
信楽焼(しがらきやき)は、種類の多い焼き物の中でも価値の高い焼き物の1つです。
信楽焼の買取を検討している方の中には「高く売れる信楽焼ってどんなの?」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。
本コラムでは、信楽焼を高く売る2つのカギについて解説します。
また、高額買取が期待できる信楽焼の作家や買取業者のおすすめの選び方などもご紹介します。
参考にしていただき、少しでも信楽焼を高価買取に繋げるお手伝いができれば幸いです。
目次
信楽焼の歴史と価値

信楽焼は、主に滋賀県甲賀市信楽町で作られる陶器です。
店前などで見かける狸の置物でも有名ですが、温かみのある発色と信楽特有の土感が特徴です。
信楽焼の歴史は、明確にはなっていませんが、鎌倉時代後期の窖窯(あながま)で壺・甕(かめ)・擂鉢(すりばち)などの焼き物が作られたことから始まります。
信楽町は良質な陶土が多く採れ、茶道が栄えていた京や奈良に近かったことから、室町・桃山時代以降より茶陶信楽が発展していったとされています。
明治時代以降、青みがかった美しい色に焼きあがる「なまこ釉」を用いて、さらに幅広い種類の陶器を生産していきます。
「わびさび」が感じられる信楽焼は、茶人をはじめとする日本人や、海外からも評価が高い焼き物です。
古信楽も骨董市場では人気が高い
鎌倉~室町時代の間に作られた信楽焼のことを「古信楽」と言います。
古信楽は古い琵琶湖層から採れた細かい石粒を使うことで、元々素地が荒い信楽焼ですが、より土味を増した作品になります。
そのため買取市場において、古信楽は美術品としても骨董品としても価値が高い焼き物として評価されます。
お持ちの焼き物が、古信楽かどうか見極められないという方は、骨董品に特化している買取業者に見てもらいましょう。
信楽焼を高く買取してもらう2つのカギ

価値のある信楽焼を売るならば、その価値を存分に活かして、少しでも高く買取してもらいたいですよね。
信楽焼を高く買取してもらうカギは、大きく分けて2つありますので、詳しくご紹介します。
作家物の信楽焼は高額買取に期待できる
歴史的価値を見込める古信楽以外に、高額買取が望めるのは、作家物の信楽焼です。
信楽焼の有名な作家は以下がありますが、他にも数多くの人物が存在します。
- ・北大路魯山人(きたおうじろさんじん)
- ・杉本貞光(さだみつ)
- ・上田直方(なおかた)
- ・古谷道生(みちお)
- ・鈴木治
お持ちの信楽焼が作家物かどうかを判断するには、作品本体の裏面に押されていることの多い作者の印である「落款(陶印)」で確認してみましょう。
中には落款を押さない作家物の信楽焼もあるので、作家物なのかどうか知りたいときは、骨董品に特化した買取業者に見てもらいましょう。
信楽焼に共箱があるとさらに期待できる
有名作家物の信楽焼は共箱に入っていることが多いです。
共箱は一般的には木製の箱で、蓋表に作品名や作家名が墨書きされています。
焼き物の保証書代わりにもなるため、共箱があるかないかは、査定評価に大きく響くでしょう。
共箱の状態も査定に影響することもあるので、本体同様に共箱も綺麗な状態での保管をおすすめします。
また、信楽焼は元々共箱がない作品も存在するため、共箱がない状態でも買取に出せることが多いです。
しかし、共箱があるのに揃えられなかった場合は、買取額が下がってしまう可能性があります。
作家物の信楽焼は共箱と一緒に査定に出して高く売ろう!
信楽焼で有名な作家は焼物単体でも高値になりやすいですが、少しでも高く売りたいのであれば共箱などの付属品も一緒に出した方が加算されやすいです。
使用していない信楽焼を買取に出すなら、骨董品買取の実績が豊富なバイセルにお任せください。
高額買取が期待できる信楽焼の作家

高額買取が期待できる信楽焼は、有名作家が手掛けている作品であることが多いです。
代表的な信楽焼の有名作家をご紹介します。
神崎紫峰
神崎紫峰(しほう)は、古信楽の釉薬美術を追求した焼き締め作家です。
焼き締めとは、通常陶器作りに欠かせない釉薬(ゆうやく・表面を覆うガラス質の部分)をかけずに、窯の中で高温で焼き上げる方法です。
10日近くかけて焼くことにより、作品に灰がかかり、自然釉となって「景色(自然にできる美しい色合い)」を生み出します。
他にも神崎紫峰は、窯の中で土がかいらぎ状に流れて色が変化していく「瀑布窯変(ばくふようへん)」などの自然変化を用いることもあります。
神崎紫峰は公募に参加することはなく、個展中心の活動であるため、国内に留まらずドイツやアメリカ等海外で人気が高い作家です。
自然変化を大切にしている神崎紫峰は、茶碗や花入れなどの作品が有名です。
高橋春斎
高橋春斎(しゅんさい)は、3代目高橋楽斎のもとに生まれ、父に指導を受けて1968年に自らの窯を開きます。
信楽では貴重とも言える、滋賀県の指定文化財保持者の認定を受けている人物のうちの1人で、信楽陶芸展や滋賀県文化賞など様々な賞を受賞しています。
高橋春斎の作品は、荒々しさと温かみを兼ね備え、素朴で深い味わいをもっているのが特徴です。
木製のように見える柄の手桶水指や「信楽しのぎ大壺」「窯変矢筈水指」などを手掛けました。
北大路魯山人

1883年に京都で生まれた北大路魯山人(きたおうじろさんじん)は、20歳で実母がいる東京に向かいました。
魯山人は書や篆刻(てんこく)の分野で活動していましたが、30歳代後半になると料理の器作りに身を入れるようになり、自分の作った窯で器を作り始めます。
その後、陶芸家としても活躍した魯山人は、信楽の良質な土を気に入り、信楽を度々訪れていたと言います。
魯山人は信楽焼特有の明るい緋色(火色)を活かした、味わい深い作品を生み出し続け、多くの焼き物愛好家を魅了しました。
人間国宝の認定を2度も受けましたが、「芸術家に勲章は要らない」という自身の信念を貫いて断ったと言います。
魯山人の有名作品には、緋色と緑色のコントラストが美しい「信楽灰被(はいかつぎ)大壺」や、春の桜と秋の紅葉を描いた「色絵雲錦(うんきん)大鉢」などがあります。
杉本貞光
杉本貞光(さだみつ)は、東京生まれの陶芸家で、信楽・楽・織部・美濃など様々な技法を使って焼き物を生み出しています。
30歳代の頃に初めて信楽山中で窯を築き、郷愁ただよう独創的な作品を手掛ける陶芸家として活躍します。
「わびさび」を追求し続けた杉本貞光は、海外などでも個展を開き、世界的に名の知れた陶工です。
杉本貞光の有名作品には、灰白色・緋色のコントラストと丸みを帯びたフォルムが特徴の「信楽焼の蹲(うずくまる)」や、 花入・茶碗などがあります。
鈴木治

鈴木治は、1926年に京都のろくろ職人である父のもとに生まれ、幼少の頃から身近に陶土がある生活を過ごしていました。
戦後、積極的に茶陶信楽の制作に取り組み、多くの受賞や個展の開催などで活躍します。
鈴木治の作品の中では、信楽の土に赤化粧を施し焼き締め、主に動物や自然のものをモチーフにした「泥象」シリーズが有名です。
「泥象」シリーズはオブジェ焼きとも呼ばれ、器の口が閉じられた斬新なデザインです。
他にも、鈴木治は酒盃や花入などを手掛けています。
辻清明
辻清明は、10代の頃から陶芸に興味をもち、陶工のもとで学んでいました。
自然釉を用いた信楽焼を中心に制作し、光風会展出品工芸賞や日本陶磁協会賞などで多くの賞を受賞しました。
辻清明は「明る寂びの美」と呼ばれる独自の世界感を信楽焼で表現し続けました。
辻清明の有名な作品には、土で羽を表現した「信楽フクロウ」や、蓋の開いた重量感のある感を表した「信楽陶缶」などが挙げられます。
信楽焼は骨董品専門の買取業者を利用しよう

信楽焼の買取額は、作家・作品・製造年数・本体の状態・技法など、幅広い観点からの査定評価によって決められます。
そのため、信楽焼を売る際は骨董品専門の買取業者を利用するのがおすすめです。
骨董品専門の買取業者には、信楽焼の専門知識や買取実績を多くもつ査定員が在籍しています。
そのため、お持ちの信楽焼に対して正しい査定評価をし、適した査定額を算出してくれるでしょう。
反対に総合リサイクルショップなどで信楽焼を売る場合、信楽焼に詳しい査定スタッフがいない可能性が高く、価値を見誤って低く買いたたかれてしまうかもしれません。
信楽焼は骨董の適した価値を見極められる、骨董品専門の買取業者へ買取に出しましょう。
買取業者のおすすめの選び方

信楽焼を買取に出す際、骨董品専門の買取業者がおすすめですが、実際に探してみると多くの業者があることに気づくでしょう。
その中から1箇所に絞る際のおすすめの選び方は以下の通りです。
・出張買取サービスを提供している
・全国展開している
・手数料がすべて無料
・テレビや新聞などで宣伝をしている
これらを条件にすれば、賢く買取に出すことができるでしょう。
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
出張買取サービスを提供している
出張買取サービスとは、査定員が利用者の自宅まで行き、その場で査定・買取を行う買取方法です。
利用者は家から出ることなく買取を終えられるので、便利に使えるサービスです。
特に信楽焼などの焼き物は割れ物であり、ある程度重さもあるため、自分で買取店まで持ち運ぶのに手間がかかるでしょう。
しかし、出張買取を利用することで品物を家から持ち出さずに査定してもらえるので、持ち込み買取に比べて利用者は手間なく買取に出せます。
特にサイズが大きい信楽焼や複数の信楽焼、骨董品としても価値が高い古信楽などの買取を検討している方は、出張買取サービスを提供している買取業者を選ぶと良いでしょう。
全国展開している
出張買取と持ち込み買取のどちらを利用する場合も、全国展開している買取業者を利用した方が良いでしょう。
全国展開している買取業者であれば、郊外に住んでいる方も気軽に利用できます。
しかし、中には気になる買取業者が住まいの近くになかったり、出張買取対象となっていない地域に住んでいる方もいらっしゃるでしょう。
そういう場合は、宅配で品物を業者に送って査定を受けられる宅配買取を行っている買取業者を探してみるのもおすすめです。
手数料がすべて無料
買取業者を選ぶ際は、査定料・出張料・キャンセル料をすべて無料としているところを選ぶことが得策です。
例えば、これらの手数料がかかる買取業者で査定を利用し「査定額に納得いかないからキャンセルをしたい」となるケースもあるでしょう。
買取には出さないものの手数料だけがかかり、損をした気分になります。
反対に、査定額に納得し買取に出す場合も、手数料を引いた額を受け取ることになります。
純粋な査定額を受け取りたいと考える方は、手数料を無料と謳っている買取業者の査定を受けるのがおすすめです。
テレビや新聞などで宣伝をしている
テレビや新聞などで宣伝をしている買取業者は、比較的大手企業が運営しており、買取サービスの知名度も高い傾向にあります。
知名度が高いところでは、特に利用者への対応に気を付けていると言えます。
なぜなら、悪い口コミが拡散されないように配慮しているからです。
知名度が高い業者であれば、口コミもすぐに広まり、今後の売り上げにも影響してくるでしょう。
極端に低く買いたたくことも少ないと考えられるので、気持ちの良い買取にしたいという方は、テレビや新聞などで宣伝をしている買取業者を選びましょう。
信楽焼を高価買取してもらうコツ

元々価値が高い信楽焼を買取に出すならば、価値を最大限に活かして、より高く売りたいですよね。
信楽焼を高価買取してもらうコツは、大きく分けて以下の3つです。
・できるだけ早く買取に出す
・簡単な手入れをしておく
・複数の買取業者で査定額を比較する
それでは、それぞれ詳しくご紹介します。
できるだけ早く買取に出す
信楽焼は、どんなに保管環境に配慮していても、制作から長年経っていれば劣化を免れません。
信楽焼に変色やヒビ・欠けなどが見られる場合は、買取額が下がってしまう傾向にあります。
そのため、信楽焼の買取を検討しているのであれば、少しでも早く買取に出すことが賢明です。
今以上に信楽焼の状態を悪くしないために、できるだけ早く買取に出すようにしましょう。
簡単な手入れをしておく
信楽焼は、綺麗な状態であるほど買取額が高くなりやすいです。
良い状態を保つためにも、日ごろから簡単な手入れを欠かさずに行っておくことが大切です。
信楽焼の使用後は、早めに洗って、よく乾燥させてからしまいましょう。
水気が残ったまましまうと、カビ・におい・シミの原因になります。
ただし、信楽焼は温度変化に敏感なため、煮沸などは避けた方が良いでしょう。
また、未使用品の場合は、不用意に手入れをすることで損傷してしまえば「使用品」と査定されかねないので注意が必要です。
乾いた布で優しくホコリを拭き取る程度にしておきましょう。
複数の買取業者で査定額を比較する
骨董品専門であっても、買取業者によって査定員の知識量や、販路の数は異なります。
そのため、同じ品物を査定に出しても、買取業者ごとに査定額が異なるでしょう。
そこで、複数の買取業者に査定を依頼し、査定額の比較をすることがおすすめです。
相見積もりを取れば、査定額だけでなく、査定員の対応の仕方なども比べることができます。
少し時間と手間がかかるかもしれませんが、自分が満足できる買取が行えそうなところを見極める方法のひとつです。
信楽焼の買取で後悔しないためにも、複数の買取業者で査定額を比較してから、売り先を決めましょう。