王献之の書や掛け軸の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説

王献之(おうけんし)は、ひと筆で複数の文字を流れるように書いていく連綿の技法で有名な中国の書家です。
書を芸術にならしめたパイオニア「二王」の一角として後世に大きな影響を与えた歴史上の重要人物であり、その作品は中国美術の愛好家を中心に高い評価を得ています。
美術的・歴史的・学術的にも価値が高く、骨董品として買取市場で売買されれば非常に高い買取価格がつく可能性もあるでしょう。
本記事では、王献之の人物像や書の特徴、代表作に加えて、価値が高い理由、高い価値がつきやすい王献之作品の特徴、王献之の書や掛け軸を高価買取してもらうためのポイントなどについてご紹介します。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
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目次
王献之とは
王献之(344-386)は、中国の東晋時代(317-420)に活躍した書家です。
官としても優秀で、中書令(宮廷における皇帝の私的なエリアである内廷の秘書長)を務めたことから王大令とも呼ばれます。
王献之は、書の芸術性を確固たるものとした大書家・王羲之(おうぎし 303-361)の七男として生まれました。
王羲之の7人の息子はみな書家ですが、その中でも最も有名であり、後世の書家に影響を与えたのが王献之です。
そのため、父・王羲之とあわせて「二王」と並び称されています。
王献之の書は、父の王羲之と並んで、その後の書道の手本とされ続けてきました。
宋代の米芾(べいふつ 1051-1107)や明末清初の王鐸(おうたく 1592-1652)など、後世の有名書家も王献之の書に学び、臨書(過去の書家の作品と同じ字を書くこと)を制作するなど計り知れない影響を受けています。
王献之の書の特徴とは
王献之の書の特徴としてよく挙げられるのが、「一筆書(いっぴつしょ)」と呼ばれる、ひと筆で複数の文字を流れるように書いていく連綿の技法です。
鋭い緩急をつけながら、力強く、かつ流れるように運んでいく躍動感あふれる筆は、王献之の優れたバランス感覚ゆえに確立できた書風だと言えるでしょう。
この王献之の書風は、大書家である父・王羲之と比べても自由で奔放で、美しい趣があるとして評価されています。
扱う書体としては楷書・行書・草書・章草などあらゆる書体に優れていましたが、特に行書と草書の中間の書体で新境地を開きました。
こういった王献之の書風は後世の、たとえば王鐸の「連綿草」と呼ばれる書体につながっていきます。
王献之の書や掛け軸の買取価格は高い?価値が高くなりやすい作品の特徴とは
実は、王献之は生きた時代が非常に古いため、真跡(王献之の手で直接書かれた作品)は現存していません。
現存する王献之作品は、搨模本(とうもほん)や拓本(たくほん)など、のちに複製された書になります。
しかし、複製されたものであっても、王献之作品には美術的・歴史的・学術的に高い価値がつく場合があります。
骨董品として買取市場で売買されれば、非常に高い買取価格がつく可能性もあるでしょう。
王献之作品の中でも特に価値が高いとされるのは、唐代(618-907)の搨模本など、古い時代に作成された複製です。
特に、古い版で保存状態の良いものは希少で、美術館クラスの価値を持つものもあります。
王献之だけでなく、書や掛け軸など美術品の買取では有名作家の作品ほど買取相場が高くなりやすい傾向があります。
以下のページでは、書や掛け軸をはじめとした中国美術の買取相場や、高く売るためのポイントといった買取情報について記載してございます。
参考までにぜひご参照ください。
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以下のページでは、有名作家の作品など掛け軸の買取相場や、バイセルでの実際の買取例について記載してございます。
参考までにぜひご覧ください。
王献之の代表作
芸術としての書のパイオニアとして後世にも大きな影響を与えた王献之ですが、代表作と言えるような有名作品にはどのようなものがあるでしょうか。
王献之作品の中でも特に人気・知名度の高いものとして、以下の3つをご紹介します。
中秋帖
「中秋帖(ちゅうしゅうじょう)」は、王献之が知人へ書いた中秋(十五夜)の月にまつわる手紙の一部であるとされている書です。
もともと短い手紙ではあったようなのですが、現存しているのはその中でも3行のみ、文字数にして22字(「中秋不復不得相還為即甚省如何然勝人何慶等大軍」)となっています。
王献之が得意とした行草体の連綿(複数の文字を一筆で途切れさせずに続けて書く技法)で書かれています。
線が流れるように連続することで、強いリズムと躍動感を生み出しており、王献之の豪放で情熱的な筆致を象徴するような作品となっています。
現在残っているものは王献之の真跡ではなく、北宋時代の書家・米芾による臨模(りんも:手本を見て写し取ること)ではないかと考えられています。
それでも、王献之の真跡に最も近い書風を伝える極めて精巧な複製であることに変わりはなく、その芸術的・史料的価値は揺るぎません。
現在は、中国・北京の故宮博物院に所蔵されています。
鴨頭丸帖(おうとうがんじょう)
「鴨頭丸帖(おうとうがんじょう)」は、王献之が友人へ宛てて書いたとされている、わずか2行15字の短い書簡です。
内容は「鴨頭丸、故不佳。明當必集、當與君相見。」で、「鴨頭丸(当時の丸薬)は、やはり良くない。明日にはきっと皆が集まるだろうから、その時あなたに会うとしよう。」といった意味です。
王献之は病気がちで、薬についての手紙が多いことでも知られており、鴨頭丸も当時王献之が服用していたと考えられます。
書としては、草書中心の行草体で、文字と文字が自然に連なり、流暢でのびやかな連綿の力強い筆致が特徴です。
また、文中で墨の潤いと渇れ(濃淡)に変化があり、墨色の変化が作品にリズムと生命力を与えています。
現存するものは唐代の模本と考えられていますが、やはり価値は非常に高く、中国の上海 博物館に所蔵されています。
洛神賦十三行(らくしんふじゅうさんぎょう)
「洛神賦十三行(らくしんふじゅうさんぎょう)」は、現代に唯一伝わる王献之の楷書作品として貴重な書です。
内容は、三国時代の魏の詩人・曹植(そうしょく 192-232)が書いた文学作品「洛神賦」を模写したものです。
もともとは全文があったと考えられていますが、現在残っているのは中間の13行のみです。
書としては、楷書でありながら連綿の意識が見られ、流れるようなリズムがある点が特徴です。
文字は優美で秀麗で、文字と文字の間が広く開放的な印象を与えます。
それでいて力強い勢いを持っているところに、王献之の唯一無二性が感じられます。
現在残っているのは王献之の真跡ではなく、玉石(美しい石板)に刻まれた拓本です。
そのため、「玉版十三行」とも呼ばれます。
このほかにも、「地黄湯帖(じおうとうじょう)」「廿九日帖(にじゅうくにちじょう)」「十二月帖(じゅうにがつじょう)など、王献之の有名作品は数多くあります。
また、王献之の作品なら、ここに挙げたものでなくても保存状態、いつどのように作成された写本であるかなどの条件によって高い価値がつく場合があります。
お持ちの王献之作品の具体的な価値については、ぜひ1度バイセルの無料査定でお確かめください。
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お申し込みフォームへ王献之の書や掛け軸を高価買取してもらうためのポイント
王献之の書や掛け軸は、力強く、かつ流れるように運んでいく躍動感あふれる独自の書体の人気や歴史的な価値などから買取市場でも高く評価されています。
では、王献之の書や掛け軸を少しでも高く売るためには、どのようなポイントに気をつければ良いでしょうか。
王献之作品を含む書や掛け軸の買取において、より高く買取してもらうために知っておきたい3つのポイントをご紹介します。
- 綺麗な状態で保存しておく
- 箱や鑑定書などの付属品を揃えておく
- 入手経路などの来歴を明確にしておく
綺麗な状態で保存しておく
書や掛け軸の買取で、買取価格に大きく関わるのが「保存状態」です。
保存状態の良いもの(制作当時の状態をなるべく保っているもの)は、買取価格が高くなりやすいでしょう。
その一方で、日焼け・シワ・色あせ・虫食いがあるなど、作品の状態が悪ければその分だけ価値は下がってしまいます。
そうならないためにも、直射日光を避ける、飾らない場合は箱に入れて風通しの良い場所で保管するなど、書や掛け軸の状態を保つための工夫をしてあげることが重要です。
箱や鑑定書などの付属品を揃えておく
書や掛け軸を含む骨董品の買取では、箱などの付属品の有無も買取価格に大きく関わってきます。
箱などの付属品は重要なコレクションの一部であると同時に、作者の箱書きがあるなど、本物の証明になってくれることもあります。
そのため、付属品があることで買取市場での信頼性が増し、より高い需要を集めて買取価格が高くなる可能性があるのです。
書や掛け軸の付属品としては、箱、風鎮(ふうちん:掛け軸の下部に吊り下げる重り)や紐(掛け軸を巻く際や吊るす際に使う)、鑑定書などの付属資料があります。
箱や風鎮・紐などの付属品は、汚れていたとしても揃っているだけで買取価格に影響するため、処分せずにとっておきましょう。
また、鑑定書がある場合はやはり買取市場における信頼性につながって買取価格アップにつながる可能性があります。
書や掛け軸本体とともに大切に保管しておいてください。
入手経路などの来歴を明確にしておく
王献之の書・掛け軸など価値ある骨董品の査定では、買取市場における作品の信頼性のために「どこで手に入れたか」「いつ購入したか」「誰から譲り受けたか」など購入に至るまでの背景が確認されます。
例えば「業界で信頼されている専門店で購入した」「著名な好事家が所有していた」などの来歴は、作品の価値を判断するうえでも重要な情報になります。
そして、その来歴を証明する書類等があればさらに信憑性が増し、買取市場における信用度が増すことでより高く売れるかもしれません。
入手した経路や時期、過去に所有していた人物といった記録がある場合には、処分せずに大切に保管しておきましょう。
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