ワインの当たり年一覧(ヴィンテージチャート)|最新の当たり年は?
ワインには「当たり年」があることをご存知でしょうか。
ワインの原料であるブドウの栽培では、天候によって品質の良し悪しが大きく左右されます。
そのため、天候によってブドウの出来が良いヴィンテージ(年代)=「当たり年(グレートヴィンテージ)」が出てきます。
ワインを選ぶうえでの大きなポイントになるため、ワインのラベルには必ず製造年が印字されているのです。
この記事では、世界中のワインの有名産地の当たり年がそれぞれいつなのかを、表(ヴィンテージチャート)にしてご紹介します。
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目次
ワインの当たり年とは?
ワインの当たり年とは、ワインの原材料であるブドウの出来が良い年のことをいいます。
ブドウの出来はワインの味や風合いにダイレクトに影響するため、1年を通して天候の条件が良くブドウの出来が良い年は、ワインの品質が高くなるのです。
当たり年の場合、有名な生産者ではない比較的お手頃価格のワインであっても、有名生産者に匹敵する品質のワインが手に入りやすいとも言えます。
ワインの当たり年を知っておくことで、ワインを選びやすくなるでしょう。
ブドウの出来を左右する条件とは
出来が良いブドウは、ブドウの糖度が高くジューシーな味わいになることが特徴です。
ブドウの樹は3~4月ごろにはつが、6月ごろに開花、7月から果実が色づき始め、9~10月ごろに収穫期を迎えます。
この半年の間にいかに好条件が揃うかによって、ブドウの出来栄えが決まるのです。
ブドウは、十分な日照・温暖な気候・少ない雨を好みます。
雨が多いとカビが繁殖しやすくなりますし、適切な温度に達しなければ発芽しません。
これらに加えて、1日の寒暖差が大きいほど糖分と酸味のバランスが整いやすいです。
ブドウには害虫がつきやすいことや冬には冬眠が必要なことから、1年を通しても寒暖差が大きい年の方がブドウの出来が良くなる傾向があります。
はずれ年のワインは美味しくない?
当たり年とは反対に、悪天候によってブドウの出来が悪かった年は「はずれ年」や「オフヴィンテージ」などと呼ばれます。
ただし、はずれ年のワインが美味しくないのかというと、そうではありません。
本来、長期間熟成させる必要があるワインが数年で飲み頃に達するなど、はずれ年なりの独特の風合いを味わえます。
また、はずれ年のワインであっても生産者の努力や局地的な天候に恵まれて、当たり年と同じようなお宝ワインが見つかることもあるのです。
唯一無二として同じワインがなく、それぞれに楽しみ方があることが、ワインが奥深いと言われる理由でしょう。
ヴィンテージチャートとは
ワイン産地ごとのその年の良し悪しを数値化して一覧にした表のことを「ヴィンテージチャート」と言います。
ワインの販売会社、ワイン協会、ソムリエなどが発表しています。
評価内容は評価をする人によって多少異なることはありますが、いくつか見ることでおおまかな傾向は捉えることができます。
有名なヴィンテージチャートとしては、ワイン評論家のロバート・パーカー氏による「パーカーヴィンテージチャート」があります。
フランスワインの当たり年
まずは、フランスワインの当たり年について紹介しましょう。
ボルドーワインの当たり年
ワインといえばボルドーと言われるほど、ボルドーはワイン産地の最高峰と言える地域です。
赤ワインの産地としてのイメージがありますが、辛口の白ワインも生み出しています。
ボルドーの赤ワインは、濃厚でコクのある重みのある味わいが特徴で、長期期熟成に向いたワインが多いです。
また白ワインは甘くとろみのある貴腐ワインが有名でしょう。
ボルドーワインの当たり年は以下の通りです。
赤 | 白 | |
---|---|---|
あたり年(Sランク) | 1982年 1990年 2000年 2005年 2009年 2010年 2016年 2022年 |
1988年 1989年 1990年 2001年 2010年 |
あたり年(Aランク) | 1985年 1986年 1989年 1995年 2003年 2015年 2018年 2020年 2021年 |
1983年 1986年 1997年 2005年 2009年 2011年 2013年 |
果実味・タンニン・酸・アルコールの全てにおいてのバランスの良さが評価され、長期熟成に向いているワインが高く評価されています。
ブルゴーニュワインの当たり年
ブルゴーニュは、フランス東部に位置する地域で南北に広がる地域です。
ブルゴーニュワインは、繊細でありながら、多様な味わいを堪能できる点が魅力とされています。
タンニンが少ないため渋みが控えめで飲みやすいワインが多いです。
また、マイルドな酸味とフルーティさも持ち合わせているため、和食などの優しい味の料理にも合わせやすく、初心者にも選ばれやすいワインとも言えるでしょう。
ブルゴーニュワインの当たり年は以下の通りです。
赤 | 白 | |
---|---|---|
あたり年(Sランク) | 1982年 1990年 2020年 |
1995年 2014年 2020年 |
あたり年(Aランク) | 1988年 1989年 1983年 1996年 1999年 2002年 2009年 2012年 2015年 |
1985年 1989年 1990年 1996年 1997年 1999年 2002年 2005年 2006年 |
ブルゴーニュワインは、酸味が強く出るワインも多いため、マイルドな酸味と豊かな果実味のバランスが良いものが高く評価される傾向があります。
好天候のもとで育ったブルゴーニュワインは豊かな果実の味わいと柔らかい酸味を味わうことができるでしょう。
シャンパーニュワインの当たり年
シャンパーニュ地方フランスの東部に位置し、ブドウの栽培環境としては、冷涼な土地柄が特徴です。
気温は年間を通して低く温度変化も少ないため、一般的なブドウに適した環境であるとはいえないエリアにもかかわらず、シャンパーニュといえば、シャンパンとして世界中から愛されるワインを作り出している産地です。
シャンパーニュの栽培環境で、ブドウは熟しすぎずバランスの取れた酸を保ったまま育ちます。
シャンパンは、きめ細かな泡立ちでクリーミーな口当りなどが魅力とされています。
シャンパーニュワインの当たり年は以下の通りです。
あたり年(Sランク) | 1990年 1996年 |
---|---|
あたり年(Aランク) | 1982年 1985年 1988年 1995年 2002年 2008年 2012年 2015年 |
シャンパーニュ地方のワインは、熟度も酸度も高いものが高評価を受ける傾向があります。
イタリアワインの当たり年
ここからは、フランスと並んでワインの国と言われるイタリアワインのあたり年について紹介します。
トスカーナワインの当たり年
トスカーナ地方は、イタリア中部に位置しティレニア海に面しています。
世界的にも人気のあるキャンティや、もっとも高価なワインとも言われるスーパータスカンなど名だたるワインを生み出すワインの産地です。
トスカーナワインは、サンジョヴェーゼというブドウ品種をメインに使用した赤ワインが多く、酸味とタンニンが強く、果実味やスパイスの香りが特徴的です。
トスカーナワインの当たり年は以下の通りです。
あたり年(Sランク) | 1988年 1990年 2006年 2010年 |
---|---|
あたり年(Aランク) | 1985年 1995年 1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2004年 2007年 2013年 2016年 |
当たり年のトスカーナワインは、熟度と強い酸味のバランスが評価されています。
また色味の強さや、果実や花のような香りの強さを味わえることもあたり年のトスカーナワインに共通する点でしょう。
ピエモンテワインの当たり年
ピエモンテ地方は、フランスとスイスの国境に接するイタリアを代表するワインの産地です。
ピエモンテで作られるネッビオーロ種のブドウは、イタリアで高貴な黒葡萄とも言われており、世界中で愛されています。
タンニンが濃縮されており濃厚な味わいでありながら、やわらかさもある絶妙なバランスの渋みが特徴です。
果実味も豊かであるため、赤ワインが苦手な人にもおすすめのワインでしょう。
ピエモンテワインの当たり年は以下の通りです。
あたり年(Sランク) | 1989年 1996年 2006年 2019年 |
---|---|
あたり年(Aランク) | 1982年 1988年 1995年 1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2003年 2007年 2010年 2013年 2015年 2016年 2018年 2020年 |
当たり年のピエモンテは長期熟成に耐えられるしっかりとした構造を持ち、厚みのある高いポテンシャルをもったワインが特徴です。
ヨーロッパワインの当たり年
ここからは、フランス・イタリアのほかのヨーロッパワインについて、各地域の当たり年をご紹介します。
スペインワインの当たり年
スペインはブドウ栽培が非常に盛んで、世界最大のブドウ栽培面積を持ちます。
ワイン造りでも、フランス・イタリアに次いで世界第3位の生産量を誇ります。
スペインワインは「高品質でコストパフォーマンスが高いワイン」として世界で人気があります。
スペインワインの当たり年は以下の通りです。
あたり年(Sランク) | 1994年 2004年 2010年 2016年 2018年 |
---|---|
あたり年(Aランク) | 1989年 1995年 2001年 2005年 2009年 2011年 2012年 |
ドイツワインの当たり年
ドイツは世界最北のワイン生産地です。
ワインの生産量は世界で第10位ですが、高品質で知られており、世界的に人気が高いです。
緯度が高いため比較的短い日照時間でゆっくり熟成させることができ、デリケートで上品な甘みが感じられます。
ドイツワインの当たり年は以下の通りです。
あたり年(Sランク) | 1990年 2005年 2006年 2009年 |
---|---|
あたり年(Aランク) | 1988年 1989年 1992年 1993年 1993年 1994年 1996年 1998年 2001年 2003年 2004年 2007年 2008年 2012年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 |
オーストリアワインの当たり年
オーストリアは、オーガニックの栽培の農作物が多いことでも知られています。
ワインでも添加物・保存料・砂糖などを一切使用しない「ナチュラルワイン」が注目されています。
オーストリアワインは生産量の79%が国内で消費されるため、日本で見かけることは少ないですが、その品質は折り紙つきと言えます。
オーストリアワインの当たり年は以下の通りです。
あたり年(Sランク) | 1997年 2019年 |
---|---|
あたり年(Aランク) | 1986年 1995年 2006年 2007年 2011年 2012年 2013年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 |
ポルトガルワインの当たり年
ポルトガルはワインの歴史が古く、紀元前2000年頃からワイン造りが行われていたと言われています。
日本でも古くからポルトガルワインは親しまれており、織田信長がポルトガルから輸入されていた葡萄酒を好んで飲んでいたという記録もあります。
漢字で書くと「葡萄牙」というくらい、ポルトガルはブドウと関係が深い国だと言えるでしょう。
ポルトガルワインの当たり年は以下の通りです。
あたり年(Sランク) | 1992年 1994年 2000年 2007年 2011年 2017年 |
---|---|
あたり年(Aランク) | 1991年 1995年 1997年 2003年 2004年 2005年 2008年 2009年 2015年 2016年 2018年 2019年 2020年 |
アメリカワインの当たり年
ここからはアメリカ合衆国の有名産地のワインについて、各地域の当たり年をご紹介します。
カリフォルニアワインの当たり年
アメリカは、フランス・イタリア・スペインに次いで世界第4位の生産量を誇るワインの生産国です。
中でもカリフォルニア州はアメリカで最も生産量が多くなっています。
カリフォルニア州は気候が温暖で雨が少なく、ワイン造りに適していると言われます。
カリフォルニアワインの当たり年は以下の通りです。
赤 | 白 | |
---|---|---|
あたり年(Sランク) | 2012年 2013年 2021年 | 2013年 |
あたり年(Aランク) | 1990年 1991年 1992年 1994年 2004年 2007年 2009年 2010年 2014年 2015年 2016年 2018年 2019年 | 1986年 1990年 1992年 1993年 1995年 1997年 2000年 2001年 2001年 2004年 2007年 2009年 2010年 2012年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 |
ワシントンワインの当たり年
ワシントン州は、カリフォルニア州に次いでアメリカで2番目にワイン生産量が多い州です。
カリフォルニアワインに比べると知名度は低いですが、恵まれた気候条件から生み出される高品質なワインは高い評価を得ています。
ワシントンワインの当たり年は以下の通りです。
あたり年(Sランク) | 2012年 |
---|---|
あたり年(Aランク) | 1989年 1992年 1994年 1998年 2001年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2014年 2017年 2018年 2019年 2020年 |
オレゴンワインの当たり年
オレゴン州は本格的なワイン生産が始まったのが1960年代に入ってからと、比較的新しい産地です。
しかしながら、ピノ・ノワール種の産地として非常に評価が高く、その品質はブルゴーニュにも劣らないと言われています。
オレゴンワインの当たり年は以下の通りです。
あたり年(Sランク) | 2008年 2015年 2016年 |
---|---|
あたり年(Aランク) | 1994年 1998年 1999年 2002年 2004年 2006年 2010年 2012年 2014年 2017年 2018年 2019年 |
南アメリカのワインの当たり年
ここからは、南アメリカ大陸でワインの産地として有名な、チリ・アルゼンチンの当たり年をご紹介します。
チリワインの当たり年
チリワインは、リーズナブルな価格でありながら高品質であることから、日本でも親しまれているワインです。
気候は、日照時間が長くて収穫期に雨が少ないことからブドウを十分に完熟させることができ、果実味豊富なワインを作ることができます。
チリワインの当たり年は以下の通りです。
あたり年 | 2005年 2007年 2011年 2013年 2015年 2018年 |
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アルゼンチンワインの当たり年
アルゼンチンワインの生産地は、アルゼンチン西部のアンデス山脈の麓の高地に位置しています。
ブドウ畑の標高が450~2,980mと高いのが特徴で、強い日射と昼夜の気温差によって高品質なブドウが実ります。
アルゼンチンワインの当たり年は以下の通りです。
あたり年 | 2005年 2006年 2010年 2011年 2013年 2017年 2018年 2019年 |
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オセアニア・アフリカのワインの当たり年
ここからは、オセアニアおよびアフリカ大陸でワインの産地として有名な、オーストラリア・ニュージーランド・南アフリカの当たり年をご紹介します。
オーストラリアワインの当たり年
オーストラリアは、カジュアルな価格で高品質のワインの多い産地です。
ワインの輸出量は世界4位となっており、世界での認知度も向上しています。
オーストラリアワインの当たり年は以下の通りです。
あたり年(Sランク) | 2005年 2010年 2018年 |
---|---|
あたり年(Aランク) | 1986年 1994年 1996年 1998年 2001年 2002年 2004年 2012年 2013年 2015年 2016年 2019年 2020年 2021年 |
ニュージーランドワインの当たり年
ニュージーランドワインの歴史は比較的浅く、流通量も他のワインと比べて多くはありませんが、その品質は高いです。
豊かで恵まれた自然環境と、先進的な醸造技術の導入により、品質・評価の両面で進歩著しい産地であると言えるでしょう。
ニュージーランドワインの当たり年は以下の通りです。
あたり年 | 1998年 2007年 2010年 2013年 2014年 2019年 |
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南アフリカワインの当たり年
南アフリカワインの産地は、9割以上が世界自然遺産の中にあります。
その美しい自然を守るため、南アフリカワインは「自然環境保護とワイン産業の共栄」をコンセプトにしており、環境に優しいワイン造りをしているのが特徴です。
また、安価でコストパフォーマンスが高いワインとしても知られています。
南アフリカワインの当たり年は以下の通りです。
あたり年 | 2005年 2006年 2009年 2012年 2013年 2015年 2017年 2018年 2019年 |
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日本ワインの当たり年
日本のワインにも、ブドウの出来によって当たり年が存在します。
日本ワインは、国産のぶどうのみを使用し日本国内で製造されたワインのことを指します。
よく似た言葉に国内製造ワイン呼ばれるワインもありますが、これらは海外から輸入したブドウ果汁などを使用し、国内で製造したワインのことです。
日本の気候は、フランスやイタリアなどの「ワインの国」と比較すると、ワイン用のブドウ栽培に適した環境とはいえません。
しかし、日本の天候や風土に合うブドウの改良や栽培技術の発展により、日本のワインも国際的にも評価を受けるような高品質なワインが作られています。
日本のワインにはヴィンテージチャートはありませんが、近年では、2012〜2014年、2017年のブドウの出来が良いと評価されています。
地域によっても異なるため、日本のワインを購入する際は売り手に聞いてみると良いでしょう。
ワインの当たり年についてよくある質問
ここからは、ワインの当たり年についてよくある質問に回答していきます。
ワインの当たり年を調べる方法は?
ワインのあたり年を調べるには、ワインの販売会社やワイン協会、ソムリエなどが発表しているヴィンテージチャートを確認すると良いでしょう。
ヴィンテージチャートの評価は評価をする人によって多少異なることはありますが、おおむねの傾向を知ることができます。
ヴィンテージチャートは、あくまでもブドウの質の良さを示すものであり、ワインを作る工程や熟成の過程によって、味わいは異なります。
すぐに飲めるワインが必要なのか、自宅で保管しておくのか、どのような味わいが好みなのかによっても、選ぶべきワインは異なります。自身の好みや用途を踏まえたうえで選ぶようにしましょう。
ワインは何年くらいまで飲めますか?
ワインは長期的に熟成させる飲み物であることから、賞味期限という概念がありません。
ワインは熟成させるほど味わいが豊かで渋みがなくなると言われており、古い年代のものほど価値が上がる傾向があります。
こうしたワインは10年以上熟成したものでなければ本来の味わいが出ないものがあるほどです。
ただし長期熟成に耐えられる、出来のいいブドウである必要があります。
あたり年のワインであれば長期熟成に向いているものが多いため、2,000円を超えるような高級なワインの場合は、しばらく寝かせておく方がいいでしょう。
長期熟成に向いていない早飲みタイプのワインは、買った時が飲み頃なので、直近で飲む予定がある場合に選ぶといいでしょう。
長期熟成に向かないワインを寝かせると、酸味が強いワインになってしまうなど、美味しく飲めない可能性があるため注意しましょう。
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