王蒙の絵画・掛け軸の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説

王蒙(おうもう)は、画面いっぱいに山々や樹木を幾層にも重ねた複雑で密度の高い構図の山水画で有名な中国の画家です。
中国美術史上の重要人物でもあることから、その作品は中国美術の愛好家を中心に高い評価を得ています。
美術的・歴史的・学術的にも価値が高く、骨董品として買取市場で売買されれば非常に高い買取価格がつく可能性もあるでしょう。
本記事では、王蒙の人物像や画家としての作風、代表作に加えて、買取市場で高く売れる理由、高い価値がつきやすい王蒙作品の特徴、王蒙の絵画・掛け軸を高価買取してもらうためのポイントなどについてご紹介します。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
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王蒙とは
王蒙(1308?-1385)は、中国の元朝末期から明朝初期の時代に活躍した画家です。
特に山水画が有名で、黄公望(こうこうぼう 1269-1354)・倪瓚(げいさん 1301-1374)・呉鎮(ごちん 1280-1354)と並んで「元末四大家」の1人に数えられています。
王蒙は1308年頃(正確な生年は不明)、現在の中国・浙江省に生まれました。
元朝初期の著名な文人・趙孟頫(ちょうもうふ 1254-1322)の外孫にあたる名家の出で、幼少から詩文や書画に親しんだといいます。
一家は当時の著名な芸術家たちと交流を持っていたこともあり、 王蒙は祖父の趙孟頫や巨匠・黄公望に師事して絵画を学びました。
緻密ながら壮大な山水画を確立し、王蒙は南宋画の大成者の1人と称されるまでの大作家になります。
画業と同時に官職にも就いていたようですが、元末の混乱期に官を辞し、杭州北部の黄鶴山(こうかくさん)に約30年間隠棲しました。
この時、黄鶴山樵(こうかくさんしょう)の雅号を名乗るようになります。
王朝が明に変わると、明朝の初代皇帝である洪武帝(こうぶてい 1328-1398)に招かれて再び仕官しますが、胡惟庸の獄(こいようのごく:時の宰相・胡惟庸が謀叛の罪で処刑された事件)に連座し、1385年に獄中で亡くなりました。
王蒙の作風
王蒙が得意としたのは山水画で、緻密な構図と壮大なスケールを両立させた作風が特徴です。
描写は綿密で、写実的な表現が後世の画家に大きな影響を与えました。
構図としては、画面いっぱいに山々や樹木を幾層にも重ねた、複雑で密度の高い構図が特徴的です。
また、山脈の連なりをダイナミックに表現し、限られた画面の中に広大な風景を表現する「咫尺万里(しせきばんり)」と評されるスケール感があります。
山や岩の質感を描き出す技法も緻密で、皴法(しゅんぽう:筆のタッチを駆使して自然物の立体感を作り出す技法)を巧みに使って岩石の特殊な質感を表現しました。
特に、短く細い線で層を重ねて編むように描く「牛毛皴(ぎゅうもうしゅん)」の技法により、趣のある質感を表現することに長けていました。
色彩の面では水墨を主体としながらも、ときに赭石(しゃせき:赤茶色の顔料)や藤黄(とうおう:黄色の顔料)を用いて、秋らしい暖かみのある色彩を加えることもあります。
王蒙作品の買取価格は高い?価値が高くなりやすい作品の特徴とは
中国美術史上の重要人物である王蒙の絵画・掛け軸は、歴史的価値もあいまって高い評価を受けている作品が多いです。
美術品買取市場での取引例は多くないのですが、買取市場に出てきた場合には非常に高い価値がつく可能性があるでしょう。
また、中国では2007年から「1911年以前に作られた中国骨董品・美術品の海外持ち出しを禁止する」というルールが施行されているため、王蒙のような古い時代の作家の作品は非常に希少性が高くなっています。
そのうえ、王蒙作品は古い時代のものであるため真筆(本人の筆によるもの)の作品の現存数が少なく、現存しているものの多くは後世の画家による模写です。
そんな中で王蒙の真筆の作品があれば、非常に高い価値がつく可能性があります。
王蒙だけでなく、絵画・中国掛軸など中国美術の買取では有名作家の作品ほど買取相場が高くなりやすい傾向があります。
以下のページでは、有名作家の作品など中国美術の買取相場、高く売るコツなど、中国美術の買取情報について記載してございます。
参考までにぜひご参照ください。
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王蒙の代表作
元末四大家の1人として後世の画家にも大きな影響を与えた王蒙には、中国のほかに日本・台湾・アメリカなど様々な国の美術館に所蔵されているような名画も多くあります。
ここではそんな王蒙作品の中でも、代表作と言えるような有名作品についてご紹介します。
具区林屋図軸(ぐくりんおくずじく)
「具区林屋図軸」は、元末文人画の最高傑作の1つと評価される、王蒙の代表的な掛け軸作品です。
台湾・台北の國立故宮博物院に所蔵されています。
「具区」とは中国・江南地方にある太湖(たいこ)の古い雅称で、タイトルの意味は「太湖の畔にある林に囲まれた家屋」となります。
この作品の特徴は、王蒙の代名詞ともいえる密度の高い構図です。
画面の隅々まで山を構成する岩が隙間なく描かれており、描きこまれた岩によるダイナミックな景観を作り出しています。
タイトルに「湖の畔」とありながら、画面のほとんどを占めるのは切り立った岩です。
その岩の質感を描くのには王蒙が得意とした牛毛皴が無数に用いられ、岩石の硬さや複雑な起伏、地表の湿度が幻想的に表現されています。
また、墨の濃淡が効果的に使われており、墨が濃い部分と薄い部分の対比によって風景に奥行きを生み出しています。
その岩の間に立つ家屋には読書をする文人や花を生ける女性の姿が描かれており、これは王蒙が理想とした隠棲生活を象徴しているものと考えられます。
葛稚川移居図軸(かっちせんいきょずじく)
「葛稚川移居図軸」は「具区林屋図軸」と同様、王蒙の複雑な山水表現の到達点とも言える傑作の掛け軸です。
中国・北京の故宮博物院に所蔵されています。
「葛稚川移居図軸」の画題となっているのは、中国晋代の著名な道士・葛洪(かつこう 283-343:字は稚川)が家族や弟子を連れて羅浮山(らふざん)に移り住み、不老不死の仙術を求めて修行に向かう物語です。
画面のほとんどを、羅浮山の険しい岩々がものすごい密度で埋め尽くしています。
岩の表現には牛毛皴をはじめとする細密な筆法が多用され、岩肌のリアリティと深山の静謐な雰囲気を醸し出しています。
この「葛稚川移居図軸」の特徴として、墨だけでなく顔料を使った秋の表現があります。
赭石(赤茶色)や石青・石緑(青色・緑色)を用い、山に生える樹木の葉の色づくさまを見事に表現しています。
また、画面下部には山間を縫って流れる清らかな渓流が効果的に描かれており、そこに架かる橋を葛洪が渡る様子が表現されています。
夏山高隠図軸(かざんこういんずじく)
王蒙が夏の山を描いた「夏山高隠図軸」も、緻密な山水表現が光る名作です。
台湾・台北の國立故宮博物院に所蔵されています。
タイトルにある「高隠」は世俗から離れた高潔な隠遁生活を意味し、暑い夏の季節における山奥での隠棲生活を主題としています。
「夏山高隠図軸」は王蒙の作品の中では数少ない夏期の山を描いた作品です。
岩が何層にも重なり合う複雑で密度の高い構図は王蒙の作品ではおなじみですが、そこに淡い緑の彩色を用いることで、夏特有の鬱蒼とした深い緑を表現しています。
決して鮮やかな色ではないのですが、それによって湿度が高さや生命力に満ちた夏の山の雰囲気が伝わってきます。
山間には隠者が住む家屋や、涼をとるための四阿が描かれており、そこには渓流のほとりなどで静かに過ごす文人の姿が確認できます。
このほかにも、「青卞隠居図(せいべんいんきょず)」「滌硯図(てきけんず)」など、王蒙の有名作品はいくつもあります。
また、王蒙の作品ならここに挙げたものでなくても、保存状態、真筆かどうか、模写ならいつの時代に制作されたものかなどの条件によって高い価値がつく可能性があります。
お持ちの王蒙作品の具体的な価値については、ぜひ1度バイセルの無料査定でお確かめください。
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お申し込みフォームへ王蒙の絵画や掛け軸を高価買取してもらうためのポイント
美術品としてはもちろん、歴史的価値も高い王蒙の絵画・掛け軸には、非常に高い価値が認められているものも多いです。
では、そんな王蒙の絵画や掛け軸を少しでも高く売るためには、どのようなポイントに気をつければ良いでしょうか。
王蒙作品を含む絵画や掛け軸の買取において、より高く買取してもらうために知っておきたい3つのポイントをご紹介します。
- 綺麗な状態で保存しておく
- 箱や鑑定書などの付属品を揃えておく
- 入手経路などの来歴を明確にしておく
綺麗な状態で保存しておく
絵画や掛け軸の買取で、買取価格に大きく関わるのが「保存状態」です。
保存状態の良いもの(制作当時の状態をなるべく保っているもの)は、買取価格が高くなりやすいでしょう。
その一方で、日焼け・シワ・色あせ・虫食いがあるなど、作品の状態が悪ければその分だけ価値は下がってしまいます。
そうならないためにも、直射日光を避ける、飾らない場合は箱に入れて風通しの良い場所で保管するなど、書や掛け軸の状態を保つための工夫をしてあげることが重要です。
箱や鑑定書などの付属品を揃えておく
絵画や掛け軸を含む骨董品の買取では、作者のサインや箱などの付属品の有無も買取価格に大きく関わってきます。
作者のサインはもちろんのこと、箱にも作者の箱書きが入っている場合があるなど、付属品が本物の証明になってくれることもあります。
そのため、サインや付属品があることで買取市場での信頼性が増し、より高い需要を集めて買取価格が高くなる可能性があるのです。
絵画・掛け軸の付属品としては、箱、風鎮(ふうちん:掛け軸の下部に吊り下げる重り)や紐(掛け軸を巻く際や吊るす際に使う)、そして鑑定書などの付属資料があります。
箱や風鎮・紐などの付属品は、汚れていたとしても揃っているだけで買取価格に影響するため、処分せずにとっておきましょう。
また、鑑定書がある場合はやはり買取市場における信頼性につながって買取価格アップにつながる可能性があります。
絵画や掛け軸本体とともに大切に保管しておいてください。
入手経路などの来歴を明確にしておく
王蒙の絵画・掛け軸など価値ある骨董品の査定では、買取市場における作品の信頼性のために「どこで手に入れたか」「いつ購入したか」「誰から譲り受けたか」など購入に至るまでの背景が確認されます。
例えば「業界で信頼されている専門店で購入した」「著名な好事家が所有していた」などの来歴は、作品の価値を判断するうえでも重要な情報になります。
そして、その来歴を証明する書類等があればさらに信憑性が増し、買取市場における信用度が増すことでより高く売れるかもしれません。
入手した経路や時期、過去に所有していた人物といった記録がある場合には、処分せずに大切に保管しておきましょう。
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