使ってほしい有名な浮世絵切手の種類と買取相場を一挙公開!
2022.02.15
切手買取
切手は年賀状や手紙を送るときなど、一年を通して利用する機会があります。
いつもは普通切手を使うところ、あえて「とっておきの切手」を使って相手を喜ばせてみるのはいかがでしょうか。
今回は大切なあの人へ手紙やハガキを送るときに、ぜひ使って欲しい浮世絵切手の種類と価値をご紹介します。
浮世絵切手とは?

浮世絵切手とは、1947年に郵政省(当時)が発売した「切手趣味週間シリーズ」の一つです。
最初に登場した浮世絵は、1947年に発行された葛飾北斎の作品「山下白雨の富士」です。
発売当時は「日本初のカラー印刷の大型切手」として高い注目を集め、種類によってはコレクターを熱狂させたプレミア価値の高い切手も存在します。
また、海外でも高評価となって発行された浮世絵切手も数多く存在します。
その代表的な切手は、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホが油絵に描いた浮世絵です。
生前のゴッホは浮世絵に魅了されて600枚もの作品を収集し、歌川広重の「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」をアレンジしたほどです。
浮世絵切手は特殊切手と呼ばれていますが、普通切手と同じように手紙やハガキを送るときに使えます。
有名な浮世絵切手の種類
「切手趣味週間シリーズ」にある切手の図案は、誰しもが知っていそうな浮世絵がふんだんに使われています。
日本画に詳しくない人でも一度は見覚えのある作品はあるでしょう。
この項目では、特に有名な切手である「見返り美人」と「月に雁」を始めとする、よく知られた浮世絵切手の種類をご紹介します。
菱川師宣作品の「見返り美人」

「見返り美人」は1948年に発行され、図柄は浮世絵の祖ともいわれる江戸初期の浮世絵師・菱川師宣が描きました。
「見返り美人」はこれまでに3回発行されています。
サイズは縦が67mmで横が30mmと切手の中では日本最大です。
1回目は1948年に「切手趣味週間シリーズ」として発行された単色印刷の切手で、額面は5円です。
2回目は1991年に「金沢・高岡明るい逓信文化展」に合わせて「序の舞」とセットでカラー印刷された復刻版の切手です。
額面は62円、5,000万枚以上が発行されています。
そして3回目の復刻版も、2回目と同じくカラー印刷で1996年に発行されました。
額面は80円で、2,000万枚発行されたと言われています。
発行当時は浮世絵を題材とした切手は珍しく、日本のみならず海外にも注目を集めていました。
見返り美人によって切手ブームが起こり、新しい切手が発売されるたびに子供からお年寄りまで郵便局には長蛇の列ができたそうです。
歌川広重作品の「月に雁(かり)」

浮世絵切手と言えば、1949年に発行された歌川広重が描いた浮世絵の「月に雁」もあります。
この作品は3羽の雁を短冊判にまとめた歌川広重の傑作とされています。
広重の作品は数多くのコレクターに好まれ、ゴッホなどの海外の画家に大きな影響を与えたました。
なお、「月に雁」は額面が8円で、サイズは「見返り美人」と同じです。
鈴木春信作品の「まりつき」
1957年に発行された「まりつき」は、江戸時代の浮世絵師・鈴木春信が描いた作品を扱った切手です。
鈴木春信は美人画や役者絵を描いていましたが、41歳で木版多色刷の浮世絵画(錦絵)を考案し、中版(約28cm×20cm)と呼ばれる正方形に近い画面を愛用したことでも知られています。
「まりつき」は額面が10円で、図柄は赤い着物の女性がまりをついています。
葛飾北斎作品の「山下白雨の富士」
1947年に発行された「山下白雨の富士」は、浮世絵師の葛飾北斎が描いた「富嶽三十六景」の一つで、通称・黒富士と呼ばれています。
この切手は額面1円の切手を5枚組の小型シートで発行され、図柄は第一次昭和切手の「新昭和切手・北斎富士」を使っています。
山下白雨の富士の切手は原画で使われている黒色・茶色ではなく、青色の単色刷りです。
喜多川歌麿作品の「ビードロを吹く娘」
他にもよく知られている浮世絵切手に、1955年に発行された「ビードロを吹く娘」があります。
この切手の図案は江戸時代に活躍した喜多川歌麿が描いた「ビードロを吹く娘」で、赤い市松模様の着物を着た町娘を描いた美人画です。
略して「ビードロ切手」とも呼ばれており、額面は10円です。
切手趣味週間シリーズの一種で、日本初のカラー印刷の大型切手に選ばれてプレミア切手として知られています。
東洲斎写楽の「市川海老蔵」

1956年に発行された「市川海老蔵」は、歌舞伎演目「恋女房染分手綱(1794年)」で竹村定之進役を演じる市川海老蔵が描かれています。
この絵を描いたのは浮世絵師・東洲斎写楽が描いており、市川海老蔵が代表作として知られています。
活動期間が短かったことから幻の絵師と言われていますが、斬新で大胆な作品が数百点以上も残されています。
なお、切手の額面は10円です。
細田栄之作品の「浮世源氏八景」
1959年に発行された「浮世源氏八景」の切手は、江戸時代後期に活躍した浮世絵師・細田栄之(えいし)の作品「浮世源氏八景」にある「幻落雁(げんらくがん)」を使用しています。
幻落雁は和歌を楽しんでいる清楚な2人の女性が描かれた美人画です。
細田栄之は「十二頭身」と呼ばれる独自の作風を作り上げ、女性の柔らかい体つきを表現した美人画を数多く残しています。
なお、切手の額面は10円です。
現在購入できる特殊切手・浮世絵シリーズ
浮世絵切手は種類によっては現在でも郵便局で購入できます。
日本郵便が2017年に販売している「浮世絵シリーズ 第6集」が最新版です。
この切手の種類は82円で、縦長の台紙に10枚の切手が貼られています。
浮世絵シリーズ第6集は上記で紹介した浮世絵切手の一部が含まれており、シート右側の余白にも浮世絵が描かれた特別感のある切手です。
ここでは縦長の台紙に貼ってある切手を、左と右の図柄に分けてご紹介します。
左列の画像 | 美人画 |
---|---|
1段目 | 図柄:風流六玉川(ふうりゅうむたまがわ)、紀伊(きい)、高野(こうや)の玉川
作者:菊川英山(きくかわえいざん) |
2段目 | 図柄:松葉屋(まつばや)、粧ひ(よそおい)、松村(まつむら)
作者:喜多川歌麿(きたがわうたまろ) |
3段目 | 図柄:松葉屋内喜瀬川(まつばやうちきせがわ)
作者:喜多川歌麿 |
4段目 | 図柄:鞠と扇を持つ美人
作者:喜多川歌麿 |
5段目 | 図柄:扇屋(おうぎや)うち花扇(はなおうぎ)
作者:鳥文斎栄之(ちょうぶんさいえいし) |
右列の画像 | 図柄:六十余州名所図会(ろくじゅうよしゅうめいしょずえ)シリーズ 作者:歌川広重(うたがわひろしげ) |
---|---|
1段目 | 志摩(しま)、日和山(ひよりやま)、鳥羽湊(とばみなと) |
2段目 | 肥前(ひぜん)、長崎(ながさき)、稲佐山(いなさやま) |
3段目 | 常陸(ひたち)、鹿嶋太神宮(かしまだいじんぐう) |
4段目 | 丹波(たんば)、鐘坂(かねがさか) |
5段目 | 対馬(つしま)、海岸夕晴(かいがんゆうばれ) |
引用元:「浮世絵シリーズ 第6集」の発行
浮世絵切手の買取相場


浮世絵切手の買取相場は数百円〜数千円以上が主流です。
浮世絵切手は保存状態、新品の切手シート、図柄、発行枚数などによって買取相場が変わります。
バラ切手よりも切手シートの方が切手の枚数に応じて買取相場が高くなりやすいです。
例えば、バラ切手の買取相場は見返り美人と月に雁が500円からが多いです。
切手シートは見返り美人は5,000円からで、月に雁の切手は2,000円からが多いです。
ただし、上記の買取相場は保存状態が大変良いものに限りますので、ご注意ください。
また、浮世絵切手は発行枚数が多いとプレミア扱いにはならない可能性があります。
額面よりも高くなる浮世絵切手もありますが、切手買取においては額面ベースでの買取が基本となるケースが多いです。
まとめ


実際の浮世絵切手をじっくり眺めてみると、繊細で躍動感にあふれる浮世絵が小さな切手の中に凝縮されており、見ていて飽きません。
コレクション要素の高い切手ですから、購入しても使わずに保管している方も多いかもしれません。
しかし、大切な方へハガキを送る機会があったら、思い切って使ってみませんか。
送られた人は、見る機会が少ない浮世絵切手にワクワクすることでしょう。
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