べっ甲(鼈甲)製品は買取価格が高い?価値の高さや高く売るコツをご紹介

べっ甲は、アクセサリー、工芸品、置物、身近なものとしてはメガネフレームにも多く使われている人気の高級素材です。
べっ甲の特徴である飴色や艶は骨董品の愛好家のみならず人気を集めており、買取市場でも高い値段で取引されるケースがあります。
本記事ではべっ甲の概要や希少価値が高い理由、買取価格が高くなりやすいべっ甲の特徴、買取市場で人気のべっ甲アイテム、べっ甲製品を高く売るコツなどについてご紹介します。
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目次
べっ甲とは?価値が高い理由を解説
べっ甲とはタイマイ(玳瑁)というウミガメの甲羅が原料となっている素材で、アクセサリーや工芸品、置物などに使われています。
日本では古くから簪(かんざし)や櫛(くし)などの装飾品としてべっ甲を用いてきました。
日本最古のべっ甲製品は、約1400年前に小野妹子が隋から持ち帰った皇室への献上品と言われています。
時代が下ると将軍家への献上品としても珍重されたようで、庶民にはなかなか手の届かない贅沢品ながら、徐々にべっ甲の美しさは広まっていきます。
しかし1975年、ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)によって、タイマイの甲羅の国際取引は禁止となりました。
日本国内でも、卵の採集や、べっ甲製品への加工目的のタイマイの捕獲は原則禁止と定められています。
そのため、現在販売されているべっ甲商品は、基本的に禁止になる前に輸入していたものに限られます。
べっ甲の価値が高い理由
べっ甲は琥珀のような飴色で透明感があり、独特の褐色もしくは黒の模様が入った美しい素材です。
熱を加えると簡単に曲げることができるなど加工がしやすく、美しい細工や彫刻が施せる点も、アクセサリーや工芸品の材料として高く評価されています。
そして、もともと希少性の高かったべっ甲が、ワシントン条約によって新たに輸入することが出来なくなりました。
美しさに加えて、流通している量が限られており、条約によって今後も増えることがないというのが、べっ甲の価値が高い理由となっています。
べっ甲を売るには登録票が必要?
環境省ホームページによると、「国内希少野生動植物種と国際希少野生動植物種に指定されている種については、取引と取引につながる販売・頒布目的の陳列・広告は原則として禁止」されています。
べっ甲の原料であるタイマイは「国際希少野生動植物種」にあたるため、勝手に譲渡や売買をすることができないのです。
この規制では、生きている個体のほか、死体や卵、剥製なども対象となります。
べっ甲で言えば、タイマイの剥製、全甲、甲羅の端材などが規制対象です。
ただし、アクセサリー・メガネ・茶道具のような工芸品など、亀の原型をとどめていないべっ甲製品の完成品については、この規制の対象にはなりません。
アクセサリーや骨董品・工芸品としてのべっ甲製品を売るには特別な届出等は必要ありませんのでご安心ください。
タイマイの剥製等の登録について
上記の規制は、希少野生動植物種の移動を管理するためのものです。
そのために生体だけでなく剥製等についても登録を課し、譲渡・取引の際には届け出ることを求めているのです。
届け出る先は目的によって異なるのですが、学術研究目的でないタイマイの剥製等の取引には自然環境研究センターへの届出が必要となります。
また、もし規制ができる前の古い剥製等で、まだ登録票のついていないものが見つかった場合には、登録をしなければなりません。
登録や届出の詳細については、自然環境研究センターのホームページをご確認ください。
また、同じくワシントン条約に基づく登録が必要な物として、象牙(1本物)があります。
象牙の登録については以下のページが詳しくなっていますのでご参照ください。
価値が高いべっ甲の特徴
べっ甲製品はその美しさと希少性から買取市場でも高値で取引されるケースは多いです。
その中でも特に高い買取価格がつきやすいのが、「白甲(しろこう)」と呼ばれる種類のものです。
白甲には以下のような特徴があります。
- 透明度が高い
- 斑(ふ)がない
- 黄色い部分が多い
白甲は透明感のある淡い飴色が特徴です。
腹甲(ふっこう)とふち甲からわずかしか取れない原料を使っており、流通量が少ないため希少性が高くなっています。
他にべっ甲の種類としては、黒甲(くろこう)と茨布甲(ばらふこう)があります。
黒甲は、背甲の中でも茶色いところだけを使って作られており、色が濃くて艶があります。
茨布甲は背甲全体を使って作られており、一つの甲羅からの採取量が多いです。
べっ甲は飴色にまだら模様が特徴ですが、茨布甲は飴色の部分が多い方が価値が上がりやすいと言われます。
黒甲や茨布甲のべっ甲製品も買取市場で人気ですが、白甲と比べると安価になることが多いです。
買取市場で人気のべっ甲製品にはどんなものがある?
べっ甲は様々な製品に加工されて親しまれており、多種多様なべっ甲製品があります。
ここではその中でも、買取市場で人気の高いべっ甲製品の種類をいくつかご紹介します。
メガネ
べっ甲製品の定番の1つがメガネフレームです。
肌になじみやすいべっ甲のメガネフレームは人気が高く、買取市場でも高い需要があります。
特にフレーム全体にべっ甲を使ったオールべっ甲のメガネは買取価格も高くなりやすいでしょう。
また、べっ甲のメガネは、折れても接着剤を使うことなく、熱・圧力・水だけで接合することが可能なため、綺麗に修理することができます。
使用によってくすんだ場合も磨くと光沢を取り戻せるなど、長く使える特製を備えています。
サングラス
べっ甲のフレームは、メガネだけでなくサングラスにも用いられています。
サングラスのフレームにべっ甲を使うと、程よい抜け感や柔らかい印象をプラスしてくれるとして、有名ブランドなども多く使用しています。
べっ甲を用いたサングラスの中でも、特にハイブランドものであれば、高い買取価格もつきやすいでしょう。
べっ甲製サングラスを取り揃えている主なハイブランドには、BVLGARI(ブルガリ)、PRADA(プラダ)、CHANEL(シャネル)、OLIVER PEOPLES(オリバーピープルズ)などが挙げられます。
髪留め
べっ甲は、櫛・簪・バレッタなどのヘアアイテムにも多く使用されています。
美しい彫刻や螺鈿(らでん)が施されていたり、漆地や木地などにはめこむ技法が使われているものもあり、人気を集めています。
特に、有名な彫刻家や工芸作家が手掛けたべっ甲、江戸べっ甲など有名産地のべっ甲のヘアアイテムは、素材の価値に加えて工芸品としての価値からも買取価格が高くなりやすいでしょう。
着物に合う、美しい蒔絵が施されたべっ甲の簪などは、買取市場でも高級品として取引される可能性があります。
置物
べっ甲の置物も買取市場で人気の骨董品です。
べっ甲製の宝船や、鯉などをモチーフにしたべっ甲の彫刻など、使われているべっ甲の量が多いと買取価格も高くなりやすいでしょう。
また、べっ甲の宝船に珊瑚がついているものなど、他の高級素材を組み合わせた工芸作品もあります。
べっ甲の小物類
そのほか、ステッキ、三味線の撥(ばち)、茶道具(お菓子切り、フォーク、茶さじ、茶杓など)などにもべっ甲が使われているケースは多いです。
例えば高級な三味線の撥では、撥先にべっ甲を使い、持ち手には象牙・水牛の角・紅木などが組み合わされているものなどがあります。
べっ甲の茶道具には有名な工芸作家が手掛けたものもあり、高い買取価格がつく可能性はあります。
べっ甲製品をより高く買取してもらうためのコツ
べっ甲製品は素材の希少性もあって高い買取価格がつくことも多いです。
ここでは、そんなべっ甲をなるべく高く売るために知っておきたいポイントをご紹介します。
- 適切な保管で良い状態に保っておく
- 付属品は本体と一緒に買取に出す
- 修理業者の利用は慎重に
適切な保管で良い状態に保っておく
べっ甲製品に限ったことではありませんが、骨董品・工芸品の買取では保存状態が綺麗なものほど高く買取されやすいです。
そしてべっ甲は自然由来であるため、適切に保管していないと様々なダメージが出てしまいやすい素材でもあります。
べっ甲製品で起こりやすいトラブルと、それぞれへの対策や保管方法をご紹介します。
虫食い
べっ甲の主成分は動物性たんぱく質であるため、虫食いが発生しやすいです。
虫食いを防ぐためには、べっ甲製品を桐箱に入れて保管する、保管時に防虫剤を使うなどの対策があります。
ひび割れ
べっ甲は、湿度変化によってひび割れを起こしてしまうことがあります。
付着した水分はきちんと拭き取っておく、湿度が一定に保たれやすい桐箱に入れて保管するなどの対策が有効です。
変形
べっ甲は、温度変化によって変形してしまうことがあります。
車の中など、高温になりやすい場所に置いておくことのないようにしましょう。
変質
べっ甲のアクセサリーなど、長く使っていると細胞組織の層のスジが出てきたり、表面がささくれ立って艶がなくなってしまったりすることがあります。
これは、べっ甲が汗など水分と酸性に弱いためです。
柔らかい布でこまめに乾拭きしてあげましょう。
付属品は本体と一緒に買取に出す
べっ甲を使った骨董品で、保証書や鑑定書がある場合には、査定時に本体と一緒に提示するのがおすすめです。
本物のべっ甲であることや、作者、使われている技法などが証明できることで買取市場での信用につながり、より多くの需要を集めることができるでしょう。
また、箱や袋なども骨董品コレクターにとっては重要な付属品であるため、付いていることでより高く買取される可能性があります。
修理業者の利用は慎重に
虫食いや割れ・欠けなどがあるべっ甲製品は、専門の修理業者に出すことで修理してもらうことができます。
ただし、買取を考えているべっ甲製品の場合、修理業者の利用は慎重に検討しましょう。
確かに保存状態の良い方が買取価格は高くなりやすいのですが、修理によるアップ幅が、修理代金を上回るとは限りません。
修理代の方が高くついてしまうと、そのまま買取に出すよりも損をしてしまう可能性があります。
壊れたままのべっ甲製品でも買取してくれるところはありますので、買取と修理の見積もりをとって比較検討してみるのも1つの手です。
※バイセルではべっ甲の買取が難しい場合がございますので、詳しくはオペレーターまでお問い合わせください。

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