ぜんまい紬とは?買取相場と高額買取のコツをぜんまい紬の特徴とともに解説!

- 自宅にぜんまい紬があります。きれいな状態ですが、いくらになりますか?
- どの程度きれいなのか、種類により買取価格が変わりますので一度拝見いたします。こちらよりお問合せ下さい。
- 以前、知人からぜんまい紬を譲り受けましたがあまり袖を通していません。価値ってありますか?
ぜんまい紬はおもに山形県の米沢盆地で生産されている織物で、山菜で知られるぜんまいの新芽から取った綿を織り込むという点が他の織物とは異なっています。
保湿性や防水性が高く生地も丈夫なぜんまい紬は、仕立て直したりすれば長く着続けることができるため、普段着として使われることが多い身近な着物でした。
しかし、ぜんまい綿は限られた時期にしか採取できず、近年では採取量も減っているため、ぜんまい紬の希少性は上がっています。
そのため、中古着物市場でも比較的高値で買取されることが多いです。
この記事では、ぜんまい紬の特徴や製作過程とともに、買取相場や高価買取してもらうためのコツについてもご紹介していきます。
ぜんまい紬とはどのような織物か

ぜんまい紬は山形県の伝統工芸品である米沢紬から派生したもので、現在もおもに山形県の米沢盆地で生産されています。
最大の特徴は名前の通り、真綿にぜんまいの新芽から取った綿を織り込んで紡いだ糸を緯糸に使用している点でしょう。
ここではぜんまい紬の素材であるぜんまい綿について、そしてぜんまい紬誕生のもとになった米沢紬についてみていきましょう。
ぜんまい綿はどのような素材か
山菜としてお馴染みのぜんまいですが、ぜんまいの新芽に白い毛のような細かい綿がついているのをご覧になったことはありませんか?
もともとは、貧しくてクズ繭すら十分に手に入らなかった農家の人々が、山菜として収穫されたぜんまいから捨てられるはずだった綿毛を摘んで使ったのが始まりと言われています。
摘んだ綿毛はゴミや汚れを丁寧に取り除いたあとに、くしでとかして毛並みを整え糸を紡ぎ、織物に使われます。
ぜんまい綿は貧しさからの工夫が生んだ素材であると言えるでしょう。
そのような事情から生まれたぜんまい綿ですが、織物の素材としては優れた能力を持っていました。
ぜんまい綿は水に強く防湿性に優れており、カビや虫が発生しにくいという特徴があります。
着物の劣化の大きな原因である湿気に強く、織りあげると丈夫な反物となるため、ぜんまい綿を使ったぜんまい紬は普段着でありながら、仕立て直せば親・子・孫の3代にわたって着ることができます。
ぜんまい綿を真綿と混ぜ込んだ糸には節のようなものが出ますが、これはぜんまいの繊維によるもので、織りあげられたときにぜんまい紬独特の味わいになります。
ぜんまい紬と米沢紬
ぜんまい紬が生まれた山形県の米沢盆地では、ぜんまい紬ができる以前から米沢紬が作られていました。
米沢紬は江戸時代中期、米沢藩第9代藩主の上杉治憲(1751-1822)の奨励によって誕生しました。
その後、明治時代に新潟から絣(かすり)の技術の指導者を招いたことによって発展し、今の米沢紬の絣文様が生まれました。
絣とは織物を織ったあとに文様を描くのではなく、あらかじめ染めた絣糸(かすりいと)を使って織りあげることで文様を表現する技法のことで、米沢紬では緯糸に絣糸が使われています。
絣糸の代わりに独特の色味があるぜんまい綿の糸を使ったと考えると、ぜんまい紬と米沢紬の類似性を感じます。
米沢紬の緯糸を染めるのには草木染が主流で、紅花・茜・くちなし・苅安・藍などが使われます。
「緯糸に草木を使う」という発想も、やはりぜんまい紬と通じるものを感じます。
ぜんまい紬と置賜紬
山形県で広く知られる織物の総称に「置賜紬」があります。山形県米沢市、長井市、白鷹町で作られる織物を指し、米沢市の「草木染(紅場紬など)」、長井市の「緯糸絣」「縦横絣」と琉球風の織物「米沢琉球」、白鷹の染色が独特な板締め染色の「板締小絣」などが置賜紬です。
置賜紬は、米沢藩第9第藩主「上杉治憲(鷹山)」が、1776年(安永5年)越後から職人を迎えて研究し、女子に織物の技術を習得させたのが始まりとされています。
天鷺ぜんまい紬とは?
秋田県岩城町亀田で織られている織物で、別名「ぜんまい白鳥織」と呼ばれています。
名前の由来は、ぜんまいという名がついている通り、ぜんまいの真綿も使われていますが、その他に白鳥の羽毛が織り込まれているからです。
昭和初期、ぜんまい織りが途絶え作られなくなりましたが、戦後少ない資料をもとにぜんまい織り文化の復興がおこなわれ、10年の月日をかけ再び蘇りました。
ぜんまい織りはふんわりとした温かい織物でとても人気があります。
ぜんまい紬の特徴

ぜんまい紬は普段使いができる実用品として非常に優れた特徴を持っています。
デザインや肌触りの点、そして優れた機能性という2点に分けてみていきましょう。
男女問わず愛されるぜんまい紬
繭が手に入らなかったことから代替品として使われ始めたぜんまい綿ではありますが、ぜんまい綿が織り込まれたぜんまい紬は真綿のみを使った織物とほとんど手触りに違いはありません。
それどころか羊毛のようにふんわりとした暖かさがあり、秋から冬にかけて普段使いする着物や帯として人気があるのです。
デザインとしては薄茶色の天然色が特徴で、華やかさは少ないものの大人っぽい上品さや気品を感じさせます。
式典などの華やかな場面での活用というよりは、実用性の高さから普段着として使いやすい織物だと言えるでしょう。
ぜんまい紬の優れた機能性
ぜんまい紬の機能面での特徴は、防湿・防虫効果と保湿性・防水性が挙げられ、これらの特徴は素材であるぜんまい綿からきています。
ぜんまいの新芽が朝露を弾いている様子を見たことがあるという方もいるのではないでしょうか。
これはぜんまいの新芽に生えている綿が水に強い性質を持っているためで、その性質を持ったぜんまいの綿を使っているぜんまい紬には、水に強いという特徴が引き継がれています。
水を弾くため雨や汗などによる汚れがつきにくく、また湿気にも強いのでカビも発生しにくいです。
そのため、普段使いや保管の際にもダメージを受けにくく、長く使っていけることが特徴だと言えるでしょう。
防虫効果に関しては「ぜんまい紬と一緒に保管すればほかの着物にも虫がつかない」と言われるほどで、他の着物の保管という点からも重宝されてきました。
生地としても丈夫なのですが、これらの特徴があることによってぜんまい紬はより長く使うことができる着物や帯になっています。
ぜんまい紬が親・子・孫と複数世代にわたって使い継がれていくのは、ぜんまい綿の優れた機能性によるところが大きいです。
季節を問わない素朴な色合い
ぜんまい紬は、とても素朴でどこか優しい色合いをしています。過度に目立たず、また自然の色で染められているためか、どの季節にも浮かない色で四季を問わず着られます。
また、ぜんまい紬の白などの寒色系の色も、温かみのある色味なので、寒い冬にもぴったりです。
ぜんまい紬の買取相場は?

ぜんまい紬の着物作品は約1万円の買取相場となっていますが、この価格はあくまで過去の買取相場の傾向をもとにした一例です。
実際にお手持ちのぜんまい紬の着物を査定に出すと、状態によってはより高額で買い取られる場合もあります。
もちろん、デザインが現在の流行に合っていなかったり、仕立てが古かったりすると買取価格は低くなる可能性があることに注意しましょう。
着物は手入れしないと状態の悪化を免れられません。
着物の買取を思い立った今が最もきれいな状態ですので、早めに査定に出して、少しでも高値で買い取ってもらうようにしましょう。
※上記は参考価格であり、実際の買取価格を保証するものではありません。
※ご査定時の市場状況、在庫状況により買取価格が変動する場合ございます。
※お買取相場の価格は未開封の未使用品を想定しています。お品物の状態によって価格が大きく変わる場合がございますのでご了承ください。
ぜんまい紬を高額買取してもらうためには?

ぜんまい紬は普段使いされる身近な着物であるため、「買取価格もあまり期待できないのではないか」という印象があるかもしれません。
しかしながら、ぜんまい綿はぜんまいの新芽が顔を出す5月ごろにしか獲ることができず、ぜんまい紬の生産量自体も少なくなっていることから希少性が高いです。
デザインや機能性から着物ファンの間でも人気があるので、買取に出す際の注意点さえ押さえておけば、良い値で買取してもらえることも多いのです。
上述した着物の状態に加え、高価買取のための注意点がいくつかありますのでご紹介します。
着物専門の買取業者を利用する
着物はものによって価値の幅が大きい商材であり、適正な価値を判断するには専門的な知識や技術が必要です。
いくら価値のある着物でも買い手によってはその価値が分からず、適正な買取価格がつかない可能性があります。
取り扱い商品の広い総合リサイクルショップには着物を専門とする査定士がいるとは限りませんし、不特定多数の買い手を相手にするネットオークションやフリーマーケットでは尚更です。
ぜんまい紬の適正な価値を見極めてもらえず、不当に安い価格で買い取られて思わぬ損をしてしまう可能性があります。
着物専門の買取業者を、しかも複数利用することでより正確な相場を知ることができます。
バイセルであれば着物専門の査定士がいますから、お持ちのぜんまい紬の価値を正しく見極めてくれるでしょう。
複数の着物買取業者を見比べる
着物専門の買取業者を、しかも複数利用することでより正確な相場を知ることができます。
買取価格に対する納得感も違ってきますし、複数業者の中で最も高い買取額をつけてくれた業者を選ぶこともできます。
着物買取に実績のあるバイセルは、出張査定という自宅まで査定士が来て査定をしてくれるサービスを全国でおこなっており、査定料などの手数料を無料です。
そういったサービスを利用すれば自宅にいながら無料で複数業者からの相見積もりを取ることも可能です。
大事な着物を託すわけですから、複数業者を見比べた上で、査定額の高さ・対応やサービスの良さなどからご自身に合った買取業者を選びましょう。
まとめ

今回は、山形県の米沢盆地で製作されているぜんまい紬についてご紹介してきました。
糸にぜんまい綿を織り込んでいるぜんまい紬は保湿性や防水性が高く、丈夫で長い間着続けられるという、機能性に優れた織物です。
ぜんまい紬は希少性と人気から中古着物市場でも高い値がつくことが多くありますが、適正な価値を見極めるためには高い専門知識が必要なため、買取に出す際は着物の買取に実績のあるバイセルに査定を依頼するのがおすすめです。
せっかく価値あるぜんまい紬を買取に出すのですから、正しい価値を把握して後悔のない買取にしていきましょう。
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