堂本印象作品の買取価格は高い?代表作5選や高価査定のポイントを解説

堂本印象は、日本画の伝統を踏まえながら独自の表現を生み出した人気画家です。
絵画作品や掛け軸などを中心に買取市場でも高い人気があり、高い価格で買取されるケースも多くあります。
本記事では、堂本印象の作風や代表作の解説のほか、高く売れやすい作品の特徴や高価買取のポイントについてもご紹介します。
「堂本印象の買取価格は?」「どんな作品が高く売れる?」など、堂本印象作品の買取について疑問をお持ちの方はぜひご一読ください。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
目次
堂本印象とはどんな人物?
堂本印象(本名:堂本三之助 1891-1975)は、京都生まれの画家です。
1910年(明治43年)に京都市立美術工芸学校を卒業後、西陣織の図案描きとして働いていました。
しかし、画家になるべく、京都市立絵画専門学校(現在の京都市立芸術大学)に入学します。
1924年(大正13年)に同校を卒業し、1919年(大正8年)に帝展に初出展した「深草」で入選を果たしました。
その後の帝展でも特選や帝国美術院賞を受賞し、日本画家としての知名度を上げていきます。
1961年(昭和36年)には、文化勲章を受章し、1963年(昭和38年)には大阪カテドラル聖マリア大聖堂に「栄光の聖母マリア」を描いたことが評価され、当時のローマ教皇から聖シルベストロ文化第一勲章を受章しました。
また、画壇の指導者としても活躍するなど、現代の日本画に大きな影響を与えている人物と言えます。
堂本印象の作風の変遷
堂本印象の作品は、活動の前期と後期で大きく作風が異なっていることでも知られています。
前期(昭和初期まで)の作品では花鳥画など、伝統的なモチーフを伝統的な表現様式で描く日本画が中心となっていました。
古典的な画風といっても良いでしょう。
しかし第二次世界大戦後には日本画による抽象画を試み、従来の日本画の枠組みにとらわれない新しい表現方法を探求しました。
特にパステルカラーを基調とした風景画や、「新造形」と呼ばれる鮮やかな色彩と墨による抽象画など、これまでの日本画に無かった晩年の斬新な画風は、美術品買取市場でも高く評価されています。
堂本印象の代表作5選
長きにわたって日本画の第一線で活躍し続けた堂本印象には、美術館に収蔵されているものや壁画なども含め、多くの有名作品があります。
ここでは、その中からごく一部ではありますが、特に人気の高い代表作を5つご紹介します。
- 深草
- 訶梨帝母
- 木華開耶媛
- メトロ
- 交響
深草
「深草」は堂本印象のデビュー作で、1919年に帝展で初入選を果たした作品です。
作品を描くにあたり、京都南東の深草周辺に赴いて数点のスケッチを残しました。
数点のスケッチの中で、収穫後の農村地帯を描いたものを採用し、晩秋の静けさを表現しています。
「深草」は初期の作品のため、繊細なタッチと淡さやくすみ感のある色合いが特徴です。
日本画の伝統的な部分を残しつつも、西洋画の特徴を随所に採り入れており、色の濃淡による立体表現も見どころの1つといえます。
訶梨帝母
「訶梨帝母(かりていも)」は、1922年の作品です。
「訶梨帝母」とは「鬼子母神」のことで、子どもを食う鬼女が釈迦の説教で改心し、子どもを守る女神になったという伝説です。
「訶梨帝母」は、仏像や掛け軸など他のジャンルにも数多く存在しており、立ち姿や表情は作品によって異なります。
堂本印象の「訶梨帝母」は、無限の哀れみと慈愛の表情を浮かべて子どもたちを抱く鬼女を神々しく繊細に描いている点が特徴です。
また左右には女性と僧侶の姿も描かれています。
木華開耶媛
「木華開耶媛(このはなさくやひめ)」は、1929年の作品です。
「木華開耶媛」は人物名で「古事記」に登場する、木の華のように麗しい女神を指します。
天照大神(あまてらすおおみかみ)の孫、邇邇芸命(ににぎのみこと)の妻で、安産・春の女神として古くから人々に愛されてきました。
堂本印象の「木華開耶媛」は、春の女神を象徴するような桜やタンポポとともに彼女を描いている点がポイントです。
また柔らかいタッチで女性らしさや温かさも感じ取れます。
メトロ
「メトロ」は1953年の作品で後期にあたるため、ガラッと作風が変わります。
パリの地下鉄車内をテーマにしており、乗客は他人には全く関心を示さず、それぞれ過ごしています。
人々の目には光がなく、怖さを感じる方もいるでしょう。
目に光がないのは、都会の人々の孤独や無関心をイメージさせ、不安の中で生きている現代人の生活を表しているようです。
「メトロ」を皮切りに紫や黄色、ピンクなどのポップなカラーが使われるようになり、堂本印象の特徴として定着していきました。
交響
「交響」は1961年、文化勲章を受章した年に制作された作品です。
交響曲をテーマにしており、堂本印象は「楽譜を自分なりに解釈して、絵の中で交響曲を表したい」とコメントしました。
交響曲という絵での表現が難しいテーマに対し、線の交錯や重なり、色の濃淡などで楽譜を表しています。
作品で目を惹くのは中央に重なる黒い直線ですが、周囲に飛び散っている墨や絵具や、背景の黄色や青色で音やメロディーを表している点もポイントです。
堂本印象作品の買取価格は高い?
文化勲章受章者でもある堂本印象には、美術館に収蔵されているものや宮内庁で保管されているものなど、貴重な作品も多くあります。
そのため、買取市場で出会いやすい作家とは言えないのですが、作品が買取市場に出てきたときには高い買取価格がつきやすいとも言えます。
買取市場で人気が高いものとしては、掛け軸作品が多くあります。
特に、活動後期の堂本印象ならではの作風のものに、高い買取価格がつきやすいでしょう。
堂本印象だけでなく、日本画など絵画の買取では有名作家の作品ほど買取相場が高くなりやすい傾向があります。
以下のページでは、有名作家の作品をはじめとした日本画の買取相場や高く売るコツなど、日本画の買取情報について記載してございます。
参考までにぜひご参照ください。
バイセルでの日本画・掛け軸の買取実績は?
バイセルには、堂本印象を含む日本画や掛け軸の買取実績が数多くございます。
以下の各ページでは、日本画・掛け軸のバイセルでの実際の買取例について記載してございます。
参考までにぜひご覧ください。
堂本印象作品を高価買取してもらうためのポイント
堂本印象作品には美術品買取市場で人気の高いものも多いですが、その中でも高く買取されやすいものには一定の特徴があります。
ここでは、「こんな堂本印象作品なら高価買取されやすい」という4つの特徴についてご紹介します。
- 晩年の作品である
- 落款がある
- 鑑定書など付属品が揃っている
- 傷や汚れがなく保存状態が良い
晩年の作品である
堂本印象の作品は前期と後期でガラッと作風が変わっており、晩年のほうが買取価格は高い傾向にあります。
特に、パステルカラーの風景画や、堂本印象ならではの抽象画が人気です。
こういった、後期の堂本印象らしい作品で保存状態が良ければ、高く買取される可能性はあるでしょう。
落款がある
落款(らっかん)とは、作者のサインやマークのことです。
落款が確認できれば、本物の堂本印象作品であることを表しますので、査定もスムーズになるでしょう。
落款は、主に作品の裏や木箱に記されています。
お手持ちの堂本印象作品に落款があるかどうか、確認してみましょう。
鑑定書など付属品が揃っている
堂本印象など絵画作品の買取では作品本体だけでなく、以下のような付属品が揃っている方が高く買取されやすい傾向があります。
- 外箱
- 木箱(掛け軸)
- 額縁
- 黄袋(作品を箱に入れる際に出し入れをしやすくし、傷がつかないようにするもの)
- 鑑定書
- 保証書
特に鑑定書や保証書といった、作品の価値を示す付属品の有無は重要です。
こういった付属品があることで買取市場における信頼が増し、より多くの需要を集められるでしょう。
堂本印象作品の鑑定機関について
鑑定書とは専門家による詳細な評価が記された文書で、作品の真偽や価値を証明するための資料です。
堂本印象作品の公式の鑑定機関としては、 京都府京都市のギャラリー鉄斎堂内にある「堂本印象鑑定委員会」があります。
堂本印象作品に関しては最も信頼されている鑑定機関ですので、堂本印象鑑定委員会発行の鑑定書があれば、買取市場でも高く評価されやすくなります。
傷や汚れがなく保存状態が良い
絵画買取において、作品にシミや日焼けなどの汚れや、劣化がないかどうかも大切です。
堂本印象の作品は古いものもあるため、ある程度の経年劣化は仕方ありません。
しかし傷や汚れがひどい場合は、作品自体の価値が高くても買取価格が下がる可能性があります。
良い状態を保つためにも、保管場所には日光を避け、暗いところを選びましょう。
また、湿度が高いとカビが発生する可能性があるため、風通しの良い場所で保管するのもポイントです。
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バイセルの査定士は、高い専門知識と豊富な査定経験を生かして、堂本印象作品をはじめとした絵画1点1点の価値をしっかりと見極め、正確に鑑定します。
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「試しに価値がどれくらいか聞いてみたい」「傷や汚れがあって売れるか不安」といった場合にも無料でご相談いただけます。
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堂本印象作品が楽しめる美術館
堂本印象作品の中には、美術館に所蔵されているものも数多くあります。
この記事の最後に、堂本印象作品を楽しむことができる美術館情報についてご紹介します。
堂本印象に関する美術館の中で代表的なのが、京都府立堂本印象美術館(京都府京都市)です。
堂本印象自身が内装から外観までデザインしたこの美術館には、約2,500点もの堂本印象作品が収蔵されています。
そのほか、日本国内では以下の美術館で堂本印象作品を楽しむことができます。
- 天童市美術館(山形県天童市)
- 富山県水墨美術館(富山県富山市)
- 佐久市立近代美術館 油井一二記念館(長野県佐久市)
- 東京国立近代美術館(東京都千代田区)
- 東京富士美術館(東京都八王子市)
- 神奈川県立近代美術館 葉山館・鎌倉別館(神奈川県三浦郡葉山町)
- 三重県立美術館(三重県津市)
- 京都国立近代美術館(京都府京都市)
- 西宮市大谷記念美術館(兵庫県西宮市)
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