中村六郎の備前焼の買取価格は高い?徳利など作品の特徴や高く売るポイントも解説

中村六郎は、20世紀の備前焼を代表する陶芸作家の一人です。
朴訥で野性味あふれる作風と窯変によって現れる深い緋色は日本人の伝統的な美意識に強く訴えかける力を持っており、多くの愛好家から人気を集めています。
本記事では、そんな中村六郎の人物像や作風、備前焼の基礎知識、中村六郎作品の種類と特徴などについて詳しく解説します。
また、中村六郎をはじめとした陶磁器を高く買取してもらうポイントについてもご紹介します。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
中村六郎とは
中村六郎(なかむらろくろう 1914-2004)は、備前焼の産地である岡山県備前市生まれの陶芸家です。
備前焼の中でも徳利やぐい呑などの酒器を得意とする中村六郎は、「酒器の神様」「とっくりの六郎」などの異名を持ちます。
伝統工芸士に認定され、勲七等青色桐葉章を受章するなど、独自の感性から作り出される作品と、その作陶技術は高く評価されています。
父親が金重陶陽ら備前焼作家たちと親しかったという中村六郎は、その影響で幼少期から備前焼に興味を持っていたといいます。
一度は会社勤めをしますが1945年、後に人間国宝となる金重陶陽に師事し、備前焼作家としての道を歩み始めます。
また、北大路魯山人が金重陶陽宅に来訪した時には、のちに備前焼の人間国宝となる2人の先輩、藤原啓・山本陶秀らと共にその技術を学んだと言われています。
1961年に六郎窯を築いて独立すると、ろくろでは徳利などの酒器を、たたらでは泡瓶・急須・茶碗などを手がけ、伝統的な備前焼の技法を継承しつつ新たな造形美を追求していきます。
中村六郎の作風
中村六郎の備前焼は、朴訥で野性味あふれる作風が特徴です。
素材としては観音土(備前市で採れる良質な土)を使っているのが特徴で、独特の味のある徳利の形状などは粘り気ある土を使っているゆえのことと言えるでしょう。
また、窯変によって現れる深い緋色は多くの愛好家を集めており、「中村家の緋色」と呼ばれています。
備前焼の基礎知識
備前焼を深く理解するには、その歴史と特徴について知っておく必要があります。
ここでは、備前焼の基本的な知識を簡単に解説します。
そもそも備前焼とは、岡山県備前市周辺を産地とする陶磁器を指します。
日本六古窯の一つに数えられており、備前市伊部地区で盛んであることから「伊部焼(いんべやき)」という別名も持っています。
備前焼の歴史
備前焼の起源は古く、そのルーツは古墳時代の須恵器だとされています。
延喜5(905)年ごろには岡山県備前市の伊部地域で生産が始まり、当初は瓦や日用雑器が中心でした。
その後16世紀頃から茶人に好まれる作風へと変化し、以降は茶陶としても発展します。
桃山時代以降は、備前長船の港から全国へと広く流通するようになりました。
江戸時代に入ると、備前藩の保護を受けて備前焼の量産化が進み、一大産地として確立されます。
19世紀以降は民芸運動の高まりとともに、再び作家の個性が注目される時代へ移り変わります。
そうした中で、金重陶陽や藤原雄、そして中村六郎ら優れた作家が輩出され、現在に至るまで脈々と備前焼の伝統が受け継がれています。
備前焼の特徴
備前焼の最大の特徴は、「焼き締め」と呼ばれる高温焼成にあります。
1200~1300度の高温で長時間焼き上げることで、器が硬質化されます。
そのため耐熱性や耐久性に優れ、日常使いに適した器に仕上がります。
また、釉薬を一切使わずに焼き上げるため、土本来の風合いや質感が活きるのも特徴です。
素地には木節粘土が使われ、粘り気が強く鉄分を多く含んでいるため、独特の色合いに焼き上がります。
赤みを帯びた茶褐色から黒褐色まで、幅広い色調が生まれます。
微細な気孔があり通気性に優れているため、花瓶やビールグラスにも向いています。
窯変により生じるビードロ、焦げ、灰かぶりといった表情も、備前焼の魅力の一つと言えるでしょう。
備前焼の代表作家
現在、備前焼の代表的な作家としては以下のような人々が知られています。
人間国宝 | 岡山県指定重要無形文化財 | 人気作家 |
---|---|---|
金重陶陽 藤原啓 山本陶秀 藤原雄 伊勢崎淳 |
金重道明 森陶岳 伊勢崎陽山 藤原楽山 |
中村六郎 安倍安人 |
そして、これらの作家と並び称されるのが中村六郎です。
伝統と革新性を高い次元で融合させた作風は、今なお備前焼ファンを魅了してやみません。
中村六郎作品の種類と特徴
中村六郎の作品といえば、やはり酒器です。
中村六郎が手掛けた酒器には以下のような種類があります。
徳利 | ぐい呑 | 酒呑 | 猪口 |
片口 | 麦酒呑 | 麦酒杯 | 平酒呑 |
中村六郎の徳利は、でこぼこしたように見える独特の曲線を描くフォルムが特徴的です。
サイズは大振りのものから小振りのものまでバリエーション豊かですが、大きいサイズのものでも不思議と手に馴染み、持ちやすくなっています。
ぐい呑や酒呑では、波打つように整えられた口縁部が特徴的です。
また、上から見ると、口縁部は円というよりはルーローの三角形のようになっているのが分かります。
そしてどの種類においても、朴訥な土色と窯変によって現れる緋色の美しいコントラストが特徴的です。
酒器以外の中村六郎作品
中村六郎には酒器のほかにもさまざまな作品があります。
- 湯呑
- 宝瓶
- 急須
- 皿
- 花入れ
どれも、手仕事ならではの味のある形状、朴訥で野性味あふれる土味、2つと同じものを作れない窯変による色味などが特徴となっています。
使い勝手の良さと飽きの来ないデザイン性、それに加えて備前焼ならではの風格が備わった中村六郎の作品は、日常に寄り添う名品として長年にわたって支持され続けています。
中村六郎の備前焼を高く買取してもらうポイントは?
中村六郎をはじめとした陶磁器の買取において、高く買取されやすいものとはどのようなものでしょうか。
代表的な条件としては、
- ①有名作家の作品であること
- ②有名産地の伝統的な工芸品であること
- ③保存状態が良いこと
- ④共箱などの付属品が揃っていること
などが挙げられます。
①と②については、「中村六郎の備前焼である」ということですでにクリアしています。
つまり、「中村六郎の備前焼は、骨董品買取市場で高く買取されやすい」と言えます。
③の「保存状態が良い」とは、制作当時の状態をなるべく保っていることを指します。
傷や欠けのほか、直射日光による退色や湿気によるカビなどが発生していると、買取価格は下がってしまうことがあります。
それらを防ぐためには、箱に収めたうえで直射日光を避けて湿気の少ない場所に保管するのがおすすめです。
④の「付属品」については、中村六郎の備前焼などの価値ある陶磁器は通常、共箱と呼ばれる木箱に入った状態で世に出されます。
共箱とは作品を収めるための木の箱のことで、中村六郎作品の場合には「備前ぐい吞 六郎」のように、作品名・サインと印章が入れられています。
このサインによって価値を証明できるため、共箱があることによって買取市場での信用が増し、高く買取されやすくなるのです。
そのほか、備前焼をはじめとした陶磁器の買取相場、高く買取されやすい陶磁器の特徴、高く売るためのポイントなどは以下のページをご参照ください。
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