ブランデーのランク(等級)の種類、ナポレオン・XO・VS・VSOPとは?意味や違いを解説

2025.05.21

お酒買取 コラム
ブランデーのランク(等級)の種類、ナポレオン・XO・VS・VSOPとは?意味や違いを解説

ブランデーの品質や希少性の指標として、一般的に「ランク(等級)」というものが用いられます。

ランク(等級)は最低熟成年数をもとに定められ、ランクが高いほど値段も高くなりやすいです。

ただし、このランクはあくまでも熟成年数をもとにした分類であって、ブランデーの優劣を直接示すものではありません。

この記事では、ブランデーに付与されるランクの種類や産地ごとの違い、ランク分けのもとになるコントという概念について詳しく解説します。

「ブランデーの購入を検討している」「家にブランデーを保管している」という人は、ぜひ参考にしてみてください。

※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。

VS/VO/VSOP/ナポレオン/XOとはブランデーのランク(等級)のこと

ブランデーのボトルやラベルには、「XO」「VS」「VSOP」などの表記が見られます。

これは、ブランデーのランク(等級)を示す表記です。

このランク分けは、フランスのAOC(アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ:原産地統制呼称規定)に規定された産地のブランデー(コニャック・アルマニャック・カルヴァドスなど)に適用されます。

基本的には、熟成年数によってランクが決まります。

また、例えばVSOPであれば「Very:非常に、Superior:優良な、Old:古い、Pale:透きとおった」といったように、ブランデーの状態も表しています。

ブランデーの主なランクは以下の通りで、下にいくほど熟成年数が長くなります。

  1. スリースター
  2. VS(Very Special)
  3. VO(Very Old)
  4. VSOP(Very Superior Old Pale)
  5. ナポレオン
  6. XO(Extra Old)
  7. オルダージュ(Hors d'âge)

一般的には、熟成年数が長いほどランクが高くなり、価格も高くなる傾向です。


もしご自宅で眠っているブランデーがあるという方は、一度価値を確かめてみませんか?

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ブランデーのランクの基準となる「コント」とは

ブランデーの等級を表す「コント」とは、フランス政府が定めたコニャック・アルマニャックの熟成年数を示す単位です。

ブランデーは蒸留されたあと、オーク材などの樽で長期間保管し、熟成されます。

たとえばコニャックでは、最低でも2年間の熟成が必要になります。


コニャック・アルマニャックそれぞれ蒸留の周期(コニャックなら4月1日~3月31日、アルマニャックなら5月1日~4月30日)を1単位としてコントを数えます。

コニャックの場合であれば、蒸留したばかりのブランデーは「コント00」となり、翌年4月1日~その次の3月末日までを「コント0」と数えます。

その後、4月1日を迎えるたびにコント数が増えていく仕組みです。

  1. 蒸留日~最初の4月1日…コント00
  2. 最初の4月1日~翌3月31日…コント0
  3. 2度目の4月1日~翌3月31日…コント1
  4. 3度目の4月1日~翌3月31日…コント2
  5. 4度目の4月1日~翌3月31日…コント3 (以下同様に続く)

コニャックとして出荷されるには、最低でもコント2が必要なので、蒸留してから3度目の4月1日を迎える必要があるということです。

なお、ブランデーは若い原酒と古い原酒をブレンドして造られることが多いですが、ブランデーのランクを決めるのは一番若い原酒のコントです。

ブランデーの「ランク」は産地によって付け方が異なる

ここでは、ブランデーのランクが具体的にどのように定められているのかを見ていきましょう。

ブランデーのランクは、3大ブランデーであるコニャック・アルマニャック・カルヴァドスの各産地によって、決まり方が異なります。

また、コニャックとアルマニャックは「コント」によってランクが決められますが、それぞれ周期が異なります。

さらに、カルヴァドスでは「コント」そのものが使用されていません。

コニャックのランク

コニャックは、フランス西部のコニャック地方で造られるブドウを原料としたブランデーで、熟成年数の単位である「コント」によってランクが決められます。

この規定は、フランス政府公認の業界団体「BNIC(Bureau National Interprofessionnel du Cognac)」によって定められています。

ランクの表記はメーカーやブランドによって異なる場合もありますが、主なコニャックのランクは以下の表の通りです。

コント 最低熟成年数 等級(ランク)
コント2以上 2年以上 V.S.またはスリースター
コント4以上 4年以上 V.S.O.P.
※造り手によってReserva、Vieuxなど表記が異なる
コント6以上 6年以上 ナポレオン
コント10以上 10年以上 X.O.
さらに品質の良いものはHors d’age

中でも、XOやHors d’Âgeといったランクは、熟成年数が長いだけでなく、原酒の品質も極めて高いとされ、希少価値がある製品です。

なお、コニャックについては以下の記事でも詳しく解説していますので、参考までにご覧ください。

アルマニャックのランク

アルマニャックは、フランスのガスコーニュ地方で生産されるブドウを原料としたブランデーです。

コニャック同様、熟成年数の単位である「コント」によってランクが決められますが、コント数を数える時の周期が5月1日~4月30日になります。

このランクは、国立アルマニャック事務局「The Bureau National Interprofessionnel de l'Armagnac(通称:BNIA)」によって定められています。

ランクの表記はメーカーやブランドによって異なる場合もありますが、主なアルマニャックのランクは以下の表の通りです。

コント 最低熟成年数 等級(ランク)
コント1以上 1年以上 スリースター
コント2以上 2年以上 V.S.
コント4以上 4年以上 V.S.O.P.
コント5以上 5年以上 ナポレオン
コント10以上 10年以上 X.O.
※2018年4月1日以降出荷分より延長

もともとアルマニャックのX.O.はコント5以上を指していましたが、コント10以上のものへ期間が延長されました。

アルマニャックでは、ブレンドされている原酒の中でも、最も若い原酒の熟成年数がランクの基準となります。

また、アルマニャックの中には、10年以上の長い熟成期間を経てから出荷される「ヴィンテージ・アルマニャック」もあります。

これは、ある1年に収穫されたブドウだけを使って、他の年のお酒を混ぜずにつくられたものです。

カルヴァドスのランク

カルヴァドスは、フランスのノルマンディー地方で生産されるリンゴを原料としたアップルブランデーです。

コニャックやアルマニャックのように「コント」は使用されず、熟成年数に基づいて等級が決まります。

最低熟成年数 等級(ランク)
最低2年 VS / Trois Etoiles / Trois Pomme(トロワ ポンム)
最低3年 Vieux(ヴィユー) / Reserve(レゼルヴ)
最低4年 Vieille Reserve(ヴェイユレゼルヴ) / VSOP / VO
最低6年 Hors d'Age(オルダージュ) / XO / Très Vieux(トレヴィユー) / Très Vieux Reserve / Extra(エクストラ) / ナポレオン

特に、XOやオルダージュの最低熟成年数が6年である点は、コニャックやアルマニャックと比較して特徴的です。

また、カルヴァドスでは「8 ans(8年熟成)」や「AGE 15 ANS(15年熟成)」といった、直接的に熟成年数を表記する商品も多く見られます。

コント10より長い熟成期間のものはどうなる?

前のコニャックのランク表では、最も高い等級が「コント10以上(熟成10年以上)」のX.O.(Extra Old)でした。

では、熟成年数がそれより長いものは、すべてX.O.と呼ばれるのでしょうか? 実際には、「熟成10年」のX.O.もあれば、「熟成35年」のX.O.も存在します。

どちらもランクの表記としては「X.O.」です。

このように、X.O.という表記には上限がないため、熟成年数が10年を超えていても表記としては「X.O.」のままです。

これはX.O.以外の等級でも同様で、「V.S.」でも7年熟成のもの、「V.S.O.P.」でも12年熟成のもの、「ナポレオン」でも15年熟成のものがあったりと、最低基準を大きく上回る熟成期間の商品も少なくありません。

そのため、ランク表示はあくまで「最低熟成年数の目安」として捉えるのが良いでしょう。

実際の熟成年数や味わいによって、同じ等級でも価格や品質に大きな差が生まれることがあります。

なお、2018年以降、一部のコニャックでは「X.X.O.(Extra Extra Old)」という熟成14年以上の新たな等級が導入されました。

これにより、長期熟成タイプの明確な差別化が進みつつあります。

ブランデーについてよくある質問

ここからは、ブランデーの等級についてよくある質問に回答していきます。

Q.ブランデーの最高ランクはいくつですか?

A.ブランデーの最高ランクは、一般的には最低10年以上熟成させたX.O. (Extra Old)です。

ただし、さらに長い期間熟成させたHors d'âge (オルダージュ)や、特定の年に収穫されたブドウのみを使用して造られたVintage (ヴィンテージ)も、希少性と品質の高さから高い価値を持つとされています。

また、同じコニャックでもグランド・シャンパーニュ地区のブドウのみを使用して作られたものは非常に評価が高く、他の産地のブランデーよりも高額で取引されることがあります。

まり、最高ランクといっても単に熟成年数だけではなく、原材料や産地によって価値は大きく異なるため、一概にランクだけで判断することはできません。

Q.三大ブランデーとは何ですか?

A.3大ブランデーとは、コニャック・アルマニャック・カルヴァドスの3つを指します。

いずれもフランスを代表するブランデーですが、原料や製法に違いがあり、風味にも個性があります。

Q.ブランデーは何年くらいもつ?

A.ブランデーはアルコール度数が40度前後と高いため、腐敗しにくく、未開封であれば基本的に賞味期限はありません。

しかし、開封後は空気に触れることで酸化が始まり、風味が徐々に劣化していきます。

開封後のブランデーの保存期間は、約半年から1年以内を目安に飲み切るのが理想的とされています。