高級素材・天蚕糸を使った天蚕紬!買取相場と高く買取してもらうコツをご紹介
- 箪笥に保管している天蚕紬の着物を持っていますが、売ったらいくらになりますか?
- 保存状態やサイズ、証紙の有無などによって買取価格は変わります。詳しくは専門知識を持ったバイセルの査定士が一度拝見いたしますので、まずはバイセルにお問合せ下さい。
- 祖母が仕立てた天蚕紬の着物を譲り受けました。価値はありますか?
天蚕紬(てんさんつむぎ)は、長野県安曇野市の穂高有明地域で主に生産されている絹織物です。
天蚕紬の材料である天蚕糸は、その希少性から「繊維のダイヤモンド」とも呼ばれるほど高価です。
その天蚕糸を使った天蚕紬もやはり価値の高い着物で、着物買取市場でも高値で取引されるケースは多くみられます。
天蚕紬の概要や特徴に加えて、天蚕紬の着物の買取相場や高く買取してもらうためのポイントについてもご紹介します。
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天蚕紬を含む「紬」とはそもそもどんなもの?
天蚕紬の詳しい紹介に入る前に、そもそも「紬」とはどんなものかを概観しておきましょう。
紬とはどんな織物か
「紬」とは、蚕の繭から取り出した糸に撚りをかけて作った丈夫な糸で織り上げられた絹織物のことです。
繭の繊維をそのまま引き出して作られる生糸に対して、生糸を引き出せない品質のくず繭をつぶして真綿にし、真綿から糸を紡ぎだしたものを紬糸と呼びます。
紬糸は手で撚りをかけるため太さが均一ではなく、節がある糸になりますが、それが独特の風合いを醸し出して紬という織物の味にもなっています。
耐久性に非常に優れた紬はかつて日常の衣料として多く用いられ、日本各地でそれぞれの地域の伝統工芸品として発展しました。
紬にはどんな種類がある?
次に、日本各地で発展した有名な紬にはどのようなものがあるかをご紹介します。
大島紬
大島紬は、鹿児島県奄美大島が原産で、鹿児島市周辺や宮崎県都城市でも作られている絹織物です。
高級紬の代表格とされています。
一説には1500年とも言われる長い歴史を持つ大島紬ですが、明治時代以降は織機の進歩などにともなって絹糸が使われるようになりました。
それでも、長きにわたって紬糸を用いて作られていた歴史があるために、現在でも「大島紬」という名前が残っています。
大島紬は軽くて暖かく、着れば着るほど体に馴染み着くずれしにくく、しわになりにくいのが特徴です。
泥染め(染色に泥を使うことで泥の中の鉄分が作用し、光沢のある黒に仕上がる染色技法)で黒く仕上げられる黒大島が主流ですが、泥染めを行わない「白大島」や、他の染料で染められた「色大島」もあります。
結城紬
結城紬は、茨城県・栃木県を中心に作られる絹織物です。
奈良時代から続くといわれる歴史ある高級織物で、国の重要無形文化財に指定されています。
真綿から手で紡いだ手紬糸が使われ、通常の紬糸は強い撚りをかけて丈夫に補強されるのに対して結城紬の糸は撚りをかけないのが特異な点です。
撚りをかけない絹糸で織られた結城紬にはふっくらとした温かみのある風合いがあり、いつまでも撫でていたくなるような手触りです。
ただし、この無撚糸(むねんし)を作るのには高い技術を要し、太さのムラが出ないように手作業で紡ぐのは至難の業です。
この世界でも類を見ない糸を作るには熟練した職人でも非常に慎重を要し、1反分の糸量を紡ぐには2~3ヶ月という時間がかかります。
塩沢紬
塩沢紬は、新潟県南魚沼市周辺で織られている絹織物です。
新潟県の特産品で、国の重要無形文化財にも指定されている麻織物の「越後上布(えちごじょうふ)」の伝統技術を絹織物に取り入れたことで誕生しました。
今からおよそ350年前の江戸時代・寛文年間(1661年~1672年)に織られ始めたと言われ、現在では経済産業大臣指定の伝統的工芸品となっています。
手作業で染められる絣糸を1本1本合わせて織り上げる極細の絣模様が特徴で、独特の上品さと落ち着きを持っています。
手織りで大変根気のいる作業のため継承者が減少していることもあり、「幻の紬」と呼ばれることもある貴重な織物です。
大島紬や結城紬と並んで三大紬と呼ばれることもあります。
牛首紬
牛首紬は、石川県白山市白峰地区を中心に生産されている絹織物です。
白峰地区がかつて「牛首村」と呼ばれていたことが、牛首紬という名前の由来です。
釘を抜けるほど丈夫なことから釘抜紬(くぎぬきつむぎ)とも呼ばれます。
牛首紬の特徴は2匹の蚕が1つの繭を作った「玉繭」と呼ばれる繭から手で紡いだ糸を緯糸として使用している点です。
玉繭から紡いだ糸は丈夫で節が多く、この糸を織ると丈夫で軽く、すべりの良い生地ができます。
天蚕紬とはどのような織物か
では、いよいよ天蚕紬のご紹介に入っていきましょう。
大島紬や結城紬などに比べると馴染みがないかもしれませんが、天蚕紬も絹の国・長野が誇る有名紬の一種です。
天蚕紬の歴史や特徴について見ていきます。
天蚕紬とは
天蚕紬は、長野県安曇野市の穂高有明地域で主に生産されている絹織物です。
一般的な絹織物には、絹を作るために人が飼育管理・品種改良してきた蚕である家蚕(かさん)の糸が使われますが、天蚕紬では野生の蚕である野蚕(やさん)の一種である天蚕(ヤママユガ)の糸を織り込むのが特徴です。
野生の蚕である天蚕はクヌギやナラの葉を食用とし、「蚕」と聞いて想像される白色ではなく、葉に擬態する緑色の体をしています。
天蚕が作り出す繭も天蚕の体と同じく緑色をしており、その繭から紡ぎだされる天蚕糸も光沢のある緑色が特徴です。
養蚕業が盛んで「絹の国」と呼ばれる長野県でも、ヤママユガが作り出す繭から紡ぐ天蚕糸(てんさんし)は非常に生産量が少なくなっています。
天蚕糸はその希少性から「繊維のダイヤモンド」とも呼ばれ、非常に高価な材料です。
天蚕紬の歴史
穂高有明地域で天蚕の繭による糸と天蚕紬の生産が始まったのは、今から200年以上前の江戸時代・天明年間(1781年~1788年)と言われます。
天蚕の卵を採取し、網で覆ったクヌギ林の中で育てるという飼育方法が確立されたことにより、野生のものである天蚕の繭を比較的安定的に入手することができるようになったのがきっかけでした。
明治時代には天蚕紬の生産は最盛期を迎え、明治30年には800万粒もの天蚕の繭が生産されました。
しかしその後、微粒子病(ガの幼虫がかかる病気)の蔓延や焼岳(長野県・岐阜県にまたがる活火山)の降灰によって天蚕の飼育は大打撃を受け、天蚕紬の生産は衰退してしまいます。
第二次世界大戦による打撃はさらに大きく、1943年(昭和18年)には天蚕の飼育は完全に途切れてしまいます。
それでも戦後、穂高有明地域の農家の協力によって、天蚕の飼育が再開されます。
現在でも天蚕糸の生産量は決して多くありませんが、安曇野市天蚕振興会を中心に、伝統を絶やさぬよう技術の継承を続けています。
天蚕糸とはどのような材料か
天蚕糸は絹糸と聞いて想像される白色ではなく、美しい光沢のある緑色をしているのが特徴です。
人工的に染めた色ではないためなかなか均一な色にはならないのですが、それも野性ならではの特徴と言えるでしょう。
また、ふんわりとした肌触りをしていて軽く、肌に触れていると温かさを感じる素材です。
天蚕糸が通常の絹糸と決定的に違うのが、繊維としての強さです。
繊維自体の太さも家蚕の糸に比べて太いのですが、特に引っ張りに対する強度は通常の絹糸の比ではありません。
「繊維がどれぐらいの強さの引っ張りに対して破断せずに耐えられるか」を表す「伸度」という尺度で見たときに、通常の絹糸が20%前後であるのに対して天蚕糸は約40%と、倍の強さを誇ります。
この数値はポリエステルやナイロンなど化学繊維並みであり、天然繊維では比類なき強度です。
この引っ張りに対する強度により、天蚕糸を使った生地はシワがつきにくくなります。
しかし、ふんわりしていて伸びやすいという特徴は織りの難しさにもつながり、天蚕糸は織るのに熟練の技術を必要とします。
また、もともと緑色をしている天蚕糸は通常の絹糸に比べて染まりにくく、染色をするには不向きな材料であるという弱点もあります。
それでも、天蚕糸は繊維としての質の高さと希少性から「繊維のダイヤモンド」と呼ばれ、非常に高値で取引されます。
安曇野市天蚕振興会の販売価格では1グラムあたり756円となっており、着物1反分に換算すると材料費だけで50万円になる計算です。
天蚕糸のみで織物が作られることは現在ではほとんどありませんが、天蚕糸が一部織り込まれている天蚕紬が高価な着物であることの一因は、材料の高価さにあります。
天蚕紬の特徴
天蚕糸が織り込まれている天蚕紬には、天蚕糸の特徴が引き継がれています。
天蚕紬はふんわりとした肌触りで軽く、肌に触れると温かさを感じられます。
また、シワになりにくいなど、織物としての強度も魅力でしょう。
天蚕糸は通常の絹糸に比べて染まりにくいため、天蚕糸を使った部分は周りの部分と染まり方が変わり、模様の上でもアクセントになります。
この天蚕糸をどう織り込むかというところに、天蚕紬作家の感性が表れると言えるかもしれません。
天蚕紬の着物の買取相場はどれくらい?
天蚕紬の着物の買取相場は、近年の着物買取市場の傾向では8,000円程度になります。
ただし、傷やシミ・シワ・カビがあるなど、保存状態によっては買取価格が下がってしまう可能性があります。
着用後の手入れや普段の保管方法など、着物の保存状態には十分注意してください。
これはあくまで相場ですので、お持ちの着物の正確な価値が知りたい場合には、まずは着物買取のバイセルの無料査定をお試しください
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お申し込みフォームへ天蚕紬を高く買取してもらうための注意点は?
材料である天蚕糸の希少性も相まって価値の高い天蚕紬ですが、買取に出す際にはどんな点に注意すれば良いでしょうか。
天蚕紬を少しでも高く売るために知っておきたい買取のポイントを3つご紹介します。
・証紙も一緒に査定に出す
・保存状態は買取価格に大きく影響する
・着物のサイズは大きい方が高く売れやすい
証紙も一緒に査定に出す
長野県で生産される有名紬は総称して「信州紬」と呼ばれ、経済産業大臣から伝統工芸品に指定されています。
天蚕紬も信州紬に含まれますから、新品で購入した時には伝統工芸品であることを表す証紙がついてきます。
また、穂高有明地域の天蚕糸を使っている場合には、天蚕糸の産地証明の証紙もつけられています。
これらの証紙は天蚕紬の品質を保証してくれますから、買取査定時に証紙も一緒に提示することで、お持ちの天蚕紬の本来の価値を認めてもらえるでしょう。
証紙は着物の端切れに貼り付けられていることが多いですので、端切れだからと捨ててしまわずに大切に保管しておきましょう。
保存状態は買取価格に大きく影響する
いくら価値のある天蚕紬であっても、保存状態が悪ければ査定額は下がってしまうでしょう。
着物に発生した汚れや傷・カビなどは、買取価格減額の要因になります。
そういった事態にならないためにも、保管方法やお手入れには日頃から注意を払う必要があります。
絹は湿気に弱いですから、湿気の多い場所には保管しない、保管の際はたとう紙に包む、年に2回程度虫干しをする、といったような対策をしましょう。
また、天蚕紬と和装小物類を一緒に保管すると傷の原因になりますので、小物類は分けて保管するようにしましょう。
着物のサイズは大きい方が高く売れやすい
天蚕紬に限らず、中古着物市場では大きいサイズの方が買取してもらいやすい傾向があります。
小さいサイズの着物は転売するにも小柄な人にしか売ることができませんが、大きいサイズの着物であれば仕立て直す・端折って着るなど出来ることによって体格に関わらず需要があります。
具体的には、着丈150cm以上であれば比較的買い取ってもらいやすいでしょう。
また、天蚕紬に織り込まれている天蚕糸は高価な素材です。
同じ含有率であれば大きいサイズの着物の方が天蚕糸の含有量が多くなるため、比較的高値がつきやすいでしょう。
天蚕紬を安心して買取に出すなら買取実績豊富なバイセルへ
天蚕紬は非常に価値の高いものも多いだけに、売る際には買取業者を慎重に選ぶ必要があります。
天蚕紬を含む着物は価値の幅が大きい商材であり、専門の知識や査定技術が無ければ適正な価値を見極めることはできません。
総合リサイクルショップのような取り扱い商品の広い買取店では着物専門の査定士がいるとは限りませんし、ネットオークションやフリーマーケットではなおさら着物の専門知識を持った買い手に出会える保証はありません。
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買い取った着物は契約した日から起算して8日の間厳正に保管し、クーリング・オフ申請があった場合には返品完了まで責任をもって対応します。
まとめ
今回は長野県安曇野市で主に生産されている絹織物である天蚕紬について、概要や歴史、買取相場や高く買い取ってもらうためのポイントについてご紹介しました。
野性の蚕である天蚕の繭から紡ぎだした天蚕糸を使う天蚕紬は、ふんわりとした肌触りで温かく、シワになりにくいなど織物としての強度が高いのも魅力です。
材料である天蚕糸は非常に希少性が高く、織るのに高い技術を要することから非常に高い価値があります。
天蚕紬が本来持っている価値を買取価格に反映させるためには、天蚕紬の価値が分かる着物に詳しいバイセルの査定をご利用ください。
品質が高くて価値のある天蚕紬を買取に出すなら、今回ご紹介した買取の注意点を押さえて、悔いのない着物買取にしましょう。
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