コニャックとはどういうお酒?ブランデーとの違いやおすすめの飲み方を紹介
世界三大ブランデーの1つであるコニャックは、その深い歴史、厳格な製造プロセス、そして豊かな風味で知られています。
この記事では、コニャックとブランデーの違い、コニャックの産地・原料・製法といった特徴や魅力、コニャックの等級、有名なコニャックのブランド・銘柄とおすすめの飲み方まで紹介します。
お酒が好きな方や、家にお酒がコレクションされているという方は、ぜひ参考にしてみてください。
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コニャックとは
コニャックとは、フランス西部のコニャック地方で生産されるブランデーの1種です。
ブランデーとはブドウ・リンゴ・プラムなどの果実酒を蒸留して作られた蒸留酒の総称です。
ブランデーには産地・製法・原料などによって様々な種類があり、代表的なものにコニャック・アルマニャック・カルヴァドスの世界三大ブランデーがあります。
端的に言えばコニャックとは、「フランスのコニャック地方で生産される、独自製法のブランデー」ということになります。
そして、コニャックは「AOC(アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ:原産地統制呼称規定)」と呼ばれる認証により、製造方法や産地が細かく決められています。
その厳しい規定によって、高級ブランデーとしての地位を確かなものとしているのです。
具体的にどういう特徴があるのか、産地・原料・蒸留方法の観点から見ていきましょう。
コニャックの産地
コニャックの産地は、フランス西部のロワール地方とボルドー地方に挟まれたコニャック地方に限定されています。
この地域は6つの生産地区に分けられ、なかでも以下の4つの地域が代表的です。
- グランド・シャンパーニュ
もっとも高貴なクリュとされ、コニャック全体の約75%を占めます。白亜質土壌で、エレガントで繊細な味わいのコニャックが生産されます。 - プティット・シャンパーニュ
グランド・シャンパーニュに隣接するクリュで、白亜質土壌と粘土質土壌が混在しています。グランド・シャンパーニュに似た味わいのコニャックが生産されます。 - ボルドリー
森林地帯に位置するクリュで、粘土質土壌が主体です。力強くコクのある味わいのコニャックが生産されます。 - ファン・ボア
広大な森林地帯に位置するクリュで、砂質土壌と粘土質土壌が混在しています。フルーティーで華やかな味わいのコニャックが生産されます。
上記の他、コニャック地方の南西部に位置するボン・ボアと、コニャック地方の北西部に位置するボア・ゾルディネールがあります。
各地区によって土壌や気候の影響が変わるため、それぞれ異なる特色を持ったオー・ド・ヴィー(原酒)が出来上がるのです。
コニャックの原料
コニャックの原料は、コニャック地方で栽培された白ブドウです。
ブドウの品種にも規定があり「ユニ・ブラン」「フォロンブッシュ」「コロンバール」のうちいずれかを、主な使用品種とする必要があります。
なお、全体の10%までなら「フォリニャン」「ジュランソン・ブラン」「メスリエ・サン=フランソワ」「モンティル」「セレクト」「セミヨン」といった品種も混合することが認められています。
ただし、現在ではコニャック全体の95%がユニ・ブランを原料としています。
コニャックの蒸留方法
コニャックは製法にも細かい規定があります。
まずはブドウを圧搾した搾汁を2~3週間寝かせ、発酵を進ませます。
そして、伝統的な銅製ポットスチルを用いた単式蒸留を2回行うのが特徴です。
単式蒸留とは、搾汁を発酵させたもろみをポットスチルで熱して蒸発させ、その蒸気を冷却装置に通すことで蒸留された液体に戻す、という方法です。
2度の蒸溜後、アルコール度数70%ほどになった原酒を、フランス産のオーク樽で最低2年以上熟成させることになっています。
ブランデーとコニャックの違いは産地と製造方法
コニャックとブランデーの主な違いは産地と製造方法です。
ブランデーは原料・産地・製法によって名称が異なります。
コニャックもそのうちの名称の一つで、コニャック地方で、コニャック地方の白ブドウを原料として造られたものになります。
コニャックはフランスのコニャック地方でのみ生産されることが許され、2回の単式蒸留と特定の熟成プロセスを経ることが必要です。
一方、ブランデーはブドウ以外の果実も使用して世界中で生産されています。
コニャックの等級
コニャックを含むブランデーは、熟成年数によって分けられ、「コント」という単位で表示されます。
収穫翌年の4月1日を「コント0」とし、1年ごとにコントの数が加算され、最低熟成年数によって等級が決められます。
等級 | 最低熟成年数 | 特徴 |
---|---|---|
スリースター | コント2以上(最低2年熟成) | 若い原酒が多く使われるため、香りや味わいは軽やかでフレッシュ |
V.S.(Very Special:非常に・特別な) | コント2以上(最低2年熟成) | コニャック初心者の方や、カクテルに使用したい方におすすめ |
V.S.O.P.(Very Superior Old Pale:非常に・優良な・古い・澄んだ琥珀色) | コント4以上(最低4年熟成) | コニャックの味わいをしっかり楽しみたい方におすすめ |
ナポレオン | コント6以上(最低6年熟成) | 特別な日のために、ワンランク上のコニャックを楽しみたい方におすすめ |
X.O.(Extra Old:非常に古い) | コント10以上(最低10年熟成) | 長期熟成された複雑な味わいで、ブランデーに慣れた方におすすめ |
オールダージュ(Hors d’âge) | コント10以上(最低10年熟成) | コニャックの中でも特に品質の良いもので、芳醇で奥深い香りと味わいを持つ |
ただし、これらの等級はメーカーやブランドによって異なる場合があります。
コニャックをはじめとしたブランデーの等級(ランク)について詳しくは、以下のページをご参照ください。
コニャックの有名ブランド
コニャックには多くの造り手がいますが、中でも特に有名なのが以下の5大コニャックブランドです。
- マーテル
- ヘネシー
- クルボアジエ
- レミー・マルタン
- カミュ
それぞれ独自の歴史と特徴を持ち、コニャック愛好家から高い評価を受けています。
マーテル
コニャックのマーテルは、コニャックの大手ブランドの一つで、1715年に創業と古い歴史を持ちます。
マーテルのロゴは燕を模したゴールデンスワローで、品質と伝統を象徴しています。
マーテルの特徴は、独自の製造法で、ボルドリー地区のブドウをメインに使用し、柔らかく複雑な味わいを作り出すことです。
代表的な商品は、コルドンブルー、VSOP、XOなどです。
ロックやカクテルで楽しむことができ、コニャックの中でも優美さとバランスが際立つブランドと言えます。
ヘネシー
ヘネシーは1765年に設立された、世界最大規模のコニャック生産企業です。
斧を持った手をモチーフにしたロゴが印象的で、現在ではブランデーの王様と呼ばれることもあります。
原料のブドウに厳しい基準を設け、コニャックの最高品質の産地の原酒を使用しています。
47万樽以上の原酒を常時ストックし、卓越したブレンダーが繊細なブレンドを行っています。
熟成には樹齢100年以上のフレンチオークの樽を使用し、まろやかで芳醇な味わいが特徴です。
ラインナップはVSからリシャールまで多彩で、手頃な価格から高級品まで幅広く選べます。
日本では1980年代のバブル期に高級クラブの定番として人気が高まり、銀座の象徴ともなりました。
クルボアジエ
クルボアジエは、1809年設立のナポレオンが愛した歴史あるブランドです。
皇帝御用達のコニャックとしてロゴはナポレオンがモチーフとなっており、別名「ル・コニャック・ド・ナポレオン」と呼ばれています。
コニャック地方の上位の土壌で育ったブドウをブレンドし、フランスのトロンセの森のオーク樽で熟成させています。
フレッシュでフルーティーなVSから、まろやかで深みのあるXOまで、さまざまなランクと味わいが揃っています。
カクテルや料理にも合わせやすく、五感で楽しめるコニャックです。
レミー・マルタン
ケンタウロスのロゴが象徴的なレミー・マルタンは、1724年にレミー・マルタン氏によって設立されました。
その後、レミー・マルタン家にエリアール=ドゥブルイユ家も加わり、この二家族による家族経営が続いています。
コニャックの品質を決めるブドウの産地が6つに区分けされている中で、最上位の「グランド・シャンパーニュ」と「プティット・シャンパーニュ」のブドウのみを使用していることが特徴です。
この2つの産地のブドウのみをブレンドしたコニャックは「フィーヌ・シャンパーニュ」と呼ばれ、高い品質を誇ることで知られています。
代表的な商品は、VSOPとXOの2つになります。
VSOPは熟成年数4年〜12年の原酒をブレンドしたコニャックで、バニラの香りやフルーティーな香りのバランスが良く、ふくよかながらも繊細が味わいです。
XOは、平均熟成年数10年〜37年の300種におよぶ原酒をブレンドしたコニャックで、レーズンのような甘美な香りや複雑な味わい、長い余韻が特徴的です。
カミュ
1863年に創業されたカミュは、三つ葉の十字架のロゴをモチーフとした、家族経営のコニャックメーカーです。
カミュ家は、コニャックの品質向上に繋がる、表示ラベルを貼ったボトルでの出荷を先駆けたり、世界各国の免税店で事業を開始したりと、革新的な取り組みを行ってきました。
カミュでは、コニャックの品質を決めるブドウの産地が6つに区分けされている中で、最上位の「グランド・シャンパーニュ」と「プティット・シャンパーニュ」のブドウのみを使用しています。
特に、希少で香り高いコニャックを生み出すといわれるボルドリー地区のブドウを中心に使用しており、2000年にはカミュ初めての100%ボルドリーで作られたカミュボルドリ―XOを発表し、賞賛を受けました。
全体的に滑らかでまろやかな味わいが特徴で、日本人にとっても飲みやすく口当たりのよいコニャックという評価を得ています。
また、カミュ独特の紅茶のような香りが特徴的で、フローラルやフルーティーなアロマも楽しめます。
コニャックのおすすめの飲み方
ここからは、コニャックのおすすめの飲み方を紹介します。
オンザロック
オンザロックは、コニャックを氷で割って飲む飲み方です。
ストレートで飲むよりも味わいがまろやかになり、より気軽にコニャックを楽しむことができます。
ただし、ストレートよりも香りが弱くなる点、また氷が溶けると味が薄くなる点は注意しましょう。
氷は大きいものを使うと溶けにくく水っぽくなりにくいので、おすすめです。
香りやアルコールの揮発が抑えられるため、ブランデー初心者におすすめの飲み方です。
ストレート
コニャックを常温でそのまま飲むストレートは、本来の香りや味わいを存分に楽しめる飲み方です。
ブランデーそのものの香りや熟成された味わいを感じられますが、アルコール度数が高いので飲み過ぎないように注意しましょう。
慣れていない方は、香りが強く飲みにくいと感じるかもしれません。
時間をかけてゆっくり飲むことで、より味わいを楽しめます。
トワイスアップ
トワイスアップは、コニャックと常温の水を1:1の割合で混ぜる飲み方です。
フランス語では「Double Coup」と呼ばれています。
水を加えることで甘味や香りがさらに強く感じられ、コニャックの味わいをじっくりと楽しめる方法です。
水の量はお好みで調整できますが、軟水を使うことでよりまろやかな味わいとなります。
水割り
水割りも、トワイスアップ同様にコニャックと水を混ぜる飲み方です。
英語では「Watered Down Cognac」、フランス語では「Cognac allongé」と呼ばれています。
水の量でアルコール度数を調節できるため、お酒に弱い人や初心者におすすめです。
水を入れ過ぎると味が薄くなってしまうため、バランスを見ながら加えましょう。
ホットブランデー
コニャックを温めて飲むホットブランデーは、寒い季節にぴったりな身体を温めてくれる飲み方です。
一般的には、温めたグラスにブランデーを注ぎ、2~3倍量のお湯を注ぎます。
お好みで砂糖やレモンを加えるのもおすすめです。
サイドカー
サイドカーは、コニャック、ホワイトキュラソー、レモンジュースを混ぜて作るカクテルです。
1920年代にパリで誕生した、歴史あるカクテルの一つです。
一般的には、コニャック2に対して、ホワイトキュラソーとレモンジュースを1の割合でシェイクします。
口当たりが良く、アルコール度数も比較的低いため、お酒に弱い方やブランデーを飲みなれていない女性にもおすすめの飲み方です。塩を少し加えると、味が引き締まります。
コニャックとアルマニャックの違い
コニャックと並んで有名なブランデーに、アルマニャックがあります。
名前も似ているのですが、コニャックとアルマニャックの違いには大きく分けて「産地」と「蒸留方法」の2つがあります。
ブドウの蒸留酒であるという点ではアルマニャックも同じなのですが、その産地はフランス南西部のアルマニャック地方になります。
コニャック地方からは、ワインで有名なボルドー地方を挟んで南側に位置します。
そして、コニャックが単式蒸留器で2回蒸留されるのに対して、アルマニャックは連続式蒸留機で1度だけ蒸溜を行うのが特徴です。
連続式蒸留機とは、単式蒸留器がいくつも入っているような構造をした機械のことです。
伝統的な単式蒸留に比べて、連続式蒸留は機械化された比較的新しい方法と言えます。
一般的に、単式蒸留器で2回蒸溜するコニャックの方は雑味が少ない上品な味わいで、連続式蒸留機で1度しか蒸溜しないアルマニャックはワイルドで野性的な味わいが特徴だと言われています。
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