
日本有数の飲料メーカーであるサントリーは、人気銘柄「山崎」「響」をはじめとした国産ウイスキーのパイオニアとして知られています。
「山崎」などのサントリーウイスキーは、高品質な嗜好品というだけではなくコレクター品としても高い人気を誇り、買取市場でも活発に取引されています。
「山崎」をはじめとしたサントリーウイスキーの概要や特徴に加え、買取相場・買取業者の選び方・高く売るために知っておきたいポイントなどをご紹介します。
目次
サントリーは日本ウイスキー界のパイオニア

ソフトドリンクも含む飲料全般を製造・販売しているサントリーですが、主軸商品はなんと言ってもアルコール飲料です。
中でも人気と評価の高い主力商品が、比較的安価な「サントリー角瓶」「トリスウイスキー」から高級ライン「山崎」「響」「白州」など、一連のウイスキー飲料です。
実はサントリーは1929年に日本で初めて本格的なウイスキー「白札」を発売したことで知られ、以来高い人気を維持し続けている日本ウイスキー界のパイオニアと言える存在なのです。
2014年度後期の「NHK朝の連続テレビ小説『マッサン』」で、サントリーの前身である「鳥井商店」をモデルにした「鴨居商店」が登場したことを覚えている人もいるでしょう。
買取市場に目を向けても、ウイスキーはアルコール度数が40%前後と高いために数十年以上にわたる品質維持が可能なことから、盛んに取引されています。
ウイスキーの買取市場で特に高い人気を誇っているのが、日本製品ではサントリーの「山崎」と「響」でしょう。
では、サントリーが誇る人気ウイスキー「山崎」「響」とはいったいどのようなお酒なのでしょうか。
日本の高級ウイスキーの代名詞「山崎」

1984年に発売開始された「山崎」は、原料がモルト(大麦麦芽)100%の「シングルモルトウイスキー」に分類されるサントリー製品です。
シングルモルトとは1つの蒸留所で作られたモルト原酒のみを使用したウイスキーのことで、「山崎」の場合には大阪府三島郡島本町山崎にある「山崎蒸留所」でつくられたモルト原酒のみを使用しています。
山崎蒸留所では作りたい味わいに応じて、ステンレスと木桶の2種類の発酵槽を使い分けて原酒を作ります。
また、作られた原酒を熟成させる樽にも、バーボンの貯蔵に一度だけ使用された樽である「バーレル」「ホッグスヘッド」、北米産ホワイトオーク製の樽「パンチョン」、スパニッシュオーク製の「シェリー樽」、そして「ミズナラ樽」と様々な種類があります。
そのようにして熟成された様々な個性を持った原酒を、熟練のブレンダーが組み合わせることではじめて「山崎」の繊細で深い味わいが生まれるのです。
ちなみに、サントリーの山崎蒸留所は工場見学などの観光スポットとしても知られています。
阪急電鉄京都線で大阪から京都に向かっていると、大山崎駅手前の左手の山間に「山崎」という大きな看板を掲げた蒸留所の姿を見ることができます。
「山崎」とは単一の商品名ではなく、シリーズ名・人気ラインの呼称のようなものです。
現行品としては「山崎」「山崎12年」「山崎18年」「山崎25年」の4種類がありますが、長い歴史の中では20種を超える「山崎」製品が発売されてきました。
ブレンデッドウイスキーの代表格「響」

サントリーの「響」は1989年、創業者・鳥井信治郎の次男・佐治敬三によって生み出されたウイスキーで、サントリーは創立90周年記念として発売されました。
サントリーの企業理念である「人と自然と響きあう」という言葉から名前をとったことからも分かる通り、サントリーの培ってきた技術の粋を集めたこだわりの長期熟成ウイスキーです。
「山崎」がモルト原酒100%の「シングルモルトウイスキー」であったのに対して、「響」はモルトウイスキーとグレーンウイスキーを混ぜ合わせて仕上げられる「ブレンデッドウイスキー」に分類されます。
グレーンウイスキーとは、トウモロコシなどの穀類を主原料とし、糖化させた大麦麦芽を加えて蒸留するという製法のウイスキーです。
「響」には、山崎蒸溜所に加えて山梨県の白州蒸溜所、愛知県の知多蒸溜所の3カ所で作られた原酒が使われています。
蒸留所によって、あるいは樽によって個性の異なる多数の原酒を、サントリー伝統のブレンド技術で組み合わせるによって、幾重にも広がる「響」特有の複雑で繊細な香味が表現されるのです。
初代の「響」である「響17年」は現在休売となっていますが、現行ラインナップには「響 JAPANESE HARMONY」「響 BLENDER’S CHOICE」「響21年」「響30年」の4種類があります。
「山崎」の買取相場は?

サントリーの「山崎」を買取に出そうと考えた場合、買取相場はどれくらいになっているでしょうか。
現行ラインナップの1つである「山崎25年」を例に挙げましょう。
「山崎25年」はサントリー創業100周年の記念商品として1998年から販売開始され、年間1,200本限定生産で現行ラインナップに含まれ続けています。
現行品ではありながら製造量が少ないこともあり、サントリー創業100周年にあたる1999年にボトル詰めされた「山崎25年」にはプレミア的価値がつきやすいです。
買取市場の近年の買取例を見ても、数十万円ほどの価格で買取されることもあるようです。
ウイスキーがボトル詰めされた年はラベルに明記されています。
もし「山崎25年」の買取を検討している場合は、「Bottled in 1999」と表記されていないか確認してみましょう。
ただし、実際の買取価格は保存状態や付属品の有無などによっても左右され、この限りでない場合があります。
この買取例はあくまでも目安程度として考えてください。
山崎の買取相場が高い理由
「山崎」は保存状態が良いものならば、希望小売価格以上の高額買取がされる可能性もあります。
その理由は、世界ではほぼ無名だった日本製ウイスキーが、2000年代に入ってから権威ある賞の最高賞や準最高賞を次々と獲得していったからです。
まず2003年、「山崎12年」が「ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)」という、ロンドンで開催される世界的な洋酒コンペティションのウイスキー部門で金賞を受賞しました。
それを皮切りに「山崎」は世界規模のコンペティションで受賞を繰り返し、「山崎18年」に至ってはISCにおける最高賞「トロフィー」を含む述べ10回以上もの受賞歴を持ちます。
そのため「山崎」の人気は世界的に高くなっており、買取市場における取引価格にも反映されているようです。
「響」の買取相場は?

「山崎」と同じく高い人気がある「響」も、買取相場は高い傾向にあります。
未開封で付属品などが揃っており、保存状態が良いものであれば数万円から数十万円といった買取相場になるようです。
「響」もISCなどの世界的なコンペティションで非常に高い評価を得ており、希望小売価格を超える価格で買取されるケースも多いです。
「響30年」はなんと3年連続・計4年もISCトロフィーを獲得しており、「響21年」もトロフィー・金賞共に受賞歴を持ちます。
ただし、実際の買取価格はこの限りでない場合がありますので、相場はあくまでも目安程度として考えてください。
陶器ボトル「響」はプレミア価値が高い
「響」はブランディング上の特徴として陶器ボトルに力を入れており、「九谷焼」「有田焼」とのコラボレーション製品が多いです。
例えば、有田焼を代表する陶芸家で人間国宝でもある14代酒井田柿右衛門がボトルを製作した「響35年 十四代酒井田柿右衛門(さかいだかきえもん)作 〈濁手(にごしで)山つつじ文洋酒瓶〉」という製品があります。
人間国宝作の陶器ボトルであり、生産数も限定150本と少ないことから、買取市場においても相当に高い価格での買取が期待できます。
他にも、陶器ボトルかつ酒齢が高い「響」には、高額買取が期待できるものが多いでしょう。
「山崎」や「響」を売るときの買取業者はどう選ぶ?

サントリーの「山崎」や「響」を買取に出そうと考えたとき、実際に利用する買取業者はどのように選ぶのが良いでしょうか。
「山崎」や「響」を安心して買取に出すためにはどのような観点で買取業者を選べば良いか、4つのポイントをご紹介します。
- ・地域の店舗よりネットの大規模な買取業者がおすすめ
- ・お酒の買取実績が豊富な買取業者がおすすめ
- ・手数料無料のサービスが充実している買取業者がおすすめ
- ・出張買取を行っている買取業者がおすすめ
地域の店舗よりネットの大規模な買取業者がおすすめ
買取サービスの利用というと、買取店の店頭に売りたい品物を持ち込むという形を想像するのが一般的ではないかと思います。
実際に、お酒を専門に取り扱う買取店も存在しますが、数が少ないのが現状です。
近くに店舗が無ければ車などで遠くの店舗まで売りたいウイスキーを持ち運ばなければならず、時間と手間がかかります。
また、ウイスキーはガラスや陶器のボトルに入っていますから、遠距離を持ち運んでいる間にボトルが割れたり、ヒビが入ったりというリスクもあります。
そこでおすすめしたいのが、インターネットや電話で買取依頼を受け付け、全国規模で買取サービスを展開しているような大規模な買取業者です。
こういった買取業者は地域の買取店とは異なり、利用者がウイスキーを持ち運ぶ必要のない便利な買取方法を取り揃えています。
全国どこからでも手軽に利用でき、ウイスキーを持って店頭に出向く必要もないなど、ネットの大規模な買取業者を利用するメリットは大きいでしょう。
お酒の買取実績が豊富な買取業者がおすすめ
ネットの大規模な買取業者はいくつかの買取品目を取り扱っているのが通常で、お酒に特化している業者は多くありません。
そのため、買取業者によって得意とする品物が異なります。
「山崎」や「響」の本来の価値を正確に見極めてもらうためには、お酒を得意とする買取業者に査定を依頼したいところです。
そこで、気になる買取業者があれば事前にホームページなどをチェックして、お酒の買取実績が豊富かどうかを確認しておくことをおすすめします。
お酒の買取実績が豊富な買取業者であれば、お酒の専門知識を持った査定員がおり、豊富な査定経験を積んでいると考えられます。
「山崎」や「響」を安心して売るためには重要なチェックポイントと言えるでしょう。
手数料無料のサービスが充実している買取業者がおすすめ
買取サービスを利用する際には、業者によって査定料・キャンセル料などの手数料がかかる場合があります。
しかしながら、せっかく価値の高い「山崎」や「響」を売ったとしても、手数料を取られてしまっては実際に受け取れる買取金額は目減りしてしまいますよね。
また、「試しに査定だけ」と思っても、いちいち手数料を取られるのでは気軽に利用することはできません。
そこで利用するなら、手数料無料のサービスが充実している買取業者がおすすめです。
各種手数料が無料であれば、安心して利用することができます。
出張買取を行っている買取業者がおすすめ
ネットの大規模な買取業者が提供している買取方法には、店頭に品物を持ち込む方法以外に、大きく分けて2つあります。
売りたい品物を買取業者に送付する「宅配買取」と、買取業者の査定員が利用者の自宅まで出向く「出張買取」です。
このうち、「山崎」や「響」を買取に出す際には出張買取の利用をおすすめします。
宅配買取では配送業者を利用して「山崎」や「響」を送らなければならないため、配送中にボトルが破損してしまうというリスクがやはりゼロではありません。
また、査定料やキャンセル料などの各種手数料を無料にしている買取業者でも、宅配買取のキャンセル時の返送料だけは有料という業者も多いです。
一方で、出張買取の出張費を無料にしている業者は非常に多いです。
また、査定員が自宅まで来てくれ、買取契約が成立した「山崎」や「響」はそのまま持って行ってくれますので、ボトルを破損してしまうリスクもありません。
「山崎」や「響」のようなお酒を買取に出すなら、出張買取を選ぶことのできる買取業者がおすすめです。
ウイスキーを高く売るために知っておきたいポイントとは?

せっかく価値ある「山崎」や「響」などのウイスキーを買取に出すわけですから、少しでも高い価格で売りたいと考えるのは当然のことでしょう。
ここでは、ウイスキーをより高く売るために知っておきたい、査定上のチェックポイントを3つご紹介します。
- ・付属品が揃っている方が高く買取されやすい
- ・保存状態はウイスキーの買取価格に大きく影響する
- ・名入りのウイスキーは買取不可になってしまうケースも
付属品が揃っている方が高く買取されやすい
「山崎」や「響」などのウイスキーは嗜好品として高い人気があるのはもちろんのこと、コレクターアイテムとしても高い価値があります。
コレクター目線で考えた時には、箱はもちろんボトルを包む薄いビニール箔や薄紙など、販売時に同梱されていた付属品もコレクションとして重要な意味を持ちます。
そのため、あるべき付属品が欠けている場合には、買取価格は下がってしまう可能性があります。
そこで、「山崎」や「響」などのウイスキーを買取に出す際には、別の場所にしまってある付属品がないか、事前に確認しておきましょう。
人気の高いウイスキーで、箱・付属品完備の状態であれば、思わぬ高額での買取がされるかもしれません。
ウイスキーを買取に出す際は、必ず付属品も一緒に査定してもらうことを忘れないでくださいね。
保存状態はウイスキーの買取価格に大きく影響する
たとえ人気や希少性の高いウイスキーであっても、保存状態が良くないと高く買取してもらうことは難しいかもしれません。
それほど、ウイスキーの査定において保存状態の良さは重要です。
開封済みである・ボトルにヒビや傷が入っている・ウイスキーの液面が下がっている・ウイスキーが変色しているなどすると、買取価格は下がってしまう可能性が高いでしょう。
こういった事態をさけるために、ウイスキーの保管の際には購入時に付属している箱にしまったまま、冷暗所に保存しておくのがおすすめです。
また、ボトルやラベルの汚れも買取価格に影響する場合があります。
簡単に落とせそうな汚れであれば、査定前に軽く拭くことで印象が違ってくるかもしれません。
しかし、ラベルが剥がれたりボトルに傷がついてしまっては元も子もありませんので、乾いた布で優しく拭く程度にとどめておきましょう。
名入りのウイスキーは買取不可になってしまうケースも
「山崎」や「響」などのウイスキーは、贈答品や記念品としても重宝されます。
相手の名前をウイスキーの瓶やラベルに印字して贈る「名入れウイスキーギフト」のサービスは、誕生祝いや還暦祝いなどとして高い人気があります。
しかしながら、買取市場での需要という観点では、名入りのウイスキーは不利です。
特にコレクターにとっては、見知らぬ他人の個人名が入っていてはコレクションとしての魅力は下がってしまいますよね。
このように、名入りのウイスキーは高い需要が見込めないため、買取価格は低くなりやすいです。
場合によっては買取を断られるケースもあるでしょう。
名入りウイスキーを買取に出したいと考えている場合には、事前に買取業者に買取可能かどうか確かめておくと良いかもしれません。
その他のジャパニーズウイスキー

「山崎」と「響」についてはご紹介しましたが、その他にも買取市場で高い人気を誇るジャパニーズウイスキーはいくつもあります。
ここでは、その中でも代表的な5つの銘柄についてご紹介します。
白州
サントリーの「白州」は、山梨県の白州蒸溜所で熟成されるモルト原酒だけでつくられたシングルモルトウイスキーです。
白州の森で採れる水に由来する、清々しい香りとすっきりとした味わいが人気を集めています。
ラインナップには「白州」「白州12年」「白州18年」「白州25年」などがあり、ISCなどの国際的な品評会でも数々の受賞歴があります。
サントリーローヤル
「サントリーローヤル」は、サントリーの創業60年を記念して発売された、プレミアムクラスのブレンデッド・ウイスキーです。
漢字の「酒」のつくりの部分「酉」をかたどったボトルデザインが大きな特徴となっています。
これまでのラインナップには「ローヤル」「ローヤル12年」「ローヤルプレミアム12年(青のローヤル)」「ローヤルプレミアム15年」などがあります。
サントリーオールド
サントリー創業者・鳥井信治郎は、「日本人の味覚に合った日本独自のウイスキーをつくりたい」という願いを持っていました。
そして1940年についに完成した、スコッチの亜流を脱した独自の国産ウイスキーこそが「サントリーオールド」です。
高価な「サントリーオールド」は戦後しばらくは高嶺の花でしたが、高度経済成長とともに需要が伸び始め、高品質な国産ウイスキーとして浸透しました。
丸くてずんぐりとした特徴的なボトルの形状から、「ダルマ」や「タヌキ」といった愛称で親しまれています。
竹鶴
ニッカウヰスキーの「竹鶴」は「深いコク・味わい」と「やわらかな飲みやすさ」の、両極端と言える2つの魅力を併せ持つウイスキーです。
ISCをはじめ様々な受賞歴があり、国際的にも高評価を得ています。
「竹鶴ピュアモルト」「竹鶴12年ピュアモルト」「竹鶴17年ピュアモルト」など様々なラインナップがあり、「竹鶴21年ピュアモルト」と「竹鶴25年ピュアモルト」は2016年の伊勢志摩サミットの際に各国首脳陣に提供されたことでも話題になりました。
余市
ニッカウヰスキーの「余市」は、創業者である竹鶴政孝がウイスキー製造の理想の地として選んだ北海道・余市で生まれたシングルモルトウイスキーです。
余市蒸留所の石炭直火蒸留によって生まれた原酒を使用しているのが特徴で、特有の豊かな香りが楽しめます。
ラインナップには「シングルモルト余市」「シングルモルト余市10年」「シングルモルト余市12年」「シングルモルト余市15年」「シングルモルト余市20年」があり、ISCなどで数々の受賞歴があります。