
日本では古くから、全国各地でご当地の焼物が作られてきました。
佐賀県の有田焼、愛知県の瀬戸焼、栃木県の益子焼など、有名なご当地焼物が現在でも数多く作られています。
そのような有名なご当地焼物の1つ、石川県の九谷焼の名工で、人間国宝にも認定されているのが三代徳田八十吉(さんだい とくだやそきち 1933-2009)です。
人間国宝・徳田八十吉の経歴や作品の特徴に加えて、買取相場や高く買取してもらうためのポイントをご紹介します。
目次
九谷焼の陶工「三代徳田八十吉」について

「徳田八十吉」は九谷焼の陶工の名跡で、世襲によって代々受け継がれています。
初代から数えて100年以上受け継がれてきた名前で、現在は四代徳田八十吉が活躍中です。
代々受け継がれてきた徳田八十吉の中でも、特に高い評価を受けているのが三代徳田八十吉です。
ここでは、三代徳田八十吉の経歴や作品の特徴についてご紹介します。
三代徳田八十吉の経歴
1933年に石川県で生まれた三代徳田八十吉は、祖父である初代徳田八十吉・父である二代徳田八十吉に師事します。
30代になって頭角を現し始めると、数々の陶芸展や工芸展での受賞を重ねます。
1988年に三代徳田八十吉を襲名した頃には、九谷焼を代表する作家となりました。
その後、1993年には紫綬褒章を授章、1997年には重要無形文化財「採釉磁器(さいゆうじき)」保持者(人間国宝)に認定されました。
以降も2009年に亡くなるまで、九谷焼のトップランナーとして精力的に作品を作り続けました。
現在、徳田八十吉の名前と技術・精神は、三代の長女である四代徳田八十吉によって受け継がれています。
三代徳田八十吉作品の特徴
三代徳田八十吉の作品では、従来の九谷焼に見られる、絵柄(山水・人物・花鳥風月)による表現を行いません。
色の配色のみで作品を仕上げているのが大きな特徴です。
三代徳田八十吉は数百もの色を使い分け、色の濃淡のみで作品を仕上げる技法「彩釉」を生み出しました。
また、多くの九谷焼作家は900℃前後の温度で上絵を焼成しますが、徳田八十吉は1,000℃前後で焼成している点も特徴です。
高温で焼成することにより、三代徳田八十吉作品の色味には、何とも言えない深い味わいが出ます。
三代徳田八十吉独自のグラデーション表現によるカラーリングは「耀彩(ようさい)」と呼ばれ、色鮮やかで美しい作品は現代陶芸界から絶大な評価を得ています。
また、三代徳田八十吉はろくろによる成形、面取り(陶磁器の表面を削って多面体にする技法)による成形を併用し、多種多様な形状の作品を生み出しています。
味わいのある形状に、絶妙な色の濃淡を使い分けることで、見る人の目を惹きつけてやまない作品が作り出されているのです。
三代徳田八十吉の代表作「黎明」について

三代徳田八十吉の代表作に「黎明」という作品があります。
三代徳田八十吉の人間国宝たる所以が表れた、三代徳田八十吉の集大成とも言える作品です。
ここでは、「黎明」に見られる三代徳田八十吉の色使いについてご紹介します。
三代徳田八十吉の「耀彩」について
九谷焼窯元に生まれた三代徳田八十吉は、祖父である初代八十吉から伝統の古九谷釉薬を学びました。
しかし三代徳田八十吉は伝統技法を学んだだけでは満足することなく、さらに研究を重ねます。
その結果、三代徳田八十吉は古九谷釉薬の5彩のうち、ガラス成分のない赤をのぞいた紺・紫・緑・黄の4彩を組み合わせて数百もの色を作り出すことに成功しました。
そのような研究の結果、見る人の目を惹きつけてやまないグラデーション表現「耀彩」が可能になったのです。
「黎明」は耀彩の到達点
「黎明」は三代徳田八十吉の最晩年、2009年に作られた耀彩鉢です。
耀彩「鉢」となっていますが、形状は大皿と言ったほうが分かりやすいでしょう。
「黎明」の特筆すべき点は、やはり色使いです。
「黎明」というタイトルの通り、作品の一方には朝日を思わせる色が、他方には夜空を思わせる色が配置されています。
そしてその間には、朝と夜の狭間にある無限のグラデーションが、耀彩によって見事に表現されています。
「黎明」は人間国宝・三代徳田八十吉の代表作として、あるいは耀彩の到達点として、現代陶芸界に燦然と輝く金字塔です。
三代徳田八十吉作品の買取相場はどれくらい?

人間国宝に認定されるなど絶大な評価を得ている三代徳田八十吉の作品ですが、骨董品買取市場における買取相場はどれくらいになるでしょうか。
三代徳田八十吉を含む陶芸作品は、同じ作家による作品であってもそれぞれが唯一無二の一点物です。
「三代徳田八十吉なら買取相場はこれくらい」と、一言で説明するのは難しいものがあります。
徳田八十吉は作品によって数十万円以上になる場合も
とはいえ人間国宝・徳田八十吉ですから、やはり作品は高く買取される傾向にあります。
作品にもよりますが、100万円ほどの買取価格がつくこともあるでしょう。
壺や花瓶などの作品ですと、15~40万円ほどの金額で取引される傾向にあるようです。
骨董品の価値は保存状態の良し悪しで大きく変わる
ただし、三代徳田八十吉を含む陶芸作品の買取では、作品の保存状態が非常に重要になります。
作品に傷や割れがあるなど保存状態が良くない場合には、買取価格は下がってしまうでしょう。
三代徳田八十吉作品の買取を考えている場合には、保管方法には十分注意する必要があります。
バイセルは三代目徳田八十吉作品の高価買取に自信があります!
骨董品の査定ポイントで一番重要なのは保存状態といっても過言ではありません。
ですから、自宅に置いたままになっている作品は早めに売りましょう。
徳田八十吉作品の買取は、骨董品査定実績多数のバイセルにお任せください。
三代徳田八十吉の買取方法は?

三代徳田八十吉作品を売却したいとき、身近に利用できる方法としてはどのようなものがあるでしょうか。
考えられる4つの買取方法について、概要とメリット・デメリットをご紹介します。
4つの方法とは以下の通りです。
・ネットオークションを利用する
・質屋を利用する
・リサイクルショップを利用する
・骨董品専門の買取業者を利用する
ネットオークションを利用する
三代徳田八十吉作品を売却する方法の1つ目として、ネットオークションへの出品が考えられます。
スマートフォン1つあれば出品できるため、非常に便利な方法と言えるでしょう。
しかし、ネットオークションではインターネットを介したやり取りになるため、売り手と買い手は互いに顔を合わせることはなく、実際の商品も落札するまでは直接見ることはできません。
加えて、陶芸作品は真贋や価値の見極めが非常に難しい商材です。
ネットオークションによる陶芸作品の売買は取引に対する安心感が持ちにくく、敬遠されやすいようです。
特に三代徳田八十吉作品は高価ですから、安心感の持ちにくいネットオークションでは売れにくい傾向にあります。
質屋を利用する
買取ではありませんが、質屋を利用して三代徳田八十吉作品を現金化する方法も考えられます。
質屋は、店頭に品物を持ち込めばその場で現金化できる点が手軽です。
しかしながら、質屋では骨董品の他にも着物やブランド品、宝飾品、時計、デジタル製品などを幅広く扱っています。
陶芸作品に関する専門知識を持った鑑定士が店舗に常駐しているとは限りません。
もし三代徳田八十吉作品の価値を適正に見極められない質屋を利用してしまうと、本来の価値よりも安く売ってしまって思わぬ損をしてしまう可能性があります。
また、そもそも質屋のサービスは買取ではなく、持ち込まれた品物を担保としての金融です。
品物と金銭の等価交換ではなく、利息分を差し引かれた上で現金化されています。
高く買取してもらいたいと考える人にとって、質屋はベストな方法とは言えません。
リサイクルショップを利用する
店頭に持ち込めば査定・買取してもらえるうえ、駅前や幹線道路沿いに多いリサイクルショップは利用しやすい買取店です。
しかしながら、リサイクルショップでは「三代徳田八十吉作品の価値を適正に見極めてもらえない」恐れがさらに強くなります。
リサイクルショップは主に日用品や洋服などを売買する業者です。
三代徳田八十吉作品のような、芸術品・骨董品を専門としていません。
陶芸作品に精通した鑑定士が店舗に常駐している可能性は極めて低いでしょう。
リサイクルショップは価値ある陶芸作品であっても「ただの食器」として売買するため、骨董ファンの間では「価値ある骨董品でも安く買えるところ」として人気があるほどです。
三代徳田八十吉作品を高く買取してもらいたいなら、リサイクルショップはおすすめできる方法ではありません。
骨董品専門の買取業者を利用する
取扱商品の幅が広いリサイクルショップや質屋とは異なり、骨董品を専門とする買取業者も存在します。
骨董品専門の買取業者であれば、三代徳田八十吉をはじめとした陶芸作品に精通した鑑定士が在籍しているはずです。
徳田八十吉作品の適正な価値を反映した価格で買取してもらいたいなら、骨董品専門の買取業者が最も信頼できると言えるでしょう。
ただし、骨董品専門となると、リサイクルショップなどと比較して店舗数は少なくなります。
思い当たる店舗が近くにないという人も多いかもしれません。
そんな時に便利なのが、骨董品専門の大手買取業者が行っていることの多い出張買取サービスです。
出張買取とは、買取業者の査定スタッフが利用者の自宅まで来て査定・買取してくれるサービスのことです。
気になる骨董品専門の買取業者があれば、出張買取の対応エリアを確認してみましょう。
三代徳田八十吉を高く買取してもらうポイントは?

人間国宝・三代徳田八十吉の作品は非常に人気が高いです。
また、三代徳田八十吉はすでに亡くなっていて新作が出ることがないため、買取市場での需要も高くなっています。
では、そんな三代徳田八十吉作品をより高く買取してもらうためには、どのような注意点があるでしょうか。
三代徳田八十吉作品を買取に出す際に押さえておきたい4つのポイントをご紹介します。
共箱は作品と一緒に買取に出す
三代徳田八十吉をはじめとした陶芸作品を買取に出す場合、共箱(ともばこ)の有無は買取価格に大きく影響します。
共箱とは作品を入れるための木箱のことで、作者の自筆で作品名やサインが入れられています。
三代徳田八十吉作品の共箱にも、本人の自筆による作品名とサインが記され、印が押されています。
共箱はコレクションとして考えたときにも重要な要素であるうえ、共箱に書かれたサインは本物の証明にもなります。
買取業者としても、共箱がある場合には買取後に高値で販売しやすいため、買取価格を高くつけることができるのです。
共箱は作品と併せて大切に保管しておきましょう。
鑑定書や証明書等があれば一緒に買取に出す
鑑定書や証明書は、やはり本物の三代徳田八十吉作品であることを証明する助けとなります。
共箱と同じように、鑑定書や証明書があれば買取業者は高く買取しやすくなるのです。
鑑定書や証明書がある場合は大切に保管しておき、買取の際には作品と一緒に査定に出すようにしましょう。
作品の保存状態は綺麗に保っておく
三代徳田八十吉に限らず、陶芸作品の保存状態は買取価格を大きく左右します。
いくら人間国宝・三代徳田八十吉の作品でも、傷やヒビがある、一部が欠損しているなどのい場合には、買取価格は下がってしまうことが多いでしょう。
三代徳田八十吉作品は大きな衝撃を与えないように、普段から丁寧に扱うことが大切です。
保管の際にも柔らかい布にくるんで箱に入れておくなど、傷がつかないような工夫をしておきましょう。
骨董品専門の買取業者の査定を受ける
三代徳田八十吉作品は価値の高いものばかりです。
さらに、保存状態が良い・共箱がついているなどの条件が揃っているならば、その陶芸作品の価値はなおさら高いと言えます。
もともと価値の高い三代徳田八十吉作品を高く買取してもらうには、やはりしっかりと価値を見極められる買取業者を選ぶことが大切です。
その意味で、三代徳田八十吉作品の査定を依頼するなら、骨董品専門の買取業者がおすすめです。
どのような方法で売却するにしても、まずは作品の正しい価値を知っておきましょう。
三代徳田八十吉の買取についてのまとめ

九谷焼の陶工・三代徳田八十吉は、独自の色彩表現で人間国宝にも認定された人気作家です。
現代陶芸界で絶大な評価を得ており、三代徳田八十吉が手掛けた陶芸作品は価値が高いものばかりです。
骨董品買取市場での需要も上がっており、高い価格で取引される場合も多いでしょう。
陶芸作品は適正な価値を見極めるのが非常に難しい商材です。
三代徳田八十吉作品を買取に出す際は、作品本来の価値を見極められる骨董品専門の買取業者を利用するのがおすすめです。
三代徳田八十吉作品で保存状態が良く、共箱もついているなら、高い買取価格がつく可能性は十分にあります。
まずは試しに骨董品専門の買取業者に査定を依頼して、お持ちの三代徳田八十吉作品の価値を把握しておきましょう。