油絵ってどんな技法?中古市場で需要が見込まれる油絵作家とは?
自宅にある油絵がもしかしたら高額買取の対象になるかもしれません。
国内外の有名作家の油絵作品は状態や種類によっては高値で売れる可能性があります。
また、買取業者は無名作家も査定対象としています。
本記事では、油絵の技法と世界的に有名な油絵作家に加えて、中古市場で需要が見込まれる作家を紹介します。
自宅に油絵を眠らせているのなら本記事を参考に売却を検討してみてください。
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油絵は油絵具を用いて描かれています。
油絵具は顔料を乾性油に溶かして作ったもので、空気との化学反応によって絵具が固まります。
油絵が出始めの頃は油でしか絵の具を薄められませんでしたが、水で薄められる油絵具の登場により水彩画も描けるようになりました。
油絵の技法は10種類以上と多く、技法を駆使することで絵に奥行きや立体感をもたせることができます。
写実的な油絵はあまりのリアリティさに油絵であることを忘れるほどです。
油絵は年月の経過によって劣化しづらく、制作当時とほぼ変わらない状態で鑑賞できます。
油絵の技法
油絵の技法は10種類以上あります。
グラデーション技法やコラージュ技法などは美術の授業で描いたことのある人は多いと思いますが、油絵は他にも多くの技法が存在します。
ここでは油絵の技法の一部を簡単にご紹介します。
・グラデーション技法
グラデーション技法は複数の色の境目をぼかすことで、つなぎ目を自然に見せる表現です。
・ドライブラシ技法
ドライブラシ技法は固めの絵具を筆でかすれさせるように描く表現方法です。
動物の体毛や人間の髪を描くときに使います。
・スパッタリング技法
スパッタリング技法とは薄めた絵具をつけたブラシで金網を擦り、スプレーのように飛び散らせる表現方法です。
・ドリッピング技法
ドリッピング技法とはジャクソン・ポロックが編み出しました。
絵具をキャンバスに垂らしたり、飛び散らせたりしながら描く手法です。
・コラージュ技法
コラージュ技法は様々なデザインの紙や物を組み合わせて表現する方法です。
有名な油絵作家と代表的な作品
油絵作家といってもどんな作家がいるのか思いつかないでしょう。
実は世界的な名画を描いた作家には、油絵の技法を用いた作品が多いです。
ここでは油絵の技法を用いた有名な作家と代表的な作品を紹介します。
レオナルド・ダ・ヴィンチ
レオナルド・ダ・ヴィンチはルネサンス期のイタリアを代表する画家です。
代表作は「モナ・リザ」や「最後の晩餐」などが挙げられます。
ダ・ヴィンチは1枚の絵を完成するのに大量のスケッチを書いていて、生涯で13,300ページにも及ぶ記録を残したとされています。
亡くなった1519年から500年以上経っても一部の記録しか見つかっていません。
ダ・ヴィンチの油絵には、輪郭なしに影だけで立体感を表現する「スフマート技法」や、距離が遠くなるほど色調が明るくなって寒色になる「空気遠近法」などが使われています。
「モナ・リザ」が描かれた技法であるスフマートは、1〜2ミクロンという超薄のニス状の彩色層を多数重ねて、半透明の輝くような肌と立体感を作る技術です。
モナ・リザの目の付近、口元、頬のふくらみなどを線を使わずにぼかしながら表現しています。
フェルメール
フェルメールは1600年代のオランダを代表する画家です。
生涯に残した作品数は36点と少なく、代表作は「牛乳を注ぐ女」「水差しを持つ女」「真珠の耳飾りの少女」などが挙げられます。
真っ暗な背景にたたずむ真珠の耳飾りをした少女の作品は見たことがある方も多いでしょう。
フェルメールは光の表現を取り入れた作品が多いです。
光がヴェールのように薄く、ぼわっとした陰影が描かれているのが特徴です。
当時聖母を描く画家が多いなかで、一般の女性を描いた作品が多かったのがフェルメールの大きな特徴といえます。
作品には白い点描で人物や物に反射する光を表現するポワンティエ(点綴技法)、希少価値の高い鉱物であるラピズラズリで作ったフェルメールブルー、線遠近法が使われています。
ミレー
ジャン=フランソワ・ミレーは1814年にフランスで生まれた画家です。
自然を主題にした作品を多数発表し、特に「落穂拾い」が有名です。
当時階級の高い人からは卑しいというイメージのあった農民の労働風景を描いた作品です。
生きるのに必死な農民の生活を神聖かつ永久的なものというイメージを持たせています。
初期の頃は主にぼかし気味でツヤのある画風や風俗画、肖像画を制作していましたが、1848年に完成した「箕をふるう人」からは農民の労働を題材にした作品を制作するようになりました。
1850年に「種をまく人」と「藁を束ねる人々」、1857年に代表作「落ち穂拾い」を発表しました。
「落ち穂拾い」は1867年のパリ万国博覧会で好評を得て、画家として評価される契機になりました。
ゴッホ
ゴッホは、うねりを用いて描いた作品「ひまわり」で有名な画家です。
ひまわりを描いた作品は7枚ありますが、現存しているのは6枚とされています。
ゴッホにとってひまわりは、晩年に移住した南フランスの太陽でありユートピアの象徴でもあったとされています。
ゴッホは画商、教師、書店員などを転々としたのち伝道師養成学校に入学し、27歳の頃に画家に転向しました。
農民を題材にした画家のミレーを敬愛し、ゴッホも農民や田園風景のスケッチを書くようになり、「じゃがいもを食べる人々」を完成させました。
色彩が暗い作品を制作していたゴッホは、弟のテオと同居をして最新の流行を知ることで花などの明るい色彩の作品を描くようになりました。
それから画塾に通いながら色彩が及ぼす影響力を研究し、1888年に作られた「夜のカフェテラス」で研究の成果を発揮しました。
1888年に静養のために南フランスのアルルへ移住し、黄色い家を借りて画家のゴーギャンと過ごすことにしました。
ゴッホはこの頃に厚塗りの手法を確立して、うねりを用いて花や自画像などを描くようになり、代表作「ひまわり」を完成させました。
しかし、ゴーギャンとの口論の末、ゴッホが自らの耳を切り落としたことで共同生活が終わり、ゴッホは精神病の療養所に入院します。
療養中も制作をしていましたが、1890年にピストルで自殺を図り、数日後に弟に看取られて亡くなりました。
クロード・モネ
クロード・モネは1840年に生まれた印象派画家で、ゴッホと肩を並べるほどの人気を誇ります。
モネの作品は景色や物を忠実に描くのではなく、光、影、風など五感で感じられるものをすべて「印象」として絵画に残すのが特徴です。
代表作には「睡蓮の池」「積みわら」「印象、日の出」「ラ・ジャポネーズ」「ポプラ並木」「ルーアン大聖堂」「セーヌ河の朝」などがあります。
絵具を混ぜずに原色をキャンバスに並べることで、鮮明な光を表現できる「筆触分割」の手法を確立しました。
生涯を終える間際まで絵画を制作し続け、自然風景を描いた作品を多く残しています。
中古市場で需要が見込まれる油絵画家とは
ここでは中古市場で需要が見込まれる油絵画家を紹介します。
査定に出す際の参考にしてみてください。
歌川広重
歌川広重は江戸時代を代表する浮世絵師です。
1811年に浮世絵師を志して初代・歌川豊国の弟子である歌川豊広に師事し、豊広の美人画と風景版画の画風を学びました。
初期の頃は美人画、歌舞伎絵、挿絵、摺物版画などを制作していたものの、歌川派としては約20年日の目を見ませんでした。
1831年に葛飾北斎が発表した風景版画「富嶽三十六景」に影響を受けて、歌川広重も各地の名所を描いてみることにしました。
1833年に「東海道五拾三次」が評判を呼び、晩年は出身地を巡る「名所江戸百景」に取り掛かっていました。
藤田嗣治
藤田嗣治(つぐはる)は1886年に生まれた画家です。
猫や女性を描いた作品が多く残されています。
藤田嗣治は陸軍軍医の家に生まれ、父の上司だった森鷗外の勧めで現在の東京藝術大学の西洋画科に入学しました。
卒業後の1913年にパリに旅立ち、日本画の技法を油絵に取り入れた制作を行います。
繊細な陰影を施した裸婦像は「乳白色の肌」と呼ばれて絶賛されました。
1919年のサロン・ドートンヌに出品した油絵すべてが入選し、パリで人気を集めました。
その功績が認められ、1925年にフランス政府からレジオン・ドヌール勲章を受章しました。
1959年にはカトリックの洗礼を受けてレオナールという洗礼名を与えられ、晩年には礼拝堂「シャペル・ノートル=ダム・ド・ラ・ベ(フジタ礼拝堂)」を建設しました。
竹内栖鳳
竹内栖鳳(せいほう)は1864年に京都府に生まれた、明治から昭和時代の京都の画壇の中心人物です。
13歳で四条派の画家に絵を学び、17歳で日本画家の幸野楳嶺(こうのばいれい)に師事すると楳嶺四天王の一人として活躍します。
1884年に第2回内国絵画共進会に出品して褒状を受けました。
その後も内国勧業博覧会、日本美術協会、青年絵画共進会、日本絵画協会などに出品すると数々の受賞を受けました。
1887年に西陣の織物業を営む高山家の長女と結婚して画家を開業しました。
円山応挙を祖とする円山四条派の写生を基本とし、西洋絵画や中国絵画の写実性を取り入れて、代表作「斑猫(はんみょう)」を生み出しました。
1937年に文化勲章を受章し、1942年に78歳で亡くなりました。
横山大観
横山大観は1868年に茨城県に生まれた日本画家です。
1889年に現・東京藝術大学に入学し、1896年に同大学の助教授に就任しました。
しかし、1898年に師の岡倉天心が同校校長を辞めることになり、横山も辞任を決意する。
そして岡倉天心と下村観山らと日本美術院創設に参加しました。
西洋文化の影響を受け始めた時代のなか、横山大観は新たな時代の日本画を模索して「朦朧体(もうろうたい)」という技法を編み出しました。
朦朧体とは輪郭線を描かずに色彩のぼかしや重ねることで、空気や光を表現する技法です。
横山大観の代表作は40m超の絵巻「生々流転」などがあります。
東山魁夷
東山魁夷は1908年に生まれた昭和を代表する日本画家の一人です。
代表作は真っすぐ伸びた道を描いた「道」のほか、「光昏(こうこん)」「残照」などがあります。
13歳から画業を志すようになりました。
現在の東京藝術大学を卒業後、美術史を学ぶためにベルリン大学へ留学しました。
1935年に帰国し、官展に出品を続けるも入賞することができず、1947年に日展に出展していた作品「残照」で入選を果たし、政府買い上げとなりました。
この入選をきっかけに東山魁夷は風景画家となり、日展での活躍を軸に日本芸術院賞と毎日芸術大賞など数々の賞を受賞しました。
1973年から1981年までは唐招提寺(とうしょうだいじ)の御影堂(みえいどう)の障壁画の制作をしました。
1987年に所蔵作品を長野県に寄贈し、1990年に長野県信濃美術館と東山魁夷館が開館しました。
油絵は美術品に詳しいバイセルに売ろう!
油絵の買取に対応している業者は多いので、少しでも高く売れる買取業者を見つけるのは手間がかかりますよね。
バイセルは美術品の買取実績が豊富で、油絵の価値に熟知した査定士が在籍しています。
買取方法は出張・宅配・持ち込み買取があるので、油絵のサイズや枚数によって選べます。
バイセルは無名作家の作品の持ち込みや、額縁をつけたままでの査定も積極的に受け付けています。
バイセルは無名作家でも査定できる
バイセルは無名作家でも買取可能です。
作品を買い取るポイントは知名度だけでなく、構図や絵のタッチなども影響するからです。
中古市場で一定の需要が見込めれば、無名作家の作品でも売れる可能性があります。
額装や表装もそのまま査定に出す
額装や表装のコンディションも査定金額に影響します。
額装や表装に傷がついていると新調したくなるかもしれませんが、実は買取業者側からすると額装を新調するよりも修理する費用の方が安く済みます。
そのため、万が一傷がついてしまっていても額装や表装もそのままで査定してもらいましょう。
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買取業者が油絵を査定する際にチェックしていること
買取業者は油絵を査定する際にチェックしていることがいくつもあります。
ここではチェック項目の一部をご紹介します。
本項目の内容を読めば必ず高値で売れるわけではありませんが、査定前に参考にするとお得に売れる可能性が高まるでしょう。
油絵の状態が良いか
油絵はカビ、ホコリ、汚れ、日焼けがない方が高く売れやすいです。
油絵は湿度と温度に左右されず耐久性があるため経年劣化しづらいです。
掛け軸や版画よりも状態を保ちやすいですが、保管環境によっては汚れがついてしまう場合があります。
油絵についた汚れを自力で落とすと作品の色が落ちてしまう可能性があります。
汚れがついたまま査定に出すのは気が引けるかもしれませんが、クロスでホコリを払うだけに留めて査定に出しましょう。
購入時についてきた箱や証明書などの付属品があるか
油絵は額縁の裏に、販売元が本物の作品だと認めた証明書が貼られています。
証明書には作家名、作品名、販売元、エディションナンバーなどが記載されており、証明書の記述や形式は油絵によって異なります。
また、油絵を入れている箱や包装袋もあると、査定時までに作品の状態を守れます。
付属品があると作品の証明ができる可能性があるので、査定時に出すことをおすすめします。
作家の代表作や有名作品か
査定では画家の代表作や有名作品だと高値での買取が期待できるでしょう。
有名作家の初期作品やあまり流通していない作品は、希少価値が高くなりやすいです。
作品をどうやって手に入れたか
査定ではお持ちの油絵をどのようにして手に入れたかを詳しく聞きます。
例えば、どこで買ったのか、いくらで買ったのか、なぜ買ったのか、人に譲ってもらったのか、譲ってもらった場合は誰なのかなどをヒアリングします。
作品の入手経路は価値を見極める際に必要です。
油絵を手に入れた経緯を知ることは、お持ちの油絵の価値を判断することに役立ちます。
なおかつ、手に入れた経緯を証明するものがあれば信憑性が増して、油絵の査定金額を決める要素になります。
百貨店や画廊で購入した場合は、購入したことがわかる証明書やカタログを用意しておきましょう。