落款は着物のどこにある?落款の意味・種類・見分け方も紹介!
着物の価値や品質を証明してくれるものの1つとして、着物作家のサインである落款があります。
この落款は着物買取においても非常に重要で、有名作家の落款が入っていることでより高く買取される可能性もあります。
「落款とは何か」「落款はどこにあるのか」「着物の価値を知る上で落款はどう役立つのか」「証紙とはどう違うのか」「落款が無くても買取してもらえるのか」など、落款にまつわる疑問について解説していきます。
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着物の落款とは?示す意味と記す位置
落款とは、着物に押された印鑑や刺繍のようなもののことで、正式には落成款識(読み方:らくせいかんしき)と呼ばれるものです。
落款は、他のジャンルで例えるなら、絵画作品に画家のサインが入れられるのと同じ意味合いを持ちます。
つまり着物に落款を記すのは、「この作品は作家〇〇が仕立てたものである」ということを証明するためです。
落款があることで作者や製作工房を特定でき、その着物が有名な作品だと分かれば価値を知ることができます。
また、似たデザインの着物がいくつかあった場合に、落款を見て類似作品を見分ける際の判断材料とすることが可能です。
落款には特定の書式やルールが定められておらず、落款の大きさや書体、落款に書く内容も作家それぞれに委ねられています。
そのため、作家それぞれ落款には特徴があり、その多様性は着物ファンにとって楽しみの1つになっています。
そして落款の位置は、衽(おくみ:左右の前身頃に衿から裾まで縫い付けられた細長い半幅の布)か衿先(衿の一番下のところ)にあることが多いです。
あえて着物を着たときに見えないところにさりげなく落款を入れるというのが一般的になっていますので、お持ちの着物の落款を探す際の参考にしてみてください。
落款が違っても両方本物?作家の襲名と落款の違い
落款は基本的に、同一の作家の場合には同じ刻印が使われます。
「似たデザインの落款だけどなんとなく違う」という時には、有名作家の作品を真似た偽物であるという可能性もあるでしょう。
しかし、場合によっては両方本物ということがあります。
代々続く名跡であったり、師匠の名前を弟子が襲名した場合などには、同じ名前でありながら初代と2代目の落款がわずかに違っているということがあるのです。
たとえば初代久保田一竹は、「一竹辻が花」という絞り染め技法で有名な着物作家です。
初代はもう亡くなってしまいましたが、その技術や想いは現在2代目が承継しており、初代と異なる落款を使用しています。
以下の画像、1枚目は初代の落款、2枚目は2代目の落款となっています。
初代と2代目ではデザインに若干の違いが生じていることが分かりますね。
このように、落款についての知識があれば、作家名だけではなく「人間国宝に選ばれた初代の作品だ」といったところまで見分けることができるかもしれません。
専門家でなくても落款で着物を見分けられる?
着物は同じ種類であっても、染め方・織り方・柄に違いが現れますが、素人ではなかなか見分けるのが難しいです。
例えば一口に友禅といっても、京友禅・加賀友禅・東京友禅・十日町友禅などがあり、特に京友禅と加賀友禅はルーツを一にしていることもあり、柄などの特徴からは見分けがつきにくいこともあります。
実はこんな時に、落款が京友禅か加賀友禅かを見分けるポイントになる場合があるのです。
加賀友禅の作家は、加賀染振興協会に落款登録をすることが義務付けられています。
そのため、加賀友禅の公式HPにある落款検索で加賀友禅作家の落款を確認すれば、お持ちの着物の落款が加賀友禅作家のものか否かが判明します。
このように落款は、誰が作ったのかだけではなく、どういう特徴・価値を持った着物であるかを知るうえでもとても大切なものとなっています。
落款と証紙との違いは?
着物において落款に近い役割を果たすものとして、「証紙」があります。
落款が着物の作家名が書かれた印であるのに対して、証紙とは「着物の価値と品質を示す証明書」のことです。
「本場大島紬」「西陣織」などのブランドを表すマークや伝統工芸品であることを表すマーク、生産地、織元や組合のマーク、素材、製作技法(織り方や染め方)などが記載されています。
落款が「作者が誰か(どこの工房の作か)」という情報をシンプルに表すものであるのに対して、証紙は「ブランド名やそう言える根拠、着物のプロフィール」を詳しく示すものと言えるでしょう。
また、落款と証紙ではそれぞれ付いている場所にも違いがあります。
落款はおくみか衿先にあることが多いですが、証紙は着物を仕立てた時に出る端切れに貼られ、着物に添えられていることが多いです。
証紙については、以下の記事が詳しくなっています。
落款がなくても着物は売れる?
落款は着物の作者を証明する上で重要な手がかりであり、有名作家の落款が入っていることでその着物の価値を示すこともできます。
そのため、着物買取市場においては、有名作家の落款が入っていることで着物の品質や価値に対する信用度が上がるために需要が増し、より高く買取される可能性も大きくなると言えるでしょう。
着物の専門知識を持った査定士が見れば、どんな作家の落款であるかを見極めてくれるはずです。
買取を考えている着物に落款が付いている場合、査定時に忘れず提示することは大切です。
ただし、落款が無いからと言ってその着物は高く売れないというわけではありません。
「落款がない=偽物や粗悪品」ではないからです。
例えば、有名作家の作品だが落款が擦れて見えなくなっている場合、そもそも落款を刻印しない作家の作品である場合、落款は無いが有名ブランドの着物で品質が良い場合など、「落款が付いていなくても価値の高い着物」という可能性は十分にあります。
着物に精通した査定士がしっかりと価値を見極めれば、落款が無くても着物の価値は認めて貰えるでしょう。
その意味でやはり、価値ある着物、大切な着物を買取に出す場合には、着物の専門性と豊富な買取実績を持った買取業者に依頼するのが安心です。
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