荻須高徳作品の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説

荻須高徳(おぎすたかのり)は、パリの街並みを描き続けたことで知られる日本の洋画家です。
人々の生活の息づかいをも感じさせる温かい眼差しの風景画は非常に評価が高く、美術品買取市場でも高価買取されるケースがあります。
本記事では、荻須高徳作品の特徴や代表作・有名作品に加えて、買取市場で高く売れる理由、高く売れやすい荻須高徳作品の特徴、荻須高徳の絵画を高価買取してもらうためのポイントなどについてご紹介します。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
目次
荻須高徳とは
荻須高徳(1901-1986)は、大正から昭和期にかけて活躍した日本の洋画家です。
その生涯のほとんどをフランスのパリで過ごし、パリの街並みを描き続けたことで知られています。
現在の愛知県稲沢市に生まれた荻須高徳は、1921年に上京すると川端画学校、東京美術学校(現在の東京藝術大学)で西洋画を学びます。
そして1927年に東京美術学校を卒業すると、すぐにフランス・パリへ渡りました。
パリでは先輩画家の佐伯祐三(さえきゆうぞう 1898-1928)らと切磋琢磨しながら腕を磨き、1928年にはサロン・ドートンヌ(フランスで毎年秋に開催される美術展覧会)に初入選を果たします。
その後、第二次世界大戦の戦況悪化により1940年に一時帰国を余儀なくされますが、終戦後の1948年には再びパリへ渡り、以降亡くなるまでパリで制作活動を行いました。
荻須高徳の絵画はフランス・日本の双方で非常に人気が高く、フランスではレジオン・ドヌール勲章を、日本では文化勲章を受章するなど高く評価されています。
荻須高徳の作品は、故郷の稲沢市にある「稲沢市荻須記念美術館」ほか、全国のいくつもの美術館に収蔵されています。
荻須高徳の作風と代表的なモチーフ
荻須高徳は、一貫してパリやヴェネツィアの風景を描き続けたことで知られています。
特に、華やかな観光名所ではなく、裏通り・古い建物・寂れた商店・工場地帯・路地のカフェといった、パリの日常生活が息づく場所を好んで描きました。
それらの場所が持つ歴史や人々の営みを丹念に観察し、画面に落とし込んでいるのが特徴と言えるでしょう。
それによって、単なる風景画ではなく、経年による風合いや人々の生活の痕跡といった「そこに流れる時間」を表現しようとしました。
また、荻須高徳の作品には落ち着いた色彩のものが多いのですが、その中でもパリの独特な光と影を表現する深みのある灰色は特徴と言えます。
緻密な描写をしていながらノスタルジックで詩的な雰囲気を醸し出している荻須高徳作品は、日本だけでなくパリの人々からも長く愛され続けています。
荻須高徳の作品の種類
荻須高徳が得意とするのはパリの風景を描いた油彩画ですが、ほかにも水彩画や、リトグラフなどの版画作品もあります。
一点ものであるという点で油彩などの肉筆画は価値が高くなりやすいですが、版画作品も美術品買取市場で人気が高く、活発に取引されています。
荻須高徳作品の買取価格は高い?高く売れやすいポイントとは
文化勲章受章者でもある荻須高徳には、美術館に収蔵されているものなど貴重な作品も多くあります。
比較的希少性の低い版画作品などは買取市場でも出会うことが多いですが、やはり非常に人気が高く、高価買取されやすい作家であると言えます。
荻須高徳作品の中でも美術品買取市場で高く買取されやすいのは、やはり肉筆の油彩画でしょう。
モチーフではやはりパリの街並みが描かれた作品の評価が高く、特に人々の生活が息づくパリの裏通りや歴史ある建物を描いたものは人気が高いです。
また、パリ特有のグレーがかったシックな色調の中に、アクセントとして鮮やかな赤や緑の看板・壁などが効果的に配されている作品は人気になりやすい傾向があります。
こういった人気作品なら、買取価格も高くなりやすいでしょう。
荻須高徳だけでなく、絵画の買取では有名作家の作品ほど買取相場が高くなりやすい傾向があります。
以下のページでは、有名作家の作品など西洋画の買取相場や高く売るためのポイントなど、西洋画の買取情報について記載してございます。
参考までにぜひご参照ください。
バイセルでの絵画の買取実績は?
バイセルには、西洋画をはじめとした絵画の買取実績が数多くございます。
以下の各ページでは、西洋画をはじめとした絵画の買取相場や、バイセルでの実際の買取例について記載してございます。
参考までにぜひご覧ください。
荻須高徳の代表作
荻須高徳の、パリという都市の記憶と、そこに生きる人々の感情が溶け込んだ人間味あふれる作品は、多くの美術ファンを魅了し続けています。
懐かしさと温かさに包まれるような荻須高徳の絵画は、美術品買取市場でも高い支持を集めています。
ここでは、買取市場で出会うことのあるものから美術館に所蔵されているものまで、荻須高徳の代表作をご紹介します。
広告塔
「広告塔」(1928)は、荻須高徳がパリに渡って間もなく描かれた、初期の代表作として知られる油彩画です。
パリの街角にある円筒形の広告塔が描かれており、パリの日常の静けさや、そこに漂う詩情が表現されています。
抑えられた色彩の中にパリ特有の光や影、建物の質感が繊細に捉えられているなど、荻須高徳らしさがすでに見えています。
荻須高徳のパリでの画業の始まりとして、非常に重要な作品の一つと言えるでしょう。
サン・タンドレ・デザール広場
「サン・タンドレ・デザール広場」(1938)は、荻須高徳がフランスに渡ってから約10年が経った1938年に制作された油彩画です。
フランスのジョルジュ・ポンピドゥー国立芸術文化センターに所蔵されており、荻須高徳がフランスの美術界においても高く評価されていることを示す作品と言えるでしょう。
この作品のモチーフはタイトルの通り、パリのセーヌ川岸にあるサン・タンドレ・デザール広場です。
広場に立つ建物や店先の様子、その間を歩く人々など、パリの日常の営みが静かに丁寧に描かれています。
落ち着いた色調の中に、建物の壁・窓・看板などに微妙な色の変化やアクセントが加えられ、単調ではない深みのある色彩となっているのが特徴です。
荻須高徳のキャリア中期における重要な作品の1つと言えるでしょう。
モンマルトル裏
「モンマルトル裏」(1940)は、第二次世界大戦の戦況悪化によって、荻須高徳がパリから一時帰国する直前の時期に描かれた油彩画です。
東京国立近代美術館に収蔵されています。
描かれているのは、パリのモンマルトル地区の裏通りです。
レンガの壁や窓枠の細部まで丁寧に描写され、長年にわたる人々の営みの痕跡や、生活の息遣いが伝わってきます。
モンマルトル地区で有名なサクレ・クール寺院などではなく、裏通りの古びた建物や路地、そしてそこに漂う雰囲気を描いているという点で、荻須高徳の画風を特徴づける要素が凝縮された重要な一枚であると言えるでしょう。
パリの街の真の姿を愛し、表現し続けた荻須高徳の画業を象徴するような作品となっています。
パリの屋根、人と街灯
「パリの屋根、人と街灯」(1950)は、荻須高徳が彼がパリの街の象徴的な風景の一つとして屋根に着目し、その魅力を描いた「パリの屋根」シリーズの中の1作です。
稲沢市荻須記念美術館に所蔵されています。
パリの建物群の屋根が広がる風景と、その中に見える街灯や人影など、人々の生活が息づくパリの日常が表現されています。
荻須自身が「パリの建物の屋根はすっきりとした簡素な直線で基本は灰色がかった色調で上品である」と語っている通り、灰色がかったシックな色彩でパリの屋根独特の傾斜や煙突の連なりが特徴的な作品です。
「パリの屋根、人と街灯」をはじめとする「パリの屋根」シリーズは、荻須高徳がパリの街を愛し、その風景の奥に潜む詩情や人間味を捉えようとした彼の画業を象徴するテーマの1つと言えるでしょう。
金のかたつむり
「金のかたつむり」(1978)は、荻須高徳の最晩年の代表作として知られる油彩画です。
稲沢市荻須記念美術館に所蔵されており、同美術館のシンボル的な存在となっています。
描かれているのはパリの街角にある古びた建物の一角で、壁にそびえる大きな金のかたつむりの看板が印象的です。
荻須高徳特有のシックなトーンの中で、金のかたつむりは強い色彩的なアクセントとして目に飛び込んできます。
日常の中に埋もれた個性的な存在に光を当てることで、その場所が持つ物語性を感じさせ、観る者に親近感を抱かせます。
パリの街の片隅にある「何でもないけれど愛おしいもの」を独自の感性で描いた、荻須高徳の真骨頂とも言える作品です。
まだまだある荻須高徳の有名作品
これまでに挙げたもののほかにも、荻須高徳にはまだまだ多くの有名作品・人気作品があります。
靴屋メトロ | ラ・グリーユ | リオ・ディ・カトロン | サンタ・マリア・マッダレーナ広場 |
金の時計盤 | ピア通り | モントルグイユ通り | サン・マルタンの裏町、パリ |
石炭屋 | プラス・サンタンドレ | カンカンポワ通り | 路に面した家・パリ |
街角 | 金獅子亭 | 4月アルジャントゥイユ | クロワッサン通り |
赤い家 | バン・ドゥーシュ | 黄色い壁の家 | 中庭に続くロケット通り |
街の本屋 | カフェ・タバ | マレーのたばこ屋 | グラン・カナル |
青い家 | 青い日よけ | 門 |
ここに名前を挙げたような荻須高徳作品をお持ちなら、保存状態などの条件によって高く買取される可能性があります。
具体的な価値については、ぜひ1度バイセルの無料査定でお確かめください。
荻須高徳の絵画を高価買取してもらうためのポイント
日本・フランスの双方で高く評価されている荻須高徳の絵画は、美術品買取市場でも高い需要があります。
では、荻須高徳の絵画を少しでも高く売るためにはどのようなポイントに気をつければ良いでしょうか。
荻須高徳作品を含む絵画の買取において、より高く買取してもらうために知っておきたい3つのポイントをご紹介します。
- 綺麗な状態で保存しておく
- 鑑定書などの付属品を揃えておく
- 入手経路などの来歴を明確にしておく
綺麗な状態で保存しておく
荻須高徳を含む絵画の買取では、保存状態が良好である(制作当時の状態をなるべく保っている)ほど高く買取されやすい傾向があります。
反対に、ひび割れ、退色、シミ、シワ、カビ、傷、破れ、タバコの臭いがあるなど保存状態が悪いと、その分だけ買取価格は下がってしまいます。
荻須高徳のような有名作家の場合には多少の経年劣化があっても買取してもらえる場合も多いですが、高価買取の可能性は低くなってしまうでしょう。
作品を良い状態に保つためには、専用の袋や箱で保護する、直射日光を避けて風通しの良い場所で保管するなどの工夫をしてあげましょう。
鑑定書などの付属品を揃えておく
荻須高徳のような有名画家の作品をより高く売るためには、作者のサインや鑑定書・保証書といった、作品の価値を示す付属品の有無が重要な役割を果たします。
荻須高徳の作品には、作品の右下あるいは左下に「OGUISS」というサインが入っているものも多いですが、それに加えて鑑定書があれば、作品の価値を証明するのに役立つでしょう。
買取市場における信頼性が増すことで多くの需要を集められ、より高い価格での売却にもつながる可能性があります。
鑑定書・保証書などの付属品がある場合には、作品本体と併せて買取前に揃えておきましょう。
なお、荻須高徳作品について最も信頼度の高い鑑定機関としては、荻須高徳の娘である荻須恵美子氏が運営する「レザミ・ド・オギス」があります。
入手経路などの来歴を明確にしておく
荻須高徳をはじめとした絵画の査定では、買取市場における作品の信頼性のために「どこで手に入れたか」「いつ購入したか」「誰から譲り受けたか」など購入に至るまでの背景が確認されます。
例えば「業界で信頼されている専門店で購入した」「〇年△月に××博物館に貸し出した」などの来歴は、作品の価値を判断するうえでも重要な情報になります。
そして、その来歴を証明する書類等があればさらに信憑性が増し、買取市場における信用度が増すことでより高く売れるかもしれません。
入手した経路や時期、美術館への貸出履歴といった記録がある場合には、処分せずに大切に保管しておきましょう。
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