伝統的染色法『茜染』の歴史と広まった意外な理由

昔から日本は染色に対して高い技術力を持っていました。伝統が現在にも数多く受け継がれていますが、その中でも有名なものに茜染という染色方法があります。
美しい色合いが特徴で、長い歴史を持っています。ここでは茜染について詳しく見ていくことにしましょう。
茜染とは
茜染は別名を紫根染といい、岩手県が発祥で、江戸時代にこの地を納めていた南部家がこの染色方法を推奨したことに由来して、南部絞と呼ばれるようになりました。
日本全国に岩手県の特産品として広まったのは江戸時代ですが、染色方法としては飛鳥時代や奈良時代といった大昔から使われています。
茜はアカネ科のつる性の多年生植物であり、中国や朝鮮半島、日本などのアジア圏に多く生息する植物です。
この植物の最大の特徴はその根っこにあり、根からは赤い染料が得られます。
伝統的染色法『茜染』の方法
大昔から現代まで受け継がれている伝統的な茜染の染色方法を簡単に見ていきましょう。
まず、茜の根を採取して、細かく切ります。この細かく切った根っこを通気性のよい袋などに入れ、鍋で煮込みます。
水を張った鍋に袋を付けた段階で徐々に袋から黄色っぽい色が出てきますが、鍋が沸くまで火にかけ続けることで色はどんどん濃くなり、次第に黒っぽい色にまで変色します。
煮込む目安はおよそ30分で、赤っぽい色の泡が出てきた頃ぐらいが目安となります。そのまま冷やし、ぬるくなったら袋を取り出します。
ここまでできたら基本的な染色液はできあがりです。これに白い布を漬けて乾かすといった作業を複数回行い色の濃さを調節していきます。
茜染により作られた着物
化学染料では出すことのできない温かいぬくもりを感じることができる茜染は、女性らしさを出し、独特な風合いをもたらしてくれます。
茜染により作られた着物は時が経つにつれて味わいを増すとも言われており、古くから一生ものとして代々受け継がれていくものでした。
染色方法自体に手間がかかり、ひとつひとつが職人の手によって仕上げられるため、記事自体もとても高価なものなのです。
茜の効能
茜は古くから薬草として用いられており、浄血や保温、体の活性化といった効果が期待されてきました。
これは平安時代などから赤ん坊の産着や妊婦の腹巻などとして用いられてきたことからも明らかになっており、7世紀から8世紀ごろに作られた万葉集の中にも茜染について歌った短歌が読まれています。
このほかにも、女性特有の月経予防薬や止血の効果ももたらしてくれるとされ、重宝されていたようです。
茜染がここまで広く普及したのにはこういった薬効としての意外な理由もあったのです。
こういった伝統的技法を使った着物は現在でも人気が高いため、不要になったものでも売りに出すことで高額な査定が付く可能性が大いにあります。

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