翁同龢の書や掛け軸は買取してもらえる?有名作品や高価買取のコツ

翁同龢(おうどうわ)は、剛直で力強い書体で知られる中国清朝の書家です。
清の有名政治家として知られる歴史上の重要人物でもあり、その作品は中国美術の愛好家を中心に高い評価を得ています。
美術品・骨董品買取市場での取引例は多くありませんが、もし買取に出されれば高い価値がつく可能性は十分にあります。
本記事では、翁同龢の人物像や書の特徴、人気作品・有名作品代表作に加えて、買取市場での動向、高く評価されやすい翁同龢作品の特徴、翁同龢の書や掛け軸を高価買取してもらうためのポイントなどについてご紹介します。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
「バイセル」の査定士として、月間120件以上の査定、年間では1,000件以上のお客様対応の実績があります。豊富な経験をもとに 12カテゴリ、19品目と幅広い知識を有しています。その中でも着物・ブランド品の査定が得意です。 また、多数のメディアに出演させていただいた経験もあり、様々な角度からリユース業界に貢献したいと思っています。当記事のお品物へのご相談がございましたら、バイセルへお気軽にお申し付けください!
目次
翁同龢とは
翁同龢(1830-1904)は、中国の清朝末期の時代に活躍した書家です。
また政治家としても有名で、戸部尚書(財務と戸籍を司る部門の長官)、軍機大臣(皇帝の最高諮問機関の長官)、総理各国事務衙門大臣(外交の長官)などの要職を歴任しました。
翁同龢は1830年、中国東部沿岸部の江蘇省に生まれました。
父の翁心存(おうしんそん)も朝廷の重臣でした。
学問に秀でていた翁同龢は1856年、科挙を状元(じょうげん)、すなわち主席で合格を果たします。
そしてその頭脳を買われた翁同龢は、同治帝(どうちてい 1856-1875)と光緒帝(こうしょてい 1871-1908)の二代にわたる帝師(皇帝の教育係)を務めました。
光緒帝に西洋の学問の重要性や穏健な改革の必要性を説いたとされ、後の光緒帝の政治思想に大きな影響を与えたようです。
光緒帝からの信頼も篤かった翁同龢は、戸部尚書・軍機大臣・総理各国事務衙門大臣など政府の要職を歴任しました。
しかし政治的見解の違いから、実権を握る西太后(せいたいごう 1835-1908)や、洋務派(中国の体制と思想は維持しながら、西洋の技術を利用して富国強兵を目指した派閥)の重鎮である李鴻章(りこうしょう 1823-1901)と厳しく対立しました。
1898年に光緒帝が主導した近代化改革「戊戌の変法(ぼじゅつのへんぽう)」でも指導的な役割を務めました。
しかし、改革を嫌った西太后によって変法派の大粛清が行われ、翁同龢も解任・引退を余儀なくされました。
書家としての翁同龢の評価
翁同龢は清朝末期を代表する政治家であると同時に清朝を代表する能書家の1人として数えられ、書家としても高い名声を得ました。
そして現代でも、翁同龢の書は清末の激動期における知識人としての教養と気概、政治家としての剛直な生き方などが反映されたものとして、多くの骨董ファンから高い人気があります。
翁同龢は詩などの文章の名人としても知られたため、詩や日記などには文学的な価値も認められています。
そのため、自作の詩をしたためた書作品や自筆の日記などには、文学としての美しさも含めた人気があります。
また、政治家として方々とやり取りする際の書簡も、書の美しさに加えて歴史的価値の高いものとされています。
書家・翁同龢の作風
書家としての翁同龢は古典、過去の大家たちの作品の研究に熱心だったといいます。
特に唐代(618-907)の書家に影響を受け、唐の四大家に数えられる顔真卿(がんしんけい 709-785)の剛直で力強い書法を手本にしていたようです。
初期には多宝塔碑(たほうとうひ:顔真卿が書いた、長安の千福寺に多宝塔が建てられた由来を記す碑)に倣い、一点一画に力を込めた整った書風が見られます。
そして中期以降になると自由さが増し、内に力強さを秘めつつも筆致は円く柔らかみがあり、深みを感じる書風へとなっていきます。
文字の特徴としては、横画を軽めに書き、縦画を強めて全体の均衡を保つという筆遣いが見られます。
また、字の構えが左右から中央へ向かって力を集める「向勢(こうせい)」の傾向が強く、剛直な印象を与えます。
ほかには、右払いがツバメの尾のように細長く伸び、先端が二股に分かれる「燕尾(えんび)」も、翁同龢の書の特徴的な点です。
翁同龢作品は買取してもらえる?高く売れやすいポイントとは
文学的・歴史的にも価値が高い翁同龢の書や掛け軸には、多くの美術ファン・骨董品コレクターから高い評価を受けている作品も多いです。
美術品・骨董品買取市場での取引例は多くないのですが、買取市場に出てきた場合には高い価値がつく可能性があるでしょう。
また、中国では2007年から「1911年以前に作られた中国骨董品・美術品の海外持ち出しを禁止する」というルールが施行されています。
翁同龢は1911年以前の作家のため、このルールによって作品の希少性が非常に高くなっています。
翁同龢の作品は床の間などにかける掛け軸として人気が高いため、格調高い漢詩や歴史上の名言が書かれた作品は、需要が高くなりやすいでしょう。
また、対聯(ついれん:対になる2つの句から成り、その2句を1組の作品として左右対称に掛けたり貼ったりする形式)は翁同龢が熱心に制作した形式の1つであり、高く評価されるものも多いです。
翁同龢だけでなく、書や掛け軸など美術品の買取では有名作家の作品ほど買取相場が高くなりやすい傾向があります。
以下のページでは、有名作家の作品など書や掛け軸の買取相場、書や掛け軸を高く売るためのポイントといった買取情報について記載してございます。
また、バイセルでの書や掛け軸の買取実績についても記載してございます。
参考までにぜひご参照ください。
お問い合わせ・無料相談はこちら
電話から相談する
0120-612-773
通話料無料・24時間365日受付中
メールから相談する
お申し込みフォームへ翁同龢の人気作品・有名作品にはどのようなものがある?
翁同龢は書家であると同時に中国政治史上の有名人であり、詩や日記など文学の面でも評価が高い人物です。
そのため、作品として書いた掛け軸や対聯のほか、手紙などにも美術品・骨董品として高い価値が認められることがあります。
単一の作品を「これが代表作」と断定するのは難しいところです。
ここでは、多岐にわたる翁同龢の書作品の中でも人気の形式と、それぞれの形式における翁同龢の有名作品についてご紹介します。
対聯作品
対聯とは二幅一対の掛け軸で制作する形式で、二幅の掛け軸の内容が対句(意味が対応する2つの句)となるように書かれた書作品です。
翁同龢は八言聯(2つの掛け軸にそれぞれ8文字)、七言聯(2つの掛け軸にそれぞれ7文字)、五言聯(2つの掛け軸にそれぞれ5文字)など対聯の作品を多く手掛けました。
特に翁同龢の初期の作品では、顔真卿にならった剛直で力強い楷書が特徴となっています。
また、中期以降には自由度を増し、少し崩した行書体の作品が多くなっています。
翁同龢の作品の中でも人気の高い形式の1つです。
翁同龢の対聯作品として有名なものには、東京国立博物館所蔵の「楷書八言聯」、京都国立博物館所蔵の「行書五言対聯」などがあります。
掛け軸作品
一幅の掛け軸に詩文などを書いた作品も、翁同龢が得意とした形式の1つです。
翁同龢は詩人としても優れていたため、自作の詩をしたためた書作品などは文学的な美しさからも人気となっています。
一般的に掛け軸には縦長の形式が多いですが、翁同龢には横幅(横長の形状をした掛け軸)も多くあります。
翁同龢の掛け軸作品として有名なものには、滋賀県の博物館・観峰館に所蔵されている「行書瓶水斎語軸(ぎょうしょへいすいさいごじく)」、三重県の澄懐堂美術館所蔵の「澄懐堂横幅(ちょうかいどうおうふく)」などがあります。
手札(しゅさつ)・尺牘(せきとく)
知人や門人などに送った手札や尺牘(どちらも手紙・書簡のこと)も、翁同龢が自筆で書いたものであれば高い価値が認められることがあります。
特に友人などに宛てた手札や尺牘には、「書作品」としての気構えなく、比較的自由な筆遣いで書かれているものも見られます。
そこに翁同龢の素養や個性が垣間見えるとして、特に好む骨董品コレクターも多いのです。
翁同龢の手札・尺牘として有名なものには、京都国立博物館所蔵の「尺牘帖(せきとくじょう)」、同じく京都国立博物館所蔵の「臨蘇軾尺牘(りんそしょくせきとく)」などがあります。
「臨蘇軾」とは、蘇軾(中国宋代の書家)の書の臨書(手本を見て書くこと)という意味です。
題跋(だいばつ)
書画作品などには、作品の前後に題辞(だいじ:前書きのこと)・跋文(ばつぶん:後書きのこと)として、その作品の題辞(まえがき)・跋文由来・内容・感想・評価などを記す短い文章が添えられることがあります。
題辞と跋文をあわせて題跋といい、翁同龢は他の作家の作品に題跋を添えることも少なくありませんでした。
翁同龢の題跋は、書としての美しさとともに、学識の深さが表れるものとして人気があります。
翁同龢の題跋として有名なものには、中国東晋時代の大書家・王羲之(おうぎし 303-361)の書を模写した「遊目帖」への題跋などがあります。
翁同龢は美術品・骨董品買取市場での買取例は多くありませんが、美術ファンや骨董品コレクターからの評価は高い作家です。
有名な作品でなかったとしても、保存状態などの条件によって高く買取される可能性は十分にあるでしょう。
お持ちの翁同龢景作品の具体的な価値については、ぜひ1度バイセルの無料査定でお確かめください。
お問い合わせ・無料相談はこちら
電話から相談する
0120-612-773
通話料無料・24時間365日受付中
メールから相談する
お申し込みフォームへ翁同龢の書や掛け軸を高価買取してもらうためのポイント
翁同龢の書や掛け軸は、剛直で力強い書体や、政治家としての知名度などから高い人気があります。
では、翁同龢の書や掛け軸を少しでも高く売るためには、どのようなポイントに気をつければ良いでしょうか。
翁同龢作品を含む書や掛け軸の買取において、より高く買取してもらうために知っておきたい3つのポイントをご紹介します。
- 綺麗な状態で保存しておく
- 箱や鑑定書などの付属品を揃えておく
- 入手経路などの来歴を明確にしておく
綺麗な状態で保存しておく
書や掛け軸の買取で、買取価格に大きく関わるのが「保存状態」です。
保存状態の良いもの(制作当時の状態をなるべく保っているもの)は、買取価格が高くなりやすいでしょう。
その一方で、日焼け・シワ・色あせ・虫食いがあるなど、作品の状態が悪ければその分だけ価値は下がってしまいます。
そうならないためにも、直射日光を避ける、飾らない場合は箱に入れて風通しの良い場所で保管するなど、書や掛け軸の状態を保つための工夫をしてあげることが重要です。
箱や鑑定書などの付属品を揃えておく
書や掛け軸を含む骨董品の買取では、箱などの付属品の有無も買取価格に大きく関わってきます。
箱などの付属品は重要なコレクションの一部であると同時に、作者の箱書きがあるなど、本物の証明になってくれることもあります。
そのため、付属品があることで買取市場での信頼性が増し、より高い需要を集めて買取価格が高くなる可能性があるのです。
書や掛け軸の付属品としては、箱、風鎮(ふうちん:掛け軸の下部に吊り下げる重り)や紐(掛け軸を巻く際や吊るす際に使う)、鑑定書などの付属資料があります。
箱や風鎮・紐などの付属品は、汚れていたとしても揃っているだけで買取価格に影響するため、処分せずにとっておきましょう。
また、鑑定書がある場合はやはり買取市場における信頼性につながって買取価格アップにつながる可能性があります。
書や掛け軸本体とともに大切に保管しておいてください。
入手経路などの来歴を明確にしておく
翁同龢の書・掛け軸など価値ある骨董品の査定では、買取市場における作品の信頼性のために「どこで手に入れたか」「いつ購入したか」「誰から譲り受けたか」など購入に至るまでの背景が確認されます。
例えば「業界で信頼されている専門店で購入した」「著名な好事家が所有していた」などの来歴は、作品の価値を判断するうえでも重要な情報になります。
そして、その来歴を証明する書類等があればさらに信憑性が増し、買取市場における信用度が増すことでより高く売れるかもしれません。
入手した経路や時期、過去に所有していた人物といった記録がある場合には、処分せずに大切に保管しておきましょう。
翁同龢作品を売るなら買取実績豊富なバイセルへ
翁同龢の書や掛け軸の買取をお考えなら、骨董品買取のバイセルにお任せください。
バイセルは日本全国で骨董品・美術品などの買取サービスをご提供し、たくさんのお客様・リピーター様からご指名をいただいてまいりました。
バイセルの査定士は、高い専門知識と豊富な査定経験を生かして、書や掛け軸1点1点の価値をしっかりと見極め、正確に鑑定します。
バイセルの出張買取ならお電話1本、手数料完全無料で日本全国への出張買取に対応しております。
「試しに価値がどれくらいか聞いてみたい」「傷や汚れがあって売れるか不安」といった場合にも無料でご相談いただけます。
ぜひ1度お気軽にお試しください。
より詳しい情報を知りたい方はこちら
骨董品買取をもっと見る
こんなコラムも読まれています
- 書画や掛け軸を高価買取してもらうには?高く売れる作家や買取のコツを紹介!
- 中国美術の買取相場は?人気の種類や高く売れる作品の特徴を解説
- 呉昌碩作品の買取価格は高い?掛け軸・書・篆刻の代表作や高く売れる特徴を解説
- 斉白石作品の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説
- 愛新覚羅溥傑の書や掛け軸の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説
- 王鐸の書や掛け軸の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説
- 王献之の書や掛け軸の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説
- 王蒙の絵画・掛け軸の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説
- 于右任の書や掛け軸の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイントを解説
- 王一亭の書画・掛け軸の買取価格は高い?代表作や高価買取のポイント
