【直近10年】金価格の推移はどうなっていた?上昇傾向が続く金相場

近年、金の価格は上昇を続けています。
今回のコロナ禍のような状況で経済が不安定になったときには、インフレーションによって紙幣価値に対する不安が募ります。
これは、資産を金に換えて保有する投資家が多いためです。
その結果として、2020年8月には日本円で1グラム7,769円という、過去最高値がついています。
また2021年に入り、ワクチン開発のニュースで市場に楽観的な見方が広がりました。
それにともないアメリカの景気回復で軟調な場面を見せたものの、2021年3月には再び買い戻しの動きが活発となっています。
コロナ禍のように世間が経済的な不安を抱えた場合でも、資産として高い価値を持ち続ける可能性が高いものが金です。
金の資産価値について、この機会にあらためて考えてみてはいかがでしょうか。
今回は、価格上昇が続いている金の価格推移について、直近10年をさかのぼってご紹介します。
【直近10年】金価格の推移はどうなっている?

上記の表を見てわかるとおり、金の価格はめざましく上昇を続けています。
ここ10年でも1.76倍という上昇幅です。
ここまで金が大きく伸びた原因はどのような点にあるでしょうか。
安全資産としての確保
金は政情が不安定になったり、経済に対する不安が高まったりすると価格が上昇する傾向にあります。
戦争が起きる懸念があると、国の経済が破綻して紙幣が無価値になる可能性もゼロではありません。
その点、金は不況にも強く、どの国でも換金することが可能です。
また多くの国の中央銀行が資産として金を保有しています。
コロナショックによる不透明感
COIVD-19(新型コロナウイルス)の感染拡大に対する懸念の高まりが、原因の一つです。
コロナショックで経済の先行き不透明感が高まり、株値が急落。
特に米ドルが下落し、安定性の高い金は代替え資産として注目を集めました。
ドルの余剰感
各国、地域の政府や中央銀行が景気回復のために金融緩和策として、財政出動や金利の引き下げを実施しました。
紙幣が多く出回り、余剰感が出ることによりドルの価値が下落。
インフレーション気味になったことから、代わりに金が上昇することになったと見られます。
2000年代から金推移は上昇傾向に

金は2000年代からすでに上昇傾向にありました。
ここでは2000年代に起きた大きな出来事を振り返りながら、金の価格推移を見ていきましょう。
世界的で起こった大きなニュースを並べてみると、いかに金の資産価値が強いかがわかります。
2001年(金の価格:1,105円)インターネットバブル崩壊・アメリカ同時多発テロ
実体をともなわず、異常な高値になったIT関連の株が崩壊しました。
この年にはアメリカ同時多発テロも起きています。
この頃、金の平均価格は1グラム1,100円程度です。
2003年(金の価格:1,399円)イラク戦争が勃発
この年にはイラク戦争が勃発しましたが、同年終結しています。
金の価格は戦争勃発後に暴落。
イラク開戦の噂で金を買い増していた投資家が利益確定の売りを入れたことにより、一時価格が下落。
それでも年の平均としては前年1,296円よりも上昇しています。
2007年(金の価格:2,659円)サブプライムローン問題
アメリカで、金融機関が信用力の低い人に過剰に貸し付けを行なった結果、資金を回収できなくなったサブプライムローン問題。
のちに「100年に1度」といわれる金融恐慌、リーマンショックにつながります。
2008年(金の価格:2,937円)リーマンショック
資産規模が米国証券第4位のリーマン・ブラザーズが破綻。
アメリカ史上最大の企業倒産といわれました。
これにともない、金の価格は一時急落しましたが、最終的には大きく高値へ切り返しています。
2013年(金の価格:4,453円)アベノミクスによる円安
アベノミクスとは、安倍晋三首相(当時)が表明した経済政策のことです。
最大目標を経済回復と位置づけ、日本経済を立て直そうという計画でした。
円安・ドル高になることによって金の価格は大きく上昇します。
金相場の推移は何に影響される?

世界の有事にも比較的強い金ですが、それでも世界情勢では価格に変動が生じます。
どんなことが起きたときに、金の価格は影響されるのでしょうか。
インフレ、デフレ
インフレーションとは物価が上がり続けていく現象のことを指します。
その結果、お金の価値は下がってしまいます。
極端にいえば、1つ100円で買えたあんパンが、中身はまったく同じなのに1,000円になってしまうということです。
インフレによって起きる「インフレヘッジ」とは、現金に近い資産から価格が上昇しそうな資産に乗り換えることを意味します。
インフレのタイミングで金を購入し、資産に変える人も増えるでしょう。
逆にデフレーションとはものの価格が下がる現象です。
デフレはものが売れない、所得が減るといった現象が起きます。
本来ならばここで金が買われることはない、という流れでした。
しかし、リーマンショックの際にデフレが起こり、破綻しない金を購入する流れも起きています。
円安、円高
世界の中心通貨であるドルの価値の低下は、アメリカの経済や信用、景気の低迷を意味します。
「円高・ドル安」になれば、ドルの信用と価値が下がっているということです。
その際、金は「ドルの代わり」として購入されますが、価格は一時的に下がる傾向にあります。
また、金は国際的に米ドル建てで取引されています。
それを円建ての国内金価格に換算する場合、当然ドル円相場の影響は避けられません。
「円安・ドル高」になるときには、ドルの信用と価値が上がっているので、米ドル建ての金は、売却する際に買取価格が必然的に上がります。
つまり、「円高・ドル安」は買いどきで、「円安・ドル高」は売りどきといえるでしょう。
戦争やテロの発生
軍事問題やテロなど、世界情勢が不安定になると金の価格も変動します。
国内事情が不安定な場合、国の貨幣価値は急落することも少なくありません。
有事の際に紙幣は限りなく価値が下がり、紙くず同然になってしまう可能性がゼロではありませんが、金なら実物資産としてどこでも換金することができます。
そのため、世界情勢が不安定な場合は金の価格が上昇することが多いです。
需要と供給のバランスの崩れ
あまりにも金が高騰し加熱気味に購入されると、一度に利益を確定しようとする投資家が出てきます。
また、価格が落ち着くのを待ってから大量購入しようとする、待ちの投資家も出てくるでしょう。
これら両方が重なった場合には、一時的に金の価格が急落する可能性が考えられます。
まとめ
金はこの10年、ずっと上昇傾向にあります。
また過去20年を見ても、世界的に悪いニュースや事件が起きた際に、一時的に値を下げてもすぐに盛り返しています。
金の推定埋蔵量は残り5万トンといわれています。
宝飾品や地金、産業など用途も多く、新しく作り出すことができない限られた資源です。
金の相場が高騰している今が絶好の売却タイミングかもしれません。
この機会に、家にある金を査定に出してみてはいかがでしょうか?