棟方志功の版画(板画)の買取価格は高い?代表作や高く売却するコツも解説

棟方志功(むなかたしこう 1903-1975)は「世界のムナカタ」と称され、国内外で評価を受けている芸術家です。
「板画」と称する木版画作品が有名で、数々の美術館に所蔵されているほか、美術品買取市場に出てくれば高値で取引されるケースも多いです。
この記事では、棟方志功の作品の特徴や代表作・有名作品に加えて、買取市場で高く売れる理由、棟方志功作品をより高く売るためのコツなどについてご紹介します。
棟方志功作品の売却を考えている方、「どれくらいの価値があるのか知りたい」という方はぜひ参考にしてみてください。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
目次
棟方志功の「板画(版画)」について
棟方志功は、大正から昭和にかけて活躍した青森県出身の芸術家で、近代日本の美術史でも広く名が知られています。
棟方志功といえば、菩薩などの仏や女性の姿を描いた力強い印象の「板画」が有名です。
棟方志功は、自身の版画を「板画(はんが)」と表記しました。
「板画」という表現には、版画の画材である木に敬意を払い、「木の魂というものをじかに生み出さなければダメだ」という棟方志功の制作上の信念が込められています。
一方、棟方志功は自身の肉筆画を「倭画(やまとえ)」と呼んでいます。
当初、棟方志功はゴッホの「ひまわり」に感銘を受け、油絵画家になることを決意しましたが、極度の近眼であったため絵に奥行きが出ないことに悩みます。
その頃、川上澄生が制作する木版画に感銘を受け、結果的に木版画の制作を始めることにしたのです。
棟方志功は、原始美術にも似た力強い作風を確立し、木版画の巨匠として認知されていくようになりました。
近眼であるために、眼鏡が板につくほどの顔を近づけて行う木版画の制作⾵景は有名です。
棟方志功作品の評価は国内外を問わず非常に高く、「世界のムナカタ」とも呼ばれています。
その評価は美術界の中だけにとどまらず、1970年には文化勲章を受章し、文化功労者となっています。
板画以外の作品
棟方志功は木版画家として有名ですが、板画(木版画)のほかにも作品を残しています。
1つは、油彩などの倭画(肉筆画)です。
元々ゴッホに憧れて油絵画家を目指していたこともあって、油彩や水彩など色鮮やかな肉筆画も多く残しており、高い評価を得ています。
また、棟方志功には絵画のほかに陶器作品も多くあります。
柳宗悦・河井寛次郎ら民芸運動の中心人物たちと繋がりがあったことから、陶芸にも関心を持ったようです。
そして、絵画以外で特筆すべき棟方志功の作品が、書です。
勢いのある堂々たる作品が高く評価されており、有名作品としては「乾坤」や「華厳」があります。
棟方志功の作風と特徴的なモチーフ
棟方志功は、鋭い刀さばきで大画面の版画にダイナミックに表現する、原始美術にも似た力強い作風が特徴です。
平面的でありながらも奥行きと動きを感じさせるものが多く、伝統的な日本美術の技法を踏まえながら、現代的な感覚で描かれています。
モチーフとしては、「⼆菩薩釈迦⼗⼤弟⼦」シリーズに代表される仏や、「⼤⾸」と呼ばれるバストアップの⼥性を多く描きました。
仏教的なモチーフや民俗的なテーマを多く取り入れ、それを力強い線と豊かな表情で表現することで、人間本来の素朴な情念や物語性・宗教性を浮かび上がらせています。
また、棟方志功の板画作品に特徴的なのが、木版で黒く刷った和紙の裏から⾊付けする「裏彩⾊」の技法です。
色は紙の裏から1枚1枚棟方志功の手で入れていくため、版画作品でありながら1点物の作品となっている点が特徴です。
棟方志功作品の買取価格は高い?
文化勲章受章者でもある棟方志功には、美術館に収蔵されているものなど貴重な作品も多くあります。
そのため、買取市場で出会いやすい作家とは言えないのですが、作品が買取市場に出てきたときには高い買取価格がつきやすいとも言えます。
買取市場で人気が高いものとしては、やはり棟方志功の代名詞とも言える板画作品です。
特に、仏や女性などの人気のモチーフで、1枚1枚本人が手で色を入れた裏彩⾊の作品などに高い買取価格がつきやすいでしょう。
棟方志功だけでなく、版画の買取では有名作家の作品ほど買取相場が高くなりやすい傾向があります。
以下のページでは、版画のバイセルでの実際の買取例や高く売れやすい有名作家など、版画の買取情報について記載してございます。
参考までにぜひご参照ください。
バイセルでの絵画の買取実績は?
バイセルには、棟方志功など版画を含む絵画の買取実績が数多くございます。
以下のページでは、有名作家の絵画の買取相場や、バイセルでの実際の絵画の買取例について記載してございます。
参考までにぜひご覧ください。
棟方志功の代表作品
世界的にも人気の高い巨匠である棟方志功には、美術館に収蔵されているものも含め多くの有名作品があります。
ここでは、その中でも特に人気の高い代表作をについてご紹介します。
二菩薩釈迦十大弟子
「二菩薩釈迦十大弟子(にぼさつしゃかじゅうだいでし)」は、釈迦を支えた十大弟子と、2人の菩薩を描いた板画作品です。
仏典をもとにしながら、現世の人間の姿を重ね合わせて彫ったと言われています。
菩薩や弟子たちの表情や立ち姿に宗教的な静謐さと力強さがあり、棟方志功の彫りの技術が際立つ名作だと言えるでしょう。
女人観世音板画巻
「女人観世音板画巻(にょにんかんぜおんはんがかん)」は、女性像を通じて、棟方志功が敬愛した観音菩薩を描いた板画作品です。
全60枚に及ぶ大作シリーズで、「世界のムナカタ」と呼ばれる契機となった作品でもあります。
大きな特徴としては、木版の黒い面で女体を表している点が挙げられます。
力強い線と豊かな表情によって、観音菩薩の慈悲深さや精神性が表現され、棟方の宗教観と芸術性が見事に融合した名作と言えるでしょう。
大首シリーズ
棟方志功の「大首シリーズ」は、女性の上半身を大きく描いた美人画の板画作品群です。
仏と並ぶ棟方志功作品の人気モチーフで、美しい裏彩⾊が施された作品も多くあります。
善知鳥版画巻
「善知鳥版画巻(うとうはんがかん)」は、棟方志功の郷土を舞台とした物語をテーマに制作された連作の板画作品です。
官展(政府が主催する美術展覧会)で史上初めて特選を受賞した版画作品であり、棟方志功にとっても記念碑的な作品と言えます。
大和し美し
「大和し美し(やまとしうるわし)」は、日本の自然美や伝統文化をテーマにした棟方志功の板画シリーズです。
日本の四季や風景、伝統的な美が描かれており、棟方志功の日本文化への深い愛情が反映されています。
作品には自然と人間の調和を感じさせる優雅さがあり、棟方の視点を通じた日本の美を表現した作品になっています。
まだまだあるの棟方志功の有名作品
ここまでご紹介したもののほかにも、棟方志功には多くの有名作品があります。
鐘溪頌 | 阿童女の柵 | 弁財天妃の柵 | 美魅壽玖鳥板壁画譜 |
華狩頌 | 花矢の柵 | 御鷹揚げの妃々達々 | 目犍連の柵 |
振向の柵 | 紫袂の柵 | 愛染苑松竹梅の柵 | 哀色の柵 |
光額の柵 | 阿難陀の柵 | 名碑の苑の柵 | 円肩妃の柵 |
黒頭巾の柵 | 優婆離の柵 | 檜松の柵 | 巌鷹の柵 |
鼓妃の柵 | 吉祥天妃の柵 | 救世観音の柵 | 梔子妃の柵 |
ニューヨークの自由の女神の柵 | 黒衣肩鷹妃の柵 | 追開心経頌「釈迦の柵」 | 竜巻の柵 |
胸肩妖顔の柵 | 海の波の柵 | 琵琶弁天妃の柵 | なでしこ妃の柵 |
竹明妙図 | 俵壺妃の柵 | 阿王の柵 | 12月 基督の柵 |
十三潟 砂山の唄の柵 | 黄水仙の柵 | 松鷹の柵 | 優婆離の柵 |
踊鯉の柵 | 薔薇妃の柵 | 金富士の柵 | 広鰭の柵 |
三姉妹の柵 | 山尊仏の柵 | 沢瀉妃の柵 | 沢瀉風の柵 |
稚鷹の柵 | 天狗の柵 | 普賢菩薩の柵 | 母雛の柵 |
夜鳥共の柵 | 薬師医王如来像の柵 | 弘仁の柵 | 傘さすの柵 |
宇宙頌 施身授偈の柵 | 童女図 | 大顔の柵 | 赤坂の柵 |
反身の柵 | 北祭りの柵 | ハイビスカスの女の柵 |
棟方志功の作品には「〇〇の柵」と題名がついていることが多いですが、この「柵」とは四国の巡礼が寺々に納める回礼のことです。
お札を納めるように作品1つ1つに願いをかけるような思いが、この文字に込められています。
ここに名前を挙げた作品には、買取市場に出てくれば非常に高い価値のつくものも多いです。
ただし、実際の買取価格は作品の保存状態などの諸条件によって変動します。
お持ちの棟方志功作品の具体的な価値については、バイセルの無料査定でお確かめください。
棟方志功作品をより高く売却するための3つのポイント
非常に価値の高いものも多い棟方志功作品ですが、さらに少しでも高く売却するためのコツのようなものはあるでしょうか。
棟方志功作品を含む絵画の買取において、より高く売るために知っておきたい3つのポイントをご紹介します。
- 綺麗な状態で保存しておく
- 鑑定書などの付属品を揃えておく
- 入手経路などの来歴を明確にしておく
綺麗な状態で保存しておく
棟方志功を含む絵画の買取では、保存状態の良し悪しによって買取価格が大きく左右されます。
当然ながら、保存状態の良いもの(制作当時の状態をなるべく保っているもの)は、買取価格が高くなりやすい傾向があります。
棟方志功のような有名作家の作品で保存状態が良いものなら、買取市場でも高い需要がつくでしょう。
一方で、シミ、シワ、カビ、傷、破れ、タバコの臭いがあるなど保存状態が悪いと、その分だけ買取価格が下がってしまう可能性があります。
高く売るためには、直射日光や湿気を避ける、箱に入れて風通しの良い場所で保管するなど、作品の状態を保つための工夫をしてあげることが重要です。
また、和紙に刷られた板画作品は長く保管している間にどうしても劣化してしまいやすいものです。
売ると決めたらなるべく早く、状態が悪くなる前に売ってしまうというのも1つの手でしょう。
鑑定書などの付属品を揃えておく
棟方志功のような有名画家の作品をより高く売るためには、作者のサインや鑑定書・保証書といった、作品の価値を示す付属品の有無が重要な役割を果たします。
棟方志功の作品には、作品中にサインや印章が入っているものも多いですが、それに加えて鑑定書があれば、作品の価値を証明するのに役立つでしょう。
買取市場における信頼性が増すことで多くの需要を集められ、より高い価格での売却にもつながる可能性があります。
鑑定書・保証書などの付属品がある場合には、作品本体と併せて買取前に揃えておきましょう。
なお、棟方志功作品について最も信頼度の高い鑑定機関としては、「棟方志功鑑定登録委員会」があります。
入手経路などの来歴を明確にしておく
棟方志功をはじめとした絵画の査定では、どこで手に入れたか、いつ購入したか、誰から譲り受けたかなど。
購入に至るまでの背景が確認されます。
例えば「業界で信頼されている専門店で購入した」「〇年△月に××博物館に貸し出した」などの来歴は、作品の価値を判断するうえでも重要な情報になります。
そして、その来歴を証明する書類等があればさらに信憑性が増し、買取市場における信用度が増すことでより高く売れるかもしれません。
入手した経路や時期、美術館への貸出履歴といった記録がある場合には、処分せずに大切に保管しておきましょう。
棟方志功作品を売るなら美術品の買取実績豊富な買取業者を選ぼう
棟方志功作品には非常に価値の高いものも多いです。
そこで、棟方志功作品の買取で損をしないためには、本来の価値に見合った買取価格をつけてくれる買取業者を選ぶことが重要です。
当たり前のことに聞こえますが、絵画の価値を適正に判断するというのは非常に難しいことなのです。
画家や作品の人気、作品の希少性、保存状態、サインの有無などの細かい査定ポイントを正確に見極められなければ、価値を正確に算出することはできません。
そのため、美術品に関する専門知識を持っていて、棟方志功作品の正しい価値を見極められる買取業者に査定を依頼するのがおすすめです。
その点、美術品の買取実績豊富な業者なら、それだけ多くの人に選ばれており、査定経験も豊富ということになります。
安心して利用できるでしょう。
棟方志功作品を売るなら買取実績豊富なバイセルへ
棟方志功作品の買取をお考えなら、骨董品買取のバイセルにお任せください。
バイセルは日本全国で骨董品・美術品などの買取サービスをご提供し、たくさんのお客様・リピーター様からご指名をいただいてまいりました。
バイセルの査定士は、高い専門知識と豊富な査定経験を生かして、棟方志功作品をはじめとした絵画1点1点の価値をしっかりと見極め、正確に鑑定します。
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「試しに価値がどれくらいか聞いてみたい」「傷や汚れがあって売れるか不安」といった場合にも無料でご相談いただけます。
ぜひ1度お気軽にお試しください。

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