絵画の価値ってなんだろう?高額作品の基準を解説

- 自宅を整理していたら古い絵画が出てきました。売ったらいくらになりますか?
- 作家名や保存状態によって買取価格が変わりますので一度拝見いたします。こちらよりお問合せ下さい。
- 祖母から絵画が好きな祖父から絵を譲り受けました。絵に詳しくないのですが有名な作家みたいです。価値ってありますか?
オークションでアート作品に何十億円もの落札金額がついたニュースを見ると、「自分にも作れそうな作品がどうしてこんなに高いの?」と疑問を抱きますよね。
アート市場には価値を決める明確な基準がなく、優れた作品であっても高額だとは限りません。
絵画の価値を知るにはどのようなポイントがあるのか、またアートを作品を手に入れる際に何に注意をしたらいいのでしょうか。
本記事では一般人には理解しづらい絵画の価値について詳しく解説します。

優れたアート作品が高額とは限らない

アート作品って何をもって良い作品かどうかがわからないですよね。
アート作品の市場には、独自の売買の仕組みと評価の仕方があります。
作品の価値を決める明確な基準がないため、有名アーティストの作品だとしても高額になるとは限りません。
例えば、作品を売買する場所に画廊(ギャラリーとも呼ばれる)があります。
画廊にはギャラリストという作品の価値を見極める美術商がおり、作家やコレクターが持ち込んだ作品がいくらなら売れるのかを判断しています。
ギャラリストによって作品の販売価格は異なりますが、同じ作品を複数の画廊に持ち込むとだいたいの相場は同じになることが予想されます。
ただし、ギャラリストが決めた販売価格がそのまま絵の価値にはなりません。
作品の価値を評価するときには、主に以下の3つに基づいています。
アート作品の評価の仕方は大きく3つ
- 1、需要と供給のバランス
- 2、美しさや人々を惹きつける価値があるか
- 3、希少価値があるか(作品数が少ない、世に出ていないなど)
アート作品の価格はおおまかに上記によって決められるとされています。
優れた作品だとしてもこれらがバランスよくはまらなければ、買い手がいると見込まれず高額な販売価格はつけられません。
一方、無名の若手作家や美大生の作品などは、画力の伸びしろや作品数が少なさから希少性を盛り込まれます。
販売当初は値段が低くても、数年経って数万円だったのが数十万円になる可能性を見越して買い取るギャラリストも存在します。
アート市場における作品の値段の決め方とは?

アート市場では、作品の値段を決める2つの市場があります。
「プライマリーマーケット」と「セカンダリーマーケット」はご存じでしょうか。
これらは市場ごとに評価される作家と評価の仕方が異なります。
プライマリーマーケット(一次市場)
プライマリーマーケットとはアーティストが新作を売る市場です。
メディアに取り上げられるほどの有名な作品は美術館が所有していて、プライマリーマーケットには出回りません。
プライマリーマーケットはギャラリストとアーティストが話し合って、絵画の大きさを示す号数に号単価を掛けて価格が決まります。
作品の完成度やセンスではなく、絵画の大きさで値段を判断するところがポイントです。
また、新人作家とコレクターの出会いの場にもなっており、まだ見ぬ作品が眠っていないか気になるコレクターが足繁く画廊に通っています。
画廊では無名画家の作品を数万円で販売していたのが、有名になって多くのファンが作品を欲しがるようになれば何十倍にも膨れ上がる可能性があります。
例えば、25歳で亡くなった中園孔⼆(なかぞのこうじ)の作品は、現代アート作家を多数輩出している画廊がアーカイブしています。
逝去後には展示会を開催し、生前の作家活動も注目されています。
セカンダリーマーケット(二次市場)
セカンダリーマーケットは、アーティストから他の人に渡った絵画を再度売りに出す市場です。
絵画の所有者が画廊に買い取ってもらったり、画廊に委託して市場に転売されます。
画廊によってはセカンダリーマーケットで作品を仕入れて、手数料を加えて販売価格を決めています。
セカンダリーマーケットの中心は、アメリカで創設した「サザビーズ」とイギリスで創設した「クリスティーズ」は世界2大オークションハウスです。
メディアで「オークションで作品が数十億円で落札された」と発表される際には、セカンダリーマーケットでの落札金額を指している場合が多いです。
村上隆のフィギュア「マイ・ロンサム・カウボーイ」がサザビーズでオークションに掛けられ、日本円にして約16億円で落札されたというニュースは大きな話題になりました。
コレクターの醍醐味はセカンダリーマーケットにあり
セカンダリーマーケットには世界の富裕層のコレクターが参加しており、オークション会場には作品を必ず手に入れたいという熱量に満ちています。
「人気作家の1点しかない作品」という希少性や、「誰よりも自分が手に入れたい」という欲求によって続々と入札され、落札価格を吊り上げます。
また、亡くなった作家がセカンダリーマーケットに出品されて脚光を浴びることもあります。
有名作家の未発表作品や初期作品が出品されることもある
セカンダリーマーケットには有名作家の未発表作品や初期作品が出品されることもあります。
2021年に草間彌生の1950年代終わりから1960年代に完成された初期に作られた未発表作品が、香港ボナムスオークションセンターにて公開されました。
油絵の「Mississippi River(ミシシッピ川)」やドローイングの「愛の海」など複数点が出品され、草間彌生最大の特徴である「無限の網」をモチーフにしています。
本物か贋作かで値段は大きく変わる

画廊では作品の販売と、コレクターが持ち込んだ絵の鑑定もしています。
絵画の価値を決めるときに本物か贋作かには細心の注意を払っています。
素晴らしい名画でも贋作であれば買取市場・美術市場での市場価値はありません。
有名アーティストであるほど贋作が多いのが実情で、本物と比べると価値が大きく下がってしまいます。
国内のオークションサイトも贋作が多数存在する
アート作品をオークションサイトで手に入れたら贋作だった事例は多々あります。
- ・オークションサイトで騙されて買った作品を再度出品する
- ・名の知れた作家の偽物を入札価格を数百円から出品する
- ・作品の信憑性を高めるべく「直筆」「保証書付き」「鑑定証付き」など文言を書く
- ・作品を模写して、本物の鑑定書を偽造する
本物の作品の鑑定書を失くしたと主張して、再発行した鑑定書を付けて売る方法も散見されています。
有名作品はあわよくば贋作でもいいから欲しいと入札する人がいるかもしれません。
しかし、落札後に贋作だとわかっても出品者が逃げてしまえばほぼ追跡不可能です。
贋作を落札して後悔しても自己責任になってしまいます。
万が一、オークションサイトで手に入れた作品を買取に出したいなら査定員に打ち明けてみましょう。
贋作と複製画(レプリカ)の違い
贋作とはアーティストではない人が絵画の模写をして、本物と偽って公開したものです。
ですが、原画の作者に許可を取って制作した複製画は贋作ではありません。
複製画は一般的にはレプリカと呼ばれています。
贋作や模倣品とでは許可を取らずに原作に似せて描いている点が違います。
ちなみに複製画は、買取業者に出すと美術品の価値を認められて査定金額が付きます。
複製画をお持ちなら売却を検討してみてください。
作品が本物かどうかの見極める技術
本物の作品かどうかを見極める技術は、主に3つあります。
視覚鑑定
専門家が作品の全体的な印象と、画家の絵具を塗るときの手癖などで判断する方法です。
作家ごとに違う筆のタッチなどで見極めています。
様式鑑定
画家の作風は時代によって変化していくものですが、作品の制作年と作風が合っているかを判断する方法です。
作品の背景にある建物と当時の写真と比べて、制作年代が合っているかを確かめます。
科学的鑑定
絵具の成分分析やキャンバスに残る指紋から照合する「フォレンジック調査」によって、制作年を特定する方法です。
例えば、ジャクソン・ポロックの作品は顔料をキャンバスに塗るのではなく、垂らしたり飛び散らせたりする「アクション・ペインティング」と呼ばれる手法で制作しており、アクリル絵具がなかった時代にそれを用いて描かれていれば贋作と判断します。
絵の価値は絵画を多く扱う買取業者に見てもらおう!

お持ちの絵画の価値が気になる人は、絵画を扱う骨董買取業者に見てもらいましょう。
名前を知らない作家だとしても、実はアート市場の中では人気作家で欲しい人が大勢いる可能性があるからです。
ここでは、買取業者が絵画をするポイントをご紹介します。
絵画の価値は知識のない人は、査定士の鑑定力に頼ってみましょう。
絵画を扱う買取業者の査定のやり方
美術品の査定で重要なのは、絵画をどのようにして手に入れたかです。
査定士は以下のヒアリング項目を設けて由来を把握します。
- ・購入時期
- ・購入理由
- ・購入場所
- ・もらったものか自分で買ったか
さらに、ヒアリングに加えて、以下の査定基準も考慮します。
- ・作家名と作品名
- ・制作年代
- ・サイズや形状
- ・作品の完成度
- ・保存状態の良し悪し
- ・付属品有無
- ・希少性の有無
- ・人気度
絵画を譲ってもらった人は、ヒアリング項目に答えられるように情報を集めておきましょう。
作家名がわからない絵画には価値が高いものが紛れているかも!
絵画はコレクター人気で市場価値が変わりますが、バイセルは月間で数万点もの絵画や骨董品を査定をしているため価値を見逃しません。
作家名が分からない場合でもしっかりと査定して金額をご提示します。
価値を知りたい絵画がございましたら、弊社で価値を調べてみてはいかがでしょうか。

より詳しい情報を知りたい方はこちら
骨董品買取をもっと見る