絵画の価値ってなんだろう?高額作品の基準を解説

絵画の価値は、作品や作家、保存状態などによりさまざまです。
オークションでアート作品に何十億円もの落札金額がついたニュースを見ると、「いったい何を基準に価格が決まるのだろう」と疑問を抱きますよね。
実はアート市場には「価値」を決める明確な基準がなく、良いと感じる作品が高額になるとは限りません。
絵画の価値はどのようなポイント、どのような仕組みで決まるのでしょうか。
絵画の価値基準、アート市場の仕組み、絵画を購入・売却する時の注意点などについて解説します。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
目次
良いと感じる絵画が高額とは限らない
絵画の価値はどのように決まるのでしょうか。
優れた絵画とはどのようなものかというのも難しい問いですが、価値の高い絵画とはどのようなものかも、絵画初心者には分かりにくいですよね。
それは、絵画を見て「良い」「美しい」と感じる度合いと、その絵画の価値とが必ずしも一致しないからです。
そして、絵画には作品の価値を明確に決める、「こうであればいくら」という分かりやすい基準がありません。
代わりにアート作品の市場には、独自の「売買の仕組み」と「評価の仕方」があります。
一例として、画廊(ギャラリー)での作品の価値の決め方を挙げてみます。
画廊にはギャラリストという作品の価値を見極める美術商がいて、作家やコレクターが持ち込んだ作品がいくらなら売れるのかを判断しています。
画廊やギャラリストごとに、作品の販売価格は多少異なりますが、同じ作品を複数の画廊に持ち込むことでおおよその相場は見えてくるでしょう。
以下では、絵画の価値がどのように決まるのか、そしてアート作品の市場はどのような仕組みになっているのかについて解説していきます。
絵画の価値を決めるポイントとは
アート作品である以上「人々を惹きつける美しさ・魅力があるか」という点はもちろん重要なのですが、絵画の価値を決めるポイントはそれだけではありません。
市場で取り扱われる商品である以上、絵画と言えどその価値は「需要と供給のバランス」に左右されます。
そして、絵画の需要と供給に関わるポイントとしては、以下のようなものがあります。
- 有名作家の作品かどうか
- 作家の作品数
- 制作年代
- 作品の保存状態
- 来歴など信頼性
有名作家の作品かどうか
絵画の需要を大きく左右するポイントとして、「有名作家の作品かどうか」があります。
多くの絵画ファンが求めるような有名作家・人気作家の作品であれば、価値は高くなりやすいでしょう。
また、有名作家の作品であることを示してくれるものとして、作者のサインや保証書・鑑定書などの付属品があります。
サインや付属品があることで、より需要が増す可能性は高いです。
ただし、ここで気をつけたいのが、無名作家だからといって高い価値がつかないわけではないという点です。
絵画ファンの中には世に広く知られていない作品を集めたいというコレクターも多数おり、無名の若手作家や美大生の作品に高い価値がつく可能性もあります。
高い価値がつきやすい有名作家の具体的な名前は、以下のページに記載しています。
参考までにぜひご覧ください。
作家の作品数
絵画の供給の面から価値に関わってくるのが作品の希少性、すなわち「市場にどれだけ出回っているか」です。
例えば、作品数が少ない作家の場合、市場への供給量はどうしても少なくなります。
そのため作品数が多い作家に比べて、「この作家の作品が欲しい」と思う人数が」同じであれば、作品数が少ない作家の方が価値が高くなりやすいでしょう。
制作年代
絵画には非常に長い歴史がありますが、古い時代の作品は、現在までの長い時間の中で失われてしまっている可能性も高いです。
その意味で、制作年代の古い絵画には希少性があります。
「古い絵画には高い価値がある」と一概には言えませんが、1つの判断材料にはなるでしょう。
作品の保存状態
アート作品の市場では、保存状態の良し悪しによって、買い手がつくかどうかが大きく左右されます。
やはり、制作された当時の状態を保っているものの方が需要が集まりやすいです。
特に、「古い時代の有名作家の作品で、保存状態が良い」などになると非常に希少なため、価値は高くなりやすいでしょう。
来歴など信頼性
詳しくは後述しますが、特に有名作家の絵画には贋作が多く出回っています。
そのため、アート作品の市場でより多く需要を集めるためには、作品の信頼性も重要です。
その意味でポイントとなるのが、どこで手に入れたか(いつ購入したか・誰から譲り受けたか)などの来歴です。
過去の所有者や展示歴など、信頼できる来歴がある作品は、そうでない作品よりも高い価値がつきやすくなります。
アート市場の仕組みと値段の決まり方
絵画には、大きく分けて「プライマリーマーケット(一次市場)」と「セカンダリーマーケット(二次市場)」の2つの市場があります。
市場の性質や値段の決まり方が異なっていますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
プライマリーマーケット(一次市場)
プライマリーマーケット(一次市場)とは、アーティストが新作(まだ世に出ていない作品)を売る市場のことです。
主に画廊や百貨店などが「プライマリーギャラリー」になることが多いです。
このプライマリーマーケットは、新人作家とコレクターの出会いの場にもなっています。
作家にとってはお客さんを見つけることができ、コレクターにとってはまだ見ぬ才能を探すことができる場所なのです。
プライマリーマーケットでは、ギャラリストとアーティストが話し合って、絵画の大きさを示す号数に号単価を掛けて価格が決まります。
この「号単価」は作家の知名度や人気によって左右されます。
無名だった頃の作品が数万円で販売されてたのが、有名になって多くのファンが作品を欲しがるようになれば、価格が何十倍にも膨れ上がる可能性があります。
セカンダリーマーケット(二次市場)
セカンダリーマーケット(二次市場)とは、1度誰かの手に渡った絵画を再度売りに出す市場です。
絵画の所有者が画廊や買取業者に買い取ってもらったり、画廊に委託するなどして市場に出されます。
セカンダリーマーケットとしてイメージしやすいのが、美術品のオークションです。
アメリカの「サザビーズ」とイギリスの「クリスティーズ」は世界2大オークションハウスと呼ばれ、セカンダリーマーケットの中心となっています。
値段は通常の市場と同じく需要と供給で決まるため、作品によっては驚くような高い価値がつくことがあります たとえば2008年には、村上隆のフィギュア「マイ・ロンサム・カウボーイ」がサザビーズでオークションに掛けられ、日本円にして約16億円で落札されて話題になりました。
メディアで「オークションで作品が数十億円で落札された」などと発表される際には、セカンダリーマーケットでの落札金額を指している場合が多いです。
セカンダリーマーケットには世界の富裕層も参加している
セカンダリーマーケットでこれほど高い価格がつくことがある背景には、美術好きな世界の富裕層の存在があります。
セカンダリーマーケットには世界の富裕層のコレクターたちも参加しており、オークション会場は「作品を必ず手に入れたい」という熱気に満ちています。
「人気作家の1点しかない作品」という希少性や、「誰よりも自分が手に入れたい」という欲求によって続々と入札がなされ、価格が吊り上がっていくのです。
なお、美術の世界では「亡くなってから評価が上がった」という作家も多く見られますが、これは「セカンダリーマーケットで注目されるようになったのが、作家が亡くなった後のタイミングだった」という現象であることが多いようです。
有名作家の未発表作品や初期作品が出品されることもある
セカンダリーマーケットには、有名作家の未発表作品や初期作品が出品されることもあります。
2021年に草間彌生の1950年代終わりから1960年代に完成されたという、初期に作られた未発表作品が香港ボナムスオークションセンターにて公開されました。
草間彌生最大の特徴である「無限の網」をモチーフにした、油絵の「Mississippi River(ミシシッピ川)」やドローイングの「愛の海」など複数点が出品されました。
お持ちの作品が「実は後に有名になった作家ものだった」「希少性が高い絵画だった」などという可能性はゼロではありません。
バイセルでは絵画も買い取っており、絵画に詳しい査定士がお持ちの絵画の価値をしっかりと価格に反映いたします。
お持ちの絵画の価値を知りたいだけという場合も、お気軽にご相談ください。
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お申し込みフォームへアート市場では贋作に注意!鑑定方法も解説
画廊では作品の販売とは別に、コレクターが持ち込んだ絵の鑑定もしています。
絵画の価値が決まるにあたっては、有名作家本人が描いた本物なのか、別人が描いた作品なのか、それとも名画を模した贋作なのかという点は細心の注意を要するポイントです。
どれだけ美しい絵であっても、贋作であれば買取市場・美術市場で高い価値がつくことはありません。
有名な作家であるほど市場には贋作が多く出回っていますので、絵を購入する際などは注意が必要です。
国内のオークションサイトにも贋作が多数存在する
「アート作品をオークションサイトで手に入れたら贋作だった」という事例は多々あります。
「出品者も知らなかった」というケースもあるかもしれませんが、悪質な詐欺も多いですので注意しましょう。
例えば、以下のような手口が確認されています。
- 「直筆」「保証書付き」「鑑定証付き」など虚偽の文言を書く
- 偽造した鑑定書を添付している
オークションサイトでは出品者と購入者が対面してやり取りをすることがないため、こういった詐欺が起こりやすいのかもしれません。
こういった贋作の出品では、早く売り抜けるために出品価格が安く設定されていることも多いです。
有名作家の作品が相場よりも安く出品されていると「お買い得だ」という気がしてしまいますが、贋作には十分に注意しましょう。
落札後に贋作だとわかっても、「出品者が逃げてしまってほぼ追跡不可能」というケースもあり得ます。
贋作と知らずに贋作を出品してしまうことにも注意を
たとえば、オークションサイトで手に入れた絵画を自身もオークションサイトで出品したとしましょう。
もしこの絵画が贋作であった場合、知らないうちに贋作の流通に関わってしまうことにもなり得ます。
そこでおすすめなのが、絵画を扱う買取業者の査定を受けることです。
美術品を得意とする大手の買取業者の中には、査定料などの手数料を無料にしているところもあります。
こういった無料査定で真贋や価値を確かめておくことで、安心してお持ちの絵画を売ることができるでしょう。
絵画の鑑定はどんな風に行われている?
絵画の鑑定では、真贋の判定は具体的にどのように行われているのでしょうか。
絵画が本物か贋作かを見極める主な方法としては、以下の3つがあります。
- 視覚鑑定
- 様式鑑定
- 科学的鑑定
それぞれ見ていきましょう。
視覚鑑定
視覚鑑定とは、専門家が作品の全体的な印象と、画家の絵具を塗るときの手癖などで判断する方法です。
作家ごとに違う筆のタッチなどで見極めています。
様式鑑定
様式鑑定とは、同じ画家であっても時代によって作風が変化していくことから、作品の制作年と作風が合っているかを判断する方法です。
さらに、作品の背景にある建物と当時の写真と比べて、制作年代が合っているかも確かめます。
科学的鑑定
科学的鑑定とは、絵具の成分分析やキャンバスに残る指紋から照合する「フォレンジック調査」によって、制作年を特定する方法です。
たとえば、その絵画が描かれた当時には使われていなかった絵具が検出されれば、それは贋作であると分かります。
このような鑑定方法を併せて行うことで、その絵が本物か贋作かを判定していきます。
贋作と複製画(レプリカ)の違い
「贋作」とは、作家本人でない人が絵画の模写をして、本物と偽って公開したものです。
一方、原画の作者に許可を取って制作した「複製画」もあります。
複製画は「レプリカ」とも呼ばれており、許可を取らずに原作に似せて描いている贋作・模倣品とは異なります。
複製画には、名画を安価で楽しめるというメリットもあり、美術品としての価値があります。
絵画を扱う買取業者に出すと、買取金額がつくケースも多いです。
複製画の買取について詳しくは、以下のページをご参照ください。
絵の価値は絵画の買取実績が豊富な業者に見てもらおう!
お持ちの絵画の価値が気になる方は、絵画を取り扱う骨董品・美術品買取の業者に見てもらいましょう。
その際は、特に絵画の買取実績が豊富な業者を利用することをおすすめします。
絵画の価値を正確に査定するには、作者や制作年代、保存状態、市場の動向などを正確に見極める必要があります。
絵画の買取実績豊富な骨董品・美術品買取の業者は多くの人に選ばれているということですから、その点でも安心して任せることができるでしょう。
ここからは、絵画の査定ではどのような点がチェックされるのかについてご紹介します。
絵画の査定ポイント
絵画の査定ではまず、作品の来歴が確認されます。
すなわち、絵画をどこでどのようにして手に入れたかの情報です。
- 購入時期
- 購入理由
- 購入場所
- もらったものか自分で買ったものか
買取業者の査定士は以上のようなヒアリング項目を設けて、その作品の市場における信頼性につながる背景を把握します。
知人から譲ってもらった、かなり昔に購入したなどで来歴がはっきり分からないという場合もあるかもしれませんが、なるべくヒアリング項目に答えられるように情報を集めておくのがおすすめです。
これらのヒアリングに加えて、特に査定額に影響するのが以下の査定ポイントです。
- 作家名と作品名
- 制作年代
- サイズや形状
- 作品の完成度
- 保存状態の良し悪し
- 付属品有無
- 希少性の有無
- 市場での人気
これらのポイントを総合的に判断して、査定額が算出されます。
絵画の価値は買取実績豊富なバイセルへお問合せください
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バイセルの査定士は高い専門知識と豊富な査定経験を生かして、作品名・作家名が分からない絵画でもしっかりと価値を見極めます。
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