スクラップも貴金属って知ってた? スクラップの買取事情とは

スクラップ

「スクラップが貴金属として売れる」と聞くと、驚いたり訝しんだりする人もいるかもしれません。普段、私たちが使っているパソコンや携帯電話、スマートフォンの中には貴金属が使用されています。

特に貴金属を含む基板などは、貴金属買取店が「価値あるスクラップ」として買取るケースがあります。今回は金属スクラップ、貴金属スクラップなどと呼ばれるスクラップの買取事情についてご紹介します。

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スクラップっていったい何?

金

スクラップとは金属の切りくずやくず鉄のことです。

しかし貴金属の世界でスクラップと言えば、金、プラチナ、銀、パラジウムなどの金属を含んでいる工業用・産業用の廃品や不用品のことを指します。

例えばパソコン、電子機器、通信機器、電力装置などのスクラップには貴金属が含まれている可能性があります。

金、プラチナ、銀は工業用金属としてきわめて優れた特性を持ち、コンピュータや電子回路の部品に使用されています。

パラジウムは自動車の排ガス浄化触媒などとして活用されています。

なかでも買取市場で需要が高いのは、パソコンのマザーボードや拡張カード、メモリー、CPU、携帯電話基板、パチンコ・パチスロ基板などの基板類です。

基板とは、プリント基板にIC(集積回路)やコイル、抵抗、コンデンサーなどの電子部品を組み合わせて搭載した板のことです。

不要になった基板は基板スクラップと呼ばれ、積極的に買取る業者が存在します。

基板は金・プラチナ・銀・パラジウムなどを含む貴金属スクラップの代表的存在です。

コネクター、端子、接点などの電子部品にも貴金属が使用されています。

これらの貴金属がポイントになるため、貴金属買取業者が買取る場合、基板が動作するかどうかは買取価格に何ら影響しません。

貴金属がたくさん含まれている「質の高い」基板かどうかが問題となり、その点が査定の際にチェックされ、キログラム(kg)あたりでいくらという査定価格がつけられます。

例えばCPUはセラミックのものなら、キログラムあたり6000円くらいから中には1万円を超えるものもあります。

こうした金属スクラップが最も多く発生するのは各種工業・産業製品を製造している工場です。

基板はパソコンを大量に扱う業者が売却することもありますが、工場での基板の製造過程で発生する不良の廃棄基板が定期的に売られるケースも多いようです。

その他、金なら金糸・金箔・ターゲット材、金メッキの廃棄品、プラチナなら熱電対・触媒、銀なら銀切子・銀接点・銀粉の余りなどが製造過程で生じる場合に売却されています。

また工場以外では歯科医院などで発生する撤去冠やキャスト屑、研磨屑も貴金属を含んでいて、これらは歯科用貴金属スクラップなどと呼ばれます。

貴金属を含むスクラップを買取った貴金属買取業者は、スクラップを溶解して貴金属の含有量を分析・測定し、化学的処理によって貴金属を単離、その後、精錬業者に委託するなどして精錬し、地金として再生します。

つまり、金属スクラップから貴金属が取り出され、集められて、金地金=インゴットなどへと生まれ変わるわけです。

家庭からスクラップは出ない?意外と見つかる家庭内の金属スクラップ

金

一般家庭では、工場ほど大量の金属スクラップが出ることはまずありません。しかし、家庭に金属スクラップがないというわけではありません。

パソコン、携帯電話、スマートフォン、デジカメ、ゲーム機などの内部装置や部品には貴金属が使われています。

とはいえその量はごくわずかなので、例えば壊れたパソコン1台を貴金属買取業者に持って行っても、買取ってもらえるケースはまれでしょう。

むしろジャンクパソコンなら部品取りをしている中古パソコン買取業者に持っていったほうが高く買取ってもらえるはずです。

ただ、基板であればある程度まとまった量を持っている人がいるかもしれません。

貴金属買取業者の中には少量からでも基板を買取っている業者があります。

その場合は、基板から取れる貴金属の価値が、貴金属を取り出すためにかかる処理コストを下回らないことが条件となります。

また、金属スクラップの中には貴金属だけではなく、鉄、銅、アルミニウム、ステンレス、レアメタルなどの金属が含まれていることがあります。

さらにバッテリーやモーターなどの部品にも価値があります。

貴金属買取業者とは異なり、スクラップ品をメインに扱うスクラップ買取業者なら、貴金属に加えてその点も評価してもらえる可能性があります。

例えば給湯器、自動車のアルミホイール、流し台などのステンレス製品、スチールデスクなどの鉄製品、鉛バッテリーなどは、ある程度まとまった量あればスクラップ買取業者での買取が可能です。

スクラップを買取に出す前に確認。金の相場が肝心!

もしも基板などの金を多く含むスクラップをまとまった量、持っている場合は、買取りに出す際に、現在の金価格がどうなっているのか確認しておくことをおすすめします。

金を含むスクラップの買取価格は金相場の影響を受けて上下動します。

金の価値は世界共通で、取引は東京、香港、チューリッヒ、ロンドン、ニューヨークなどの世界各地で行われています。

金相場は国際的な政治・経済、社会情勢、そして金の需要と供給のバランスによって決まります。

簡単に言えば、アメリカの景気が良ければ金が売られてドルが買われ、不況、戦争、紛争、テロなどで地政学的リスクが高まると金が買われて金価格が上がります。

過去の動きを振り返ると、9.11米国同時多発テロ、アメリカのサブプライムローン危機、リーマンショック、欧州の金融不安などが起きた2005年から2015年の10年間で、金価格は3倍近くに上昇しました。

2016年以降、金価格は上下動を繰り返すようになって停滞期に入り、現在では世界的株安の中で再び金需要が高まりつつあると一部で唱えられています。

金を含むスクラップを買取りに出すなら、できるだけ金の価格が右肩上がりのときに実行すべきです。

金や金地金の価格をチェックし、底値のタイミングでの買取を避けるようにしてください。

まとめ

女性

基板などのスクラップも貴金属を含むものとして買取の対象になることがおわかりいただけたでしょうか。

金やプラチナ、銀などの貴金属は意外なものに使われていることがあります。

またアクセサリーの場合でも、切れた金のチェーンや片方しかない金のピアスなども十分に買取対象となります。

今一度、自宅などに貴金属が眠っていないか、確かめてみてはいかがでしょうか。