金の作り方とは?金ができるまでの流れやおもな産出国を紹介
安定した資産としても人気の高い金ですが、金の作り方について知っているという人は少ないのではないでしょうか。
金ができるまでの流れや作り方、地中にある掘り出し可能な金の量を示す埋蔵量などを知ると、限りある資源といわれる金の希少価値の高さがより理解できるようになります。
この記事では金の作り方を解説するとともに、なぜ金には希少価値があるのか、世界の金の産出量ランキング、そして注目されている金のリサイクルについてご紹介します。
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金には希少価値がある
今から約6000年前に人類が初めて金を手にして以来、長い歴史を重ねながら金は愛され続けて来ました。
金が愛される理由は、その美しさと希少性の高さ、そして安定性にあります。
金は第11族元素に属する金属元素で、耐蝕性に優れ、酸やアルカリにも強く安定しており、ほぼ永久的に輝きを失わないのが特徴です。
金の鉱山は世界各地に点在していますが、これまで採掘された総量は約17万トンと言われます。
この量は国際基準の50メートルプールのわずか3.8杯分程度しかありません。
一方、地球上に残る未採掘の金の埋蔵量はというと、WGC(World Gold Council:金産業の国際貿易協会)の調査によれば約6万トンとされています。
この数値を見ても、金の希少性が分かります。
現在、金は年間約3,000トンのペースで採掘されていて、市場からのリサイクルなどで供給される量と合計して年間約4,500トンで世界の需要をまかなっています。
実物資産としての金地金や、ジュエリー・アクセサリー・置物などの金製品、携帯電話・パソコン・デジタルカメラなど工業製品の回路基板に使用されるなど、金の需要は非常に多種多様です。
量が限られているにも関わらず需要が常に高い水準にあること、ほとんどの金が採掘困難な場所にあることなどから、金は我々が知るような価値の高い金属になっています。
金の産出量はどこが多い?
現在、金の産出量が多いのはどこの国でしょうか。
2023年の金の年間産出量ランキングを確認してみると、1位は中国という結果になっています。
- 1位:中国 370トン
- 2位:オーストラリア 310トン
- 3位:ロシア 310トン
- 4位:カナダ 200トン
- 5位:アメリカ 170トン
- 6位:カザフスタン 130トン
- 7位:メキシコ 120トン
- 8位:インドネシア 110トン
- 9位:ウズベキスタン 100トン
- 10位:南アフリカ 100トン
(出展:U.S. Geological Survey「Mineral Commodity Summaries 2024」)
2023年の金の総産出量は世界全体で3,000トンです。
中国・オーストラリア・ロシアが世界的にも大きな産出国になっており、この3カ国で世界の産出量の約1/3を占めています。
また、金の産出国上位10ヵ国だけで世界全体の60%を超える金を産出しています。
金の作り方【精錬(精製)の流れ】
では、産出された金はどのようにして我々が知っている形になるのでしょうか。
金はまず金鉱石の形で採掘されるわけですが、実は世界の主要な鉱山での平均で、鉱石1トンあたり金は約5グラムしか含まれていません。
このような鉱石から含まれる金属を取り出すことを「冶金(やきん)」と言います。
ここでは、金鉱石の採掘から始まってどのように金が作られるのかについてご紹介します。
現代の取引で多い金地金(インゴット)を例にして、順を追いながら金の作り方をみていきましょう。
- 1、金鉱石を採掘する
- 2、金鉱石から、最初に銅の精錬・精製を行なう
- 3、銅の生成過程で生み出された金や銀を含んだ鉱石を、銅電解用アノード(陽極板)にする
- 4、電気分解により、金や銀などの貴金属を沈殿させたスライム(沈殿物)にする
- 5、スライム(沈殿物)に塩素ガスを使い、金を含んだ浸出液を分離させて取り出す
- 6、溶媒抽出法を用いて金を抽出する
- 7、さらに金を精製し、純度を高める
- 8、金地金をはじめ、さまざまな形に加工する
金の作り方はこのようなステップになっています。
こうして作られた金が、インゴットや金アクセサリー、工業製品として市場に送り出されるわけです。
製錬と精錬の違い
金の作り方について調べると、「製錬」と「精錬」という言葉がよく出てきます。
どちらも「せいれん」と読み、意味合いも似ているため混同しがちなのですが、厳密には両者には違いがあります。
「製錬」とは、鉱石から金属を取り出すことをいいます。
製錬は大きく2つの方法に分けることができます。
- 乾式製錬…溶鉱炉で鉱石を溶かし、金属を取り出す方法
- 湿式製錬…酸やアルカリの溶液を用いて科学的に鉱石を溶かし、金属を取り出す方法
金の場合には湿式製錬が用いられています。
しかし、製錬によって取り出された金のなかには不純物が多く、そのままでは金地金・金アクセサリー・工業製品としては使えないことが多いです。
そこで金属から不純物を取り出す作業をするのですが、これを「精錬」といいます。
英語ではREFININGと呼ばれており、日本語に訳した際に「精製」という言葉が使われることもあります。
簡単にいうと、鉱石から金属を取り出す過程が「製錬」、金属の純度を上げる(金属の含有率を上げる)過程が「精錬(精製)」です。
つまり、製錬によって鉱石から金を取り出し、その後に精錬で純度を上げるのが、金の作り方の流れとなっています。
金は「都市鉱山」からも採掘される?
金は限りある希少な資源なため、金鉱石の採掘とともに様々な供給方法が模索されています。
そして現在注目されている金の供給源が、「都市鉱山」というものです。
注目される都市鉱山
都市鉱山とは、携帯電話や電子機器の基板など、金などの資源が含まれる工業製品を指す言葉です。
リサイクルへの関心の高まりの中で、1988年に東北大学の南條道夫教授らによって提唱されました。
実は、日本は世界有数の都市鉱山を有しています。
NIMS(National Institute for Materials Science:国立研究開発法人 物質・材料研究機構)によると、日本の都市鉱山に蓄積されている金の量は約6,800トンと試算されています。
地球上に残る未採掘の金の埋蔵量が約6万トンであることを考えると、非常に多いことがわかります。
このように都市鉱山には大量の金が眠っているため、新たな金の供給源として世界的に注目されているのです。
ただし、この金の蓄積量には、ごみとして焼却や埋め立てされたもの、投棄されたものや散逸したものも含まれています。
そのため、日本の都市鉱山を活用するには、まず全国各地にあらゆる形で散在している金属を回収し、集約する必要があります。
実際に近年、金を含むさまざまなレアメタルを回収するビジネスが展開され始めています。
現在の金のリサイクル事情
金は不変性の物質のため、掘り出された分だけ地上在庫量が増えていくのが特徴です。
その性質を利用して、金の埋蔵量の少なさを補うべく、都市鉱山をはじめとした金のリサイクルに注目が集まっています。
リサイクル方法として一般的に用いられているのは、金製品を回収して処理し、純度の高い金を取り出して再利用する手法です。
この金製品には先述の都市鉱山(携帯電話・パソコン・デジタルカメラなどの電子機器)のほか、ジュエリー・アクセサリー・置物・金歯といったものも含まれます。
もしこれらの使わない金製品をお持ちなら、金を取り扱う買取業者に売ることで、新たな金製品や工業製品の生産に生かすこともできるのです。
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