糸園和三郎の絵画の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説

糸園和三郎(いとぞのわさぶろう)は、現代人が抱える不安や孤独といった内面を深く描き出す作風で知られる日本の洋画家です。
抑制された色使いと深い陰翳による心象表現は非常に評価が高く、美術品買取市場でも高価買取されるケースがあります。
本記事では、糸園和三郎作品の特徴や代表作・有名作品に加えて、買取市場で高く売れる理由、高く売れやすい糸園和三郎作品の特徴、糸園和三郎の絵画を高価買取してもらうためのポイントなどについてご紹介します。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
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目次
糸園和三郎とは
糸園和三郎(1911-2001)は、昭和から平成にかけて活躍した日本の洋画家です。
特に、現代人が抱える不安や孤独といった内面を深く描き出す作風で知られています。
糸園和三郎は1911年、大分県中津市で生まれました。
少年時代に骨髄炎という大病を患い、旧制中学への進学を断念するという挫折を味わいました。
それでも1927年に画家を志して上京し、川端玉章(かわばたぎょくしょう 1842-1913)の川端画学校や、前田寛治(まえたかんじ 1896-1930)の前田写実研究所で絵を学び、画家としての人生を歩み始めます。
すると1930年の春陽会展で初入選を果たし、翌年からは独立美術協会展でも入選を重ねるなど、頭角を現していきました。
やがて世界は第二次世界大戦へと突入していきますが、糸園和三郎は戦時下の厳しい思想統制のもとでも戦争画を描かず、表現の自由を守る姿勢を貫きました。
1945年の東京大空襲でほぼすべての作品が焼失するという苦境もありましたが、糸園和三郎は折れることなく自身の画業を続けます。
戦後には自由美術家協会の中心的な画家として活動したほか、1964年以降は無所属の身となって己の画業を突き詰めていきます。
また、日本大学芸術学部で長年講師を務めるなど、後進の育成にも尽力しました。
晩年には両目の視力をほとんど失いながらも、2001年に89歳で亡くなるまで制作を続けました。
糸園和三郎の作風
画業の初期にはシュルレアリスムの影響を強く受け、夢や無意識の世界を象徴的に描く作品が多く見られた糸園和三郎ですが、戦後になると人物・鳥・馬・水辺といった具体的なモチーフを描くようになりました。
その作風は、深い陰翳に包まれながらも独特の温かみを持っているのが特徴です。
荒々しくも繊細な筆致で、写実性を基盤にしながらも心象風景を深く掘り下げた独自のリアリティを確立しています。
色彩の面では抑制された色使いが特徴で、神秘性や精神性を表すような紫色が印象的に用いられています。
また、糸園和三郎の作品では、心に浮かんだ映像を長い時間をかけてキャンバスに反映させるという独自技法が採られています。
それによって画面から余計な対象物が排除され、静謐でありながら深い情感を湛えています。
作品のテーマとしては、抑圧された人間像や、現代人が抱える不安や孤独などを詩情豊かに表現しているものが多いです。
画面は静謐でありながら、人間のリアルや温もりが感じられます。
糸園和三郎作品の買取価格は高い?高く売れやすいポイントとは
現代人が抱える不安や孤独といった内面を深く描き出す糸園和三郎の絵画には多くの美術ファンからの高い支持があります。
美術品買取市場でも糸園和三郎作品の人気は高く、高価買取されるケースもあります。
糸園和三郎作品の中でも美術品買取市場で高く買取されやすいのは、人物・鳥・馬・水辺などの代表的なモチーフを描いた肉筆の油彩画です。
糸園和三郎にはリトグラフなどの版画作品もありますが、より高く評価されやすいのは肉筆の作品です。
特に、糸園和三郎の印象的な色彩である紫色が効果的に使われた作品は、買取市場でも高い人気を獲得しやすいでしょう。
糸園和三郎だけでなく、絵画の買取では有名作家の作品ほど買取相場が高くなりやすい傾向があります。
以下のページでは、有名作家の作品など西洋画の買取相場や高く売るためのポイントなど、西洋画の買取情報について記載してございます。
参考までにぜひご参照ください。
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糸園和三郎の代表作
現代人が抱える不安や孤独などを独特の温かみをもって描き出す糸園和三郎の絵画は、多くの美術ファンを魅了しています。
ここでは、糸園和三郎の絵画の中でも特に人気の高い、代表作と言うべき作品についてご紹介します。
鳥の壁
「鳥の壁」(1957)は、第4回日本国際美術展で佳作賞を受賞した、糸園和三郎の戦後の代表作の1つです。
東京国立近代美術館に所蔵されています。
「鳥の壁」は、画面のすべてが壁という、特徴的な構図の作品です。
壁の表面はざらついた絵肌で表現されており、画面右側には壁に描かれた鳥のモチーフが3つ並んでいます。
この壁は現実の構造物というよりは、人間の心象風景、すなわち閉鎖感・抑圧・孤独といった内面的な感情を象徴していると解釈されています。
色彩の面では、糸園和三郎の特徴である抑制された色調が顕著です。
暗い灰色や茶などが用いられ、重厚で静謐な雰囲気を醸し出しています。
モチーフが極限まで削ぎ落とされたシンプルな構成ながら、詩的で深い悲哀が感じられる印象深い作品だと言えるでしょう。
「黒い水」「黄いろい水」
糸園和三郎の「黒い水」および「黄いろい水」は、1968年の第8回現代日本美術展でK氏賞を受賞した連作です。
どちらも神奈川県立近代美術館に所蔵されています。
この連作が制作された1968年は、ベトナム戦争が激化し、世界中で反戦運動が高まっていた時代です。
糸園和三郎は現地で撮影された報道写真をもとに、過酷な戦争の状況や、そこに巻き込まれた人間の姿を作品に組み込みました。
どちらの絵にも画面全体を上下に区切る太い線が描きこまれており、ベトナムが南北に分かれて戦ったことを暗示しているように思えます。
「黒い水」には、黒い影のような人物と、アメリカ国旗が描かれています。
影のような人物は、人々の戦争による苦悩や抑圧された状態を象徴していると考えられます。
「黄いろい水」には、首のない人物が倒れている様子と、ベトナムの地図が描かれています。
戦火によって被害を受けたベトナム国民、およびベトナムの国土を象徴していると考えられます。
個人の内面世界を多く描いてきた糸園和三郎が、時代と社会の現実に対しても真摯に向き合った絵画として重要な作品と言えるでしょう。
ひとり
「ひとり」(1970)は、糸園和三郎の生涯の主要なテーマである「人間の内面と孤独」を、最も純粋かつ力強く表現した代表作の1つです。
東京国立近代美術館に所蔵されています。
画面には、雲におおわれた空のようなぼんやりとした背景に、柱のような長い直方体に足を埋めた人物がたたずんでいる様子が描かれています。
余分な背景や装飾が削ぎ落とされている分、鑑賞者の視線は人物そのものに集中させられます。
人物には特徴的なポーズも表情もないのですが、静謐な存在感があります。
色彩は糸園和三郎らしく抑制されており、深い紫・茶・黒といった色が人物の孤独や内省に深く共鳴しているように感じられます。
また、「ひとり」では深い陰翳が効果的に用いられています。
人物の大部分は影に覆われているのですが、シャツやおでこのほんの一部が光に照らされていることで、温もりや生命力も伝えています。
鳥をとらえる女
「鳥をとらえる女」(1953)は、糸園和三郎が戦後初期に所属していた美術団体「自由美術家協会」時代に制作された代表作の1つです。
大分県立美術館に所蔵されています。
描かれているのは、地面にいる鳩のような鳥を両手で掴む女性の姿です。
女性像は簡略化されており、塊のようなフォルムで捉えられているのが特徴的です。
これは、具象性は保ちながらも、形態の持つ原始的な力や生命力を抽出しようとする意図によると考えられます。
色彩の面では、やはり糸園和三郎の特徴である重厚で抑制された色が用いられています。
女性の肌の表現も土や岩のような質感を感じさせる粗々しい絵肌となっており、画面にエネルギーと力強さが感じられます。
ほかにも「ブランコの老人」「母子像」「犬のいる風景」「老夫」「老婦と子ども」「丘の上の大樹」「丘の或る日」など、糸園和三郎には数多くの人気作品があります。
また、ここに名前のない作品であっても、糸園和三郎作品であれば保存状態などの条件によって高く買取してもらえる可能性があります。
お持ちの糸園和三郎作品の具体的な価値については、ぜひ1度バイセルの無料査定でお確かめください。
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お申し込みフォームへ糸園和三郎の絵画を高価買取してもらうためのポイント
現代人が抱える不安や孤独などを独特の温かみをもって描き出す糸園和三郎の絵画は多くの美術ファンを魅了しており、美術品買取市場でも高い需要があります。
では、糸園和三郎の絵画を少しでも高く売るためにはどのようなポイントに気をつければ良いでしょうか。
糸園和三郎作品を含む絵画の買取において、より高く買取してもらうために知っておきたい3つのポイントをご紹介します。
- 綺麗な状態で保存しておく
- 鑑定書などの付属品を揃えておく
- 入手経路などの来歴を明確にしておく
綺麗な状態で保存しておく
糸園和三郎を含む絵画の買取では、保存状態が良好である(制作当時の状態をなるべく保っている)ほど高く買取されやすい傾向があります。
反対に、ひび割れ、退色、シミ、シワ、カビ、傷、破れ、タバコの臭いがあるなど保存状態が悪いと、その分だけ買取価格は下がってしまいます。
糸園和三郎のような有名作家の場合には多少の経年劣化があっても買取してもらえる場合も多いですが、高価買取の可能性は低くなってしまうでしょう。
作品を良い状態に保つためには、専用の袋や箱で保護する、直射日光を避けて風通しの良い場所で保管するなどの工夫をしてあげましょう。
鑑定書などの付属品を揃えておく
糸園和三郎のような有名画家の作品をより高く売るためには、作者のサインや鑑定書・保証書といった、作品の価値を示す付属品の有無が重要な役割を果たします。
糸園和三郎作品の場合、作品の左下や右下の隅などに小さく目立たないように、「W. Itozono」 や 「Wasaburo」とアルファベットのサインが入っていることが多いです。
これらのサインは作品の品質と信頼性を示す重要な証拠になるため、買取市場における信頼性が増すことで多くの需要を集め、より高い価格での買取につながる可能性があります。
鑑定書も同様の効果があり、付いていることで作品の価値を証明できるため買取市場における信頼性が増します。
鑑定書・保証書などの付属品がある場合には、作品本体と併せて大切に保管しておきましょう。
なお、糸園和三郎作品について信頼性の高い鑑定機関としては、東美鑑定評価機構鑑定委員会や東京美術倶楽部鑑定委員会があります。
入手経路などの来歴を明確にしておく
糸園和三郎をはじめとした絵画の査定では、買取市場における作品の信頼性のために「どこで手に入れたか」「いつ購入したか」「誰から譲り受けたか」など購入に至るまでの背景が確認されます。
例えば「業界で信頼されている専門店で購入した」「〇年△月に大きな展覧会に出品された」などの来歴は、作品の価値を判断するうえでも重要な情報になります。
そして、その来歴を証明する書類等があればさらに信憑性が増し、買取市場における信用度が増すことでより高く売れるかもしれません。
入手した経路や時期、出品された展覧会のリストや写真といった記録がある場合には、処分せずに大切に保管しておきましょう。
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