中村六郎とは?徳利やぐい呑など備前焼を代表する陶芸作家の作品を紹介

中村六郎とは?徳利やぐい呑など備前焼を代表する陶芸作家の作品を紹介

中村六郎は、20世紀の備前焼を代表する陶芸作家の一人です。

独自の感性で作り出された彼の作品は、日本の伝統的な美意識を体現しつつ、現代にも通じるモダンな魅力を放っています。

本記事では、そんな中村六郎の人物像や代表作、備前焼の基礎知識などを詳しくご紹介します。

徳利やぐい呑をはじめとした彼の作品の魅力に迫ります。

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※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。

中村六郎とは

中村六郎(なかむら ろくろう)は、1914年に岡山県備前市に生まれた陶芸家です。

幼少期から備前焼に興味を持ち、若くして独学で陶芸の道を志しました。

伝統的な備前焼の技法を継承しつつ、斬新な造形美を追求します。

独自の感性で作り出す作風は高く評価され、重要無形文化財保持者(人間国宝)にも認定されました。

中村六郎の作陶スタイルの特徴は、古備前の特徴である「焼き締め」の技法を用いつつ、現代的でモダンなデザイン性を取り入れている点です。

使い勝手のよさと美しさを兼ね備えた徳利やぐい呑、花器や茶器など幅広いアイテムを手掛け、いずれも六郎ならではの味わい深い佇まいが魅力です。

土と炎の表情をダイナミックに活かしながら、シンプルかつ洗練された造形美を生み出す手腕は高く評価され、国内外で絶大な人気を博しています。

備前焼の基礎知識

 備前焼の基礎知識

備前焼を深く理解するには、その歴史と特徴について知っておく必要があります。

ここでは、備前焼の基本的な知識を簡単に解説します。

そもそも備前焼とは、岡山県備前市周辺を産地とする陶磁器を指します。

日本六古窯の一つに数えられており、備前市伊部地区で盛んであることから「伊部焼(いんべやき)」という別名も持っています。

参考:備前焼の歴史・多彩な窯変|備前市

備前焼の歴史

備前焼の起源は古く、そのルーツは古墳時代の須恵器だとされています。

延喜5(905)年ごろには岡山県備前市の伊部地域で生産が始まり、当初は瓦や日用雑器が中心でした。

その後16世紀頃から茶人に好まれる作風へと変化し、以降は茶陶としても発展します。

桃山時代以降は、備前長船の港から全国へと広く流通するようになりました。

江戸時代に入ると、備前藩の保護を受けて備前焼の量産化が進み、一大産地として確立されます。

19世紀以降は民芸運動の高まりとともに、再び作家の個性が注目される時代へ移り変わります。

そうした中で、金重陶陽や藤原雄、そして中村六郎ら優れた作家が輩出され、現在に至るまで脈々と備前焼の伝統が受け継がれています。

備前焼の特徴

備前焼の最大の特徴は、「焼き締め」と呼ばれる高温焼成にあります。

1200~1300度の高温で長時間焼き上げることで、器が硬質化されます。

そのため耐熱性や耐久性に優れ、日常使いに適した器に仕上がります。

また、釉薬を一切使わずに焼き上げるため、土本来の風合いや質感が活きるのも特徴です。

素地には木節粘土が使われ、粘り気が強く鉄分を多く含んでいるため、独特の色合いに焼き上がります。

赤みを帯びた茶褐色から黒褐色まで、幅広い色調が生まれます。

微細な気孔があり通気性に優れているため、花瓶やビールグラスにも向いています。

窯変により生じるビードロ、焦げ、灰かぶりといった表情も、備前焼の魅力の一つと言えるでしょう。

備前焼の代表作家

現在、備前焼の代表的な作家としては以下のような人々が知られています。

人間国宝 岡山県指定重要無形文化財 人気作家
金重陶陽
藤原啓
山本陶秀
藤原雄
伊勢崎淳
金重道明
森陶岳
伊勢崎陽山
藤原楽山
中村六郎
安倍安人

そして、これらの作家と並び称されるのが中村六郎です。

伝統と革新性を高い次元で融合させた作風は、今なお備前焼ファンを魅了してやみません。

中村六郎の代表作品

 中村六郎の代表作品

中村六郎の作品は、徳利やぐい呑、花器、茶器、水指など実に多岐にわたります。

なかでも特に有名アイテムについて特徴をご紹介します。

  1. 徳利:なだらかな曲線を描くフォルムが特徴的。大振りのものから小振りのものまで、バリエーション豊か。
  2. ぐい呑:ずっしりとした存在感と、手に馴染むフォルム。見込みの表情もシンプルな中に味わいがある。
  3. 花器:すっきりとした直線的なシルエットのものが多い。挿し花を引き立てる佇まい。
  4. 水指:大胆な造形と、縦線の美しさが印象的。茶席に品格を添える名品揃い。

これらの作品に共通するのは、無駄を削ぎ落としたシンプルなデザインと、土の質感を最大限に生かした味わい深い表情です。

伝統的な備前焼の特徴を残しつつ、現代のライフスタイルにもマッチするモダンな雰囲気を醸し出しているのが特徴と言えるでしょう。

中村六郎の作品は、日常の中に美を取り入れたいと願う人々を中心に、長年にわたって支持され続けています。

使い勝手の良さと飽きの来ないデザイン性、それに加えて備前焼ならではの風格が備わった六郎の器は、生活に寄り添う名品として今後もさらなる人気を集めそうです。

中村六郎作品の買取価格はいくらぐらい?

中村六郎の作品は、美術商はもちろん、骨董品店や古美術商、リサイクルショップでも取り扱われており、作品の状態や時期によって買取価格が大きく変動します。

花器や水指など大型の作品になると、高額になるケースもあります。

なお、中村六郎作品のような価値が見込める骨董品をお持ちの場合は、骨董品に詳しい査定士への相談がおすすめです。

中村六郎作品の価値を正しく見極めてくれるでしょう。

また、より高く売りたいと考える際には、複数の店舗で見積もりを取るのが賢明です。

各業者の査定額を比べ、最も高い査定額を提示したところに買取を決められます。

以下の記事では、作品の状態や付属品の有無など、査定前に確認しておきたいポイントを解説していますので参考にご覧ください。

関連記事:備前焼の買取相場は?作家や高く売る3つのポイントを解説

まとめ

中村六郎は、20世紀の備前焼を代表する巨匠の一人です。

伝統技法を守りながら、現代に通じるモダンな感性を作品に込めた彼のスタイルは、古き良き日本の美意識と新しい時代の美学が融合した、稀有なものと言えるでしょう。

器としての機能美を追求しつつ、アートとしての造形美も兼ね備えた六郎の作品は、茶人やコレクターのみならず、広く一般の人々からも支持を集めています。

特に徳利やぐい呑をはじめとした酒器は、酒席に華を添える逸品として知られています。

自宅に中村六郎をはじめ使っていない備前焼が眠っているという方は、ぜひバイセルへご相談ください。

骨董品を熟知した査定士が拝見し、お持ちの作品の本来の価値を見極めて価格に反映いたします。

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