小倉遊亀作品の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説

小倉遊亀は、日本画の世界で独自の存在感を放つ人気画家であり、その作品には特有の優雅さと深い感受性が息づいています。
美術品買取市場でも小倉遊亀の絵画は非常に人気が高く、高価買取されるケースも少なくありません。
この記事では、小倉遊亀の作品の特徴や代表作・有名作品に加えて、買取市場で高く売れる理由、高く売れやすい小倉遊亀作品の特徴、小倉遊亀の絵画を高価買取してもらうためのポイントなどについてご紹介します。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
目次
小倉遊亀とは
小倉遊亀(おぐらゆき 1895-2000)は、昭和初期~平成にかけて活躍した日本画家です。
50歳を過ぎてから世に広く認められた遅咲きの画家で、105歳で亡くなるまで現役の画家として活躍し続けました。
「60代から仕事が面白くなり、70代が仕事ざかり」と語り、衰えない創作意欲で晩年には書や陶器の絵付けなど多彩な仕事に取り組みました。
なお、105歳で無くなるまで現役を貫いた小倉遊亀の晩年の様子については、小倉遊亀の孫である小倉寛子氏の著作「小倉遊亀 天地の恵みを生きる」でも知ることができます。
小倉遊亀は43歳で禅の研究家小倉鉄樹と結婚し、鎌倉で暮らし始めますが、この結婚が作品に与えた影響は大きく、心の豊かさや自由な発想をもたらしました。
女性として初めて日本美術院の同人に選ばれ、さらに文化勲章を受章し、1995年には鎌倉市名誉市民に選ばれるなど、その功績は高く評価されています。
大正時代から1950年代初頭までは、細密描写と端正な構成が特徴でしたが、1951年から1965年にかけて西洋絵画の影響を受けた新しい日本画の探求し大きな飛躍を遂げました。
とりわけ1966年頃から1976年頃の作品は円熟した独自の作品世界を確立したとして高く評価されています。
- 1895年:滋賀県大津市に生まれる
- 1917年:奈良女子校等師範学校を総代で卒業
- 1932年:女性として初めて日本美術院同人に推挙
- 1938年:小倉鉄樹と結婚
- 1954年:第4回上村松園賞受賞
- 1957年:第8回毎日美術賞受賞
- 1962年:日本芸術院賞受賞
- 1973年:勲三等瑞宝章を授与
- 1976年:日本芸術院会員に任命
- 1978年:日本美術院理事に就任、文化功労者として顕彰
- 1980年:文化勲章受章
- 1990年:日本美術院理事長に就任
- 1995年:百寿記念展を開催
- 1996年:日本美術院名誉理事に就任
- 1999年:パリの三越エトワールにて「小倉遊亀展」開催
- 2000年:105歳にて逝去。
小倉遊亀の作風と代表的なモチーフ
小倉遊亀の作品として多く見られるのが、⾊彩豊かな⼈物画です。
大胆な色使いと形態を簡略化した画面構成が特徴的で、人物が持つ美しさと力強さ、品格を感じることができます。
また、穏やかに語りかける菩薩像などは、小倉遊亀の深い精神性を感じさせます。
人物以外では、花など身近にある静物を描いた作品も多いです。
花と徳利・花瓶・壺・鉢・皿などの骨董品を一緒に描いた作品が多いのが特徴的で、何とも言えない力強さがあります。
画風は制作時期によっても異なりますが、東洋の精神性と豊かな日常感覚を持ちつつ、近代西洋絵画の技法と確かな描画技術に裏打ちされた作品が特徴と言えるでしょう。
日本画以外の小倉遊亀作品
小倉遊亀には日本画のほかにも、版画や書といった作品もあります。
小倉遊亀の版画には、木版画・リトグラフ・シルクスクリーンの技法が使われています。
花と徳利や花瓶などの静物を描いた作品が多いです。
小倉遊亀の書は、掛け軸になるような厳かな書というよりは、絵画作品のような色鮮やかで柔らかな筆致が特徴的です。
小倉遊亀作品の中でも価値の高いものには肉筆の日本画が多いですが、版画や書も美術品買取市場で人気が高く、活発に取引されています。
小倉遊亀作品の買取価格は高い?高く売れやすいポイントとは
文化勲章受章者でもある小倉遊亀には、美術館に収蔵されているものなど貴重な作品も多くあります。
比較的希少性の低い版画作品などは買取市場でも出会うことが多いですが、やはり非常に人気が高く、高価買取されやすい作家であると言えます。
美術品買取市場で高く買取されやすい小倉遊亀作品としては、肉筆の日本画や版画の原画があります。
特に、人物や椿・桜・梅といった花が描かれた作品は人気が高く、買取価格も高くなりやすいでしょう。
小倉遊亀だけでなく、日本画など絵画の買取では有名作家の作品ほど買取相場が高くなりやすい傾向があります。
以下のページでは、有名作家の作品など日本画の買取相場や高く売るコツなど、日本画の買取情報について記載してございます。
参考までにぜひご参照ください。
バイセルでの日本画・絵画の買取実績は?
バイセルには、日本画をはじめとした絵画の買取実績が数多くございます。
以下の各ページでは、日本画をはじめとした絵画のバイセルでの実際の買取例について記載してございます。
参考までにぜひご覧ください。
小倉遊亀の代表作
小倉遊亀の作品は、日常の中に潜む深遠な美を見事に表現し、美術品買取市場でも多くのファンを魅了しています。
ここでは、買取市場で出会うことのあるものから美術館に所蔵されているものまで、小倉遊亀の代表作をご紹介します。
径(こみち)
小倉遊亀の「径」は、母と子と犬が一列になって歩く姿を描いた、幸福感に満ちた空気が画面に広がっているシルクスクリーン作品です。
原画は東京藝術大学に所蔵されています。
この作品は、中国の龍門石窟にある大仏に付き従う菩薩や弟子の彫刻に着想を得て制作されたといいます。
犬の足の動きや女の子の巾着の位置にまでこだわり、風を受けた傘や暖かな空気感が巧みに表現されています。
小倉遊亀自身が「生きることの喜びを感じ合う健やかな世界を描きたかった」と語っている通り、女の子と犬の軽やかな足取りには愛と生きる喜びが映し出されています。
作者の宗教的な信念を身近なものに込めた傑作と言えるでしょう。
浴女 その一
「浴女 その一」は、東京国立近代美術館に所蔵されている小倉遊亀の代表作の1つです。
白いタイル張りの湯船にゆらめく湯と、入浴する2人の女性が描かれています。
浴槽のタイルの縦横の格子模様が、光の屈折でユラユラとひしゃげる様子の描写が見事です。
湯気の微妙な絵具の濃淡や光と水の表現が透明感を生み出しており、慎ましくも大胆な女性たちの内面を想像させると共に、湯の質感と日本の風呂場の雰囲気を巧みに捉えています。
椿
椿は、小倉遊亀が生涯を通して愛し続けたモチーフの一つです。
その椿を描いた作品の中でも代表作と言えるのが、シルクスクリーン作品「椿」です。
原画は宮内庁に所蔵されています。
この作品では、三種の椿が豪華な金箔地を背景に、まるで美しさを競い合うかのように優雅に咲き誇っています。
椿の花の繊細な質感と生命力を見事に捉え、その鮮やかな色彩と立体感が豊かに表現されています。
舞妓
「舞妓」は、小倉遊亀自身が「仕事ざかり」と語った70代の頃の代表作です。
真っ白の空間に座る舞妓が繊細な線描と豊かな色彩で描かれたシルクスクリーン作品で、原画は京都国立近代美術館に所蔵されています。
舞妓が纏うやわらかな薄紅色の着物には貝尽くしの文様が施され、華やかな金糸の亀甲文様の帯がその美しさを引き立てています。
背景の白は、小倉遊亀自身が「宇宙も世間もみな呑んだ白でなくちゃならぬ」と語っている通り、仏画のような神聖な雰囲気を醸し出しています。
小倉遊亀が円熟期に制作した「舞妓」は、彼女の技術と感受性が結集した作品と言えるでしょう。
霽れゆく(はれゆく)
小倉遊亀の「霽れゆく」は、夏の夕立ちが過ぎ去った後の空気感を鮮やかに捉えた作品です。
霧のように流れる雲が晴れていく様子が、まるで生き物が動き出しているかのように描かれています。
手前には、精進湖が静かに広がり、その下部には黒々とした子抱き富士が見えます。
この作品は、小倉遊亀の特徴である力強い構成と明るく爽やかな色彩が際立っています。
小倉遊亀の人物画や静物画に見られる深い感受性が、自然の変化を生き生きと表現しており、夏の夕立ちの清々しい後味を感じさせます。
まだまだある小倉遊亀の有名作品
これまでに挙げたもののほかにも、小倉遊亀にはまだまだ多くの有名作品・人気作品があります。
初夏の花 | 白い椿 | 瓶花 | つかのま | 古九谷徳利と白椿 |
姉妹 | 椿花 | O夫人坐像 | 小女 | 古九谷と青梅 |
紅梅と徳利 | 菩薩 | 徳利桃 | 牡丹 | 草と古九谷 |
爛漫 | 咲く | 憶昔 | 梅 |
ここに名前を挙げた作品をお持ちなら、保存状態などの条件によって高く買取される可能性があります。
具体的な価値については、ぜひ1度バイセルの無料査定でお確かめください。
小倉遊亀の絵画を高価買取してもらうためのポイント
彼女の長いキャリアと豊かな表現力で買取市場でも高く評価されている小倉遊亀の絵画ですが、少しでも高く売るためにはどのようなポイントに気をつければ良いでしょうか。
小倉遊亀作品を含む絵画の買取において、より高く買取してもらうために知っておきたい3つのポイントをご紹介します。
- 入手経路などの来歴を明確にしておく
- 綺麗な状態で保存しておく
- 鑑定書などの付属品を揃えておく
入手経路などの来歴を明確にしておく
小倉遊亀をはじめとした絵画の査定では、買取市場における作品の信頼性のために「どこで手に入れたか」「いつ購入したか」「誰から譲り受けたか」など購入に至るまでの背景が確認されます。
例えば「業界で信頼されている専門店で購入した」「〇年△月に××博物館に貸し出した」などの来歴は、作品の価値を判断するうえでも重要な情報になります。
そして、その来歴を証明する書類等があればさらに信憑性が増し、買取市場における信用度が増すことでより高く売れるかもしれません。
入手した経路や時期、美術館への貸出履歴といった記録がある場合には、処分せずに大切に保管しておきましょう。
綺麗な状態で保存しておく
小倉遊亀を含む絵画の買取では、保存状態が良好である(制作当時の状態をなるべく保っている)ほど高く買取されやすい傾向があります。
反対に、ひび割れ、退色、シミ、シワ、カビ、傷、破れ、タバコの臭いがあるなど保存状態が悪いと、その分だけ買取価格は下がってしまいます。
小倉遊亀のような有名作家の場合には多少の経年劣化があっても買取してもらえる場合も多いですが、高価買取の可能性は低くなってしまうでしょう。
作品を良い状態に保つためには、専用の袋や箱で保護する、直射日光を避けて風通しの良い場所で保管するなどの工夫をしてあげましょう。
鑑定書などの付属品を揃えておく
小倉遊亀のような有名画家の作品をより高く売るためには、作者のサインや鑑定書・保証書といった、作品の価値を示す付属品の有無が重要な役割を果たします。
小倉遊亀の作品には、作品の右下などに「遊亀」のサインと印章が入っているものも多いですが、それに加えて鑑定書があれば、作品の価値を証明するのに役立つでしょう。
買取市場における信頼性が増すことで多くの需要を集められ、より高い価格での売却にもつながる可能性があります。
鑑定書・保証書などの付属品がある場合には、作品本体と併せて買取前に揃えておきましょう。
なお、小倉遊亀作品について最も信頼度の高い鑑定機関としては、小倉遊亀の孫である小倉健一氏が代表を務める「画廊鉄樹」があります。
小倉遊亀作品を売るなら買取実績豊富なバイセルへ
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