織部焼の買取相場は?買取業者選びのコツや高く売るコツも解説

日本には有田焼・備前焼・益子焼など各地に有名なご当地焼き物がありますが、その代表例の1つと言えるのが岐阜県を中心に生産されている美濃焼です。
そして、種類豊富な美濃焼の中でも、色・形・文様などひときわ異彩を放つデザインで人気を集めているのが織部焼です。
多くのコレクターを魅了する織部焼は骨董品買取市場でも人気が高く、非常に高い価格で取引される場合もあります。
織部焼の特徴や有名作家に加えて、買取相場、より高く売るためのポイント、買取業者選びのコツなどをご紹介します。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
目次
焼き物界の個性派・織部焼とは
織部焼とは、桃山時代から江戸時代初期にかけて美濃地方で生産された陶器です。
美濃焼の一種に数えられ、千利休(せんのりきゅう 1522年-1591)の弟子であった大名茶人・古田織部(ふるたおりべ 1543-1615)の指導で創始されたことが名前の由来とされています。
当時の南蛮貿易で中国からもたらされた交趾焼(こうちやき)の影響を受けていると言われ、奇抜で斬新な形や文様の茶器・食器などが多いことが特徴と言えるでしょう。
今までの焼き物に無かった魅力を持つ織部焼は、多くの茶人や文化人たちから愛されました。
そんな独特の魅力を持つ織部焼ですが、創始者である古田織部が豊臣方への内通の疑いをかけられて1615年に切腹したこと、寛永年間(1624〜1645年)に入ると古典的な青磁の復興が行われたことなどから、短い期間で一度衰退してしまいました。
それでも現在では発掘された織部焼の研究が行われ、独自の作風を追求する陶芸家たちが茶器・食器を中心に織部焼の制作を行うなど、織部焼を愛する人たちの尽力によって復興がなされています。
織部焼の特徴
織部焼の特徴として主に挙げられるのは、色・形・文様の3点です。
それぞれ、どのような特徴があるか詳しく見ていきましょう。
緑釉による色の表現
織部焼は釉薬の色になどによって織部黒・黒織部・赤織部・志野織部など様々な種類に分けられますが、織部焼の代名詞とも言えるのが緑色の釉薬が特徴の「青織部」でしょう。
この緑釉の施し方によって濃淡のコントラストをつくり、描かれた文様との掛け合わせによって多様な表現が可能になっています。
また濃淡だけではなく、緑のしずくを滴らせたように緑釉を施すことで模様を表現するなど、個性的な色の表現もなされています。
このように釉薬の具合が器ごとに異なることから、ひとつとして同じものが存在しないというのも、織部焼の魅力の1つと言えるでしょう。
遊び心ある形
整然とした端正な形を好み、抽象を重んじる他の茶器とは違い、織部焼には歪んだ形の沓(くつかけ)茶碗が多く見られます。
また、織部焼は食器にも優れた作品が多く見られるのですが、そこでも扇子の形をした向付など、遊び心のある作品が多くなっています。
このような特徴から、客人をもてなすための趣向として、織部焼の器は茶会などに多く用いられていたようです。
他にも南蛮人の姿をあしらった燭台や、動物の形をかたどった香炉など、織部焼のユニークな造形は現在でもコレクターの人気を集めてやみません。
卓越したセンスの文様
織部焼が生まれた時代は、華美をこらした人目を惹く風体で町を歩く「かぶき者」が現れた時代でもあります。
この時代の空気が、織部焼の奇抜な文様の大元になったと言われています。
実際、織部の器に見られる文様には、かぶき者や遊女の衣装の中にも共通して見られるモチーフが存在します。
織部焼の文様には、縞文様・格子模様から市松模様・幾何学模様、石畳・鱗・亀甲・桐・菊・松・竹・梅・葦・薄・千鳥などをモチーフとしたものまで幅広いものがあります。
この当時盛んになっていた南蛮貿易で運ばれた舶来品の流行をも取り入れ、そこに和の風味を加えて生み出された結果、織部焼の文様は驚くほどの多様性を手に入れたのです。
織部焼が属する美濃焼とは
織部焼は美濃焼の一種に数えられますが、では美濃焼とはどのような焼き物なのでしょうか。
美濃焼とは、岐阜県東部で作られる陶磁器の総称です。
すなわち、他のご当地焼き物のように特定の様式を持ったものを美濃焼と呼んでいるわけではなく、産地によって定義されていることになります。
そこで、使われる技法や特徴によって、美濃焼の中でも様々な種類の焼き物に分類されることになるのです。
美濃焼の種類
美濃焼には伝統工芸品に指定されているものだけでも15種類あり、美濃焼という焼き物の多様性が伺えます。
その中でも代表的とされているのが「志野(しの)」「黄瀬戸(きせと)」「瀬戸黒(せとぐろ」そして「織部」の4種類です。
幅広い種類と、それに伴う技法を持つ美濃焼には6人もの人間国宝がおり、これらの有名作家の作品は買取市場における価値も高くなっています。
中でも「志野」「瀬戸黒」の人間国宝・荒川豊蔵(あらかわとよぞう)や「瀬戸黒」の人間国宝・加藤孝造(かとうこうぞう)は人気が高く、美濃焼の中でも特に価値の高い作品を多く作っています。
織部焼の買取相場はどれくらい?
骨董品買取市場における織部焼の買取相場はどれくらいになるでしょうか。
織部焼に限らず、焼き物全般に言えることですが、それぞれが唯一無二の一点物である陶芸作品の買取において「買取相場はこれくらい」と一概に言うのは難しいでしょう。
しかしながら、「有名作家の作品で、保存状態が良ければ高く買取されやすい」といった、ある程度の傾向があります。
例えば、織部焼の代表的作家である北大路魯山人の作品であれば、100万~500万の買取相場になるでしょう。
ただし、作品の保存状態などによっても買取価格は大きく変動しますので、あくまで参考程度ととらえてください。
実際の取引でも、買取金額の幅は非常に広くなっています。
お持ちの織部焼の価値を知りたい場合は、バイセルの無料査定にご相談ください。
※上記は参考価格であり、実際の買取価格を保証するものではありません。
※ご査定時の市場状況、在庫状況により買取価格が変動する場合ございます。
※お買取相場の価格は未開封の未使用品を想定しています。お品物の状態によって価格が大きく変わる場合がございますのでご了承ください。
織部焼など陶磁器のバイセルでの買取実績は?
バイセルには、織部焼を含む陶磁器の買取実績が数多くございます。
以下の各ページでは、陶磁器のバイセルでの実際の買取例について記載してございます。
参考までにぜひご覧ください。
高く買取されやすい織部焼の有名作家は?
陶磁器の買取において、高く買取されやすいものの特徴として「有名作家の作品である」という点が挙げられます。
そして、織部焼にも高い買取価格がつくような有名作家は多く存在します。
ここではその中でも、特に骨董品買取市場で人気が高く、高額で買取される可能性の高い作家を5人ご紹介します。
北大路魯山人
北大路魯山人(きたおおじろさんじん 1883-1959)は、近代日本を代表する芸術家の1人です。
陶芸家としてだけではなく、篆刻(てんこく)家・画家・書道家・漆芸(しつげい)家・料理家・美食家などの様々な顔を持っていたことでも知られています。
その中でも魯山人が特に力を入れたのが、織部焼の制作でした。
奇抜・破格な造形の陶器の制作を好んだ魯山人と織部焼との親和性は高く、相当数の織部焼を焼いたため、未だに世間の目に触れていない魯山人の織部焼も多いだろうと言われています。
また魯山人には、織部の技術で唯一人間国宝に推挙されたがあえて断ったというエピソードも残されています。
岡部嶺男
岡部嶺男(おかべみねお 1919-1990)は、戦後に活躍した陶芸家です。
陶芸家・加藤唐九郎(かとうとうくろう 1897-1985)の息子として生まれた岡部嶺男は、父譲りの技術力・造形力をもって陶芸の芸術性を追求し、自らの陶芸の道を探索し続けた「鬼才の陶芸家」として知られています。
岡部嶺男が作陶する上で重視したのが、陶器のマチエール(表面の質感)でした。
土や釉薬の動きを造形化し、マチエールに存在感をもたせた岡部嶺男作品は、躍動感に満ち、技術とのせめぎ合いからくる緊張感にも満ちているとして人気を集めています。
鯉江良二
鯉江良二(こいえりょうじ 1938-2020)は、日本の陶芸家・現代美術家です。
海外の陶芸展や美術展に積極的に出品するなど、日本の陶芸の魅力を世界に伝えた現代織部の代表作家です。
世界各地で現地の材料を使って作陶するなど、多彩な技法を使いながら伝統か前衛かといった枠組みにこだわらない作陶活動が支持を集めています。
鈴木五郎
鈴木五郎(すずきごろう 1941-)は、美濃焼を得意とする現代日本の陶芸家です。
織部焼のほかには志野焼も手掛けています。
伝統を意識した桃山風の織部からは想像を絶する「ロス織部」と呼ばれる陶器を制作することで知られ、千変万化の魅力を放つ作品は「五郎織部」と称されて人気を集めています。
鈴木徹
鈴木徹(すずきてつ 1964-)は、現代の織部焼を担う陶芸家です。
泥刷毛目(どろはけめ)という、刷毛を使って化粧泥を塗ることで文様を生み出す技法を採用しているのが特徴です。
緑釉による力強い独自の表現を追求しており、泥刷毛目による文様と組み合わせることで、変化に富み、輝くような仕上がりの作品が生み出されます。
織部焼をより高く売るために知っておきたい4つのポイント
有名作家の作品を中心に高い価格で取引されるものも多い織部焼ですが、より高く売るためにはどのような点に注意すれば良いでしょうか。
織部焼を買取に出す際に知っておきたい、少しでも高く売るための4つのポイントをご紹介します。
- 鑑定書や箱などの付属品は作品と一緒に査定に出す
- 作品の保存状態を良く保っておく
- 入手経路などの来歴を明確にしておく
- なるべく早く売る
鑑定書や箱などの付属品は作品と一緒に査定に出す
有名作家による織部焼をはじめ、骨董的価値のある焼き物は通常、共箱と呼ばれる木の箱に入った状態で世に出されます。
この共箱はコレクションとしても重要なほか、墨書き(作者のサイン)が入れられていることから、本物の作家ものであるという証明にも大きな役割を果たします。
例えば北大路魯山人などの人気作家の織部焼には贋作も多くみられるため、作品の鑑定書や共箱など、本物の証明となるような付属品は買取の際にも大きな役割を果たします。
間違いなく有名作家による織部焼であるという証拠の付いているものは買取市場での信頼が増し、より高く買取される可能性があります。
鑑定書や共箱などの付属品は大切に保管しておき、買取の際には作品と一緒に査定に出すようにしましょう。
作品の保存状態を良く保っておく
いくら価値の高い織部焼であっても、ヒビ・キズ・デザインの欠け・割れがあるなど、保存状態が悪ければ買取価格は下がってしまう可能性が高いです。
ヒビや割れの原因となるような大きな衝撃を与えないように、織部焼をはじめとした陶芸作品は必ず箱に入れて保管するなど、普段から丁寧に扱うようにしましょう。
また、陶器は土という素材の性質上水分を吸い込みやすく、そのまま放置しているとカビが発生してしまう可能性もあります。
水分や汚れが付着した場合にはすぐに拭き取り、風通しが良くて湿気が溜まりにくい場所に保管すると良いでしょう。
入手経路などの来歴を明確にしておく
骨董品は様々な人の手に渡っていくものですし、価値の高い作家の作品には贋物も多く存在します。
そこで、織部焼など陶磁器の査定では信頼性の確認として、入手した経路や時期といった情報もチェックされます。
例えば、「業界で信頼されている専門店で購入した」「著名な人から譲り受けた」などの来歴は、作品の価値を判断するうえでも重要な情報になります。
また、詳細がはっきりしていなくても、わかる範囲で何かしらの情報があれば査定する際に役立ち、正確な査定につながるかもしれません。
入手経路や時期などの記録がある場合は、処分せずに大切に保管しておきましょう。
なるべく早く売る
織部焼を含む陶磁器の買取では、保存状態の良し悪しが重要でした。
しかし、陶器は土で出来ているものである以上、長い時間による経年劣化を完全に避けることはできません。
土で出来ている陶器には水分が浸透しやすく、長い期間保管しているとどうしても湿気を吸って傷んでしまうことがあります。
その意味で、「保存状態が悪くならないうちに、なるべく早く売る」というのが、織部焼を少しでも高く売るための1つの方法と言えるかもしれません。
織部焼は骨董品の買取実績豊富な業者に売ろう
織部焼は有名作家の作品などを中心に高く買取されることも多いです。
そんな価値ある織部焼を売るなら、骨董品の買取実績豊富な業者に依頼するのがおすすめです。
織部焼などの陶磁器を適正な価格で買取するためには、以下のようなポイントを正確に見定めなければなりません。
- 作家の人気
- 作品の希少性
- 制作年代
- 保存状態
- 付属品の有無
- 使われている技法
このように、陶磁器の価値を適正に判断するというのは、専門知識を持った買取業者でなければ非常に難しいことなのです。
買取業者選びを間違えてしまうと、せっかくの価値ある織部焼も、本来の価値に見合った価格で買取してもらえない可能性があります。
その点、陶磁器など骨董品の買取実績豊富な業者なら、それだけ多くの人に選ばれており、査定経験も豊富ということになります。
安心して利用できるでしょう。
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こんな状態でも査定してもらえる?織部焼買取のQ&A
織部焼を含む陶芸品の買取には初めての人にとっては分かりにくい点も多く、疑問点はつきものかもしれません。
ここでは「こんな状態でも査定してもらえる?」という観点から織部焼の買取でよくある質問を挙げ、それについて解説していきます。
使用済みの織部焼は見てもらえる?
ノーブランドの食器などでは、使用済みのものは衛生的な観点から買取不可となる場合も多いです。
しかしながら、織部焼のような有名産地ものの陶磁器の場合、特に有名作家の作品である場合には使用済みであっても買取市場における需要はあります。
状態にもよりますが、使用済みでも買取価格がつくケースはあると言えるでしょう。
お持ちの織部焼に価値がつくかどうかは、バイセルの無料査定で確かめてみてください。
作者も年代も分からないものでも見てもらえる?
親族や知人から譲り受けたなどで、「どうやら織部焼ではあるようだが、作者も制作年代も分からない」といったケースも珍しくありません。
そのような場合でも、骨董品買取のバイセルなら、専門知識を持った査定士が1点1点どういう品物であるかを見極め、適正な価値を判断いたします。
作者や年代が分からなくても気兼ねすることなく、まずはバイセルの無料査定にご相談ください。
金継ぎ直しがあるものでも見てもらえる?
陶器は割れ物ですから、古いものの場合には特に、傷や修理の跡があることも珍しくありません。
もちろん傷・欠け・修理跡などがない状態の方がより高い買取価格はつきやすいのですが、有名作家ものなど価値が高い織部焼なら金継ぎ直しなどの修理跡があっても、程度によって買取価格がつく場合もあります。
ただし、傷や欠けなどをご自身で修繕をしようとすると、かえって傷をつけてしまったり、ダメージを進行させてしまったりする可能性もあります。
まずはそのままの状態で骨董品買取のバイセルにお問合せください。
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