浮田克躬の絵画の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説

浮田克躬(うきたかつみ)は、ヨーロッパの街並みや北海道の雪景色をモチーフにした風景画で知られる日本の洋画家です。
絵具を何重にも塗り重ねた厚塗りの立体的な絵肌と、計算された構築的な画面構成で描かれる風景画は非常に評価が高く、美術品買取市場でも高価買取されるケースがあります。
本記事では、浮田克躬作品の特徴や代表作・有名作品に加えて、買取市場で高く売れる理由、高く売れやすい浮田克躬作品の特徴、浮田克躬の絵画を高価買取してもらうためのポイントなどについてご紹介します。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
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目次
浮田克躬とは
浮田克躬(1930-1989)は、昭和期に活躍した日本の洋画家です。
特に、日本の風景や西洋の都市を描いた風景画で知られています。
浮田克躬は1930年、東京都杉並区に生まれました。
しかしすぐに神奈川県茅ヶ崎へ転居し、母方の祖父である政治学者の浮田和民(うきたかずたみ 1860-1946)に育てられました。
絵画に興味を持ったのは小学校4年生の時で、1939年の第1回聖戦美術展を見たのがきっかけだったといいます。
14歳で洋画家の小林萬吾(こばやしまんご 1870-1947)からデッサンの個人指導を受けると、1945年には特例で東京美術学校(現・東京藝術大学)に入学し、安井曽太郎(やすいそうたろう 1888-1955)、伊藤廉(いとうれん 1898-1983年)に師事します。
当時の最年少記録となる20歳で東京美術学校を卒業すると、同年には新制作派協会展で初入選を果たします。
1954年からは田崎広助(たさきひろすけ 1898-1984)に師事し、活躍の場をさらに広げていきます。
浮田克躬の画業の転機となったのは、1967年に初めて渡欧し、フランスを中心にヨーロッパ8か国を巡遊したことでした。
この時から、ヨーロッパ・中米・ブラジルなどを訪れ、各地の風景を描き続けるライフワークが始まりました。
浮田克躬の絵画は国内外で非常に評価が高く、日展内閣総理大臣賞、宮本三郎記念賞などの受賞歴のほか、ブラジル政府からコメンダドール・オフィシャル章(ブラジルの勲章)を受章しています。
浮田克躬の作風と代表的なモチーフ
浮田克躬が得意としたのは、重厚で迫力のある風景画です。
渡欧前には北海道をテーマにした「北の風景」シリーズなど、日本の風景を多く描きました。
そして1967年の渡欧以降は、ヨーロッパや中南米の風景を主題に制作活動を行いました。
浮田克躬の風景画の特徴は、絵具を何重にも塗り重ねた、厚塗りの立体的な絵肌です。
写実的ではありながらも激しい筆致を伴う表現が魅力で、厚塗りの技法もあいまって繊細でありながらも真に迫る迫力と立体感を生み出しています。
色彩の面では、全体的に色味が抑えられた落ち着いた色彩が特徴です。
その中で、屋根や壁などに使われる赤色は、画面全体に緊張感と活気を与えるアクセントとして際立ち、より印象的でドラマチックな雰囲気を生み出しています。
構図の点では、画面の中に垂直線(建物の壁や塔など)と水平線(地平線や屋根の並びなど)を多用し、画面全体に安定感と威厳を持たせています。
また、画面の手前・中間・奥という空間の遠近が明確に描き分けられ、計画的に奥行きが作り出されています。
色彩も、明るい色と暗い色、暖色と寒色などが構図の安定性を高めるように組織的に配置されています。
このように、画面構成が計算され尽くした構造を持っており、強固で安定しているのが浮田克躬の風景画の大きな特徴と言えます。
浮田克躬作品の買取価格は高い?高く売れやすいポイントとは
構築的な画面構成と独特の厚塗りの絵肌で、真に迫る迫力と立体感を生み出している浮田克躬の絵画には、多くの美術ファンからの高い支持があります。
美術品買取市場でも浮田克躬作品の人気は高く、高価買取されるケースもあります。
浮田克躬作品の中でも美術品買取市場で高く買取されやすいのは、やはり得意とする油彩の風景画です。
その中でも、自然だけの風景画よりも建造物が描かれている作品、特にフランスを中心としたヨーロッパの歴史ある街並みを描いた作品が高く評価されやすいでしょう。
また、重厚なトーンの中で、赤い屋根や褐色系の断崖が効果的に描かれている作品は買取市場での人気が高く、高価買取に繋がりやすいと言えます。
浮田克躬だけでなく、絵画の買取では有名作家の作品ほど買取相場が高くなりやすい傾向があります。
以下のページでは、有名作家の作品など西洋画の買取相場や高く売るためのポイントなど、西洋画の買取情報について記載してございます。
参考までにぜひご参照ください。
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浮田克躬の代表作
独特の厚塗りの絵肌と、計算された構築的な画面構成で真に迫る迫力と立体感を生み出している浮田克躬の風景画は、多くの美術ファンを魅了しています。
ここでは、浮田克躬の絵画の中でも特に人気の高い、代表作と言うべき作品についてご紹介します。
シシリーの家
「シシリーの家」(1981)は日展で会員賞を受賞した、浮田克躬の「ヨーロッパ風景画」における代表作の1つです。
現在は、兵庫県の但陽信用金庫本店に所蔵されています。
描かれているのは、シチリア島の海岸沿いの断崖絶壁にぎっしりと立ち並ぶ家々です。
落ち着いたトーンの中に、家々の赤みを帯びた屋根や壁が重厚感たっぷりに描かれており、アクセントとして機能するとともに緊張感と迫真性を生み出しています。
浮田克躬独特の厚塗りの技法によって岩肌や壁のざらついた質感が強調され、地中海の強い日差しと歴史に耐えてきたかのような、力強い存在感を放っています。
サンマルタン水路
「サンマルタン水路」(1967)は日展で特選を受賞した浮田克躬の代表作の1つです。
渡欧後の初の主要な受賞作として、以後のヨーロッパ風景画に傾倒していく転換点となった作品でもあります。
描かれているのは、フランス・パリの東部を流れるサンマルタン運河と、その周辺の街並み・橋・船着き場などです。
運河沿いの工業地帯や古い建物が醸し出す、やや寂寥感や静けさを帯びた水路の風景を、浮田克躬らしい重厚な褐色を基調とした色彩で表現しています。
厚塗りの技法はこの時期にすでに確立されており、水路沿いの建物の壁や石畳に力強い質感を与えています。
この色彩と絵肌の質感、構築的な構図による水路や建物の配置が、パリの古い街の歴史と空気感を感じさせます。
海風の館
「海風の館」(1988)は日展で内閣総理大臣賞を受賞した、浮田克躬の画業の集大成とも言える晩年の傑作です。
具体的にどの場所をモチーフにしたとは明言されていませんが、ヨーロッパの海辺の街並み、そして歴史的な建造物が描かれています。
「海風の館」は、浮田克躬の確立した作風の要素が最も高い次元で融合した作品と評価されています。
構図の面では、海辺の風に耐えてきたであろう力強い館が、画面の中で揺るぎない安定感をもって描かれています。
建物の量感や配置が非常に緻密に計算され、重厚な骨格を持つ構図が特徴です。
絵肌の面では、浮田克躬の代名詞である厚塗りの技法が最大限に活かされています。
何度も色を重ねた絵肌は、荒々しい海風や歴史に晒された建物のざらついた質感や風化を、迫真のリアリティをもって伝えています。
また、全体として落ち着いたトーンの中に褐色や赤系統の色が絶妙なバランスで用いられ、画面に深みとドラマティックな雰囲気を与えています。
北の風景シリーズ
「北の風景」シリーズ(1959-1967)は、浮田克躬の画業を語るうえで重要な初期の代表シリーズです。
主に北海道の雪景色や街並みが描かれており、シリーズ内の作品には「函館雪景」「北国の町」「北国の港町にて」「雪景北海道三笠町附近」などがあります。
「北の風景」シリーズは、初めて北海道を訪れた浮田克躬が目にした雪景色や北国の厳しい自然への強い感銘から制作されました。
そのため、厳しい冬の光と影、雪が積もった建物の質感など、雪景色ならではの陰影の際立つ世界が深く追求されています。
寒色を基調とした抑制された色彩で北国の静けさや厳しい気候が描き出されるとともに、厚塗りの技法で雪や氷、建物の壁の重厚な質感がダイナミックに表現されているのが特徴です。
まだまだある浮田克躬の有名作品
これまでに挙げたもののほかにも、浮田克躬にはまだまだ多くの有名作品・人気作品があります。
| 城砦の島 | バスティユの冬 | 場末の河 | 古城と村 | フィレンツェのあかい屋根 |
| 僧院 | ブラジルの古い街 | 集荷場 | ガード下の風景 | コリウールの赤い屋根 |
| 丘の工場 | プロヴァンスの丘の村 | 丘陵の朝 | 北フランスの村 | ノルマンディ海岸の白い崖と海 |
| 村の眺望 | モン・サン・ミシェル | 城館のある村 | 丘陵と古い村 | オーヴェルニュ髙地の村 |
| 岬の集落 | 海を望む寺院の集落 | バルト海の丘 | オーベルニュの村 | 北フランスの丘陵と赤い屋根 |
| パリ街景 | 古城と赤い屋根の村 | 城塞の見える村 | モンマルトル風景 |
ここに名前を挙げたような浮田克躬作品をお持ちなら、保存状態などの条件によって高く買取される可能性があります。
具体的な価値については、ぜひ1度バイセルの無料査定でお確かめください。
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お申し込みフォームへ浮田克躬の絵画を高価買取してもらうためのポイント
構築的な画面構成と独自の厚塗り技法から生み出される重厚な絵肌、そして印象的な赤色で描く迫力ある風景で多くの美術ファンを魅了する浮田克躬の絵画は、美術品買取市場でも高い需要があります。
では、浮田克躬の絵画を少しでも高く売るためにはどのようなポイントに気をつければ良いでしょうか。
浮田克躬作品を含む絵画の買取において、より高く買取してもらうために知っておきたい3つのポイントをご紹介します。
- 綺麗な状態で保存しておく
- 鑑定書などの付属品を揃えておく
- 入手経路などの来歴を明確にしておく
綺麗な状態で保存しておく
浮田克躬を含む絵画の買取では、保存状態が良好である(制作当時の状態をなるべく保っている)ほど高く買取されやすい傾向があります。
反対に、ひび割れ、退色、シミ、シワ、カビ、傷、破れ、タバコの臭いがあるなど保存状態が悪いと、その分だけ買取価格は下がってしまいます。
浮田克躬のような有名作家の場合には多少の経年劣化があっても買取してもらえる場合も多いですが、高価買取の可能性は低くなってしまうでしょう。
作品を良い状態に保つためには、専用の袋や箱で保護する、直射日光を避けて風通しの良い場所で保管するなどの工夫をしてあげましょう。
鑑定書などの付属品を揃えておく
浮田克躬のような有名画家の作品をより高く売るためには、作者のサインや鑑定書・保証書といった、作品の価値を示す付属品の有無が重要な役割を果たします。
浮田克躬作品の場合、作品の右下の隅などに「Katsumi Ukita」または「K. Ukita」と署名が入っていることが多いです。
浮田克躬のサインは、絵画の特徴である厚塗りの絵肌に馴染むように、絵具を使って力強い筆致で施されているのが特徴です。
また、作品の裏側に、タイトル・制作年とともに日本語のサインが入っていることもあります。
これらのサインは作品の品質と信頼性を示す重要な証拠になるため、買取市場における信頼性が増すことで多くの需要を集め、より高い価格での買取につながる可能性があります。
鑑定書も同様の効果があり、付いていることで作品の価値を証明できるため買取市場における信頼性が増します。
鑑定書・保証書などの付属品がある場合には、作品本体と併せて大切に保管しておきましょう。
入手経路などの来歴を明確にしておく
浮田克躬をはじめとした絵画の査定では、買取市場における作品の信頼性のために「どこで手に入れたか」「いつ購入したか」「誰から譲り受けたか」など購入に至るまでの背景が確認されます。
例えば「業界で信頼されている専門店で購入した」「〇年△月に大きな展覧会に出品された」などの来歴は、作品の価値を判断するうえでも重要な情報になります。
そして、その来歴を証明する書類等があればさらに信憑性が増し、買取市場における信用度が増すことでより高く売れるかもしれません。
入手した経路や時期、出品された展覧会のリストや写真といった記録がある場合には、処分せずに大切に保管しておきましょう。
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