日本で金が取れる場所は?鉱石から金を取り出す手順を解説
金は宝飾品や芸術品など、あらゆる形で世界中の人々に愛されてきました。
また、安定した資産としても重宝され、投資家からの人気が高いことでも知られています。
では、その金はどのような場所で採掘されているのでしょうか。
金が取れる場所、鉱石から金を取り出す方法、金の埋蔵量、個人での金の発掘は可能かなどについて解説します。
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日本の主な金が取れる場所
日本国内でも古くは戦国時代ごろから本格的な金山の開発が始まり、これまで金の採掘は積極的に行われてきました。
採掘場所としては金山のほか、火山がある温泉地や河川、海底の鉱石などからも採掘されています。
中でも有名な採掘場所としては、鹿児島県の菱刈鉱山、新潟県の佐渡金山、北海道の鴻之舞金山、福島県の高玉金山、大分県の鯛生鉱山などがあります。
しかし現在ではほとんどの金山が閉山してしまっており、現在でも発掘が続いているのは鹿児島県の菱刈鉱山のみです。
菱刈鉱山
1970年代には鴻之舞金山・高玉金山・鯛生鉱山が閉山し、佐渡金山の資源も枯渇してくるなど、日本の金採掘は危機的状況でした。
そんな中、鹿児島県北部の伊佐市で1985年に採掘開始されたのが菱刈鉱山です。
菱刈鉱山は金が豊富で、年平均6トン前後の金が産出されています。
まだ歴史の若い金山ながら、1601年から1989年まで採掘が続けられた佐渡金山を上回る金の産出量を誇ります。
また、菱刈鉱山では鉱石1トンに含まれる金の量がおよそ20グラムと、金の含有割合が多いことでも知られています。
「1トンのうち20グラム」というと少ないように感じるかもしれませんが、実は世界の主要な鉱山での平均が、鉱石1トンあたり約5グラムの金しか含まれていないのです。
1トンの金鉱石から金のリング1つ分しか取れない計算になりますから、金がどれだけ希少な金属であるかが伺えますね。
金の採掘場所は主に山か川
金の鉱脈は、火山活動で噴出したマグマが地下水とぶつかり、金属が融解した後に冷え固まることで出来ることが分かっています。
上記の過程でできた鉱脈は「浅熱水性鉱床」と呼ばれ、山や、近くに火山のある河川に発見されることが多いです。
山で採掘される金は山金、川で採掘される金は川金と呼ばれます。
山金と川金に分けて、それぞれの特徴や採掘方法などを見ていきましょう。
山金の特徴と採掘方法
山金の代表格として挙げられるのが、先にご紹介した菱刈鉱山・佐渡金山・鴻之舞金山などの金山です。
山金の採掘は、まず金脈中に含まれた金鉱石を掘り出すところから始まります。
この鉱石に含まれる石英や炭酸塩のなかに、肉眼では見えないようなごく少量の金が混じっているのです。
そこから特殊な方法を用いて、金だけを取り出します(詳しくは後述)。
具体的な採掘方法には以下の3つがあります。
- 露頭掘り…地表から地下に向かって採掘する方法
- ひ押し掘り…鉱脈に沿って採掘する方法
- 坑道掘り…坑道を掘って地下水の排水を行いつつ採掘する方法
山金の採掘が始まった初期は主に「露頭堀り」が行なわれていました。
その後の技術革新にともない、徐々に「ひ押し堀り」や「坑道堀り」へと発展していきました。
川金の特徴と採掘方法
山金と並び、古くから採掘が行なわれているのが川金です。
川が氾濫や増水を繰り返すことで山肌が削られ、山の地下にあった金鉱脈が露出します。
さらに川の流れや風雨によって金鉱脈から金が剥がれ落ち、川底にたまることがあります。
これが川金と呼ばれるもので、いわゆる「砂金」はこれにあたります。
日本で川金が採掘される主な場所としては、以下があります。
- ウソタンナイ川(北海道)
- 立谷沢川(山形県)
- 多摩川(東京都)
- 犀川(石川県)
川金の採取では、金はまわりの砂利に比べて比重が大きいという性質を生かし、川底の砂利の中から金を洗い出す方法がとられます。
静水のなかで板を揺らして砂利を洗い流し、残った砂金を採取する「ゆり板」や、川底に沈めて固定し、集めた川砂をかねザルを通すことで砂金を採取する「ねこ(ねこだ)」など、専用の道具を使用して行なわれます。
鉱石から金を取り出す手順
金山の鉱石が採掘されると、特殊な方法を使ってその中から金だけを取り出します。
この金の取り出しには、銅の溶鉱炉を使う方法、水銀を使う方法など4つがあります。
銅の溶鉱炉を使う方法
現在、山金の鉱石から金を取り出す方法として主流になっているのが、銅の溶鉱炉を使う方法です。
手順は以下のとおりです。
- 銅の溶鉱炉に金鉱石と銅鉱石を同時に入れる
- 銅を取り出す
- 銅を取り出した後、銀を取り出す
- 最後に電気分解して金を取り出す
銅の溶鉱炉を使うためには大規模な設備が必要ですが、安全かつ低コストで金が抽出できます。
水銀を使用した方法と比べると、水銀毒性の懸念もクリアすることができます。
水銀を使う方法
有力な金の産出国として知られる南アフリカ共和国を中心に行なわれているのが、水銀を使って金を取り出す方法です。
水銀に反応を示すという金の特性を活かした方法で、「アマルガム法」と呼ばれます。
手順は以下のとおりです。
- 鉱石を粉砕する
- 粉砕した鉱石と水銀を混ぜてアマルガム合金を作る
- アマルガム合金を加熱して金だけを取り出す
大規模な設備投資が不要で、比較的簡単に金を取り出すことができるのが、アマルガム法のメリットです。
しかしながら、水銀による環境汚染や公害のリスクが否定できません。
2013年10月には水俣市・熊本市で開催された外交会議で、水銀を使用した製品の製造と輸出入を規制する国際条約である水俣条約が採択されました(2017年発効)。
同条約では、地球規模での水銀汚染防止を目的に世界各国で連携し、水銀の適正管理や排出削減を目指す水銀対策を行なうことが求められています。
青化ソーダを使う方法
粉砕した金鉱石に青化ソーダ(シアン化ナトリウム)を混ぜることで金を取り出す、「青化法」と呼ばれる方法もあります。
金が多く含まれている金鉱石によく用いられる方法です。
- 金鉱石を砕いて水を加え、泥状にする
- そこに青化ソーダ溶液を加えると、溶液の中に金と銀が溶け出す
- その液体を濾過して亜鉛粉末を加えると、金と銀が分離して金を取り出せる
青化法には水銀を使った方法と同様、青化ソーダの毒性によって環境が汚染されてしまう危険があります。
鉛を使う方法
粉砕した金鉱石を鉛とともに溶かすことで金を取り出す、灰吹法(はいふきほう)という方法もあります。
- 細かく砕いた金鉱石を鉛と一緒に炭火で溶かして鉛合金を作る
- 灰を敷き詰めた容器に鉛合金を入れ、空気を送りながら加熱する
- 鉛が酸化して灰に染み込み、金と銀だけが残ります
- 電気分解や焼金法(海塩を使って金と銀を分離する方法)で金を取り出す
この灰吹法は古くから行われてきた方法で、江戸時代の日本でも行われていました。
金を採掘し続けても地球からなくならないの?
金は、量に限りのある希少な金属です。
だからこそ高価なわけですが、そうすると「採掘し続けると地球からなくなってしまうのではないか?」という疑問が湧くかもしれません。
ここでは、世界における金の採掘と埋蔵量について見ていきます。
また、金の枯渇に対する解決策として注目されている金のリサイクルについてもご紹介します。
世界の金の埋蔵量と主な採掘国
人類が金を利用するようになった約6,000年前から、現在までの間に採掘された金の総量は約17万トンといわれています。
そしてWGC(World Gold Council:金産業の国際貿易協会)の調査によれば、地球上に残る未採掘の金の埋蔵量は残り約6万トンとされています。
現在の金の年間採掘量は約3,000トンと言われますから、同じペースで採掘し続けた場合、約20年のうちに採掘可能な金は枯渇してしまうという計算になります。
世界の中で金を多く採掘しているのが、中国・オーストラリア・ロシアです。
この3カ国で年間の産出量が約1,000トンと、全世界の産出量の1/3に迫ります。
その他、国別の金の埋蔵量や採掘量について詳しくは、以下の記事をご参照ください。
注目される金のリサイクル
金は、化学変化をしにくい非常に安定した物質であることが知られています。
そのため、過去に掘り出された分だけ、金の地上にある在庫量は増えていることになります。
そこで、金の埋蔵量が減っていく中で注目されているのが、金のリサイクルです。
現在では年間の金需要のおよそ1/3は、リサイクルで賄われています。
携帯電話や電子機器の基板など、金が使われている製品を回収して処理することで、純度の高い金を取り出すことができるのです。
このような工業製品は都市にある金脈だということで「都市鉱山」とも呼ばれています。
都市鉱山に含まれる金は日本だけで7,000トン近くもあるといわれており、非常に注目を集める金の供給方法となっています。
また、ジュエリー・アクセサリー・置物・金歯などの使わない金製品をリサイクルすることによっても、市場に金を供給することができます。
金の採掘は個人でやっても良い?
金の採掘は通常、専門の企業や団体が特殊な知識や技術を用いて行なっています。
例えば菱刈鉱山では、住友金属鉱山株式会社によって採掘が行われています。
では、個人で金を採ることはできないのでしょうか。
結論からいうと、基本的に個人での金の採掘はできません。
金の採掘には、「鉱業権」が必要です。
鉱業法にもとづき、ある一定の区域における地層から鉱物を採掘して取得できる権利のことで、期間に限定がないのが特徴です。
採掘権が認められるためには、その該当区域における鉱物の量や品位などが、商業ベースの採掘に適するものであることが前提となっています。
また、鉱業権は許可を受ければすぐに成立するものではなく、鉱業原簿と呼ばれる台帳に登録されるまでは、権利として認められません。
この鉱業権がなければ、たとえ自分の土地であっても金の採掘はできないのです。
個人で金を採ってみたいなら砂金採り体験がおすすめ
上記のように、個人で金の採掘を行うのは現実的に不可能です。
しかし、砂金が採れる川の一部では、観光事業として砂金採り体験のサービスを提供しているところがあります。
金の採掘を体験してみたいなら、砂金採り体験を楽しんでみてはいかがでしょうか。
砂金採り体験ができるスポットには、以下のようなところがあります。
より詳しい情報を知りたい方はこちら
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