有元利夫の作品は高価買取してもらえる?高く売るためのコツもご紹介

有元利夫は、フレスコ画と日本画を巧妙に融合させた独自の表現で人気を集めている画家です。
版画作品も多く制作しており、絵画・骨董品買取市場でも高い価格で取引されることが多い画家の1人と言えます。
この記事では、有元利夫の人物や作品の特徴、代表作に加えて、買取市場で高く売れる理由、有元利夫作品をより高く売るためのコツなどについてご紹介します。
有元利夫の絵画の売却を検討している方、「どれくらいの価値があるのか知りたい」という方はぜひ参考にしてみてください。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
目次
有元利夫とは
有元利夫(1946-1985)は、西洋画・日本画のどちらともいえない、独特の表現方法を持った画家です。
幼い頃からゴッホを好んでおり、小学生のときに出品した絵画コンクールでは最優秀賞に選ばれるなど、画家としての才能が溢れていた逸話があります。
有元利夫は、疎開先の岡山県津山市で生まれ、生後間もなく東京に戻ると、以後、人生の大半を台東区谷中で過ごしました。
駒込高等学校在学中に版画家・中林忠良(1937-)の指導を受けると、1969年には東京藝術大学美術学部デザイン科に入学します。
その在学中、ヨーロッパ旅行でイタリアのフレスコ画に感銘を受け、フレスコ画の表現手法と日本画との融合を試みる契機となりました。
1972年には、卒業制作「私にとってのピエロ・デラ・フランチェスカ」が大学に買い上げられ、画家としての第一歩を踏み出します。
1978年には第21回安井賞展に「花降る日」「古典」を出品し、安井賞選考委員会賞を受賞して一躍注目されました。
また1981年には「室内楽」で第24回安井賞、1983年には第2回美術文化振興協会賞を受賞するなど、華々しい成功を収めました。
彼の独自の画風は、岩絵具を使い風化を意識した繊細な美しさと深い静寂感が特徴で、観る者を異世界へと誘います。
しかしその才能は短命に終わり、38歳という若さで肝臓がんにより早逝してしまいます。
わずか10年の画業の中で、時代を超えた不思議な美しさを描き続けた有元利夫の死は、多くの人々に衝撃と悲しみをもたらしました。
その独特な表現は今なお多くの人々に感動を与え、彼の名前は忘れられることなく、美術の歴史に刻まれています。
- ■有元利夫の略歴
- 1946年:岡山県津山市に生まれる
- 1947年:家族と共に上京
- 1962年:版画家の中林忠良と出会い、絵の道を志す
- 1969年:東京藝術大学美術学部デザイン科入学
- 1971年:ヨーロッパ旅行をきっかけに岩絵具を使っての制作を始める
- 1972年:毎日広告賞佳作に入選、渡辺容子と結婚
- 1974年:箕浦昇一と二人展をみゆき画廊にて開催
- 1976年:電通を退社、東京藝術大学非常勤講師となる
- 1978年:花降る日」が第21回安井賞特別賞を受賞
- 1979年:第3回具象現代展に出品、優秀賞受賞
- 1981年:第24回安井賞展で「室内楽」が安井賞を受賞
- 1983年:第2回美術文化振興協会賞を受賞
- 1984年:第1回日本青年画家展が日本橋三越で開かれ「7つの音」が優秀賞を受賞
- 1985年:38歳、肝臓癌で逝去
有元利夫の作風の特徴
有元利夫の作風は、フレスコ画と日本の仏画を巧妙に融合させた独自の表現が特徴です。
フレスコ画の技法に、岩絵具や金泥といった伝統的な仏画の素材を組み合わせ、新たな油彩技法を創出しました。
作品が風化していく様を意図的に取り入れ、剥落や虫食いの痕跡を施すなど、前例のない斬新な手法で画面に幽玄な静寂感を生み出しました。
作品には、花や女神、花火、手品など、素朴でありながら幻想的なモチーフが多く見られ、その独特の雰囲気で観る者を魅了しました。
有元利夫の作品が高く買取されやすい理由
有元利夫は38歳という若さでこの世を去り、活動期間はわずか10年でした。
しかし短い芸術活動期間の中で多くの革新的な作品を生み出しており、美術ファンからの評価は非常に高いです。
そのため有元利夫の作品は、絵画・骨董品の買取市場でも高い人気があります。
そして、早逝してしまったことによる希少性から、高額で取引されることも多いのです。
また、有元利夫独自の技法や表現方法は他に類を見ないため、コレクターや美術愛好家からの需要が高く、より一層価値を高めていると言えるでしょう。
このような理由から、有元利夫は買取市場でも高く買取されやすい画家の1人となっています。
買取市場の傾向としては、モノクロの作品より色のついた作品、特に赤色が使われた作品に人気が集まりやすいと言えます。
モチーフとしては「道化」や「音楽」を描いた作品は人気が高いものが多いです。
有元利夫の代表作
有元利夫の作品は、その独創的な美学と斬新な技法で広く注目されています。
短い生涯の中で彼が残した数々の名作は、今も多くの人々に愛され、絵画・骨董品買取市場でも高い人気を集めています。
ここでは特に人気が高く、有元利夫の代表作といえる作品をご紹介します。
室内楽
1980年に発表された有元利夫の油絵「室内楽」は、彼の音楽への深い愛情と芸術的な探求心が結実した傑作です。
バロック音楽からインスパイアを受け、「絵画で音楽のリズムを表現したい」と語った有元の思いが込められたこの作品では、テーブルに散りばめられた果実、青空に漂う雲、布の優雅な襞が静かに、しかし確かにリズムを刻んでいます。
中央に描かれたふくよかな女性が、独自の世界観を鮮やかに表現し、その魅力は「花降る日」と同様に安井賞を受賞するほどでした。
今もなお、多くの人々に感動を与え続けるこの作品は、有元の芸術的遺産として語り継がれています。
花降る日
「花降る日」(1977)は、花びらの舞う中で佇む女性の後ろ姿が印象的な絵です。
有元利夫の作品の中では、花びらをはじめとする様々なモチーフが浮遊しています。
飛んだり浮いたりしているのかという問いに対して有元は「僕にとってはそれがエクスタシーの表現だから」と答えたと言われています。
「花降る日」でも、空間や時間などの固定概念の枠を超えた幻想的な世界を創り出しており、有元利夫の代表作の一つとして特に高く評価されています。
1978年には安井賞選考委員会賞を受賞し、当時から現在にかけて、多くの人々に愛され続けている名作です。
遊戯の部屋
「遊戯の部屋」(1981)は、真っ赤な背景が印象的なリトグラフ作品です。
黒と白の衣装をまとった女性が舞台の上で観衆に向けてダンスを披露している場面が描かれています。
白いレースが敷かれた発表台の上で、女性が緊張気味ながらも真剣に日々の練習の成果を見せる姿が、細やかに表現されています。
この作品には、温かみのあるタッチで岩絵具が使われ、風化の技法も取り入れられています。
その結果、時間と共に変化する美しさが引き立てられ、観る者に深い印象を与える作品となっています。
7つの音楽
有元利夫の「7つの音楽」(1978)は、エッチングの技法を使って制作された銅版画集です。
懐かしさを感じさせるセピア調の風合いが魅力的な作品集になっています。
例えば作品集のなかの「Sarabande」という作品では、テーブルの奥に横向きに静かに佇む女性が描かれており、穏やかで優しい雰囲気を醸し出しています。
女性の前に浮かぶ5つの球は、まるで音符が踊るように軽やかに舞い、ペンタトニック(五音音階)のメロディーを奏でているかのようにも感じられます。
ユーモアを交えたこの作品集は、音楽のリズムを視覚で楽しませるなど、細部にわたる心地よい遊び心が感じられます。
厳格なカノン
有元利夫の名作「厳格なカノン」(1980)は、その独特な構図と技法で深い印象を残す作品です。
長いスカートをまとった女性が、梯子を上る姿が描かれ、まるで物語の一場面が切り取られたかのような情景が広がります。
この作品は、作家宮本輝の小説「愉楽の園」の表紙にも採用され、その美しさと深みを証明しています。
有元利夫が駆使した岩絵具による細やかな表現が、作品に特有の豊かな質感を与え、見る者に強い印象を与える一枚です。
まだまだある有元利夫の人気作品
ここまでご紹介した以外にも、有元利夫の人気作品はまだまだあります。
赤い部屋 | 占いの部屋 | 蒼い風 | THE MOON MAN |
遥かなる日々 | NOTEBOOK1983 | コケット | 1981年展覧会ポスター |
机の手品 | こもりく | 望郷 | 3pieces de JEUNES FILLES |
春 | ポリフォニー | 音楽 | The Black Comet Club |
出現 | 雲の部屋 | 少女 | Les QUATRES SAISONS |
花咲く頃 | 雲のフーガ | 光る箱 | わたしにとってのピエロ・デラ・フランチェスカ |
雲のアルルカン | ささやかな時間 | 会話 |
この表にあるような有元利夫作品をお持ちなら、高く買取される可能性もあるでしょう。
ただし、実際の買取価格は作品の需要や保存状態などの条件によって変動します。
お持ちの有元利夫作品の具体的な価値については、バイセルの無料査定でお確かめください。
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お申し込みフォームへ有元利夫の絵画をより高く買取してもらうためのコツ
価値の高いものも多い有元利夫の絵画を売るなら、少しでも高く買取してもらいたいですよね。
では、買取の際にはどのような点に注意すれば良いでしょうか。
有元利夫の絵画をより高く買取してもらうために知っておきたいコツを3点ご紹介します。
- 作品の来歴などの情報をまとめておく
- 綺麗な状態で保存しておく
- 鑑定書などの付属品を揃えておく
作品の来歴などの情報をまとめておく
絵画の査定では、どこで手に入れたか、いつ購入したか、誰から譲り受けたかなど、購入に至るまでの背景が確認されます。
例えば「百貨店で開催された展示会で買った」「コレクターから譲り受けた」などの来歴は、作品の価値や真贋を判断するうえでも重要な情報になります。
そして、その来歴を証明する書類等があればさらに信憑性が増し、買取市場における信用度が増すことでより高く売れるかもしれません。
また、有元利夫の版画作品の場合にはシリアルナンバーも重要な情報になります。
シリアルナンバーが入っていることで本物であることが確認できますし、母数を見ることでその作品の希少性も分かります。
こういった作品に関する情報を出来る限り集めておき、査定の際に提示してあげると良いでしょう。
綺麗な状態で保存しておく
絵画の買取では、保存状態の良し悪しによって買取価格が大きく左右されます。
当然ながら、保存状態の良いもの(制作当時の状態をなるべく保っているもの)は、買取価格が高くなりやすい傾向があります。
有元利夫のような有名画家の作品で保存状態が良いものなら、買取市場でも高い需要がつくでしょう。
一方で、シミ、シワ、カビ、傷、破れ、タバコの臭いがあるなど保存状態が悪いと、その分だけ買取価格が下がってしまう可能性があります。
絵画を高く売りたいなら、額に入れて飾る、直射日光を避ける、飾らない場合は箱に入れて風通しの良い場所で保管するなど、絵画の状態を保つための工夫をしてあげることが重要です。
鑑定書などの付属品を揃えておく
有元利夫のような有名画家の作品をより高く売るためには、作者のサインや鑑定書・保証書といった、作品の価値を示す付属品の有無が重要な役割を果たします。
鑑定書は専門家による詳細な評価が記された文書で、作品の真偽や価値を証明するための資料です。
また、作者のサインや印章があれば、その作品が真作であることの証明にもなります。
こういった付属品があることで、買取市場における信頼性が増し、より多くの需要を集められるでしょう。
その結果、より高く売れる可能性があるのです。
鑑定書・保証書などの付属品がある場合には、作品本体と併せて買取前に揃えておきましょう。
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