぶことのできる買取業者を利用するのがおすすめです。
出張買取とは、査定員が利用者の自宅を訪問し、その場で査定・買取してくれる買取方法です。
利用者は、家から出ずに自宅にいながら査定を受けることができます。
絵画は、大きかったり重かったりすることが多いため、自分で持ち運ぶには手間や労力がかかります。
また、持ち込み買取や宅配買取などを利用した際、運んでいる途中に作品が傷付つく可能性がゼロではありません。
傷や汚れがついたら査定評価が下がってしまいますので、無事に買取店まで運べるか気を張ることになるでしょう。
出張買取であれば、作品が今ある状態から価値を下げることなく、自宅で査定が受けられます。
特に「複数の作品を売りたい」「査定に出したい作品のサイズが大きい」という人は、出張買取の利用が好ましいでしょう。
各種手数料を無料としている
買取業者の中には、サービス利用時に査定料・キャンセル料・出張買取の出張料といった手数料がかかるところがあります。
手数料の有無や金額は業者によって異なりますが、せっかく価値のある東山魁夷作品を売っても、手数料が引かれてしまっては手にできる買取金額は目減りしてしまいます。
また、「実際に買取に出す前に査定で価値を確かめてみたい」と思っても、いちいち手数料がかかってしまっては安心して利用することができません。
そのため、査定料・キャンセル料・出張料といった各種手数料を無料にしている買取業者を利用するのがおすすめです。
費用の心配をすることなく、売るかどうかを慎重に考えることができます。
なお、各買取業者が設定している手数料については、買取業者のホームページ等で確認することができます。