荒木寛畝の絵画の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説

荒木寛畝(あらきかんぽ)は、濃くはっきりした色を用いて画面全体を鮮やかで重厚な色彩で満たす「彩色花鳥図」と呼ばれる花鳥画で有名な日本画家です。
日本画の伝統に西洋画的な写実性を導入した独自の表現は非常に評価が高く、美術品買取市場でも高価買取されるケースがあります。
本記事では、荒木寛畝作品の特徴や代表作・有名作品に加えて、買取市場で高く売れる理由、高く売れやすい荒木寛畝作品の特徴、荒木寛畝の絵画を高価買取してもらうためのポイントなどについてご紹介します。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
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目次
荒木寛畝とは
荒木寛畝(1831-1915)は、江戸幕末から明治・大正にかけて活躍した日本画家です。
特に花鳥画を得意とし、旧派(明治時代に、伝統的な日本画のスタイルを守り、継承しようとした画派)の中心的な指導者として大きな影響力を持ちました。
荒木寛畝は1831年、江戸で代々増上寺の行者(出家せず俗人のまま寺の雑務を行う者)を勤めていた田中家に生まれました。
本名は田中光三郎です。
荒木寛畝が8歳の時、両親は教養の1つとして絵を習わせようと、谷文晁(たにぶんちょう 1763-1841)の流れを汲む絵師・荒木寛快に入門させます。
すると荒木寛畝は絵にのめり込み、22歳の時には師・荒木寛快の養子になりました。
その後並々ならぬ才能を発揮した荒木寛畝は、幕末には土佐藩の絵所預(えどころあずかり:藩所属の絵師たちの長)を務めました。
明治維新後は一時期西洋画(油彩画)に傾倒し、高橋由一(たかはしゆいち 1828-1894)や五姓田芳柳(ごせだほうりゅう 1827-1892)とともに洋画3名家として並び称された時期もありますが、後に日本画に復帰しました。
この経験から、伝統的な日本画に西洋画の写実的な表現を取り入れる技法を確立し、国内外で高い評価を得るきっかけとなりました。
例えば国内では、内国絵画共進会・内国勧業博覧会などで数々の受賞歴があります。
国際的には1873年のウィーン万国博覧会で褒章を受賞、英国ロイヤル・ソサエティ・オブ・アーツ(ロンドンに本部を置く美術振興のための王立協会)の会員に選ばれるなど、その実力が認められています。
また、指導者としても後進の育成に尽力し、門下には池上秀畝(いけがみしゅうほ 1874-1944)・荒木十畝(あらきじっぽ 1872-1944)など著名な画家が多数います。
荒木寛畝の作風と代表的なモチーフ
荒木寛畝が生涯を通して描き続けたのが、花鳥画です。
特に、濃くはっきりした色を用いて画面全体を鮮やかで重厚な色彩で満たす「彩色花鳥図」は、荒木寛畝が最も得意としたスタイルだと言えるでしょう。
荒木寛畝の作風の特徴として挙げられるのが、「伝統的技巧の堅実さ」と「西洋写実の導入」という2点です。
荒木寛畝は師・荒木寛快を通じて谷文晁など江戸時代の絵師の伝統を受け継ぎ、伝統的な日本画の技法について高い技術を持っていました。
そして、そこに西洋画の写実的な技法を取り入れた点が、荒木寛畝作品の最大の特徴です。
荒木寛畝は伝統的な花鳥画が持つ様式美に加え、描く対象を客観的かつ徹底的に観察し、その細部まで精緻に描写するという近代的な日本画表現を開拓しました。
荒木寛畝作品では、鳥の羽毛の1本1本や、花びらの質感、生き物の動きなどが細部までが非常にリアルに表現されています。
また、日本画の伝統的な岩絵具や水干絵具を用いながらも、奥行きや立体感を表現するために洋画的な陰影や遠近法をさりげなく取り入れ、生命感と迫力が宿らせることに成功しています。
荒木寛畝作品の買取価格は高い?高く売れやすいポイントとは
伝統的な日本画をベースに西洋画の写実性を取り入れた生命力あふれる花鳥画が高く評価される荒木寛畝の作品には、美術品買取市場でも高い人気があります。
美術館への収蔵が多いことなどもあって美術品買取市場での取引例は多くないのですが、買取市場に出てきた場合には高い価値がつく可能性があるでしょう。
荒木寛畝作品の中でも美術品買取市場で高く評価されやすいのは、得意とした精緻な花鳥画です。
特に、濃彩で描かれた装飾性の高い作品は買取市場でも人気が高く、高い価値がつく可能性があります。
荒木寛畝だけでなく、絵画の買取では有名作家の作品ほど買取相場が高くなりやすい傾向があります。
以下の各ページでは、有名作家の作品を中心とした日本画・掛け軸の買取相場や、高く売るためのポイントといった買取情報について記載してございます。
参考までにぜひご参照ください。
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荒木寛畝の代表作
荒木寛畝の花鳥画は高い日本画の伝統技術と西洋画の写実性、濃彩を用いた装飾性などによって多くの美術ファンを魅了しています。
ここでは、荒木寛畝の絵画の中でも特に人気の高い、代表作と言うべき作品についてご紹介します。
孔雀図
「孔雀図」(1890)は、荒木寛畝の代表作の1つであり、明治中期の日本画史を飾る傑作です。
内国勧業博覧会で宮内庁御買上げとなり、皇居三の丸尚蔵館に所蔵されています。
画面の中央やや左寄りに、岩に立つ1羽の孔雀が大きく描かれています。
孔雀の羽毛の1本1本など細部までが非常に緻密に、迫真的に描写されています。
羽の持つ光沢感や柔らかさまでもが高い技術で再現されており、孔雀が今にも動き出しそうな強い実在感と生命力が感じられます。
色彩の面では、孔雀の羽の青や緑の表現に群青や緑青といった高級な岩絵具が用いられ、さらに孔雀の羽に金彩を施すなど、絢爛豪華な装飾性が特徴です。
その一方で、背景の桜や蝶などは濃淡を活かした柔らかな筆使いで描かれ、写実描法で精緻に描かれた孔雀との対比によって全体としての調和を生んでいます。
雨中双鶏図(うちゅうそうけいず)
「雨中双鶏図」(1893)は、花鳥画の定番モチーフである鶏を臨場感あふれる情景とともに描いた、荒木寛畝の代表作の1つです。
東京国立博物館に所蔵されています。
描かれているのは、雨の降る情景の中に佇む2羽の鶏です。
画面全体が湿った空気感に満たされており、日本特有の雨の日の雰囲気が巧みに表現されています。
また、濡れた地面の描写や、雨に打たれることで重みを増したように見える葉の様子など、雨がもたらす様々な効果が細かく描き分けられています。
そして、この作品の最大の魅力は雨に濡れた鶏の羽毛の表現でしょう。
羽が束になり、肌に張り付いたような様子や、水を含んで重くなったように見える質感が、写実的な筆致によってリアルに再現されています。
2羽の鶏には目元や足元などに力強さを感じる描写がされており、雨の中でじっと耐え忍びながらも強い生命力を感じさせます。
芦辺遊鴨図(あしべゆうおうず)
「芦辺遊鴨図」(1912)は、自然の情景や生物の生態を深く見つめる荒木寛畝の洞察力が存分に発揮された傑作です。
東京国立博物館に所蔵されています。
描かれているのは、芦の茂る水辺で戯れる鴨の群れです。
画面の主要な要素の1つである芦は、墨と薄い色彩で軽快かつ自然に描かれています。
風にそよぐ様子や、水面に生えている様子など、細かい描写というよりは雰囲気が的確に捉えられています。
その一方、鴨の群れは羽毛の緻密な描きこみ、頭部の光沢、水に濡れた胴体の質感、群れの配置など、詳細なスケッチに基づいたリアルな描写力が遺憾なく発揮されています。
このような芦と鴨の表現の対比によって、鴨の存在感がいっそう増していると言えるでしょう。
また、水面の描写という点では、鴨が泳ぐことで生じる波紋や水面のきらめきが繊細に表現されています。
菊花図
「菊花図」(1872)はウィーン万国博覧会で褒章を受賞し、荒木寛畝の国際的な評価を高めた初期の代表作です。
描かれているのは、太陽の光を浴びながら咲く菊の群生です。
菊は日本画において吉祥の植物として伝統的に好まれてきた画題ですが、そこに荒木寛畝らしい写実性を持ち込んでいるのが特徴です。
菊は西洋画的な写生に基づき、花びらや葉の1枚1枚がきわめて緻密に、客観的に描写されています。
さらに、西洋画的な光と影の表現や立体感を加えられることで、菊の存在感が際立っています。
色彩の面では荒木寛畝の得意とする濃彩が用いられ、菊の持つ華やかさや生命力が強調されています。
ほかにも「狸」「赤坂離宮花鳥図画帖」「波間孟鷲図」「雪景」「雉竹長春」「巌頭の鷲」など、荒木寛畝には数多くの人気作品があります。
また、ここに名前のない作品であっても、荒木寛畝作品であれば保存状態などの条件によって買取してもらえる可能性があります。
お持ちの荒木寛畝作品の具体的な価値については、ぜひ1度バイセルの無料査定でお確かめください。
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お申し込みフォームへ荒木寛畝の絵画を高価買取してもらうためのポイント
日本画の伝統に西洋画的な写実性を導入した独自の作風で人気の荒木寛畝の花鳥画は、美術品買取市場でも高く評価されています。
では、荒木寛畝の絵画を少しでも高く売るためにはどのようなポイントに気をつければ良いでしょうか。
荒木寛畝作品を含む絵画の買取において、より高く買取してもらうために知っておきたい3つのポイントをご紹介します。
- 綺麗な状態で保存しておく
- 鑑定書などの付属品を揃えておく
- 入手経路などの来歴を明確にしておく
綺麗な状態で保存しておく
荒木寛畝を含む絵画の買取では、保存状態が良好である(制作当時の状態をなるべく保っている)ほど高く買取されやすい傾向があります。
反対に、ひび割れ、退色、シミ、シワ、カビ、傷、破れ、タバコの臭いがあるなど保存状態が悪いと、その分だけ買取価格は下がってしまいます。
荒木寛畝のような有名作家の場合には多少の経年劣化があっても買取してもらえる場合も多いですが、高価買取の可能性は低くなってしまうでしょう。
作品を良い状態に保つためには、専用の袋や箱で保護する、直射日光を避けて風通しの良い場所で保管するなどの工夫をしてあげましょう。
鑑定書などの付属品を揃えておく
荒木寛畝のような有名画家の作品をより高く売るためには、作者のサインや鑑定書・保証書といった、作品の価値を示す付属品の有無が重要な役割を果たします。
荒木寛畝作品の場合、作品の左端などに、「寛畝」の署名と朱色の印章が押されているものが多いです。
これらのサインや印章は作品の品質と信頼性を示す重要な証拠になるため、買取市場における信頼性が増すことで多くの需要を集められます。
鑑定書も同様の効果があり、付いていることで作品の価値を証明できるため買取市場における信頼性が増します。
これらがあることで、より高い価格での買取につながる可能性があります。
鑑定書・保証書などの付属品がある場合には、作品本体と併せて大切に保管しておきましょう。
入手経路などの来歴を明確にしておく
荒木寛畝をはじめとした絵画の査定では、買取市場における作品の信頼性のために「どこで手に入れたか」「いつ購入したか」「誰から譲り受けたか」など購入に至るまでの背景が確認されます。
例えば「業界で信頼されている専門店で購入した」「〇年△月に××博物館に貸し出した」などの来歴は、作品の価値を判断するうえでも重要な情報になります。
そして、その来歴を証明する書類等があればさらに信憑性が増し、買取市場における信用度が増すことでより高く売れるかもしれません。
入手した経路や時期、美術館への貸出履歴といった記録がある場合には、処分せずに大切に保管しておきましょう。
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