奥田元宋作品の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説

奥田元宋(おくだげんそう)は、「元宋の赤」と呼ばれる独自の赤色を駆使した風景画で有名な日本画家です。
単なる写実を超えた、自然の生命力や燃え立つような情熱を感じさせる表現は非常に評価が高く、美術品買取市場でも高価買取されるケースがあります。
本記事では、奥田元宋作品の特徴や代表作・有名作品に加えて、買取市場で高く売れる理由、高く売れやすい奥田元宋作品の特徴、奥田元宋の絵画を高価買取してもらうためのポイントなどについてご紹介します。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
目次
奥田元宋とは
奥田元宋(1912-2003)は、昭和から平成にかけて活躍した日本画家です。
特に、「元宋の赤」と呼ばれる独自の赤色を駆使した鮮烈な風景画で知られています。
現在の広島県三次市に生まれた奥田元宋は小学校4年生の頃から図画教師の影響で絵を描き始め、中学時代には油絵も学びました。
1930年には上京し、遠縁にあたる日本画家・児玉希望(こだまきぼう 1898-1971)の内弟子となり、本格的に画家としての道を歩み始めます。
初期は人物画や花鳥画も手掛けていました。
風景画家を中心に創作を展開するようになったのは、戦中に故郷へ疎開した際に身近な風景の美しさを再認識したことがきっかけとされています。
近代ヨーロッパの色彩表現と水墨画の伝統を融合し、自身の内面を描き出した独自の技法は「新朦朧体」と呼ばれ、現実の写実よりも画家の精神や対象の本質を表現しようとしました。
1981年には文化功労者として顕彰され、1984年には文化勲章を受章するなど、奥田元宋は現代の日本画を代表する作家の1人となっています。
奥田元宋の作風
奥田元宋の画家としての特徴は、「日本の風景に独自の色彩と精神性を吹き込んだこと」であると言われます。
その中でも欠かせないのが「元宋の赤」と呼ばれる、奥田元宋が確立した独自の赤色です。
紅葉した山々や夕焼けの空などを、現実の色合いを超越した鮮やかで深みのある赤で表現しました。
この「元宋の赤」は単なる写実を超え、自然の生命力や燃え立つような情熱、あるいは内面の感情を象徴する色として、観る者に強烈な印象を与えます。
日本の伝統的な日本画では控えめな色彩が多かった中で、奥田元宋の大胆な色彩感覚は画期的なものでした。
それに加えて、西洋画の色彩表現や空間構成に、水墨画の「朦朧体(輪郭線を引かずにぼかした表現で対象を描く技法)」を融合させた独自の「新朦朧体」を確立したことも、奥田元宋の大きな特徴と言えるでしょう。
奥田元宋の代表的な構図としては、「山の麓に林があり、手前の川や湖に山が映っている」というものがあります。
奥田元宋の作品の種類
奥田元宋作品の中でも評価が高いのは絹本・紙本に描かれた肉筆の日本画ですが、その他にシルクスクリーンなどの版画作品も多く残しています。
版画作品は肉筆画に比べて手に入れやすいこともあり、美術品買取市場でも活発に取引されています。
奥田元宋作品の買取価格は高い?高く売れやすいポイントとは
文化勲章受章者であり、現代日本画を代表する作家の1人である奥田元宋の作品は、美術品買取市場でも非常に高い人気があります。
美術館に収蔵されているものなど貴重な作品も多くありますが、比較的希少性の低い版画作品など、買取市場でも活発に取引されています。
奥田元宋作品の中でも美術品買取市場で高く買取されやすいのは、やはり「元宋の赤」で描かれた風景画です。
紅葉した山々や夕焼けの風景など、「元宋の赤」を活かせる構図のものは非常に人気が高く、買取価格も高くなりやすいと言えます。
奥田元宋だけでなく、絵画の買取では有名作家の作品ほど買取相場が高くなりやすい傾向があります。
以下のページでは、有名作家の作品を中心とした日本画の買取相場や、高く売るためのポイントといった買取情報について記載してございます。
参考までにぜひご参照ください。
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奥田元宋の代表作
心の琴線に触れる日本の風景を、「元宋の赤」など独自の色彩と精神性で描く奥田元宋の作品は多くの美術ファンを魅了し、美術品買取市場でも高い支持を集めています。
ここでは、買取市場で出会うことのあるものから美術館に所蔵されているものまで、奥田元宋の代表作をご紹介します。
待月(たいげつ)
「待月」(1949)は、第5回日展で特選および白寿賞を受賞した奥田元宋初期の代表作です。
この受賞によって風景画家としての道を本格的に歩むことを決意したと言われており、奥田元宋の画業において重要な転換点となったと言われる作品です。
広島県立美術館に所蔵されています。
モチーフになっているのは、奥田元宋の故郷である広島県三次市を流れる馬洗川(ばせんがわ)付近の松林の風景です。
夕暮れから夜へと移り変わる静寂な時間が描かれ、画面奥の木々の間から今にも月が昇ろうとする情景が表現されています。
「元宋の赤」確立以前の作品であり、比較的落ち着いた色調で描かれていますが、その中に何とも言えない詩情と、光の移ろいに対する鋭い感性が見られる名作です。
磐梯(ばんだい)
「磐梯」(1963)は、第5回新日展の文部大臣賞、そして日本芸術院賞を受賞している奥田元宋の代表作の1つです。
東京国立近代美術館に所蔵されています。
作品のモチーフとなっているのは、深緑の季節の晴れ渡った空の下に雄大な姿を見せる福島県の名峰・磐梯山です。
「元宋の赤」が明確に表れる前の作品ではありますが、色彩への強い意識と、風景を単なる写実ではなく画家の内面を通して再構築するという「新朦朧体」の表現が顕著に見られます。
画面いっぱいに広がる磐梯山の雄大な姿は見る者に強い印象を与え、豊かな光の表現と巧みな構図によって、静謐ながらも生命力あふれる自然の息吹が感じられます。
秋嶽紅樹(しゅうがくこうじゅ)
「秋嶽紅樹」(1975)は、奥田元宋の代名詞ともいえる「元宋の赤」が確立された記念碑的作品です。
東京都の練馬区立美術館に所蔵されています。
この作品では秋の山の色づいた木を燃えるような鮮烈な赤で描き出し、見る者に強烈な印象を与えました。
それまでの日本画には見られなかった大胆で情熱的な色彩感覚は当時の画壇に大きな衝撃を与えました。
「秋嶽紅樹」以降、奥田元宋は自然の風景を「赤」で表現することに強く傾倒していきました。
奥田元宋が自身の芸術的アイデンティティを確立したという意味でも、非常に重要な作品です。
奥入瀬
奥田元宋は日本の四季折々の風景を数多く描きましたが、中でも青森県の奥入瀬渓流には何度も足を運び、「奥入瀬(春)」(1987)・「奥入瀬(秋)」(1983)など多くの作品のモチーフとしました。
「奥入瀬(春)」「奥入瀬(秋)」はともに東京都の山種美術館に所蔵されています。
「奥入瀬(春)」では奥入瀬渓流の最も魅力的な季節の一つである春の情景が、そして「奥入瀬(秋)」では「元宋の赤」によって紅葉で燃え上がるような奥入瀬渓流の木々が描かれています。
そして「奥入瀬」で特筆すべきなのが、水の描写です。
渓流がしぶきを上げて流れる様子、水の飛沫や泡立つ様子などが、新緑や紅葉の色に対するように白や青みがかった色で表現されています。
奥田元宋自身が「淙々たる奥入瀬川の響きをこの画面から聞いて頂ければ作者の本懐である」と述べている通り、今にも水が岩にぶつかり、うねり、ほとばしる音が聞こえてきそうな迫力があります。
山霊重畳(さんれいじゅうじょう)
「山霊重畳」(1996)は、京都・銀閣寺の障壁画として制作された、奥田元宋晩年の代表作です。
4部作からなり、銀閣寺を拝観すれば、庫裏大玄関および弄清亭(ろうせいてい)で見ることができます。
タイトルが示すように、「山霊重畳」では単に風景を描くのではなく、山々に宿る霊、つまり山の生命力や精神性を深く表現しています。
「山霊重畳」の中の1作「山霊暁靄(さんれいぎょうあい)」では、夜明けの山々が燃えるような赤に染まる様子が描かれています。
その圧倒的な色彩は観る者の心に深く響き、山々が幾重にも重なって奥深く続く様子は自然の雄大さと神秘性を感じさせます。
「山霊重畳」は、奥田元宋の芸術の集大成であり、「元宋の赤」による風景表現と自然に対する深い洞察が融合した、極めて評価の高い傑作です。
まだまだある奥田元宋の有名作品
これまでに挙げたもののほかにも、奥田元宋にはまだまだ多くの有名作品・人気作品があります。
湖畔春耀 | 松島暮色 | 秋山紅雨 | 秋岳懸泉 | 山湖秋映 |
富嶽秋耀 | 白嶺秋燿 | 秋の渓流 | 霧雨の湖 | 紅嶺 |
嶽 | 遠山早雪 | 山湖秋映 |
ここに名前を挙げたような奥田元宋作品をお持ちなら、保存状態などの条件によって高く買取される可能性があります。
具体的な価値については、ぜひ1度バイセルの無料査定でお確かめください。
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お申し込みフォームへ奥田元宋の絵画を高価買取してもらうためのポイント
現代日本画の代表的な作家として知られる奥田元宋の絵画は、美術品買取市場でも高い需要があります。
では、奥田元宋の絵画を少しでも高く売るためにはどのようなポイントに気をつければ良いでしょうか。
奥田元宋作品を含む絵画の買取において、より高く買取してもらうために知っておきたい3つのポイントをご紹介します。
- 綺麗な状態で保存しておく
- 鑑定書などの付属品を揃えておく
- 入手経路などの来歴を明確にしておく
綺麗な状態で保存しておく
奥田元宋を含む絵画の買取では、保存状態が良好である(制作当時の状態をなるべく保っている)ほど高く買取されやすい傾向があります。
反対に、ひび割れ、退色、シミ、シワ、カビ、傷、破れ、タバコの臭いがあるなど保存状態が悪いと、その分だけ買取価格は下がってしまいます。
奥田元宋のような有名作家の場合には多少の経年劣化があっても買取してもらえる場合も多いですが、高価買取の可能性は低くなってしまうでしょう。
作品を良い状態に保つためには、専用の袋や箱で保護する、直射日光を避けて風通しの良い場所で保管するなどの工夫をしてあげましょう。
鑑定書などの付属品を揃えておく
奥田元宋のような有名画家の作品をより高く売るためには、作者のサインや鑑定書・保証書といった、作品の価値を示す付属品の有無が重要な役割を果たします。
奥田元宋作品の場合、肉筆画なら右下や左下に筆書きの署名と朱色の落款が、版画作品なら直筆サインと落款に加えてエディションナンバーが記載されてることが多いです。
これらのサイン・落款や鑑定書などがあれば、作品の価値を証明するのに役立つでしょう。
買取市場における信頼性が増すことで多くの需要を集められ、より高い価格での売却にもつながる可能性があります。
鑑定書・保証書などの付属品がある場合には、作品本体と併せて買取前に揃えておきましょう。
なお、奥田元宋作品について信頼度の高い鑑定人としては、奥田元宋の妻である奥田小由女氏が挙げられます。
入手経路などの来歴を明確にしておく
奥田元宋をはじめとした絵画の査定では、買取市場における作品の信頼性のために「どこで手に入れたか」「いつ購入したか」「誰から譲り受けたか」など購入に至るまでの背景が確認されます。
例えば「業界で信頼されている専門店で購入した」「〇年△月に××博物館に貸し出した」などの来歴は、作品の価値を判断するうえでも重要な情報になります。
そして、その来歴を証明する書類等があればさらに信憑性が増し、買取市場における信用度が増すことでより高く売れるかもしれません。
入手した経路や時期、美術館への貸出履歴といった記録がある場合には、処分せずに大切に保管しておきましょう。
奥田元宋作品を売るなら買取実績豊富なバイセルへ
奥田元宋の絵画の買取をお考えなら、骨董品買取のバイセルにお任せください。
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