五代伊藤赤水の陶磁器の買取価格は高い?高価買取のポイントも解説

伊藤赤水(いとうせきすい)は、新潟県佐渡市に伝わる焼物・無名異焼(むみょういやき)の窯元が代々襲名する名跡です。
中でも五代伊藤赤水は人間国宝に認定されている有名作家であり、多くの骨董ファンから愛されています。
骨董品買取市場でも五代伊藤赤水の陶磁器は非常に人気が高く、高価買取されるケースも少なくありません。
本記事では、五代伊藤赤水作品の特徴や代表的な技法、買取市場で高く売れる理由、高く売れやすい五代伊藤赤水作品の特徴、五代伊藤赤水の陶磁器を高価買取してもらうためのポイントなどについてご紹介します。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
目次
伊藤赤水とは
伊藤赤水は、新潟県佐渡市に伝わる伝統的な焼物である無名異焼の窯元・赤水窯が代々襲名する名跡です。
現在の伊藤赤水の祖先にあたる伊藤家は、佐渡金銀山の採掘に必要な道具を作る仕事をしていたといいます。
そして江戸時代後期の弘化年間(1844年〜1847年)、伊藤甚兵衛によって佐渡で産出される赤褐色の粘土「無名異土(むみょういど)」を用いた焼き物の制作が始められ、これが赤水窯のルーツとなりました。
そして明治時代に入ると現在の無名異焼の技法が確立されます。
当時の当主であった伊藤富太郎の号が「赤水」であったことから初代伊藤赤水となり、この名跡の歴史が始まりました。
現在は、2023年に襲名した六代伊藤赤水が、伝統を守っています。
伊藤赤水の無名異焼とは
歴代の伊藤赤水が制作する無名異焼は、新潟県の佐渡島に伝わる伝統的な陶器です。
その独自の原料と製法から、佐渡を代表する工芸の1つとして知られています。
無名異焼の原料は、佐渡金銀山の坑道の近くから産出される独自の原料・無名異土です。
酸化鉄を多量に含んだ赤褐色の粘土で、古くは止血剤や中風の薬として用いられる薬土でもありました。
無名異土は粒子が非常に細かいのが特徴で、そのために焼成した際の収縮率が約30%と、一般的な陶器(10〜15%程度)に比べて非常に高くなっています。
その結果、作品は非常に硬く焼き締まり、叩くと「キン」という澄んだ金属音を発するような堅牢な焼き上がりになります。
また、酸化鉄を多く含むことから、釉薬を使わなくても独特の深みのある朱色や赤褐色をしている点も特徴です。
さらに、鉄分がお茶・酒・コーヒー・ビールなどの味をまろやかにすると言われ、日常使いの器として非常に人気があります。
そして無名異焼は使い込むほどに表面の光沢が増し、味わい深い色つやに変化していくため、「育てる器」としても愛好されています。
無名異焼特有の技法
無名異焼には、他の陶器には見られない独自の技法がいくつかあります。
その1つが「生磨き(なまみがき)」という、半乾燥状態になった器の表面を竹や金属のヘラで繰り返し磨き、素地を締めていく技法です。
これにより、焼成後の光沢と堅牢さが生まれます。
そして生磨きを終えた素地は、1200℃以上の高温で焼成され、硬く焼き締められます。
焼き上がった後には砂や布などを用いて器の表面を磨く「砂研磨(すなけんま)」の技法が施され、さらに艶と光沢を引き出されます。
人間国宝・五代伊藤赤水について
五代伊藤赤水は1941年、四代伊藤赤水の長男として佐渡市に生まれます。
本名は窯一という、のちの活躍を予感させるような陶芸家にふさわしい名前です。
京都工芸繊維大学窯業工芸学科で陶芸の基礎を身に着けたのち、祖父である三代伊藤赤水に師事して無名異焼の技術を学びました。
1972年に日本伝統工芸展で初入選して頭角を現すと、1977年には父の跡を継いで五代伊藤赤水を襲名します。
その後も日本陶芸展で最優秀作品賞・秩父宮賜杯を受賞するなど実績を重ね、国内外で高く評価されました。
作品は東京国立近代美術館、新潟県立近代美術館など国内の多数の美術館のほか、イギリスの国立ビクトリア・アンド・アルバート美術館、アメリカの国立スミソニアン博物館など海外の美術館にも所蔵されています。
そしてついに2003年、国の重要無形文化財「無名異焼」の保持者として人間国宝に認定されました。
また、2005年には紫綬褒章を受章しています。
現在は名跡を息子である六代伊藤赤水に譲り、自身は伊藤赤儘(いとうせきじん)と名を改めて作陶に取り組み続けています。
五代伊藤赤水の作風と功績
五代伊藤赤水は、無名異焼の伝統的な技術を基盤としつつ、それまでにない新しい表現を取り入れたことで高く評価されました。
その1つが「練上げ」です。
練上げとは、異なる色の粘土を何層にも重ねて練り合わせ、その断面の模様を器の表面に活かす技法です。
五代伊藤赤水は、無名異土と野坂土(黄色味の強い粘土)などを用いてこの技法を駆使し、複雑で繊細な縞模様や花紋を表現しました。
無名異焼に装飾的な新境地を開いたと言えるでしょう。
また、五代伊藤赤水は「窯変」の技術を得意としました。
窯変とは、焼成時の炎の状態や温度の変化によって器の表面に偶然生まれる色彩や文様の変化を意図的に取り入れる技法のことです。
五代伊藤赤水は高温で焼き締める無名異焼の特性を活かし、深い朱色と窯変による黒褐色とのコントラストを特徴とする、力強い作品を生み出しました。
これらの技法により、無名異焼は従来の実用陶器としての側面だけでなく、芸術性の高い美術工芸品としての評価を不動のものにしました。
このように無名異焼の価値と表現の幅とを劇的に高めたことは、五代伊藤赤水の大きな功績と言えます。
五代伊藤赤水作品の買取価格は高い?高く売れやすいポイントとは
人間国宝である、紫綬褒章勲章受章者でもある五代伊藤赤水の作品は、骨董品買取市場でも非常に高い人気があります。
美術館に収蔵されているものなど貴重な作品も多くありますが、買取市場に出てきた時には高い買取価格がつくケースも多く見られます。
五代伊藤赤水作品の中でも特に骨董品買取市場で高く買取されやすいのは、五代伊藤赤水の独自技法である練上げや窯変が使われた作品です。
これらの作品の作品は美術品としても高い人気があり、買取価格も高くなりやすいでしょう。
ほかに、大皿や大壺などの大型作品は、作るのに手間と技術が必要なため、その分だけ価値も高くなりやすいでしょう。
五代伊藤赤水だけでなく、陶磁器の買取では有名作家の作品ほど買取相場が高くなりやすい傾向があります。
以下の各ページでは、有名作家の作品を中心とした陶磁器の買取相場や、高く売るためのポイントといった買取情報について記載してございます。
参考までにぜひご参照ください。
お問い合わせ・無料相談はこちら
電話から相談する
0120-612-773
通話料無料・24時間365日受付中
メールから相談する
お申し込みフォームへバイセルでの陶磁器の買取実績は?
バイセルには、五代伊藤赤水をはじめとした陶磁器の買取実績が数多くございます。
以下の各ページでは、有名作家の各種陶磁器の買取相場や、バイセルでの実際の買取例について記載してございます。
参考までにぜひご覧ください。
五代伊藤赤水の代表シリーズ
五代伊藤赤水の代表的な作品シリーズとして、独自技法である練上げを用いた「練上」シリーズ、窯変を用いた「窯変」シリーズ、そして故郷・佐渡ヶ島をイメージした「佐渡ヶ島」が挙げられます。
骨董品買取市場でもこれらのシリーズ作品は人気が高く、買取価格も高くなりやすい傾向があります。
ここでは、この3つの作品シリーズについてご紹介していきます。
「練上」シリーズ
五代伊藤赤水の「練上」シリーズは、色の異なる複数の粘土を重ね合わせ、その断面を活かして器を成形する練上げの技法を使った作品シリーズです。
酸化鉄を多く含む赤褐色の無名異土に、白色や黄色の粘土などを組み合わせて用います。
無名異土の朱色と他の粘土の色のコントラストによる、奥行きと深みのある独自の色彩美が魅力です。
具体的な手順としては、これらの土を板状にして重ね、それを巻いて巻き寿司のような筒状にしたり、練り込んだりすることで、内部に複雑な模様のパターンを形成します。
この模様ができた粘土の筒や塊を輪切りにし、その美しい断面を貼り合わせたり、積み重ねたりして、壺・鉢・皿などの器の形に仕上げていきます。
文様は、縞模様や格子模様といった幾何学的なパターンから、花柄などのより具象的かつ繊細な模様まで、多岐にわたります。
異なる粘土の収縮率の違いを正確に計算し、模様が崩れないように成形・焼成するのには、極めて高い技術と経験が必要です。
五代伊藤赤水の作品は、その技術的な完成度においても高く評価されています。
「練上」シリーズは、無名異焼が持つ硬質で素朴な土味に装飾的でモダンな美しさを融合させた、五代伊藤赤水の独創性を象徴するシリーズと言えるでしょう。
「窯変」シリーズ
五代伊藤赤水の「窯変」シリーズは、「練上」シリーズと並ぶ、五代伊藤赤水の芸術性を象徴する重要な作品群です。
窯変とは、陶器を焼く窯の中で、炎の当たり方・温度・酸素の供給状態が変化することによって予期せぬ色や文様が器の表面に現れる現象を指します。
特に無名異土は鉄分を多く含むため、鉄分が酸化した鮮やかな朱色と、炎が直接触れた箇所の黒色とが見事なコントラストになります。
五代伊藤赤水の「窯変」シリーズ作品では、この朱色と黒の境界線やグラデーションが複雑に混じり合い、力強く、荒々しい自然の美を表現しています。
窯変は「窯の火の気まぐれ」によって生じるため、同じように作っても2つとして同じ作品を作ることができないというのが大きな特徴です。
1つ1つが異なる偶発的な模様と色彩を持ち、唯一無二の作品となるところが人気の大きな要因となっています。
五代伊藤赤水の「窯変」シリーズは、佐渡の無名異土という土の力を最大限に引き出し、炎による自然の造形美を追求した芸術的な作品シリーズと言えます。
「佐渡ヶ島」シリーズ
五代伊藤赤水の「佐渡ヶ島」シリーズは、無名異土に加えて、佐渡の海岸の岩など佐渡ヶ島の自然の岩石を用いた作品シリーズです。
岩石は種類によって溶ける温度が異なるため、焼成すると一部が溶けて穴が開いたり、凹凸ができたりします。
作品の表面は釉薬を使わずとも荒々しくいびつな質感になり、佐渡ヶ島の大地や岩場の力強さを表現することができます。
「佐渡ヶ島」シリーズは、佐渡の荒海に耐える岩場の海岸や、厳しくも美しい冬の佐渡の自然を彷彿とさせます。
「練上」シリーズなどの洗練された繊細な模様とは異なり、武骨さ、生命力、そして歴史の重みを感じさせる立体作品に近い作風が特徴です。
また、「佐渡ヶ島」シリーズの中には、荒々しい土味の中に「窯変」の技法が取り入れられ、朱色と黒の予期せぬコントラストが加わった作品もあります。
「佐渡ヶ島」シリーズは五代伊藤赤水が人間国宝となった後の60代半ばに発表されました。
人間国宝として技術を極めた後も己の技と素材に向き合い続け、陶芸の可能性を追求し続けたことで晩年の境地を開いた、五代伊藤赤水の飽くなき創作意欲を象徴する作品群と言えます。
ここに挙げた代表シリーズの作品でなくとも、五代伊藤赤水の陶磁器であれば保存状態などの条件によって高く買取される可能性があります。
お持ちの五代伊藤赤水作品の具体的な価値については、ぜひ1度バイセルの無料査定でお確かめください。
お問い合わせ・無料相談はこちら
電話から相談する
0120-612-773
通話料無料・24時間365日受付中
メールから相談する
お申し込みフォームへ五代伊藤赤水の陶磁器を高価買取してもらうためのポイント
人間国宝、紫綬褒章受章者である五代伊藤赤水の作品は、買取市場でも非常に高く評価されています。
では、五代伊藤赤水の手掛けた陶磁器を少しでも高く売るためには、どのようなポイントに気をつければ良いでしょうか。
五代伊藤赤水作品を含む陶磁器の買取において、より高く買取してもらうために知っておきたい3つのポイントをご紹介します。
- 綺麗な状態で保存しておく
- 共箱や鑑定書などの付属品を揃えておく
- 入手経路などの来歴を明確にしておく
綺麗な状態で保存しておく
五代伊藤赤水を含む陶磁器の買取では、保存状態が良好である(制作当時の状態をなるべく保っている)ほど高く買取されやすい傾向があります。
反対に、ヒビや欠損などの傷がある、変色や退色してしまっている、カビが発生してしまっているなど保存状態が悪いと、その分だけ買取価格は下がってしまいます。
五代伊藤赤水のような有名作家の場合には多少の経年劣化があっても買取してもらえる場合も多いですが、買取価格は下がってしまう可能性が高いでしょう。
作品を良い状態に保つためには、使わないときには柔らかい布にくるんで箱に入れておくなど、作品に傷がつかないようにしましょう。
また、変色や退色を防ぐには直射日光を避ける、カビを防ぐには湿気の多い場所を避けるなど工夫してあげるのがおすすめです。
共箱や鑑定書などの付属品を揃えておく
五代伊藤赤水作品を含む陶磁器の買取において、重要な査定ポイントの1つになるのが共箱(ともばこ)・鑑定書・保証書といった付属品の有無です。
共箱とは作品を入れるための木箱のことで、作者の自筆によって作品名やサインが入れられているのが一般的です。
五代伊藤赤水の陶磁器の場合、共箱に「赤水」のサインと朱色の印章が入っていることが多いです。
また、作品の底部に「赤水」「赤」などの搔き銘(ヘラなどで作品に直接刻まれたサイン)が入っている場合もあります。
これらのサインは「本物の五代伊藤赤水作品である」という証明になるため、買取市場での信頼性が高まるでしょう。
その結果買取市場での需要が増し、より高く買取してもらえる可能性があります。
鑑定書も同様で、付いていることで作品の価値を証明できるため買取市場における信頼性が増します。
これらがあることで、より高い価格での買取につながる可能性があります。
共箱や鑑定書などの付属品がある場合には、作品本体と併せて大切に保管しておきましょう。
入手経路などの来歴を明確にしておく
五代伊藤赤水をはじめとした骨董品の査定では、買取市場における作品の信頼性のために「どこで手に入れたか」「いつ購入したか」「誰から譲り受けたか」など購入に至るまでの背景が確認されます。
「業界で信頼されている専門店で購入した」「〇年△月に大きな展覧会に出品された」などの来歴は、作品の価値を判断するうえでも重要な情報になります。
そして、その来歴を証明する書類等があればさらに信憑性が増し、買取市場における信用度が増すことでより高く売れるかもしれません。
入手した経路や時期、出品された展覧会のリストや写真といった記録がある場合には、処分せずに大切に保管しておきましょう。
五代伊藤赤水作品を売るなら買取実績豊富なバイセルへ
五代伊藤赤水の陶磁器の買取をお考えなら、骨董品買取のバイセルにお任せください。
バイセルは日本全国で骨董品・美術品などの買取サービスをご提供し、たくさんのお客様・リピーター様からご指名をいただいてまいりました。
バイセルの査定士は、高い専門知識と豊富な査定経験を生かして、五代伊藤赤水作品をはじめとした陶磁器1点1点の価値をしっかりと見極め、正確に鑑定します。
バイセルの出張買取ならお電話1本、手数料完全無料で日本全国への出張買取に対応しております。
「試しに価値がどれくらいか聞いてみたい」「傷や汚れがあって売れるか不安」といった場合にも無料でご相談いただけます。
ぜひ1度お気軽にお試しください。
より詳しい情報を知りたい方はこちら
骨董品買取をもっと見る
こんなコラムも読まれています
- 荒川豊蔵の陶磁器の買取相場は?高価買取のポイントも解説
- 陶器の価値の見分け方とは?価値の高い陶磁器の特徴や見分け方を解説
- 板谷波山の陶磁器の買取価格は高い?代表作やより高く売るコツも解説
- 織部焼の買取相場は?買取業者選びのコツや高く売るコツも解説
- 藤原雄作品の買取相場はどれくらい?高く買取してもらうためのポイントを解説
- 萩焼の買取相場は?高価買取のポイントやおすすめの買取業者選びも解説!
- 益子焼の買取相場はどれくらい?高価買取のポイントも解説
- 中村六郎の備前焼の買取価格は高い?徳利など作品の特徴や高く売るポイントも解説
- 15代楽吉左衛門の楽焼茶碗は価格が高い?買取相場や高く売るポイントを解説
- 坂倉新兵衛作品を高価買取してもらうには?高く売るポイントや実際の買取例をご紹介







