金のインゴット(金の延べ棒)とは?種類やサイズ・ブランドをご紹介

金のインゴット(金の延べ棒)とは?種類やサイズ・ブランドをご紹介
金のインゴットを売却したいです。いくらになりますか?
金の価格は日々変動しているため、査定当日の金レートやインゴットの重量によって買取価格は変わります。金買取の専門知識を持ったバイセルの査定士が拝見しますので、まずはお電話・メールよりお問合せ下さい。
自宅を整理していたら金の延べ棒が出てきました。価値はつきますか?

「金」と言えばジュエリーなど様々な形がありますが、「金の延べ棒」を想像する人も少なくないのではないでしょうか。

よくドラマで見るレンガのような形をした金の塊や、金の延べ棒のことを「インゴット」といいます。

あの金のインゴットはどれくらいの重さで、どのような種類があるのでしょうか。

また、金インゴットの表面に刻印してある「999.9」の数字や、さまざまなマークにどういった意味があるのでしょうか。

金インゴットがなぜ資産運用に人気なのか、金インゴットの購入方法、金インゴットを所有するうえでの注意点など、インゴットに関する様々な情報をご紹介します。

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※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。

 

金の「インゴット」とは

金の「インゴット」とは

一口にインゴット、といっても素材がアルミニウムもあれば、銀やプラチナも存在しています。

金のインゴットは「ゴールドバー」「金地金」とも呼ばれており、精錬した純度の高い金を鋳型に流し込んで固めて延べ棒の形にします。

インゴットは純粋な金として資産や取引などに使われることが多いものとなっています。

ここではインゴットの種類や純度、価格について見ていきましょう。

金インゴットの種類と重さ

金のインゴットは重量別に10種類存在します。

  1. ラージバー:12.5kg
  2. キロバー:1kg
  3. グラムバー:500g
  4. スモールバー:300g
  5. スモールバー:200g
  6. スモールバー:100g

よく映画やドラマで見る、どんと積み上げてあるようなインゴットは、1kgサイズのものです。

最も大きなラージバーと呼ばれるインゴットは、ロンドン金市場で取引されるもので、普段あまり目にすることはありません。

金インゴットの純度

金には純度があります。

金は純度が高いほど高価となり、混じり気なしの純度100%のものは純金と呼ばれます。

JIS(日本工業規格)、およびISO(国際標準規格)により、金の純度は千分率で表されています。

日本では99.99%以上の純度の場合が純金とされ、インゴット表面にはそれを示す999.9(99.99と同じ)と刻印が入っています。

純金ならば1000ではないのか?と不思議に感じますが、実際には表面が剥き出しである限り、完全に混じり気のない物質を精製することは困難が生じます。

そのために999.9という表示の刻印となっているのです。

ただし、完全に混じり気のない金を作るのは困難だとしても、純度の低い粗悪品がインゴットとして出回ってしまっては金の価値や信用を落としてしまう恐れがあります。

こうしたリスクを避けるために、代表的な金の取引市場ではインゴットに関する各種規格が設けられています。

また溶解業者や品質保証評者など、細かな認定リストも定められています。

こうした「規格・条件を満たしていなければ市場を通じて取引できない」という仕組みによって、インゴットの純度と信用が守られているのです。

インゴットと地金の違い

「インゴット」に近い言葉としてよく目にするのが「地金」ではないでしょうか。

金の地金であれば「金地金」、プラチナの地金であれば「プラチナ地金」のように呼ばれます。

「地金」も金属を精錬して固めたものという意味では同じなのですが、地金は主に金属の原材料を示すための言葉です。

インゴットが資産としての保有を目的に製造されたものであるのに対して、地金はアクセサリーなども含む金属製品を作成する前の素材全般を意味しています。

そのため、インゴットのように形が整っていなくても「地金」と呼ぶことができます。

地金は日本工業規格(JIS)において規格が定められています。

この規格では地金の成分については細かいルールがあるものの、形状に関する規定はなく、どんな形でも、例えば小さな粒状の金であっても金地金と判断されます。

そのため、「地金」は「インゴット」よりも幅広い状態を指し、「インゴット」は「地金」の一部と言えるでしょう。

また、以下のような区分によって一次地金と二次地金に分けられています。

  1. 一次地金:鉱石から精錬されたもの
  2. 二次地金:スクラップからリサイクルしたもの

投資や買取の分野ではほぼ同義として扱われがちな「インゴット」と「地金」ですが、正確にはこのような違いがあります。

プラチナ・シルバー・パラジウムのインゴットもある

最も人気の高いインゴットはやはり金ですが、金以外にもプラチナ・シルバー・パラジウムなどのインゴットもあります。

プラチナは貴金属の中でも採掘量が少なく、希少性が高いです。

希少性から言えば高い価値がつきそうなプラチナのインゴットですが、プラチナは工業用として多く使われるため、景気低迷によって産業が落ち込むとインゴットの価格にも大きく影響してしまうという弱点があります。

社会情勢の動きによる安定性が低いことから、プラチナのインゴットの需要は金に及びません。

シルバーは金やプラチナと比較すると錆びやすい傾向にあり、長期的な保管が求められるインゴットとしての需要はそれほど大きくありません。

ただし、シルバーは半導体や太陽光電池にも使われるため、「工業用での需要の高まりから価値が上昇する」といった予想でシルバーに投資するという動きもあります。

パラジウムは取引量の少なさから希少価値があり、パラジウムのインゴットにはその点を見込んでの需要があります。

金インゴットはなぜ資産運用に人気なの?

金インゴットはなぜ資産運用に人気なの?

金インゴットは世界中で、実物資産としての高い人気があります。

なぜそんなにも世界中で愛されているのか、理由を考えてみましょう。

資産価値が安定している

金インゴットの資産としての魅力は、なんといっても価値が安定していることでしょう。

現預金・株式・債権などの金融資産は、所有している通貨の価値や、その国の経済状況に左右されます。

例えば日本円の金融資産を持っていたとすれば、日本の不景気・円安・インフレなどの影響を大きく受けてしまいます。

その点、世界的に需要の高い金インゴットなら、ある地域の情勢不安や金融不安には左右されにくいのです。

また、過去には世界恐慌やリーマンショックのように、世界的に金融不安に陥ったこともありますよね。

そんな時には、金はむしろ金融資産からの乗り換え先として需要を増すほどです。

このように金インゴットは大幅な値崩れを起こす可能性が低いため、リスクヘッジとして持っておきたい資産なのです。

いつでも換金できる

実物資産の中でも、金は流動性が高いと言えます。

例えば不動産なら、売るためには「その場所に土地や建物が欲しい」という人を見つけなければなりませんし、複雑な手続きが必要です。

金なら世界中から需要があり、金を扱う業者ですぐに売ることができます。

この「必要な時にすぐ換金できる」というのも、実物資産としての金の強みです。

節税対策にもなる

金のインゴットは価値が安定しているため、「今売ってしまわないと価値が下がってしまう」といった心配が少ないです。

そのことが、実は節税対策にも繋がります。

資産を売却するとき、一度にたくさん売って大きく利益が出ると、所得税もそれだけかかってしまいます。

価値の安定した金のインゴットであれば細かく分割して売却しても損をする可能性が低いので、小分けに売ることで節税をすることが可能です。

また、資産を贈与するさいにも、金インゴットを小分けに贈ることで贈与税を節税できます。

生前にそうやって少しずつ贈与しておけば、相続税の節約にもつながるでしょう。

金のインゴットの刻印

金のインゴットの刻印

ここからは金のインゴット表面に刻印してある数字や意味などについて詳しく見ていきましょう。

金のインゴットには表面に刻印が入っています。

刻印はインゴットの価値を示しており、刻印方法は金の製造をしているブランドによって異なります。

今回は一般的なインゴットに刻印されている項目を紹介しますので、確認していきましょう。

金塊番号

商品管理をするうえでつけている連続した番号です。

この番号は世界で一つだけとなっており、偽物の取引を規制しやすくなります。

商標

金地金を製錬した業者の登録マークです。

日本の代表的な製造ブランドとしては三菱マテリアルや三井金属鉱業などがあり、それぞれの企業のマークが刻印されています。

重量表示

重さを示しています。

製造ブランドによってはg表記やkg表記で重さが刻印されている場合があります。

素材表示

FINE GOLD(純度の高い金)の表示が入っていますインゴットも存在します。

FINE GOLDと刻印されているインゴットは純金であることを示します。

製錬 分析者マーク

インゴットのなかには製錬・分析者マークが刻印されているインゴットもあります。

意味としては「MELTER」は製錬業者、「ASSAYER」は検定分析業者のことを指します。

品位表示

金の純度のことです。

日本の市場に出回るインゴットは金の純度が99.99%以上のものになります。

そのため日本で目にするインゴットには999.9の刻印が刻まれており、純金であることを意味しています。

金のインゴットには品質を保証する機関がある

金のインゴットには品質を保証する機関がある

金インゴットは投資商品として大変人気がありますが、それには純度や重量などの品質が保証されていることが前提になってきます。

そんな金インゴットの品質を保証してくれる世界的な審査機関が、「ロンドン貴金属市場協会(LBMA)」です。

ロンドンは世界の金取引市場の代表的な都市です。

LBMA(ロンドン貴金属市場協会)では、「ロンドン金市場受渡適合品」と呼ばれる規格が定められています。

そしてこの金のインゴットの規格について厳しく管理を行なっており、LBMAによるチェックをクリアできた企業のみが公認溶解業者として登録されます。

LBMAで認められた公認溶解業者が精錬するインゴットが、GDB(グッド・デリバリー・バー)と呼ばれ、国際的に通用する金インゴットとして認められるのです。

この保証機関の存在によって偽物や品質の低い金インゴットが出回ることを防ぎ、金取引の活性化につながっています。

金のインゴットのブランド

金のインゴットのブランド

ロンドン貴金属市場協会(LBMA)から認定を受けた企業は、精錬・分析・製造において信用に足る会社といえます。

LBMAから認定を受けた企業が精錬する金のインゴットはGDB(グッド・デリバリー・バー)と呼ばれるブランドとなり、GDBインゴットを精錬することができるブランドメーカーには下記のような会社が挙げられます。

国内のゴールド公式国際ブランド

  1. 住友金属鉱山
  2. 日鉱金属 日立製作所
  3. 田中貴金属工業
  4. 三井金属鉱業
  5. DOWAメタルマイン
  6. 徳力本店
  7. 三菱マテリアル
  8. 古河メタルリソース
  9. 松田産業
  10. 日鉱金属 佐賀関製錬所
  11. アサヒプリテック
  12. 石福金属興業
  13. 中外鉱業
  14. 日鉱製錬
  15. 日本マテリアル
  16. パンパシフィック・カッパー

海外のゴールド公式国際ブランド

  1. Asahi Refining Canada(カナダ)
  2. Asahi Refining USA(アメリカ)
  3. Comptoir Lyon Alemand Louyot(フランス)
  4. Credit Suisse(スイス)
  5. Degussa AG(ドイツ)
  6. DEGUSSA SINGAPORE(シンガポール)
  7. Engelhard(イギリス)
  8. Engelhard-CLAL(イギリス)
  9. Engelhard-CLAL(フランス)
  10. GOLDEN WEST REFINNING(オーストラリア)
  11. Johnson Matthey(オーストラリア)
  12. Johnson Matthey(カナダ)
  13. Johnson Matthey(香港)
  14. Johnson Matthey(イギリス)
  15. Johnson Matthey(SLCアメリカ)
  16. LG Metals(韓国)
  17. LG-NIKKO(韓国)
  18. LS-NIKKO(韓国)
  19. METALOR(香港)
  20. METALOR(シンガポール)
  21. METALOR(スイス)
  22. Metalor U.S.A.(アメリカ)
  23. Navoi Mining and Metallurgical Complex(ウズベキスタン)
  24. PAMP(スイス)
  25. PERH MINT(オーストラリア)
  26. Rand Refinery(南アフリカ)
  27. Royal Canadian Mint(カナダ)
  28. Swiss Bank(スイス)
  29. UBS AG(スイス)
  30. Umicore(ベルギー)
  31. Union Bank of Switzerland(スイス)
  32. Valcambi S.A.(スイス)

金インゴットはどのように購入・保管する?

金インゴットはどのように購入・保管する?

金インゴットが欲しいと思った場合、具体的にはどのように購入すれば良いのでしょうか。

金インゴットの購入方法には大きく分けて2つあります。

それぞれどのような特徴やメリットがあるのかを解説します。

また、購入した金インゴットの保管方法についても代表的なものがいくつかありますのでご紹介します。

金インゴットを直接購入する

金のインゴットは、貴金属店や地金商、精錬会社や銀行などの店舗で直接購入することができます。

また、店舗を訪問せずに、インターネットで購入することも可能です。

たいていの店舗では、1gあたりの販売価格を設定し、グラム単位で販売しています。

通常、金の取引価格は世界共通であり、国内で販売されるときの値段も大きくは変わりません。

どこの店舗で購入するとしても、当日の取引相場を反映した価格で買えると考えられます。

金インゴットを直接購入した場合の保管方法としては、自宅の金庫で保管する方法が考えられます。

自宅で保管するのが不安な場合には、銀行の貸金庫や保管業者を利用する方法もあります。

金インゴットを純金積立で購入する

金のインゴットを購入するもう1つの方法として、純金積立があります。

毎月一定額の金を長期間にわたって購入し続けるという方法です。

まとまったお金が無くても始められる、長期間続けることでドルコスト平均法によって価格変動リスクを低減できるといったメリットがあります。

保管については、純金積立ではインゴットを手元には置かず、自動的に業者に預けることになります。

その際、保管の委託方法を「特定保管」と「消費寄託」の2種類から選ぶことができますが、それぞれメリット・デメリットがあるため注意が必要です。

特定保管

特定保管とは、購入したインゴットをそのまま業者に保管してもらうサービスです。

単に保管を依頼するだけですので、仮に業者が倒産した場合でもすべてのインゴットが返却されます。

預けていても利息などは発生しませんが、必ず返却してもらえる安全性の高い保管方法です。

消費寄託

消費寄託とは単に金インゴットを保管してもらうのではなく、業者が顧客から預かった金インゴットを運用し、その運用益の一部を顧客に還元するというサービスです。

ただし、消費寄託は不規則寄託とも呼ばれ、「預けたインゴットと同種・同等・同量の現物を後日返還すれば良い」という特殊な契約になっています。

つまり、預けた金インゴットの現物の所有権は保管業者に移り、後日に同種・同等・同量の金を別のところから持ってきて返還する、という仕組みです。

大きなデメリットとしては、預けた金の所有権は保管業者に移っているため、もし業者が倒産した場合には、預けた金インゴットが返却される可能性が低い点があります。

利息がつかない貴金属の弱点を補えますが、利用する際には業者の倒産リスクについても考えておきましょう。

金インゴットを所有するにあたっての注意点

金インゴットは偽物に注意

金インゴットは資産価値が非常に安定しており、実物資産として保有するのに大きなメリットがあります。

しかし、金インゴットを所有するにあたっては注意したいポイントもいくつかあります。

  1. 現物購入にはまとまった費用が必要になる
  2. 精錬加工にお金がかかる
  3. 売る時には税金に注意
  4. 所有していても利益は生まない
  5. 盗難に注意
  6. 偽物に注意

それぞれ解説していきます。

現物購入にはまとまった費用が必要になる

金インゴットには決まった重さがあるため、現物購入しようとするとまとまった費用が必要になります。

そのため、純金積み立てのように「毎月いくらかずつ投資したい」という人には向きません。

また、一度にまとまったお金を払う必要があるため、ドルコスト平均法を使えないというデメリットがあります。

精錬加工にお金がかかる

金をインゴットの形に加工することを「精錬加工」と言いますが、これには安くない費用がかかります。

例えば、「1kgの金インゴットを持っているが、一部だけ売りたいので100gずつに分割しよう」と考えると、業者にもよりますが数万円では済まないぐらいの費用がかかります。

金の現物を所有することになるため、そういった融通が効きにくいという点は、デメリットの1つかもしれません。

売る時には税金に注意

金インゴットを売る際には、税金がかかる可能性があるため注意が必要です。

インゴットの売却は税法上は「譲渡」とみなされ、売却価格が買った時の価格よりも高くなっていると譲渡所得として課税対象になります。

売却記録の資料が取り扱い業者から税務署へと報告されますから、その年の確定申告で漏れなく届け出る必要があります。

大量のインゴットを一度に売却しようとしますと、驚くほど高額の納税を求められる可能性もあります。

このような場合には、インゴットを小分けにして少しずつ売却するなどの工夫も必要になるでしょう。

所有していても利益は生まない

例えば株式なら配当、債権なら利息と、持っているだけで利益を生んでくれる投資商品もあります。

その点、金インゴットは持っているだけでは利益は生みません。

また、価値が安定しているため、短期間で価値が大きく上がり下がりする可能性は低く、デイトレードのような投機には適しません。

金インゴットは資産の保全という意味では優秀ですが、投資目的によっては向かない場合もあります。

盗難に注意

金インゴットを自宅等に保管している場合、最も危険なのが盗難です。

金インゴットは現物そのものに価値があるため、盗まれてしまってはどうしようもありません。

「自宅の金庫に金インゴットがある」という光景は壮観ではありますが、金の取り扱い業者に保管を依頼するなどした方が安心でしょう。

偽物に注意

金インゴットは非常に価値が高いため、残念ながら偽物も多く存在してしまっています。

以下のような特徴があれば、その金インゴットは偽物の可能性があります。

  1. 刻印されている重量と1g以上の誤差がある
  2. 刻印の仕上がりが雑に見える
  3. 磁石を近づけるとくっつく

ただし、これらは自宅等でできる簡便な方法であり、偽物を確実に見分けられるものではありません。

確実に見分けたい場合には、金を取り扱う専門の業者に検査してもらうのが良いでしょう。

金インゴットの作り方

金インゴットの作り方

金インゴットはどのように作られているのでしょうか。

普通に考えれば「鉱山から金を採掘して成形する」というのが一般的でしょうか。

しかし実は、地表近くの金はすでに随分掘り尽くされているため、採算が取れるように新たに金を採るというのが、以前より難しい状況になっています。

こうした中で注目されているのが、処分されたスクラップの金製品から金を取り出し、インゴットを作る方法です。

採掘が難しい日本でも、実際にこの方法でインゴットが作られています。

具体的な手順について見ていきましょう。

①回収

現代の我々の生活に欠かせないスマートフォンやパソコンには、半導体が用いられていて、その中には金が豊富に含まれています。

このような半導体のスクラップのほか、使わなくなった貴金属ジュエリーや工場の廃液などからも金が回収されます。

②1度溶かしてから再び固体に戻す

スクラップから取り出された金製品はさまざまな形をしているため、一度すべてを溶かして、再度固体に戻すための作業を行います。

王水と呼ばれる非常に強力な酸で金を溶かし、還元剤を入れて固体粉末に戻します。

③ろ過と乾燥

金の固体粉末を含んだ液体をろ過することで、金の結晶粉末のみを取り出すことができます。

金以外の成分は液体に流れ出しているため、取り出した金は99%を超える高純度です。

この粉末を乾燥させることで、金の粉末が完成します。

④もう一度②と③を繰り返す

99%以上の純度では、まだインゴットには適していません。

さらに純度を高めるために、「王水で溶かす→ろ過する」という作業を再度行います。

これを繰り返して99.99%以上まで純度を高め、インゴットとしての規格に適合させていきます。

⑤粉末を粒にする

粉末状の金を溶かして、固体にしていきます。

金を溶かすためには1064℃以上で加熱し、即座に冷却しなければなりません。

この作業で粉末は固体に変化し、数ミリサイズの粒状となります。

⑥粒をインゴットに成形する

数ミリサイズの粒を再び1000℃以上で加熱すると、ドロドロの状態に変化します。

この状態で鋳型に流し込むことでよく目にするインゴットの形となり、冷えて固まれば純度99.99%の純金インゴットが完成です。

⑦検査と刻印

インゴットの形が出来上がったら、最後の仕上げに検査と刻印を行います。

最終検査結果をもとに、ロンドン金市場の公認マーク(メルターズマーク)や品質、ブランド名などを刻み込まれます。

この刻印によってインゴットの価値や品質が保証され、世界的な信用を得て取引に利用されるのです。

観光事業にも使われる金インゴット

観光事業にも使われる金インゴット

金のインゴットは非常に価値が高く、投資対象として高い人気があります。

また、見た目の華やかさとインパクトから、自治体などによって観光事業に使われているケースも見られます。

金インゴットが観光事業に使われた例としては、以下の2つが有名です。

佐渡金山の金塊チャレンジ

佐渡金山と言えば、日本の金採掘を支えてきた有名な金山の一つです。

残念ながらすでに閉山していますが、歴史的に価値あるスポットであり、現在は資料館として多くの観光客を迎えています。

そんな佐渡金山の名物イベントとして愛されているのが「金塊チャレンジ」です。

資料館に置かれた透明の箱の中に約12.5キログラムの金のインゴット(ラージ・バー)が展示されており、箱に空いた小さな穴からインゴットを取り出すことができれば記念品がもらえるというチャレンジ企画です。

箱に空いた穴はインゴットを持つと手が引っかかるという絶妙な大きさで、触れるのに取り出せないというヤキモキが楽しめます。

美しく輝くインゴットの前で、「ああでもない」「こうでもない」と試行錯誤してみてはいかがでしょうか。

淡路島の1億円金塊レンタル

兵庫県淡路島にある「静の里公園」の資料館では、平成元年から平成22年までの間、本物の金のインゴットが展示されていました。

このインゴットは三菱マテリアルという会社からレンタルされたもので、約20年間のレンタル費用はなんと1億円であったといいます。

淡路島では、当時話題になった「ふるさと創生事業」で得た1億円を観光事業に充て、インゴットをレンタルしたのです。

淡路島がインゴットをレンタルしたという話はニュースなどにも取り上げられて大きな話題を呼び、淡路島観光の活性化に役立ちました。

レンタル期間が終了したため、現在は残念ながらインゴットを見ることはできませんが、資料館には代わりにレプリカが展示されています。