王文治の書や掛け軸は買取してもらえる?有名作品や高価買取のコツ

王文治(おうぶんち)は、水分の多い淡い墨「淡墨」を使った独自の表現で知られる中国清代の書家です。
官吏として当時の琉球に渡るなど日本とのつながりも深く、日本の美術品・骨董品愛好家からも高い人気があります。
美術品・骨董品買取市場での取引例は多くありませんが、もし買取に出されれば高い価値がつく可能性は十分にあります。
本記事では、王文治の人物像や書の特徴、人気作品・有名作品に加えて、買取市場での動向、高く評価されやすい王文治作品の特徴、王文治の書や掛け軸を高価買取してもらうためのポイントなどについてご紹介します。
※本記事の内容は、必ずしも買取価格を保証するものではございません。予めご了承下さい。
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目次
王文治とは
王文治(1730-1802)は、中国の清代中期に活躍した書家・詩人です。
また宮廷の高官としての側面もあり、若いころに外交団の一員として琉球に渡ったことでも知られています。
王文治は1730年、中国東部沿岸部の江蘇省に生まれました。
若い頃から学問に秀で、詩作や書を好んで学ぶとともに官吏としても活躍しました。
1756年には冊封使(さくほうし:中国王朝が琉球王国などの新しい国王に、中国皇帝の権威を示す勅書・冠・服などを授けるために派遣した使節団)の一員として琉球に渡りました。
その往路において、船が激しい嵐に見舞われて転覆し、命からがら久米島に漂着するというアクシデントがあったようです。
この経験は王文治にとっても印象深いものだったようで、のちのちまで「海天遊草」など詩や書の題材として書き続けました。
また、王文治の書には「曾経滄海(かつて滄海をわたる)」の印が捺されていることが多いです。
なお、このときに残された王文治の書が、現在も沖縄県立博物館に所蔵されています。
帰国後は科挙の最終試験で第3位(探花)という好成績を挙げ、翰林院(かんりんいん:公式文書の作成や国史の編集を行った機関)の官や侍講(皇帝や東宮に学問の講義をする講師)として宮仕えをするなど、高位の文官として活躍しました。
しかし中年にさしかかって「宮仕えに嫌気がさした」として退官すると、そののちは書や詩に没頭する生活を送りました。
書家としての王文治の作風
王文治は、帖学(ちょうがく)と呼ばれる、古代からの伝統的な書風を法帖(貴重な書作品を写し取り、石や木の版に転写したもの)を通じて学ぶスタイルで書を身に着けました。
具体的には、明代の書家・董其昌(とうきしょう 1555-1636)の軽妙なスタイルや、東晋時代の大書家・王羲之(おうぎし 303-361)の優雅な筆致を取り入れています。
そして、王文治の書の大きな特徴として、「淡墨(たんぼく)」と呼ばれる水分の多い淡い墨を使用したことが挙げられます。
水分が多いことによる紙への滲みや、墨色の変化を活かした透明感のある表現を得意としました。
同時代の書家で濃く太い線を持ち味とした劉墉(りゅうよう 1719-1805)とは、対照的な作風としてよく比較されます。
王文治の書は淡墨で線は細めですが、骨格がしっかりしていて決して弱々しくありません。
むしろ、流れるような運筆でありながら力強さと逞しさも感じさせ、「清勁(せいけい:清らかで力強いこと)」と称されることもあります。
その端正な線は見る者に爽やかな印象を与えてくれます。
王文治作品は買取してもらえる?高く売れやすいポイントとは
清代中期を代表する書家の1人であり、沖縄との結びつきもある王文治の書や掛け軸は、中国のみならず日本の美術ファン・骨董品コレクターからも高い評価を得ています。
美術品・骨董品買取市場での取引例は多くないのですが、買取市場に出てきた場合には高い価値がつく可能性があるでしょう。
また、中国では2007年から「1911年以前に作られた中国骨董品・美術品の海外持ち出しを禁止する」というルールが施行されています。
王文治は1911年以前の作家のため、このルールによって作品の希少性が非常に高くなっています。
王文治作品の中でも高く評価されやすいのは、代名詞ともいえる淡墨の美しさが際立っている書作品です。
ただし、王文治作品には模写も多いため、本人の真筆かどうかも価値を判定する上では重要なポイントになってくるでしょう。
王文治だけでなく、書や掛け軸など美術品の買取では有名作家の作品ほど買取相場が高くなりやすい傾向があります。
以下の各ページでは、有名作家の作品など書や掛け軸の買取相場、書や掛け軸を高く売るためのポイントといった買取情報について記載してございます。
また、バイセルでの書や掛け軸の買取実績についても記載してございます。
参考までにぜひご参照ください。
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王文治は淡墨による独自の表現が高く評価されるとともに、沖縄とのつながりから日本でも人気の高い作家です。
では、その中でも人気の高い作品、有名な作品にはどのようなものがあるでしょうか。
ここでは、王文治の作品の中でも人気の高い
- 自作の詩を書いたもの
- 題跋(だいばつ)
- 臨書
の3つのジャンルに分けて、それぞれの有名作品をご紹介します。
自作の詩
王文治には詩人としての顔もあるため、自作の詩を書いた書作品は、その内容も含めて人気の高いジャンルとなっています。
王文治の詩人としての代表作である「夢楼詩集(むろうししゅう)」などに収められている自作の詩が、行書または行楷書(楷書の骨格に行書の流動性を加えることで力強くも自然な印象を与える字形)の淡墨で書かれているものが多いです。
形式としては、短い詩句を掛け軸にしたもの、対句を対聯(二幅一対の掛け軸で制作する形式)にしたもの、比較的長い詩文をそのまま書いたものなどがあります。
王文治が自作の詩を書いた作品として有名なものには、
- 快雨堂詩翰…琉球に渡った際の経験や見聞を詠んだ詩を、自らの筆で書き記した作品
- 送姚姫伝詩…友人で学者の姚鼐(ようだい:字は姚姫)へ贈った詩
- 贈梅和尚詩巻…親交のあった禅僧・梅和尚(ばいおしょう)に贈るために書いた詩巻
などがあります。
題跋
書家として先達の書風をよく研究していた王文治は、書家であるとともに過去の巨匠たちの名作を集めた法帖(古人の筆跡を石ずりにした折り本)についての有識者でもありました。
法帖には、題辞(だいじ:前書きのこと)・跋文(ばつぶん:後書きのこと)として、収められた書についての由来・感想・評価などを記す短い文章が添えられることがあります。
この題辞と跋文をあわせて題跋といい、王文治は書家・有識者としてこの題跋を書く機会も多かったようです。
王文治が書く題跋は、書としての美しさとともに、学識の深さ、先達の作品への敬意が感じられるとして人気があります。
王文治の題跋として有名なものには、「快雪堂帖(かいせつどうじょう)」への題跋があります。
「快雪堂帖」は中国東晋時代の大書家・王羲之(おうぎし 303-361)の傑作「快雪時晴帖(かいせつじせいじょう)」など、各時代の重要な書家20人以上の、80点以上の作品を集めた大規模な法帖で、明代に編纂されたものです。
臨書
先達の書をよく研究していた王文治には、臨書(古典の模写)作品も多く残っています。
ただし、王文治の臨書は先達の書の形を忠実になぞるものではなく、「その書が持つ雰囲気やリズムを写し取る」「古典の精神を吸収し、自らのスタイル(淡墨など)で再構築する」という、極めてクリエイティブなものでした。
実際に王文治の臨書は、原本よりも線が細く、より軽やかな印象を受けることが多いです。
王文治がよく臨書した先達としては、王羲之、董其昌、趙孟頫(ちょうもうふ 1254-1322)などが挙げられます。
特に、師と仰いだ董其昌作品の臨書である「臨董其昌 蜀素帖残巻」は有名です。
「蜀素帖(しょくそじょう)」とは北宋時代の書家・米芾(べいふつ 1051-1107)が、蜀(四川省)で作られた貴重な絹の巻物に、自作の詩8首を揮毫した作品です。
董其昌は米芾の「蜀素帖」を深く愛し、何度も臨書していたといいます。
王文治の「臨董其昌 蜀素帖残巻」は、米芾(北宋)→ 董其昌(明)→ 王文治(清)と、各代の名手によって受け継がれてきた書道史の流れを受け継いだ、壮大な作品と言えるでしょう。
王文治は美術品・骨董品買取市場での買取例は多くありませんが、美術ファンや骨董品コレクターからの評価は高い作家です。
有名な作品でなかったとしても、保存状態などの条件によって高く買取される可能性は十分にあるでしょう。
お持ちの王文治作品の具体的な価値については、ぜひ1度バイセルの無料査定でお確かめください。
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お申し込みフォームへ王文治の書や掛け軸を高価買取してもらうためのポイント
王文治の書や掛け軸は、淡墨による独自の表現と、清らかで力強い端正な線などから高い人気があります。
では、王文治の書や掛け軸を少しでも高く売るためには、どのようなポイントに気をつければ良いでしょうか。
王文治作品を含む書や掛け軸の買取において、より高く買取してもらうために知っておきたい3つのポイントをご紹介します。
- 綺麗な状態で保存しておく
- 箱や鑑定書などの付属品を揃えておく
- 入手経路などの来歴を明確にしておく
綺麗な状態で保存しておく
書や掛け軸の買取で、買取価格に大きく関わるのが「保存状態」です。
保存状態の良いもの(制作当時の状態をなるべく保っているもの)は、買取価格が高くなりやすいでしょう。
その一方で、日焼け・シワ・色あせ・虫食いがあるなど、作品の状態が悪ければその分だけ価値は下がってしまいます。
そうならないためにも、直射日光を避ける、飾らない場合は箱に入れて風通しの良い場所で保管するなど、書や掛け軸の状態を保つための工夫をしてあげることが重要です。
箱や鑑定書などの付属品を揃えておく
書や掛け軸を含む骨董品の買取では、箱などの付属品の有無も買取価格に大きく関わってきます。
箱などの付属品は重要なコレクションの一部であると同時に、作者の箱書きがあるなど、本物の証明になってくれることもあります。
そのため、付属品があることで買取市場での信頼性が増し、より高い需要を集めて買取価格が高くなる可能性があるのです。
書や掛け軸の付属品としては、箱、風鎮(ふうちん:掛け軸の下部に吊り下げる重り)や紐(掛け軸を巻く際や吊るす際に使う)、鑑定書などの付属資料があります。
箱や風鎮・紐などの付属品は、汚れていたとしても揃っているだけで買取価格に影響するため、処分せずにとっておきましょう。
また、鑑定書がある場合はやはり買取市場における信頼性につながって買取価格アップにつながる可能性があります。
書や掛け軸本体とともに大切に保管しておいてください。
入手経路などの来歴を明確にしておく
王文治の書・掛け軸など価値ある骨董品の査定では、買取市場における作品の信頼性のために「どこで手に入れたか」「いつ購入したか」「誰から譲り受けたか」など購入に至るまでの背景が確認されます。
例えば「業界で信頼されている専門店で購入した」「著名な好事家が所有していた」などの来歴は、作品の価値を判断するうえでも重要な情報になります。
そして、その来歴を証明する書類等があればさらに信憑性が増し、買取市場における信用度が増すことでより高く売れるかもしれません。
入手した経路や時期、過去に所有していた人物といった記録がある場合には、処分せずに大切に保管しておきましょう。
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