碌々斎の好み物は買取価格が高い?茶道具を高く売るためのポイントとは

碌々斎(ろくろくさい)は茶道表千家11代目家元で、明治時代に表千家と茶道の復興を成し遂げた人物です。
「好み物」と呼ばれる茶道具を多く残したことでも知られており、碌々斎が使用した茶杓や香合などの茶道具には高い骨董的価値があるものも多いです。
骨董品買取市場においてもコレクターからの人気が高く、高価買取されるケースもあります。
本記事では、碌々斎の好み物の特徴や代表的な好み物のご紹介に加えて、碌々斎の茶道具の買取価格が高い理由、より高く売るためのポイントといった買取情報も解説します。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
目次
表千家11代目家元・碌々斎とは
碌々斎(1837-1910)は幕末から明治にかけて活躍した茶人で、表千家と茶道の復興に尽力した人物です。
茶道表千家11代目家元であり、瑞翁宗左(ずいおうそうざ) とも呼ばれています。
碌々斎が活躍した明治時代初期は、茶道と表千家にとって苦難の時期でした。
明治維新によって西洋から多くの技術や文化が導入された一方、徳川ゆかりのものはことごとく廃止されていきました。
紀州徳川家と関係の深かった表千家も没落の危機を迎えます。
そんな折に転機となったのが、1880(年明治13年)に京都北野天満宮で催された献茶の儀でした。
この場で碌々斎が見事な茶を振る舞まったことによって財界や政界といった有力者からの理解を得られるようになり、茶道は復興のきっかけを掴みます。
1887年(明治20年)には碌々斎が明治天皇に献茶する役目を負い、表千家の名声は一気に高まりました。
碌々斎の主な功績は、以下のとおりです。
- 長崎、山口、広島など各地に出向き、茶の湯を広く伝えた
- 1880年(明治13年)に北野天満宮で献茶を行った
- 1887年(明治20年)に明治天皇に茶を献じた
碌々斎の好み物について
好み物とは、茶人や家元宗匠が材質・意匠・寸法などを指定して職人に制作を依頼した茶道具のことです。
茶人の好みに合わせて制作されることから、「好み物」「碌々斎好み」のように呼ばれます。
また、元々茶道具として使われていなかったものを茶道具に見立てて活用する「見立て」や、既存の茶道具の素材・色・デザインなどを好みに合わせて作り変える「再好み」も、好み物の1つに数えられます。
碌々斎は、多くの好み物を作らせたことで知られています。
碌々斎の好み物の特徴としては、以下のようなポイントがあります。
- 派手な装飾は少なく、素材の持ち味を生かしたシンプルなデザイン
- 無駄を削ぎ落としたわびさびの美しさを持つ
- 茶道具としての機能性を重視している
碌々斎は、シンプルかつ機能性を兼ね備えた茶道具を好んで用いました。
碌々斎の茶道具の買取価格は高い?
碌々斎の手掛けた茶道具は骨董品コレクターからも高い人気があり、骨董品買取市場で取引されるケースも多いです。
骨董品買取の観点から見た碌々斎の茶道具の特徴は、「素材や職人の技術などの質が良く、制作年代が古いため希少性が高い」という点です。
品質、希少性、そして「碌々斎好み」という信頼性も相まって、碌々斎の茶道具は高い価格で買取されやすいと言えます。
碌々斎だけでなく、茶道具の買取では有名な茶人が関わっているものや有名作家の作品ほど買取相場が高くなりやすい傾向があります。
以下のページでは、茶道具の買取相場やバイセルでの実際の買取例について記載してございます。
参考までにぜひご参照ください。
碌々斎の好み物の代表作
碌々斎には多数の好み物があり、歴史的価値・骨董的価値の高いものも多いです。
ここでは、そんな碌々斎好みの茶道具の中でも、特に有名なものを4つご紹介します。
北野三十本|茶杓
「北野三十本」は、1880年の碌々斎による北野天満宮での献茶を記念して作られた30本の茶杓です。
1880年の献茶で使われた台子(茶の道具をのせる四本柱の棚)は、2年前に同じ北野天満宮で行われた休々斎(茶道藪内流の十代家元)の献茶で使われた台子の天板と地板に竹の四本柱を合わせた、碌々斎好みのものでした。
この時の竹柱をもって作られたのが、北野三十本の茶杓です。
はつ雪|茶杓
この北野三十本の中でも最も有名な1本が、茶杓「はつ雪」です。
茶杓は先端がなだらかな丸みを帯びているのが一般的ですが、この「はつ雪」は先端が尖っている点が特徴です。
京都市の表千家北山会館で展示された際には、「北野三十之内」と記された外箱と、「はつ雪」の文字と碌々斎の花押(図案化された署名)が入った内箱も併せて見ることができました。
伏見稲荷鳥居|香合
碌々斎の「伏見稲荷鳥居」は、伏見稲荷大社の古い鳥居の古材を再利用して作られた香合です。
碌々斎は古材の使用を好む傾向があったとされており、この香合もその代表的な作品の一つです。
茶道においては、香合は炭斗(すみと:炭・羽箒・火箸・鐶・釜敷・香合などをまとめて運ぶための容器)に入れて茶席に持ち込み、炭手前(すみてまえ:茶を点てる前に、風炉や炉に炭を足す手順のこと)の際に用いられます。
炭の熱で香を室内いっぱいに漂わせることで、茶席の雰囲気を高める役割があります。
香合「伏見稲荷鳥居」は、素材の由来も含めて深い歴史と趣を感じさせる、価値の高い茶道具となっています。
桜|蓋置
碌々斎の好み物である「桜」は、その名の通り桜の木で作られた蓋置です。
大阪の磯良(いそら)神社に植えられていた桜の古材を再利用して作られており、香合「伏見稲荷鳥居」と同様、碌々斎が古い素材の再利用を好んだという美意識が表れています。
蓋置は金属製や陶製など様々な素材のものがありますが、「桜」は木製であることから自然の風合いや温かみが感じられるのが特徴です。
蓋置「桜」は、その素材の希少性と歴史的価値から、価値の高い茶道具となっています。
碌々斎の茶道具をより高く買取してもらうためのポイント
碌々斎の茶道具は、品質の高さ、希少性、「碌々斎好み」というブランド力から価値の高いものも多いです。
では、そんな碌々斎の茶道具を少しでも高く売るためにはどのような点に注意すれば良いでしょうか。
碌々斎の茶道具をより高く買取してもらうために知っておきたい4つのポイントをご紹介します。
- 茶道具の保存状態は良好か
- 共箱などの付属品は揃っているか
- 碌々斎の書付(花押)はあるか
- 入手経路など来歴の記録はあるか
茶道具の保存状態は良好か
碌々斎など、茶道具の買取で必ずチェックされるポイントが「保存状態」です。
保存状態の良いもの(制作当時の状態をなるべく保っているもの)は、買取価格が高くなりやすいでしょう。
特に碌々斎のように古い時代のもので、保存状態の良いものには高い希少性が認められる場合があります。
買取市場でも高い需要がつく可能性があるでしょう。
一方で、傷・欠損・割れがあるなど保存状態が良くないと、その分だけ価値は下がってしまうでしょう。
欠損や割れの原因となるような大きな衝撃を与えないように、保管時には必ず箱に入れておくなど、普段から丁寧に扱うようにしましょう。
また、碌々斎の茶道具は古材など自然の素材で作られています。
湿気が溜まるとカビが発生してしまう可能性もありますので、水分や汚れが付着した場合にはすぐに拭き取り、風通しが良くて湿気が溜まりにくい場所に保管すると良いでしょう。
共箱などの付属品は揃っているか
碌々斎などの有名作家が手掛けた骨董的価値のある茶道具は通常、共箱と呼ばれる木の箱に入った状態で世に出されます。
この共箱には手掛けた人物のサインなどが入れられていることがあり、価値を証明できるため買取市場での信頼性が高まります。
これによって買取市場での需要が増し、より高く買取される可能性があるでしょう。
また、鑑定書や保証書といった書類も同様で、付いていることでより高く買取してもらえる場合があります。
共箱や鑑定書といった付属品がある場合には、作品本体と一緒に大切に保管しておきましょう。
碌々斎の書付(花押)はあるか
碌々斎が手掛けた茶道具では、共箱の蓋の裏や茶杓の筒などに書付(茶道具の情報や作品名などを墨書きした文字)が入っていることが多いです。
「確かに碌々斎が書いた」と判断できる書付がある場合には、やはり買取市場での信頼性が高まって、より高く買取される可能性があります。
その際にポイントになるのが、碌々斎の花押です。
花押とは図案化された署名のことで、碌々斎にも花押が何種類かあることが知られています。
碌々斎の花押があることによって「確かに碌々斎が書いた書付である」と確認でき、価値の証明につながります。
入手経路など来歴の記録はあるか
碌々斎の茶道具など価値ある骨董品の査定では、買取市場における作品の信頼性のために「どこで手に入れたか」「いつ購入したか」「誰から譲り受けたか」など購入に至るまでの背景が確認されます。
例えば「業界で信頼されている専門店で購入した」「著名な茶人が所有していた」などの来歴は、作品の価値を判断するうえでも重要な情報になります。
そして、その来歴を証明する書類等があればさらに信憑性が増し、買取市場における信用度が増すことでより高く売れるかもしれません。
入手した経路や時期、過去に所有していた著名人といった記録がある場合には、処分せずに大切に保管しておきましょう。
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